弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第311回 難しい老朽化マンションの建替問題 

東京都が老朽化マンションの建替えを促すために
不動産会社が老朽化マンションを買い取れば
他の場所に建てるマンションの容積率を上乗せする
という制度を創設するそうです。

老朽化したマンションの建替え問題は
そのマンションがある地域の土地の有効活用や
安全性、防災という問題とも絡んで
解決しなければならない
社会問題の1つです。

今回の東京都の政策は
建替える不動産業者にあめを与えて
マンションの建替えを促進しようとするものです。

しかし、これだけではなかなか建て替えは進まないと思います。
そもそも、不動産業者は老朽化マンションの建替えについては
あめなどをもらわなくても
建替えをしたいのです。

建替えのできない主な理由は、
建て替えに必要なマンション所有者の5分の4の賛成を取れないからなのです。
なぜ、マンション所有者は建て替えに消極的なのかと言えば
マンション所有者もマンションと共に高齢化しており
自分の人生があとわずかなのに
そのために、多額のお金を出して建替えたりしたくないということです。
建替えのためのマンションを不動産業者が買い取る方法もありますが
そうなると、マンション所有者は住み慣れた街から引っ越しをしなければならなくなります。
高齢者の方ほど、これまで住んでいた知り合いや友人がいて、
自分が慣れている街に住みたいと思うものです。

マンション所有者の高齢化により
建替える資金の問題と住環境の問題とが
マンションの建替えを阻んでいるのです。

今回の老朽化マンションを買い取った場合は、
他の場所に建てるマンションの容積率の上乗せが可能となる制度は
建替える資金を不動産会社が負担するという意味では
マンションの建替えを促進することとなるかもしれません。
しかし、高齢化したマンションの所有者は、
マンションを売却してしまえばそれまでの居住環境を変えることになってしまうことから
なかなかマンションの売却には賛成しないと思います。

これについては、
例えば、マンションの建替えのためにマンションを売却した所有者には、
入居が難しいとされている老人ホームや介護施設に入居できる権利が得られるとすれば
高齢化したマンション所有者が不動産業者に老朽化したマンションを建替えのために
売却しようという積極的な動機になると思いますが
いかがでしょうか。




( 2018/08/21 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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