弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第318回 相続分の無償譲渡は生前贈与とする最高裁判決が出されました 

相続分の無償譲渡と言われてピンと来る方は
なかなかいないかもしれません。

相続をすると、各相続人は法定相続分が決まっており
それに従って相続財産(遺産)を取得することができます。

この相続財産を取得できる割合を相続分といいますが
この相続分は、共同相続人にも
相続人でない第三者にも譲渡することが可能なのです。

相続人でない第三者は、相続分の譲渡を受けると
相続人ではありませんが遺産分割協議に参加することとなります。

今回の裁判は
父親の相続の際に、母親が持っている相続分を
子供の1人に譲渡されたケースで、
その後、母親が亡くなって、母親の相続で、
父親の相続のときに母親の持っている相続分の無償譲渡を受けたことは
特別受益だから遺留分の対象となるとして
起こされたものです。

この場合、
もともと子供は相続人ですから
相続財産を取得する権利はあるのであって、
遺産のうち、どの遺産を誰が取得するかは
遺産分割協議で決まることになります。
そこで、相続分の無償譲渡を受けた子供は
相続分を無償で譲り受けても、生前贈与に当たらず
特別受益には当たらないと主張しました。

しかし、最高裁は、
確かに、相続分の譲渡は具体的な財産ではないけれども
相続分の譲渡を受ければ、
それに従って相続財産から受け取れる財産が増えるのだから
経済的利益が移転したことになり
生前贈与にあたると判断しました。

遺産分割協議で相続分の無償譲渡が利用されることは少ないと思いますが
相続分の無償譲渡がなされた場合は
次の相続で、特別受益の主張が可能ですので
覚えておいても損はない判決だと思います。

( 2018/10/23 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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