弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第357回 吉本興業「死亡しても責任を負わない」旨の誓約書は有効か(最終回) 

吉本興業の芸人が反社会的勢力が参加しているイベントに
闇営業をしていた問題に端を発して
吉本興業が芸人と契約書を交わしていない問題、
謝罪会見をさせないようにした問題等
いろいろ取り上げられています。

今度は、吉本興業がお笑いの訓練のための合宿への参加者に対し
「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、
その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」
という誓約書に署名をもらっていたということが発覚しました。

上記のような、イベント参加者に「事故が起きても責任を負いません」という内容に承諾を求める
誓約書を取ることは、実はそんなに珍しいことではありません。
上記のような誓約書は、主催者の責任を免責することを承諾するので
「免責同意書」などと呼ばれています。

海外旅行やスポーツクラブに参加する際も、
この免責同意書を取られることが多いです。

では、この免責同意書は有効でしょうか。
この免責同意書で免責されるのであれば
事業者の方は簡単で、特に事故対策をする必要はないということとなります。
しかし、参加者等は、免責同意書が有効だとすれば
事故が起きても損害賠償請求ができないという不利益を受けることとなります。

過去裁判で争われたケースがあります。
結果は、無効と判断されました。

判例は、人間の生命・身体というような重大な権利の侵害について
予め一切の権利を放棄させるというのは
主催者側に一方的に有利で、合理性を認めがたい
という理由から
公序良俗に違反するとして、無効としています。

消費者契約法は、事業者の債務不履行等によって生じた責任の全部を免除するような
規定は無効としています。
また、消費者の利益を一方的に害する条項も無効としています。

したがって、この免責同意書は消費者契約法上も無効とされる可能性は高いと思います。

さて、このブログですが、今回をもって最終回とさせていただきます。
ハイハイQさんの「大学では教えない。でも役に立つやさしい法律講座」を書き始めたのが
平成14年8月で、今が令和元年8月ですから17年書いていたこととなります。

事務所のホームページには、企業法務ブログ相続ブログを掲載していますので
そちらをご覧いただければと思います。

では、これまでご愛読ありがとうございました。
何かございましたら、下記のメールアドレスまで問い合わせをいただきたいと存じます。

takashima@takashimalaw.com

( 2019/08/06 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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