弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第238回 東日本大震災による原発事故は予見可能 

東日本大震災による原子力発電所の事故について
前橋地裁で判決が出されました。

その内容は、
国と東京電力は、
東日本大震災による津波を
予想できたので、
その対策を取らなかった東京電力と
その対策を取らせなかった国には
原発事故により
避難を余儀なくされている人たち被害者に対し
賠償責任を負うというものです。

通常、天災地変による事故や被害については
人が予想できない不可抗力として
法律上の責任が発生しないとされています。

今回の原発事故の訴訟でも
東日本大震災のような大震災が発生すること
それにより高い津波が来て事故が起きることが
予想できたのかどうかが
争点の一つとなりました。

今回の判決は、
国が2002年7月に発表した長期評価で
福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が30年以内に20%程度と
されていたことや
東京電力が2008年5月に福島第一原発に
高さ15.7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなど
から、
大地震とそれによる津波が予想できたと判断しました。

これに対し、国と東京電力は
地震の予想については、確立した知見ではなかった
と争っていましたが、認められませんでした。

地震の予想については
30年以内に20%程度という予想が
果たして予想と言えるかどうかは
なかなか難しいと思います。

今回の裁判官は、
原子力発電が一度事故が起きると
甚大な被害を生じさせるという原子力発電の危険性と
国が自ら出した予想で、
東京電力も地震が起きた場合に高い津波が起きることは
自ら試算していた
ということから
予想可能だったとしたと思われます。

国や東京電力のような企業でなければ
なかなか東日本大震災クラスの地震が起きて
被害が起きることは予想できたとは
判断されないとは思います。

今後、本件は、高裁、最高裁と争われていくと思いますし
他の地裁でも同様の裁判は行われています。
裁判所がどう判断していくのか
最終的にどちらと判断するのか
注目ですね。


( 2017/03/21 00:00 ) Category 損害賠償請求 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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