弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第272回 成年後見より家族信託 

信託法が改正され、
営利目的でなければ
信託銀行以外の個人でも
信託を受けることができるようになりました。

信託というのは、
主に財産の管理の委託をすることです。

親の財産や事業を子供に管理を委託するということが
典型的な例です。
これらは「民事信託」とか「家族信託」と呼ばれています。

これまで、家族間の財産管理と言えば
成年後見制度を利用するほかありませんでした。
そうなると、裁判所に申立をして
成年後見人や成年後見監督人を選任してもらい
裁判所に報告したり、裁判所の許可を得たり
しなければなりませんでした。

ところが、親が判断能力があるうちに
家族信託契約を結んでおけば
子供は親の財産を管理や処分をすることができ
その後判断能力がなくなっても
成年後見の申立をすることなく
継続して財産管理をすることができるのです。

信託契約では、親が亡くなったときに
財産を誰に帰属させるか決めることもでき
遺言書の代わりにすることも可能です。
この点でも、便利な契約となります。

ただ、信託契約は良いことばかりではありません。

財産管理の委託を受けた子供(「受託者」と言います)が
自分のためにお金を使ってしまったりして
使途不明金が出たりする可能性もあります。
成年後見人については
裁判所が監督しますが
家族信託の場合は
信託契約で信託監督人を選任しておくか
裁判所で選任してもらわないと
そのような監督をしてくれる人がいないこととなります。

その点は注意が必要となります。

しかし、家族信託は全体的に便利な制度ですので
子供に自分の財産の管理を任せたいという場合は
利用されることをお勧めします。





( 2017/11/14 00:00 ) Category 成年後見 | トラックバック(-) | コメント(-)

第21回 高齢者の財産を守るはずが… 

前回、高齢者の財産を守る制度として、
成年後見制度があるという話をしました。
ところが、この成年後見制度にも問題点はあります。

その大きな問題は、成年後見人が、
高齢者の財産を使い込んでしまうということです。
そもそも、高齢者が財産を騙し取られたり、
子供に財産を使い込まれたりしないようにするための
成年後見制度なのに、
高齢者の財産を管理し守るはずの成年後見人自身が、
高齢者の財産を使い込んでしまうというのですから、
何のための成年後見制度か
わからないということになってしまいます。

しかし、この成年後見人が
高齢者の財産を使い込んでしまうのは、
成年後見人が、弁護士等法律の専門家ではなく、
子供などの親族が多いからかもしれません。
法的な知識がないために、
成年後見人は高齢者のために財産を管理し、
収支を報告する義務があることをよく理解しておらず、
高齢者のためという名目ならば
何をしてもよいと勘違いしているとも考えられますし、
他人の多額のお金を預かっていると、
自分のために使いたいという
誘惑に駆られてしまうのかもしれません。

もちろん、成年後見人が
高齢者の財産を自分のために使ってしまえば、
これは、業務上横領罪(10年以下の懲役刑)となります。
それでも、なかなか自分の欲に負けてしまう
成年後見人が少なくないということのようです。

成年後見人の財産の使い込みということを考えると、
お金はかかりますが、法律の専門家であり、
顧客のお金を預かることに慣れている弁護士に、
成年後見人を頼んだ方が良いかもしれません。

なお、成年後見人の使い込みが多いことから、
信託銀行に高齢者の財産を信託することにより
使い込みを防ぐという方法を
取ることもできるようになりました。

( 2013/01/15 00:00 ) Category 成年後見 | トラックバック(-) | コメント(-)

第20回 高齢化社会における財産を守る制度 

人間誰しも年を取ります。
物忘れがひどくなったり、
理解力が弱くなったりしてきます。
認知症などの病気にかかってしまえば
その状況はさらにひどくなります。

不幸にも、この社会には、
そういう高齢者の財産を狙う者がたくさんいます。
布団や着物、健康食品から家のリフォーム、
未公開株など枚挙にいとまがありません。

これらの被害から高齢者を守る制度が、
成年後見制度です。
成年後見制度には、本人の判断能力に応じて、
「後見」「保佐」「補助」という種類があります。
いずれの制度でも、後見人や保佐人、
補助人の了解がなく本人が行った契約などは
取り消すことができることになっています。
このことにより、
本人が高額な商品を買わされたりした場合でも、
代金を取り戻すことができるようにしているのです。

これらの成年後見制度を利用すると、
裁判所が成年後見人や保佐人、補助人に、
財産の管理状況の報告を求めたりするので、
本人が亡くなったときに通帳を見たら、
たくさんあった預金が
全部下ろされていたということにはならないと思います。

「後見」も、「保佐」も、「補助」も、
本人の判断能力が低下した場合の制度ですが、
判断能力は低下していないけれども、
財産管理について心配だという場合には、
財産管理契約を結んでおけば
勝手に財産が引き出されたり、
換金されたりするということは防げると思います。

後見人、保佐人、補助人、財産管理人は、
弁護士など専門家に依頼することもできますが、
専門家に依頼すると、費用がかかります。
子供や配偶者や兄弟などの親族が、
これら後見人、保佐人、補助人、財産管理人に
なることができるので、
親族関係がうまく行っている場合には、
親族がなった方が良いと考えます。

この成年後見制度にも、問題があって、
それについては、次回にお話しします。
 
 

( 2013/01/08 00:00 ) Category 成年後見 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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