弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第340回 弁護士が弁護士に懲戒請求したことを理由に懲戒された 

弁護士会に、特定の弁護士について
罰を与えることを求めることが
懲戒請求となります。

通常は、依頼者や相手方が弁護士に対し
懲戒請求を行うことが多いのですが
最近は、
以前テレビで弁護士の懲戒請求が取り上げられたことから
懲戒請求制度が一般の方に知られるところとなり
全く関係のない一般の方が弁護士を懲戒請求をすることも
あります。

今回は、弁護士が弁護士に対し懲戒請求したところ
その懲戒請求を理由に懲戒請求を受け、
懲戒となってしまったというお話です。

ある弁護士Aが相手方弁護士Bの調停時の発言を巡り
懲戒の請求をしました。
その内容は「Aが妻を一方的に攻撃した」などとする内容だったそうです。

B弁護士は、これに対し、「Aが妻を一方的に攻撃した」などとする内容は
事実で、Bに対する懲戒の請求は不当だから
Aを懲戒すべきとAについて逆に懲戒請求をしたのです。

最終的に、弁護士会は、Bの発言を事実と認め、
それにもかかわらず、
Bに懲戒請求をしたAを懲戒処分としました。

弁護士は、通常、依頼者の意向に沿って主張をするものなので
自分に不都合な発言を弁護士がしたからと言って
それは弁護士の職務上の行為なので
いちいち弁護士の責任を問わないのが
普通です。
しかも、本件においては、自分に不都合な発言は事実であって
相手方のB弁護士の主張は正しかったということなので
なおさらです。

A弁護士も弁護士なので、B弁護士の主張は仕事上依頼者のためになされたもの
でわかっていたはずです。
また、B弁護士も弁護士なので、それなりの根拠を持って主張している可能性もあるし
逆に懲戒請求してくることも考えられます。

A弁護士は、自分が離婚調停の当事者だったからか
これらのことがわからなくなってしまったのでしょうか。
B弁護士に懲戒請求をして、逆に自分が懲戒される羽目になってしまいました。









( 2019/04/02 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)

第265回 弁護士がAVプロダクションの代理人をしても懲戒はされませんでした 

第230回 弁護士会がAVプロダクションの代理人弁護士を懲戒?
で、以前書いたとおり、
いわゆるAV(アダルトビデオ)出演契約に違反して出演しなかった女性に対し
AVプロダクションの代理人として訴訟を提起した弁護士が
弁護士会から懲戒を受けるかということが問題となっていました。

女性に契約に基づいて違約金を請求することがAV出演を強制する威圧的効果が
あるからというものです。

そのときに、現在の日本の法律では、
AV産業は適法な産業として認められており
AVの出演契約自体も違法とは言えないこと、
弁護士は、犯罪者等社会一般的にどうかと思われる方の
代理人になること自体は、弁護士の職業上認められると思うこと
などから、弁護士会が懲戒することはおかしいのではないか
というようなことを書きました。

弁護士会は、再度懲戒にするかどうか検討されたようですが
訴訟提起時に、女性に弁護士が付いていたから
懲戒しないという結論を取ったようです。

女性には既に弁護士が付いていたから
訴訟を起こしても、
自分の弁護士にアドバイスを求めることにより
AV出演を強制されることにはならなかった
ということのようです。

しかし、通常は、予め弁護士に相談して契約に違反する
という人は少ないのであって
女性に弁護士が付いていなかったら
その弁護士は懲戒されていたというのは
ちょっと、おかしいと思います。
仮に弁護士が付いていなかったとしても
弁護士に相談をすることにより、アドバイスを得られることは同じですし、
契約が妥当なのかどうか、有効なのか無効なのかは
裁判で争って初めて決まるわけです。

法律上違法とはされていない産業について
弁護士が依頼を受けて訴訟を起こしただけで
懲戒ということだと、
誰でも自分の主張が正しいと思うことを
裁判で争って正しいかどうか確認することができるという
裁判を受ける権利が害されてしまいますし
弁護士としての業務も縮小してしまうと思います。

前回も言いましたが
僕はそのAV出演契約の違約金を有効だと考えていたり
AVプロダクションがしたことが正しいと言っているわけではありません。
だいたい、どういう契約内容で、どういう経緯で契約が締結されたかなどは
よくわかりません。
弁護士が代理人となってAVプロダクションに裁判で争う機会を与えただけで
弁護士が懲戒されるのはおかしいのではないかと言っています。




( 2017/10/03 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)

第253回 弁護士会の照会で調査 

裁判は
相手がどこの誰かがわからないと
起こせないということがあります。

依頼者の知っている住所に内容証明郵便を送付したら
転送されてしまったという場合には
転送先が相手が実際に住んでいる住所となります。

ただ、一般的に郵便局では、
転送先は、守秘義務があるとして
教えてもらえません。

そこで、弁護士は、
弁護士会の照会制度を利用して
転送先を調査しようとしました。

ところが、郵便局は、守秘義務があるとして
照会に回答しませんでした。

そこで、弁護士会は、照会に回答してもらえなかったことにより
慰謝料を請求して訴訟を起こしました。

弁護士会は、一審は敗訴して、二審は勝訴しました。
最高裁では、
「回答されなくても、弁護士会に損害はない。
ただし、回答義務の有無については、
判断する必要がある。」として
名古屋高裁に差し戻しました。

そして、この度、名古屋高裁での判決が出されました。
判決は、郵便局の回答義務を認めるものです。

これで、相手方が転居したのに住民票を移していないような場合に
相手がどこに住んでいるかを調べることが可能となります。

住民票が移されていないのに
郵便は転送されてしまうというケースは
よくあって、訴訟を起こしてから
転送先を調べるよう裁判所から言われることも多いです。

これまでは、郵便局の職員と
「開示して欲しい。」「開示しない。」という
押し問答が繰り返されるということでしたが
これで弁護士会の照会を使えば
相手の居所がわかるということになります。

最近は、3大都市銀行は相手方の預金の有無も弁護士照会で
回答してくれるようにもなり、
通常では調べられないことについて
弁護士会の照会で調査できる場合もあります。

こういうことが調べられるかということがあったら
弁護士に相談してみてください。
弁護士会の照会で調査できることもあるかもしれません。


( 2017/07/04 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)

第235回 ネットの書き込み削除要請は弁護士しかできない 

インターネット上で、個人や法人の名誉棄損の書き込みがなされることは
最近のネット社会ではよくあることです。

この削除要請に目を付けてビジネスとしてきたのが
削除要請代行業者です。

この削除要請代行業者をめぐる裁判の判決が
ありました。

事案は、削除要請代行業者が削除要請の依頼を受けて
報酬を得たことについて
削除要請は、紛争の解決行為なので
弁護士しかできないことから
弁護士でない代行業者が報酬を得る契約は無効なので
支払った報酬を返せというものです。

この点、代行業者は、削除要請はサイトのフォームを使って
削除の依頼をしただけなので弁護士しかできない法律事務ではないと
反論しました。

しかし、裁判所は
削除要請自体が依頼者の人格権に基づく削除請求権の行使なので
サイトの運営業者に削除義務を発生させるもので
弁護士しかできない法律事務だと判断しました。

そこで、判決は依頼者が代行業者に対し支払った報酬の返還を認めました。
依頼者は慰謝料の請求もしたようですが
それは認められなかったようです。

ネット上で名誉棄損の書き込みをされることが多く
削除要請に応じないサイトもあって最終的に解決に至らない場合もありますが
資格を持たない業者よりも弁護士の方が信頼ができると思いますし
そもそも業者が行うことは違法です。
ネット上の書き込みの削除要請は弁護士に相談依頼していただきたいと思います。
( 2017/02/28 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)

第230回 弁護士会がAVプロダクションの代理人弁護士を懲戒? 

弁護士は、明らかに不当な事件を受任してはいけません。
弁護士には、弁護士の信用を守るために、そういうルールがあります。

この度、AV(いわゆるアダルトビデオ)への出演契約を結びながら
出演を拒否した女性に対し、AVプロダクションが訴訟を起こしたことについて
代理人をした弁護士に対し、懲戒処分にするかどうか検討するよう
弁護士の元締めである日本弁護士連合会(日弁連と言います)が
代理人を務めた弁護士の所属する弁護士会に求めました。

理由は、プロダクションが女性に対する多額の違約金を請求する
訴訟の代理人となり、AV出演を強制する威圧的効果が
あるからというものです。

弁護士は、最初に書いたとおり、不当な目的の仕事を請け負うことはできません。
しかし、逆に、刑事事件の被告の弁護など、
一般の方からすると、そんな悪い奴の味方をしていいのかと思うようなことを
仕事としてすることは認められています。

したがって、不当か不当でないかは、その境界線は微妙なところです。
明らかな違法行為ならわかりやすいですが
AVプロダクションは、今の日本の法律では違法ではありません。
したがって、出演契約も違法ではないと思うのです。
それにもかかわらず、違約金を求めるプロダクションの代理人を務めただけで
懲戒という弁護士会から罰を受けるということは
なかなか納得できないですね。
(もちろんAVプロダクションのやっていることが正しいとか
違約金が認められるべきと言っているわけではありません)

もともと所属の弁護士会は
懲戒については、提訴自体は問題ではないと判断していて
それが普通の弁護士の感覚だと思います。

日弁連がこのような判断をすると
弁護士としては事件の受任について委縮してしまい
かえって、国民の裁判を受ける権利等が害されたり
弁護士の業務が縮小してしまうような気がします。
( 2017/01/24 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)

第103回 弁護士なのにやってはいけないことの研修を受けました 

みなさんは、弁護士は法律の専門家なので
やってはいけないこととやっていいこととの区別はついていて
弁護士がやってはいけないことをするはずない
と思われている方が多いと思います。

そう思っていらっしゃる方は、ありがとうございます。
最近、弁護士なのに、
そのようなみなさんの弁護士への信頼を
裏切る弁護士が増えています。

そこで、弁護士がみなさんからの信頼を裏切らないよう
弁護士会は、
弁護士がやってはいけないことの研修を
強化しています。

この研修を、弁護士が守るべきルールの研修ということで
弁護士倫理研修といわれています。

以前から、1年目10年目20年目という区切りには
弁護士倫理研修が行われていたのですが
今は、相次ぐ弁護士の不祥事を受けて
1年目、3年目、以降5年ごとに
倫理研修が行われることになりました。

どういう内容の研修を受けるかというと、
複数の依頼者から同時に事件を引き受けたのちに
依頼者同士の考え方が対立した場合
両方の依頼を続けていいのか、
そうかと言って、
辞めてしまうと
訴訟は止まってしまうし、
依頼者は最初から別な弁護士を探して、
状況を説明しなければならない上に
再度弁護士費用を支払うこととなってしまうけれども
辞めていいのか、などという
難しいものです。

それから、弁護士でない業者と組んで
依頼獲得してはいけないとか
弁護士は名義を貸したりしてはいけないなどです。

しかし、弁護士の不祥事で目立つし、最も社会的に問題なのは
依頼者からの預り金に手を付けることだと思います。
これは、倫理研修を受けなくても、
というか、
弁護士でない一般の人でも
他人のお金に手を付けるのは
犯罪でやってはいけないことだと
わかっているわけです。
それでもやってしまう弁護士がいるわけで
そういう弁護士が
倫理研修の頻度を多くしただけで
いなくなるのか
よくわかりませんが、
弁護士への信頼を
守るためにもいなくなってほしいですね。






( 2014/07/15 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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