弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法
カテゴリー  [不動産 ]

第341回 土地のマイナス入札 

このコラムでも何回か書きましたが
以前、不動産は持っていれば必ず価値があるプラスの財産と
考えられていました。
しかし、今では、「負動産」などと呼ばれ
持っているとマイナスでしかなく
放棄したい、手放したいと言われるものもあります。

今回は、それが数字で表れたというお話です。
みなさんは、「マイナス入札」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
入札というのは、買受人を一定の期限を定めて募集し、一番高い値段を付けた人に売却するという
売却方法です。
「マイナス入札」というのは、購入希望代金がマイナスでも売却するという
入札です。

例えば、土地の上に老朽化した建物が建っている場合、
建物の解体費用が土地の価格を上回るような場合
土地は欲しいけど、建物を解体する費用を自分で出さないといけないならば
購入してもマイナスになってしまうので、誰も買わないということになります。
具体的には、土地が1000万円であるのに対し、
その土地上の鉄筋コンクリートの建物を解体するのに
2000万円かかるという場合、
土地を1000万円で買うとすると、あとで解体費用2000万円を払う必要があるので
1000万円の土地を3000万円出して買うのと同じこととなります。
土地建物を無料でもらっても、あとで2000万円を支払う必要があるので
マイナス1000万円となってしまいます。

そこで、入札する際に、マイナス1000万円、即ち、売った者が買った者に1000万円を支払うことで
土地を引き取ってもらうのがマイナス入札です。
土地建物の所有者は、解体費用2000万円を全額支払わずに済むし、今後建物の保守管理の費用もかからなくて
済むようになります。
特に、市町村が所有者であった場合、民間人が購入すれば、固定資産税が入ってくることとなります。

このように、お金を払っても、買い取ってもらえばメリットがある場合には
マイナス入札が行われることになります。

不動産は必ずプラスの財産となると思われていたことから
考えると、時代は変わったということになるのかもしれません。
( 2019/04/09 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第334回 全額ローンで物件を購入できるからくり 

前回、第333回 家賃保証前提の不動産投資には要注意
サブリース(家賃保証)の注意点をお話ししました。
その際に、業者は、頭金なしの全額ローンでの購入という提案を
してくるということを話しました。
今回はそのことについて、ご説明します。

通常銀行は、不動産の購入資金を全額は貸しません。
購入する不動産の価格は、
将来、借入金の返済の不払が起きたときに下がっているかもしれないし、
借主が不払事故を起こせば、延滞金や利息が付くので
担保価値に余力を見ないとその分までは回収できないということもあります。

また、一定の自己資金を持っていることは、
借主の信用(自己資金を貯めることができた)にもなります。

以上のようなことから、自己資金が物件購入価格の2割から3割ないと
不動産を購入できないのが普通です。

それにもかかわらず、不動産業者が全額ローンで購入できるというのは
どうしてでしょうか。

1つは、売買契約書を2つ作り、物件価格を実際の金額よりも高いと銀行に思わせる
という方法があります。
もう1つは、頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法があります。

頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法は
法律上は問題ありませんが、
売買契約書を二つ作り、売買の価格を実際の価格より高いと思わせることは
銀行に対する詐欺となる可能性があります。
また、借り入れの際に、自己資金や収入がもっとあるように偽る場合もあります。
これも詐欺となる可能性があります。

借主が知らない場合は、借主が詐欺に問われることはないかもしれませんが
借主と不動産業者がグルでやっていたと判断されれば借主は詐欺に問われる可能性があります。

また、このように、自分の収入に見合わない過大なローンを組んでしまうと
賃料が最初の想定よりも下回ってしまえば、
直ちに返済に行き詰ってしまうということにもなります。

したがって、全額ローンで購入できるといううたい文句の不動産投資は
気を付けた方がよいと思います。

スルガ銀行その他地方銀行などで、
同様の不動産投資のためのローンが組まれ
社会問題化したので
今は不動産投資に対するローンの審査は
厳しくなりました。
ローンの貸付限度額も少なくなっています。
そこで、今後は、全額ローンで購入できるということは
無いと思いますが、
そのような話を持ってくる業者には要注意です。



( 2019/02/19 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第333回 家賃保証前提の不動産投資には要注意 

「将来の収入確保のためにアパートやマンションを買いませんか。
購入資金は全額ローンで賄えます。
賃料収入は当社が家賃保証するので、
ローンの返済は、保証された家賃で支払えます。」
このようなセールストークで
数千万円から1億円もするマンションやアパートが
売買されていました。

購入資金が全額ローンで賄えて
その返済は全額業者が保証してくれる家賃で支払えるのであれば
購入者はノーリスクで、アパートやマンションを手に入れることができます。

しかし、世の中そううまくは行きません。
まず、業者が家賃保証すると言っているのは
業者が物件の購入者から一棟丸ごと借り上げて
転貸するということです。
この方式を「サブリース」と言います。

サブリースで、業者がいくら家賃を保証しても
実際に、入居者が入って来なければ
業者の手元には、家賃が入って来ません。
家賃が入って来なければ
購入者に対し、保証した家賃を支払うことはできません。

だんだん未払いが多くなり、最終的には、入居者から受け取っているはずの家賃も
支払われなくなります。

そうなると、購入者は、ローンの返済資金を自分で用意して
返済しなければならなくなります。

もちろん、法律上は、サブリース業者に対し、保証した家賃を支払うよう請求する権利はあり
裁判をすれば勝訴する見込みは高いです。
しかし、裁判で勝ったとしても、相手に支払うお金がない場合は
弁護士に依頼しても取りようがありません。
ひどい場合には、業者は破産してしまい、取りようがなくなってしまいます。

なお、サブリース契約は、賃貸借契約なので、借地借家法の適用により
家賃の減額が認められる可能性もあり、保証した家賃を請求する権利自体が
認められない可能性もあります。

したがって、業者が家賃保証をすると言っても
その業者が有名な不動産会社である三菱地所や三井不動産くらい資力があれば
信用してもよいとは思いますが
聞いたことがない不動産会社程度では、
支払能力はなく、家賃保証の実効性はないリスクがあると
考えた方がよいと思います。

家賃保証を約束してもらうだけで安心するのではなく
約束の実行能力まで考える必要があります。








( 2019/02/12 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第324回 国土交通省がサブリース業者の実態調査 

シェアハウスかぼちゃの馬車を運営するスマートデイズが、
多数のサラリーマンなどに家賃保証をして
高額なシェアハウスを売却したけれども
保証した家賃が支払えず、
倒産したことが問題となっています。

家賃を保証したスマートデイズは倒産してしまったので
責任を追及しようがなく
今問題となっているのは、
ローンでシェアハウスを購入したけれども
ローンを支払えるだけの家賃収入を得られず
ローンが支払えないということで、
そもそも、ローンが組めない人にもローンを組ませて
高額のシェアハウスを購入させたスルガ銀行に責任があるのではないか
ということです。

しかし、そもそもこの問題はスマートデイズが
自分たちが借り上げて、転貸するので、
一定の家賃収入が保証されると説明して
高額物件を売っていたことにあります。

この物件を購入したオーナーから借り上げて転貸する業者を
「サブリース業者」と言います。

サブリース契約は、法律上、賃貸借契約で、借地借家法の適用があります。
そこで、賃借人であるサブリース業者は、賃料の減額をすることが可能となります。
したがって、法律上は、サブリースにすれば、ローンの完済まで賃料収入が保証されるとは限らないのです。
また、いくら家賃保証してくれて、賃料減額をしないとしても、スマートデイズのように倒産してしまえば、
オーナーは責任追及ができなくなってしまいます。

国土交通省は、スマートデイズの件を含め、サブリース契約に関するトラブルが増えていることから
サブリース業者の登録の義務化も含めて検討するために、
サブリース業者の実態調査に乗り出したようです。

登録が義務化されるとしてもまだまだ先の話でしょうから
今の段階でサブリース契約を締結する場合には
契約内容及びサブリース業者の資力をご自分で調査する必要があります。
( 2018/12/04 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第322回 久兵衛がホテルオークラを訴えた  

高級寿司店である久兵衛が
建て替え後のホテルオークラでの
入居場所を巡って
訴訟を起こしました。

建て替え後のホテルオークラでの店舗の位置が
主要エリアから遠く離れた片隅を指定され
格を著しくおとしめられたというのが
その理由のようです。

報道では、
オークラが久兵衛の店舗の位置を確保しなければならない
法律上の理由が明らかになっておらず
単に新しいところでは格落ちだという主張だけのようなので
それでは、訴訟は勝てないのでは?
となってしまいます。

しかし、久兵衛は、今回、新しいホテルオークラに初めて入居するわけではありません。
久兵衛は旧ホテルオークラにも入居していたわけですから、
建て替えだから一時的に退去してほしいと言われた際に
オークラに条件を付けて、出るのが普通です。
その際に、新ホテルオークラの計画、位置などを普通なら確認を取るはずです。

しかし、訴訟では、そのようや約束違反ということでもなく、
新ホテルオークラでの位置は最近になって初めて知ったということのようです。

そうだとすれば、新ホテルオークラでの久兵衛の位置については
オークラとの間で約束はないから、オークラが自由に決められるということになってしまうかもしれません。

ただし、今回の店舗の出店契約(賃貸借契約)が以前の契約の継続と考えると
同等の位置に確保されるべきという主張も成り立つ可能性があります。

元々の契約でも、店舗の位置はその店舗の人気等を考慮してオークラ側が決められる
という内容になっていた可能性もあります。
そうだとすると、久兵衛の位置はオークラが自由に決められるということになります。

過去の契約内容や過去の契約と今回の契約の関係、立退きのときの話し合いの内容など
によっては、久兵衛の主張する店舗の位置が守られる可能性はありますが
これらの内容が全てオークラに有利な内容であれば、オークラ側の主張が通る
ということになります。

このように建替えのときの退去の話し合いは重要で、
これは、久兵衛だけの話ではありません。
ここを弁護士に相談し、場合によって依頼しておけば
このようなことにはならなかったのではないかと思います。




( 2018/11/20 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第314回 品川でビルの立退き戦争勃発? 

東洋経済オンラインによると
品川駅の再開発を巡って
京急がビルの立退きをテナントに求めて
訴訟を起こしているそうです。

京急が品川駅近くに所有するビルが
京急品川駅の高さをJRと同じ高さにするのに
当該ビルの撤去が必要だということです。

建物の貸主は、賃貸借契約期間満了の1年前から半年前に
正当な理由があれば賃貸借契約を終了することができます。
しかし、日本の法律というか裁判例では
借主保護の観点から
なかなか正当な理由は認められません。
正当な理由が認められる場合も
高額な立ち退き料を支払うことが
義務付けられるのが普通です。

立退き料の内容は
借家権価格(土地の価格×借地権割合×借家権割合×建物の占有割合)
その他引越費用や新しい物件の礼金や手数料
引っ越したために売り上げが落ちた場合の営業補償
などが考えられます。
借家権価格の他に営業補償も賠償する必要があるかどうかは
判例や学説で考え方が分かれています。

移転により利益が減ることへの補償が営業補償なので
赤字の店舗の場合は保証する必要がないということになります。

東洋経済によれば、
京急は立退き料として
テナントの規模に応じて
1000万円から1億5000万円を提示したうえで
移転先を探しているようです。

移転について、争いになっているのは
当該ビルに入居している居酒屋チェーンだそうです。
営業利益が11カ月で4000万円を超えているそうです。

年間4000万円以上利益が得られるとすれば
立退きしなければ1億5000万円くらいは直ぐに稼げそうですので、
1億5000万円の立退き料では、立ち退気には応じないでしょう。

今後判決になれば、裁判所が立ち退きを命じるのか、
命じるとしていくらの立退き料としたのかが
明確になりますが
両当事者とも他のテナントとの関係もありますので
このようなケースは守秘義務を付けて和解をすることが多いです。

したがって、立退き料がいくらかは表に出てこない可能性は高いです。

どのような決着となるか注目ですけどね。
( 2018/09/25 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第313回 規約違反の民泊は差し止め請求が可能です 

外国人旅行者の増加に伴い
都心や観光地では、ホテルが不足している
と言います。

そこで、マンションの一室を短期間の旅行者に貸す
民泊が増えています。

民泊は、大きな規制を受ける旅館業に当たるか問題となっていましたが
住宅宿泊事業法が制定され、
年間180日以内であれば
役所への届出により、簡易な規制で可能となりました。

しかし、民泊を行うと、
自分や自分の家族が住んでいる居住用のマンションに、
外国人旅行者等不特定多数の知らない人が出入りすることになります。

そこで、マンションの所有者で作る管理組合の規約で
民泊を禁止することが可能です。

今回、管理組合規約で民泊を禁止したにもかかわらず
民泊を募集し続けたということで
管理組合がマンションの所有者に対し
民泊の差し止めと弁護士費用を請求した事件で
裁判所はこれを認める判決を出しました。

自分のマンションで民泊が行われていて迷惑を受けている方は
管理組合の規約で禁止しているか確認をして
禁止されていれば差し止め請求を検討されたらよいと思います。



( 2018/09/11 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第311回 難しい老朽化マンションの建替問題 

東京都が老朽化マンションの建替えを促すために
不動産会社が老朽化マンションを買い取れば
他の場所に建てるマンションの容積率を上乗せする
という制度を創設するそうです。

老朽化したマンションの建替え問題は
そのマンションがある地域の土地の有効活用や
安全性、防災という問題とも絡んで
解決しなければならない
社会問題の1つです。

今回の東京都の政策は
建替える不動産業者にあめを与えて
マンションの建替えを促進しようとするものです。

しかし、これだけではなかなか建て替えは進まないと思います。
そもそも、不動産業者は老朽化マンションの建替えについては
あめなどをもらわなくても
建替えをしたいのです。

建替えのできない主な理由は、
建て替えに必要なマンション所有者の5分の4の賛成を取れないからなのです。
なぜ、マンション所有者は建て替えに消極的なのかと言えば
マンション所有者もマンションと共に高齢化しており
自分の人生があとわずかなのに
そのために、多額のお金を出して建替えたりしたくないということです。
建替えのためのマンションを不動産業者が買い取る方法もありますが
そうなると、マンション所有者は住み慣れた街から引っ越しをしなければならなくなります。
高齢者の方ほど、これまで住んでいた知り合いや友人がいて、
自分が慣れている街に住みたいと思うものです。

マンション所有者の高齢化により
建替える資金の問題と住環境の問題とが
マンションの建替えを阻んでいるのです。

今回の老朽化マンションを買い取った場合は、
他の場所に建てるマンションの容積率の上乗せが可能となる制度は
建替える資金を不動産会社が負担するという意味では
マンションの建替えを促進することとなるかもしれません。
しかし、高齢化したマンションの所有者は、
マンションを売却してしまえばそれまでの居住環境を変えることになってしまうことから
なかなかマンションの売却には賛成しないと思います。

これについては、
例えば、マンションの建替えのためにマンションを売却した所有者には、
入居が難しいとされている老人ホームや介護施設に入居できる権利が得られるとすれば
高齢化したマンション所有者が不動産業者に老朽化したマンションを建替えのために
売却しようという積極的な動機になると思いますが
いかがでしょうか。




( 2018/08/21 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第294回 土地取引を巡って三菱商事と明治大学が訴訟 

報道によりますと
明治大学と三菱商事が土地取引を巡って
訴訟をしており
この度一審判決が出たということです。

訴訟の内容は、
遊園地である多摩テック跡地について
明治大学が三菱商事に買い取ると約束していたにもかかわらず
買い取ることを止めたという理由で
三菱商事が明治大学に対し
土地の購入代金等の損害賠償約60億円を請求した
というものです。

訴訟の争点は、
明治大学が三菱商事に買い取ると約束していたのか
即ち売買契約が成立していたのか
という点だったようです。
この点は、売買に関する覚書はあったけれども
売買契約の成立とまでは言えなかった
と裁判所は判断しました。

そして、売買契約の成立は認められなかったため土地の購入費用は
損害とは認められませんでしたが
約8億4000万円の損害賠償は認められました。
土地購入代金以外にかかった費用などが考えられます。
ただし、その内訳は報道されませんでしたのでわかりませんでした。

各報道では、明治大学が土地の購入断念後
誠実に協議交渉すべき義務があったと
裁判所が指摘したと書かれていることから
交渉をしなかったことによる損害が
認められたということなのかもしれません。

しかし、通常は、誠実に交渉すれば発生しない損害などは
あまりないですし、誠実な交渉義務を認めるという判決も
なかなかありません。

こういう点は、新聞報道などではわからないので
法律の専門家としてはもどかしいですね。
判決文を見る機会があったら
また取り上げたいと思います。








( 2018/04/24 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第281回 女性用シェアハウスの運営会社が賃料支払停止 

報道によりますと
首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社が、
物件所有者への賃料の支払いを停止したためにトラブルになっている
そうです。

物件所有者は、アパートローンを借りて
物件を購入して、
不動産会社に貸して賃料収入を得る
サブリースの形を取っていたと思われます。

サブリース契約は、不動産会社が物件所有者から借り上げて
エンドユーザーに転貸する形式の賃貸借契約です。

賃料は個別に貸すよりも低額になりますが
不動産会社が一括して借りてくれるので
空き部屋が出ても賃料が保証されるというメリットがあります。

しかし、不動産業者がサブリース契約で賃料を減額しないと約束していても
法律上、空室率が高く経済変動で賃料が減額していったような場合には、
賃料の減額が可能です。
また、不動産業者がいくら約束しても、その不動産業者が破産などで倒産してしまえば
約束は無になってしまいます。

したがって、サブリースだから安心というわけではありません。
サブリースでも、自分で賃貸物件の経営をするのと同じように
その物件の入居率やその地域の賃貸物件の動向などを検討したうえで
賃貸物件を購入したり、建てたりする必要があります。
( 2018/01/23 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第278回 やはり管理組合の理事長は解任可能に 

第275回 最高裁は結論を変えるときだけ開かれる
でお話ししたマンションの管理組合の理事長を理事会は解任できるか
という点について
最高裁は、予想通り、原審の解任できないという結論を覆して
解任できると判断しました。

最高裁は、結論を変えるときだけ開かれる原則からすれば
予想は簡単でしたね。

今日は、中身の話をします。
みなさん、マンションに住んでいる方も多いと思いますが
マンションは、各戸の所有者が共同して一棟のマンションを所有しており
各所有者は、管理組合のメンバーとして
管理や修繕などを管理組合で決めることとなります。
日常的な細かいことまで、いちいち管理組合の総会で決めることは
集まるだけでも大変なので
普段は、管理組合の組合員の代表である理事が集まって話し合って
決めていくこととなります。
管理組合が契約などを締結する場合に
代表者として署名捺印をするのが、
マンションの管理組合の代表者である理事長となります。

では、この理事長を理事会で解任できるかが
なぜ問題となるのかというと、
管理組合の規約に
理事会が理事長を選任できるとは書いてあるけれども
解任できるとは書いていないので
解任できるかどうかが争いになっていたのです。

同じ議論が以前の商法でもあって
管理監督のために選任権があるのだから
解任権も、当然あるという解釈がなされていました。

そこで、僕は、マンション管理組合でも当然
解任権があると思っていました。

しかし、本件では、一審も二審も
選任権はあっても解任権はないと
判断したようです。
なぜなのかは、一審二審の判決を見ていないので
わかりません。

トラブルになる場合は
一方は当たり前だと思っていても
相手はその反対が当たり前と思っていることも多く
裁判で決着しないと解決できないということも
多いです。

みなさんがそのようなトラブルの当事者にならないことを
願っています。

今年はこれで終わりです。
今年もありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
では、また来年もよろしくお願いします。
( 2017/12/26 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第270回 浅草寺の仲見世商店街の家賃が16倍に引き上げ  

浅草寺が浅草寺の仲見世商店街に対し
賃料をこれまでの月額3万円から16倍の50万円に引き上げると
賃料の値上げを請求したことから、話題を呼んでいます。

浅草寺の仲見世商店街は
これまで東京都が貸主でしたが
東京都から浅草寺が建物を買い取って
貸主となり、今回の値上げの請求を
したようです。

賃料増額請求権は、借地借家法という法律で
固定資産税が上がったり、土地の値段が上がったりして
近隣相場と比べて不相当になった場合
貸主は増額請求ができるということが認められています。
逆に下がったときは、借主から賃料減額請求ができます。

話し合いで、まとまらなかったときは
調停をして、
それでもまとまらなかったときは
裁判をすることとなっています。

裁判では、裁判所の選んだ不動産鑑定士の鑑定により
賃料の額が決まります。
その際に、仮に、周辺相場から月額50万円が妥当であるとしたとしても
継続契約の場合は
新規契約とは異なり、
今までの賃料と適正な賃料の間の額となることが多いです。
これは、急激に増額すると
賃借人に対する影響が多いことから
そのような計算方法がとられます。
これを「差額配分法」と呼びます。
賃料の値上げ分を貸主と借主とに配分する
という意味です。
しかも、その配分割合は50%とされるのが
通常です。

仮に50万円が適正な金額だとすると
3万円と50万円の差額は47万円となります。
47万円の50%は23万5000円となります。
そうすると、新賃料は26万5000円となります。

したがって、通常の裁判所での賃料の決め方からすれば
26万5000円となることから
仲見世商店街の人たちは
賃料値上げに応じない方が得ということになります。

ただ、裁判所の鑑定の場合
そもそも月額50万円は周辺相場よりも安いという話もあって
また、月額3万円という賃料がかなり破格の賃料という事情もあるので
裁判になったときに
通常の賃料増額の裁判と同様の鑑定結果となるかどうかは
微妙な点はあります。
しかし、いきなり適正な水準までは上げられない可能性は高いと思います。

( 2017/10/31 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第268回 負動産は解決できる場合もあります 

朝日新聞の負動産の特集記事の中に
相続により不動産が負動産化してしまった
という投書がありました。

その内容は
父が亡くなり
父は兄弟3人で不動産を共有する遺言を
残したそうです。
ところが、父の死亡後2年後に亡くなった
母の法事で
兄弟は大きなけんかをして
それ以降兄弟は不動産を放置して
今は空き家になったままだそうです。

このケースは、任意に売却しようとすると
全員の承諾が必要で
兄弟は仲が悪いことから
1人の兄弟が他の兄弟から
承諾を取ることは難しいと思います。

そういう場合に、
共有物分割請求訴訟と言って
共有者の1人が不動産を売却して
代金を共有持ち分に従い分けることを
請求する訴訟を起こすことができます。

遺産分割や遺言で共有にすると
永久に共有のままにしておかなければならないと
思っている方は多いのですが
法律は、共有状態で不動産の管理をすることは
難しいということは
よく理解しているようで、
いつでも共有者は共有物を分割することを
請求できるとしています。

共有の不動産で困っている方は
共有物分割請求を検討してみてください。
( 2017/10/17 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第262回  負動産2 

朝日新聞で、取り上げていた「負動産」の中に、
分譲マンションの話がありました。

分譲マンションを取り壊して
土地を売りたいけれども
1人が反対しているので
取り壊しができないというものでした。

建て替えについては
5分の4の多数決で
決議できますが
取り壊して売却するということだと
全員の承諾を得なければなりません。

そこで、売ろうと思っても
なかなか売れないということになります。

マンションなどは建物も古くなれば
そこに住んでいる方も高齢者となります。
そうなると
建て替えはお金がかかるし、
自分はそれほど長く住むわけでもないのに
いまさらお金を出したり労力をかけてまで建て替えをしたくない
と考えるのが普通です。

しかし、建物が老朽化すると大規模修繕も
必要になります。
そのお金も出せない場合、
どうしたらよいかわからないということになります。

ただ、このケースでは
1軒だけが反対しているということで
他で5分の4を占めるのであれば
建て替え決議をして
建て替えを前提に購入してくれる業者を探して
売却することが考えられます。

本来は、築40年等老朽化して
修繕もままならないような建物は
建て替えができないときは
売却して、代金を分けて清算をすることができる
という法律があればよいのですが
今の法律は、建て替えを5分の4の多数決でできる
としか定めていません。

そこで、老朽化したマンションは
まさしく「負動産」として残っていく
ということになります。

( 2017/09/12 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第252回 無料で貸した土地はいつ返してもらえるか 

1か月前に、
無料(ただ)で貸したものはいつ返してもらえるか?
というお話をしました。

最近の判例集を見ていたら、一年前くらいに
ちょうど、その点が争いになった判例が載っていたので
紹介します。

姉が弟に対し、土地を無料で貸してから43年も経過したことから
使用貸借は終了したとして
建物を取り壊して、土地を明け渡すよう求めたものです。

もともと、祖父が姉に国から払い下げを受けるよう勧めて
姉が土地を取得しました。
その後、弟は、父や長男と共有で、建物を建てました。
姉は、無料で、土地を貸していました。
その後、父は亡くなり、長男も弟に持ち分を贈与したりして
弟は複数の建物を全て、単独所有することになりました。

父親の相続の際、父親の遺産は、
弟がほとんどを相続しました。

そこで、姉は、自分は土地の所有者なのに全く収益を得ておらず
弟ばかり、土地を使用して収益を上げていて
おかしいということで
使用料の支払いを求める調停を起こしました。

しかし、調停は不成立となり、逆に弟側に立つ母親が姉相手に
土地の所有権を否定する訴訟を起こしてきました。

判決は
このようなことがあって、
当事者間の信頼関係に変更が認められて
43年間もの間、姉が自分の土地から何も収益を得ておらず
弟は相応の収益を得て来たことを考慮すると
土地が弟の自宅兼仕事場になっていて
姉はこの土地以外に住むところがあって
直ぐに明け渡しを求める必要はない事情があったとしても
本件土地を使用収益をするのに必要な期間は経過した
として、
姉の明け渡し請求を認めました。

この判決は、
土地を建物所有目的で無償で貸したとしても
40年以上経過すれば
土地の返還を求めることができるというものです。

逆に言うと、
当事者の人間関係にもよりますが
土地を一度無償で貸してしまうと
建物の寿命である30年から40年は
貸し続けなければならないということでもあります。









( 2017/06/27 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第247回 無料で貸したものはいつ返してもらえるか? 

みなさん、無料(ただ)で貸したものは
いつ返してもらえると思いすか?

無料で貸したのだから
いつでも返してもらえると思っていると思います。

正解です。
民法は、無料で貸す契約を
使用貸借契約としていて
返還の時期や使用の目的を定めなかったときは
いつでも、返還請求できるとしています。

しかし、返還の時期を定めたり
目的を定めたりした場合は
いつでも返還請求をすることはできませんから
注意が必要です。

そして、
建物を建てるために土地を貸したという場合は、
契約書を交わしてなくても
建物の所有目的で土地を貸したということになりますから
目的を定めたことになります。

そうなると、建物所有目的を終了するまで土地を貸さなければならないこととなって
一般的には、30年から40年は、土地を貸し続けなければならない
とされています。

よく問題となるのは
親が娘の夫に土地を無料で貸して
夫名義の家を建てた場合
娘と夫が離婚したケースです。

この場合親は娘の元夫に土地を返してくれと
言えるかということが問題となります。

土地を貸した目的は
建物所有目的であることを考えると
これまでの判例からは30年から40年は
使用貸借契約は終わらないので
返還請求はできないということになります。

しかし、親は娘夫婦の円満な生活維持という目的のために
土地を無料で貸しているのだから
夫婦が離婚してしまった以上
目的は終了してしまったと言え、
土地を返してもらうことができるとも言えそうです。

この点、昭和35年の最高裁判例は
内縁関係維持目的で土地上に住居と物置を置くことを
認めていた場合
内縁関係が終了した以上は
特段の事情のない限り
使用権限は無くなると判断しています。

このことからすると
娘夫婦が離婚した以上は
親は娘の元夫に土地の返還請求ができる
ということになりそうです。

( 2017/05/23 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第223回 競売物件の購入はお気を付けください 

競売物件は、
差し押さえられた土地建物などの不動産を
裁判所が売りに出したものです。
2週間の入札期間に
一番高い金額で購入希望をした人が
購入することができます。

以前は不良債権処理の影響で
競売物件が多数あり
新聞にも競売物件の広告が掲載されていました。

競売物件は、時価の7割を最低価格として売りに出されるので
相場に比べて非常に安いです。

例えば、3000万円の土地建物が
2100万円で売りに出されることになります。

しかし、その安さには理由があるので
注意が必要です。

通常の売買では、建物に欠陥があったりすれば
売主に賠償請求ができます。
建物を買って、敷地の利用権に問題があれば
これもまた売主に賠償請求ができます。

しかし、競売物件はこれらは全て購入者の自己責任となります。
競売物件の場合どんなリスクが潜んでいるかはわからないのです。

物件の中身や権利関係は、裁判所においてある記録に書かれてはいます。
それを見て、リスクを判断して、値段を入れる必要があるので
通常よりも安い金額で入れる必要があると思います。

今回このような話題を取り上げたのは
競売で建物を購入し、
その敷地利用権があるかどうか最高裁判決が
出されたからです。

最高裁判決では、敷地利用権があるとされたので
建物の購入者は一安心だとは思いますが
一審二審では、敷地利用権がない、
即ち、競売でわざわざお金を出して購入した建物を壊して
土地を明け渡さなければならないと判断されていたのです。

競売物件は、安いですが
こういうリスクが含まれていますので
競売物件を購入するなら
記録をコピーして弁護士に見てもらってから
購入希望を出すかどうか決められた方がよいと思います。









( 2016/12/06 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第222回 レオパレスがオーナーから集団訴訟を受けた理由 

ネットのニュースなどによると
レオパレスが賃貸している建物のオーナーから
集団訴訟を起こされたようです。

何があったのかと思い
そのニュースを読むと
以下のようなことらしいです。

レオパレスは、建物のオーナーから
建物を借りて、さらに賃貸をする
サブリースをしています。

その際に、レオパレスは、家具・家電付きで
賃貸しています。
家具・家電はレオパレスが購入し
オーナーからレンタル料を受け取っています。

このレンタル料は、家具家電のメンテナンスと
家具家電買い替えに充てられるはずのお金なのに
家具家電が買い替えられていないということで
オーナーが、契約違反を理由としてレンタル料の返還を求めて
今回の集団訴訟に至ったということです。

レオパレスとオーナーの契約書の内容がわかりませんが
本来は、オーナーがレオパレスに建物を貸しているのであって
家具家電を付けて賃借人に貸すかどうかは
レオパレスの自由なのであって
レオパレスが家具や家電を付けたからと言って
オーナーがその費用を払う必要はないと思うのです。
オーナーがレオパレスからレンタルして(借りて)
どうするかと言えば、貸主であるレオパレスに
再度貸すということになり、
それをレオパレスが賃借人に貸す
ということとなります。

オーナーはレオパレスに貸すときに
レンタル料(賃料)を取らないとおかしいこととなります。
この辺はどうなっているのか
オーナーはどう思っているのか
オーナー側の弁護士はどうしているのか
興味があります。

今後訴訟について報道されたら取り上げたいと思います。
( 2016/11/29 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第208回 家賃保証でトラブル多発 

家賃保証でトラブル多発という新聞記事の見出しを見て
何のことかわかった人は、
かなり不動産に詳しい方だと思います。
何のことかわからないのが普通です。

この家賃保証とは、
サブリース契約というもので
業者がアパートやマンションを借り上げて
他に転貸する契約のことを指していました。

業者は部屋に空きがあっても、契約期間中は貸主に賃料を支払う
という方式なので、家賃を保証していることと同じということなのです。

では、本当に家賃保証なのかというと、
実は、サブリース契約でも普通の賃貸借契約だと、
賃料の減額ができることとなっていることから
賃料の減額がされてしまう可能性があります。
次に、賃貸借契約の内容によっては
中途解約ができるようになっていることから
解約されてしまうと家賃は入らなくなってしまう可能性があります。

しかし、
実際は
サブリース業者が、アパートやマンションのオーナーと契約する際は
業者がオーナーに対し
「家賃は保証するので
空き部屋ができたり、賃料が減額されるおそれがありません。」
などと説明して契約することが多いようです。

しかし、業者が、予想に反して入居率が悪くて
賃料の減額をしたり
中途解約をしたりすることも多く
オーナーから話が違うと言われ
トラブルになっているようなのです。

このサブリース契約については
アパートやマンションのオーナーは賃貸業を営む
事業者であることから、賃貸や契約のリスクは自己責任ということで
オーナー保護の制度を設けて来ませんでした。
しかし、あまりにもこのような問題が多く起きている
ということから
国土交通省は、将来の賃料の減額の可能性がある場合などは
業者にオーナーに説明義務を課すことにしました。

これで、賃料が減額されるとは聞いていなかった
というトラブルは減るとされています。

しかし、業者が契約時にオーナーに対し
口頭で実際は減額することはありませんからなどと
説明して、
オーナーがそれを信頼して契約をしてしまうということは
容易に予想ができてしまいます。

したがって、今回の説明義務によりどれだけ
トラブルが減るかはわかりません。

ただ、サブリース契約を業者と結ぶときは
もはやオーナーは、事業者となることから
後で契約内容がわからなかったなどという
言い訳が通らないということをよく理解していただきたいと思います。

そこで、
業者を一方的に信頼せずに、
業者がうまいことを言っているのであればなおさら、
業者の言っていることがきちんと契約書に書かれているのかなどについて
弁護士に確認してもらった方がよいと思います。

( 2016/08/16 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第202回 不動産のおとり広告がネットで横行 

みなさん、不動産のおとり広告というのは
どういうものかわかりますか?

不動産のおとり広告というのは
実際はもうないお得な物件の広告を
そのまま削除せずに広告をしておくことなのです。

みなさん、賃貸でも売買でも
不動産取引をしようとするときには
インターネットで
条件の良い物件を検索して
その広告を掲載している不動産業者に
問い合わせをするというのが
普通だと思います。

そこで、不動産業者がみなさんからの問い合わせを
増やすためには、
条件の良いお得な物件の広告を掲載することが
一番よいということになります。

しかし、常にお得な物件の仲介の依頼を受けているかと言うと
そんなことは不可能です。
そこで、過去に仲介の依頼を受けたお得な物件の広告を
削除せずに、そのまま掲載しておくという方法がとられている
というのです。

顧客からその物件について問い合わせがあっても
それはもう終わってしまっているから他の物件はどうですかと
知らん顔して他の物件の取引につなげてしまえばよい
というわけです。

おとり広告を出している業者の方が不誠実な悪い業者であるのに
問い合わせが増え、取引が増えてしまい
真面目な業者ほど問い合わせが来ないということになってしまいます。

この問題は、以前から、テレビなどで取り上げられていましたが
役所もやっと問題があると気づき、対策を取るようにしたようです。

みなさんも、不動産のおとり広告は気を付けてください。

( 2016/07/05 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第200回 浦安の液状化問題 三井不動産に責任なし 

東日本大震災の際に
千葉県浦安市の住宅地が液状化して
建物が傾いたり
庭や駐車場が陥没したりしたことを
覚えていらっしゃるでしょうか。

確か周辺地域では地盤改良をして
液状化していなかったのに
三井不動産が販売した分譲地は液状化したので
三井不動産は大規模な地震により
液状化が予想できたのに
地盤改良をしなかったことから
液状化が発生して損害を受けたとして
三井不動産が販売した分譲住宅地を購入した方が
集団訴訟を起こしていたのでした。

結果から言うと、
一審も二審も
液状化について三井不動産は予想できなかった
という判断で
住民側の請求は棄却されました。
そして、最高裁も上告を退ける判決を出しました。

もともと、地震などの天災地変については
不可抗力とされている上に、
東日本大震災は
日本の歴史史上に残る大震災だったわけですから
それにより地盤の液状化を予想することは困難
と判断されても
やむを得なかったかもしれません。

もう少し小さな地震でも液状化した
ということであれば
責任を問えたかもしれませんが、
東日本大震災では、なかなか難しかったかもしれません。
( 2016/06/21 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第195回 話題の格安事故物件 

千葉の豪邸が756万円で公売で売りに出されて
話題となっています。
この756万円は相場の4分の1だそうです。

どうしてこの物件が相場の4分の1かと言えば
理由があります。
それは売りに出された家で過去に殺人事件が起きた
ことです。

家やマンションで、殺人や焼死などの事故死が起きたり
自殺がされたりした場合は、
通常の人であれば、知っていれば住みたくないと思うことから
当然、買う人や借りる人は少なくなり
値段も下げざるを得ないということとなります。

過去の判例上も、この通常の人は買ったり借りたりする気にならない事実を
心理的瑕疵として、
買うことを希望する人や借りることを希望する人に対し
売主や不動産業者は説明しなければならないとされています。

ただし、この心理的瑕疵は永遠に続くかと言うと
判例上は、そうではなく
事故や事件がどれくらい話題になったか、
その後も話題として消えない地域性があるかなどにより異なりますが
事故などが起きてから2年くらいとされており
事故などが起きてから新たに住んで生活した人がいれば
その時点で消えるだろうと言われています。

過去の判例の解釈のみでなかなか明確な基準が定められていないので
その点で、取引が委縮しているということはあります。
国土交通省は、公表する事実とその説明義務を負う期間について
明確な基準を作成して公表した方がよいかもしれません。
( 2016/05/17 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第172回 マンションの管理組合理事長が11億円も横領 

地方の方は、自分の家を買うときは
戸建て志向でマンションを購入する人は
あまりいないかもしれませんが、
首都圏ではなかなか戸建てを購入することは難しく
マンションを購入する方が多いと思います。
また、投資用のマンションを購入する方も
多いと思います。

このマンションは、一戸一戸の所有者(「区分所有者」と言います)が
共同して管理する必要があり
法律上区分所有者で作る管理組合が
マンションの修繕などの管理について
決めることとなります。
この管理組合の代表者が理事長ということとなります。

管理組合の理事や理事長は、
管理費の徴収や修繕についての各区分所有者の意見をまとめたりしなければならず
面倒な上に恨まれたりするので
大体、みなさん面倒なので、やりたがりません。

しかし、管理組合は、みなさんの管理費で運営されており、
管理費の管理も理事長を始めとする管理組合の役員が行っています。

戸建てであれば、修繕費にいくらかかったかや
自分の預金がいくら残高があるかを
気にしない人はいないでしょう。

しかし、マンションの管理費となると
年に何十万円も支払っており
大規模修繕が必要な20年や30年が経過すると
何百万から千万という金額になり
全戸合わせると何億円にもなるのに
その管理については
気にしていないことが多く
特定の管理組合の役員や管理会社など
人任せにしている場合が多いのです。

このような状況で多額の現金を預かっていると
他人のお金でもつい手を出してしまう人は
多いものです。

理事長や管理人がマンションの管理費を
横領してしまうケースはよくあり
私も実際、理事長や管理人に対し損害賠償請求訴訟を起こしたことが
数件あります。

この度新潟のリゾートマンションで
理事長が15年にわたって11億円もの管理費を
横領していたことが発覚したそうです。
マンションは、自分が住んでいても管理組合のやっていることに
関心がない人が多いのですから
滅多にいかない投資用のリゾートマンションであれば
なおさら関心がない人が多いでしょう。

その隙をついて15年もの長期にわたって
11億円もの多額の金額が使われてしまったわけです。
マンションは、以前は、転売するものでしたが
今は長期間所有するので
大規模修繕や耐震工事など
何億もかかる工事を行う必要が出てきます。
そのときの原資になるのが
管理費や修繕積立金です。

マンションに住む方は、
管理組合のお金は自分のお金であり
将来の自分の財産であるマンションの維持に
大きな影響がありますので
年に1度くらいは、関心を持って
お金がどうなっているのか
確認してみるのもよいと思います。
( 2015/12/01 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第161回 ブラック地主にご用心? 

みなさんの中に土地を借りている人は
少ないと思います。
日本人は持ち家志向が強いですからね。

しかし、土地を借りる権利は法律上強い権利が保障されていて
借地権は土地の更地価格の6割から7割を占めると言われています。
(地域によっては5割のところもありますし都心の商業地では8割のところもあります)
しかも、地代は固定資産税の2倍から3倍程度と安いことが多いことから
借地権を持っている人はかなりの財産を持っていることとなります。

地主にとってはこの強い権利である借地権は
解消できるものなら解消したいわけです。
それに絡んだ記事が
タイトルの「ブラック地主」にご用心として
朝日新聞に掲載されていました。

記事に挙げられた例では
出て行くか土地ごと買い上げろと言われて
断ると昼夜を問わず何度もインターホンを鳴らされるなどの
嫌がらせをされたようです。

25年前のバブル期や
リーマンショック前のミニバブルの時期には
このような行為は地上げ行為と言われていました。
土地の値段が上がると
更地にして売却し儲けようとする人が出てくることから
このような
嫌がらせによる追い出しがなされるわけです。
朝日新聞では地上げと呼ばずに
今風にブラック地主と呼んだようです。

借地権者は法律上守られており
地代さえきちんと支払っていれば
そうそう裁判によって追い出されることはありません。
嫌がらせも弁護士が入れば
面談禁止や架電禁止の仮処分などをすることにより
嫌がらせを止めることは可能です。
弁護士が入れば警察も介入しやすくなります。

借地について嫌がらせ行為があったら
直ぐに弁護士に相談依頼するのがよいと思います。
借家についても同様のことが考えられます。
それについても弁護士にご相談ください。



( 2015/09/08 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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