弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第344回 最高裁判所で裁判をしてみたい 

最高裁判所の裁判について
みなさんは、テレビのニュースで見たことがあると思います。
正確には、裁判が始まる前の法廷の様子のみで
裁判をしているところは撮影は許されていません。

弁護士はいま日本に約3万人いますが
この最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士は
少ないんです。

かくいう私も最高裁判所で裁判をしたことはありません。

なぜかというと、そもそも最高裁判所は憲法の裁判所なので
上告するには憲法違反、あるいはこれまでの最高裁判所判決に違反する
というような特別な事件しか扱わないので、
上告をしたり、されたりすることは、
普通の弁護士は少ないからです。

それから、これが最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士が少ない大きな理由ですが
最高裁判所は、上告を認めるときしか裁判を開きません。

地裁や高裁の裁判は、勝つにしても、負けるにしても
裁判が開かれます。
しかし、最高裁での裁判は、上告が認められるときしか開かれないのです。
ただでさえ、上告したり、されたりということは少ないのに
さらに、上告が認められるときしか裁判が開かれないのです。

だから、最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士は、
本当に少ないと思います。

最高裁判所で裁判が開かれるときは
上告が認められるときですから
高裁で敗訴した方が最高裁では勝訴することになります。
逆に高裁で勝訴した方が最高裁で敗訴することになります。

即ち、最高裁で裁判を開くという連絡が来たときには
裁判の勝敗もわかってしまうのです。

せっかく弁護士になったのですから
1度は最高裁判所で裁判をしてみたいものです。

しかし、弁護士人生のうち、たった1度かもしれない最高裁判所での裁判で
高裁判決をひっくり返して勝訴した弁護士もいれば
反対に、高裁判決をひっくり返されて敗訴した弁護士もいるんですよね。

せっかくの最高裁判所での裁判が
高裁での判決をひっくり返される方だったら
ショックですね。
それなら、最高裁判所で裁判はやらなくていいですね。
( 2019/05/07 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第276回 NHK受信料最高裁判決 

テレビを購入したら
NHKの受信料を支払わなければならないのかという点について
最高裁が結論を出しました。

最高裁の結論は
テレビを購入したら、
NHKの受信料を支払わなければならない
ということになります。

正確には、以下のとおりです。

テレビを購入したら
NHKとの契約締結義務があります。

テレビを購入しても
契約を締結しなかったらどうなるかというと
NHKが契約の承諾を求めて
裁判を起こすことになります。

そして、テレビを購入した人が
契約をするのが嫌だと言ったとしても
裁判所が購入した人に対し
契約締結の承諾を命ずる判決を出します。

この判決が確定することにより
NHKとテレビを購入した人の間で
受信契約が成立します。

そして、受信契約が成立すると
テレビを購入した時点に遡って
受信料が発生します。

では、過去に遡って発生する受信料は
いつまで遡るのかというと
最高裁は、テレビの購入時まで遡るとしています。
10年前であれば10年分、30年前であれば30年分となります。

30年前もの受信料は時効にはかからないのかと思う方もいるかもしれません。
一般的に、NHKの受信料は5年で時効にかかるとされています。

しかし、
時効にかかるのはNHKと受信契約を結んだ人の場合で
今回の最高裁判決は、受信契約を結んでいない人は
NHKが契約締結の承諾を求める判決が確定して
初めて契約が成立するので
時効にはかからないと判断しています。

そこで、理論上は、テレビを購入したのが5年前であれば5年分、
10年前であれば10年分、30年前であれば30年分の受信料を請求できる
ということになります。
ただ、NHKは、30年分請求するとすれば
30年前にテレビを購入して持っていたということを
立証する必要があります。

この判決により
NHKは契約を結ばなければ裁判を起こしますよ
ということにより
受信契約を結んでもらい、受信料を受け取りやすくなったと思います。
今後NHKはどの程度訴訟を起こしていくのでしょうか?





( 2017/12/12 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第275回 最高裁は結論を変えるときだけ開かれる 

マンション管理組合の理事長を理事会で解任できるか
ということが争われている訴訟で
最高裁で法廷での裁判(弁論)が行われることと
なりました。

最高裁での裁判は、
基本的には、書面審理で
法廷での裁判は滅多に行われていません。

僕も弁護士歴20年以上になりますが
一度も最高裁の法廷で裁判をしたことはありません。

最高裁での裁判を求めることを上告と言いますが
上告は、憲法違反や最高裁判例違反などがないと
認められないので、
上告をすること自体少ないこともあります。

それに加えて、最高裁では
原審の判決の結論を変えるときだけ
法廷での裁判が行われるということがあります。

要するに、最高裁では逆転するか
逆転されるかの場合のみ
最高裁の法廷で裁判をするということになる
わけです。

だから、最高裁の法廷で裁判をしたことがある弁護士は
上告した側であれば、最高裁で逆転判決を取ったということになるので
名誉なことなのですが
上告された側だとすると、最高裁で逆転されてしまった
不名誉なこととなってしまいます。

しかも、最高裁から法廷で裁判を行いますという連絡が来ると
結論が変わるということが事前にわかってしまうので
負ける方(原審では勝った方)が
その後に実際の最高裁の法廷で、いくら良い主張をしても
意味が無いのです。

せっかくの最高裁での裁判ですが
負けが予定されている方にとっては
かなりむなしい裁判ということになります。

これに対し、勝ちが決まっている方が
滅多に開かれない最高裁の法廷で
自分たちの主張が認められるとわかって主張をするのですから
これほど気持ちがよいものはないと思います。

ちなみに、
最初にあげた理事長の解任については
原審が認めないという結論だったので
最高裁では解任を認めるという判決になることが
予想されます。

この内容については
最高裁判決が出たら取り上げます。










( 2017/12/05 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第263回 人の本当の姿はわからない 

みなさんは、連休中に
あの「はげー」の叫び声で有名となった
女性議員がテレビのインタビューに答えているのを
見ましたでしょうか。

テレビのインタビューに答えている姿からは
とても自分の秘書をはげと罵倒し、
暴行を加えていた女性とは思えなかった方も
多いのではないでしょうか。

しかし、世間に公表された録音があるので、
自分の秘書を「はげ」と罵倒し
暴行を加えていたのは事実なのです。

裁判では、当事者が言っていることの
どちらが正しいかを
判断するために
証人尋問を行います。

裁判所で、
いかにも怪しそうで嘘をついています
というように見える人は
あまりいません。
みなさん、普通に自分の体験したことを
そのまま話しているように見えます。
みなさん、女性議員がインタビューに答えているような
感じなのです。

裁判でも当時の録音が残っている場合には
それを証拠として提出すれば
相手が嘘を言っていることは証明することが可能です。

しかし、録音が一部の場合は
残りの部分については、
そんなことはないと否定することは普通です。

女性議員も
罵倒し、暴言を吐いたのは
録音されたとき1回くらいと答えていました。

しかし、事実かどうかわかりませんが
女性議員の秘書はこの秘書だけでなく
これまで多数の秘書が辞めているという報道もありました。
そうだとすれば、
前の秘書にも同様なことは
言っていると推測されます。
残念ながらテレビのインタビューでは
そこは突っ込んで質問はしてくれませんでした。

裁判の証人尋問では
そういう点を突っ込んで聞いて
相手から相手の不利な証言を
引き出すようにします。

離婚しかり、契約のトラブルしかり
1対1の話し合いで
誰が何をどう話したのかは
本当に後から証明することは
大変です。

話し合いの状況を証明するには
録音が一番ですし、
大切なことは
書面化して、双方で署名捺印をすることが
重要です。

メールのやり取りは
十分証拠として有効ですから
裁判対策ではメールでやり取りをする
というのも1つの方法です。




( 2017/09/19 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第257回 訴訟は長期化している? 

訴訟が時間がかかるというみなさんの批判を受けて
訴訟の迅速化を図るために
最高裁が2年に1度、
訴訟で紛争が解決するために
どれくらい時間がかかっているかを報告しています。

これによると、
貸金業者に対する払い過ぎた利息の返還を求める
過払金返還請求訴訟を除いた事件で見ると
平均で8.8回、訴訟は1か月に1度ですから
8カ月から9カ月で解決するということになります。

実際に裁判をしている弁護士の感覚でも
簡単な事件は半年以内、
通常の事件で10か月から1年くらいで
判決か和解かで一定の結論が出るという感じなので
裁判所の報告とほぼ合っていると思います。

今回の報告では、
裁判が長期化する難事件の割合が増えていて
比較的簡単に解決する貸金等の事件が減少している
ということでした。

貸金等の事件が減少しているのは
貸金業者が貸金業法改正による総量規制で
年収の3分の1までしかお金を貸さないことにしたことが
大きいのではないかと思っています。
また、貸金について、判決を取ってもなかなか回収が
難しいということがその原因かもしれません。

逆に、裁判が長期化する難事件が増えているということについては
難事件の中に労働事件が含まれており、
この労働事件が増えていることが原因なのではないかと
思っています。

労働事件は、過労死や名ばかり店長などマスコミで話題になることも多く
以前と比べると、相談件数も、裁判の依頼を受ける
ということも増えています。

裁判で解決するのが10か月と聞くと
長い時間がかかるなと思われるかもしれません。
しかし、実際に裁判をしてみると
昔の資料を探して事実関係を整理したり
証拠として提出したり、
相手の主張に反論を考えたり、
その証拠を見つけたりして
証人尋問の準備をして、尋問をするなどしていると
結構10か月はあっという間に過ぎてしまいます。

また、トラブルが発生しても
ずるずると伸びて、弁護士に依頼するまでに1年以上経過している
ということも多いです。

それらを考えると
トラブルが起きたらすぐに訴訟にすると
10か月以内には解決するとすれば
意外に早い解決という気がします。

もちろん、訴訟前の交渉や
訴訟になってからの和解等で解決すれば
もっと短い期間で解決します。



( 2017/08/01 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第243回 不良品かどうかを裁判官が自ら実験 

毎日新聞によると
ひったくり防止のキャンペーンで
大阪府警が配布した自転車のかごのカバーが
不良品かどうかが訴訟で争われたそうです。

このカバーについては
「ボタンが固すぎて外れない。うまくつけられない」
という苦情が殺到したため
発注したイベント会社が納入業者に対し
代金を支払うことを拒んだそうです。
これに対し、
納入業者が商品は納入したので代金を支払え
と訴訟を起こしたようです。

イベント会社は、カバーが不良品なので
代金の支払義務はないと争ったほかに
カバーを作り直して納入するのに
さらに費用がかかった上に回収にも費用がかかった
として損害賠償を求めたようです。

この点は、よくある裁判で
僕も同様の裁判をしたことがあります。

この毎日新聞の記事で
注目すべき点は
裁判官と裁判所職員である書記官が
200枚のカバーを手分けして
不良品かどうか
確認したということです。
あまり裁判官が実験してみる
ということはしませんが
商品がたくさん残っていたということ
簡単な作業で不良品かどうか確認できる
という条件が揃ったので
裁判官も自ら確認してみることにしたのでしょう。

問題なく外せたのは
裁判官71枚、書記官60枚だったそうです。

残りは不良品だったということになります。

判決を書くとすると
この割合で、代金の請求を認めるか
不良品の割合が多いから全部請求はできないとするか
問題は残ります。

そこは、裁判官が当事者をうまくまとめて
不良品が多いことから
納入業者は代金の請求をしないこととし
正常な商品もあったことから
イベント会社は回収費用や作り直し費用は
請求しないということにしたようです。

解決としては良い結果となったかもしれません。

ちなみに、
僕が以前やったキャンペーンで配布した商品については
相手が納入した商品が不良品で、代金を支払い義務がないことと
作り直し等で余計にかかった費用の損害賠償請求の両方が
判決で認められました。
それにもかかわらず、相手が任意に支払わないので
預金の差押えをして回収しました。
( 2017/04/25 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第211回 知らない間に判決が取られていたらどうする? 

裁判を起こされた場合には
普通は家に裁判所から訴状が届き、
その後も判決などが届けられるので
裁判を起こされたことがわかります。

しかし、知らないうちに訴えを起こされて
判決を取られていたということが
たまにあります。

今回、最高裁判決が出されたケースは
そのような事案だったようです。

都内の80代の女性が、
東京都内の夫婦や代表者、出資先である会社に対し
出資金をだまし取られたとして
損害賠償請求訴訟を起こしました。

この夫婦も含めて弁護士を付けて争ったようですが
訴訟は敗訴したようです。

とろこが、この夫婦は、
会社の役員登記も、弁護士への委任状も偽造だとして
裁判で争う機会を与えられなかったとして
争いました。

その結果、最高裁で、
弁護士への委任状は夫婦の意思で作成されたものではないことが
認められて、
審理のやり直しが認められ、
1審から裁判をやり直すことになったのです。

弁護士は依頼を受けなければ他人の訴訟を勝手にしたりはしないのですが
会社の代表者が夫婦の名前を使って弁護士に依頼したということが
考えられます。
そして、夫婦は詳しい事情を知らないとして
会社の代表者との打ち合わせだけで
弁護士は訴訟手続を進めてしまった
ということかもしれません。

過去の住所で他人や家族が訴訟書類を受け取って
裁判が知らない間に行われ
判決が取られたということは
滅多にないけど、たまにあることです。
そのときには、仮に判決を出されて2週間以上経過して
控訴期間が経過していたとしても
諦めないでください。

すぐに控訴したり
裁判所へ何らかの申立をすれば
争える可能性があります(「控訴の追完」と言います)。
僕も過去にそのようなケースを1件取り扱ったことがあります。

そのような場合にはすぐに弁護士に相談し依頼することを
お勧めします。

( 2016/09/13 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第177回 裁判にも運がある? 

みなさん、明けましておめでとうございます。

今年も、このブログをよろしくお願いします。

さて、みなさん、裁判は法律で形式的に決まるものだし、
裁判は全ての当事者を平等に扱うものだから
裁判官が誰であっても結論は同じになるはず
と思っていますでしょうか。

もちろん、どの裁判官が判断しても
結論は変わらない種類の裁判もあります。

本来、誰が裁判官でも結論が変わらない方がよいのですが
裁判も法律上の理屈や証拠を人が判断することなので
複雑なケースや結論がどちらとなるか微妙なケースでは
裁判官によって結論が変わって来ます。

また、判決にせずに、和解で解決するケースでも
例えば支払金額をどの程度で和解を進めるのか
和解の進め方はどうするのかは
裁判官によって異なります。

そこで、代理人である弁護士の力量にもよるのですが
同じ代理人でも
裁判の進め方が異なり、有利になったり
不利になったりすることがあります。

僕は、同じ訴訟で、途中で、裁判官が交代し
有利な判断だったものが
不利になったこともありますし
前の裁判官は、全然取り上げてくれなかった主張を
新しい裁判官は理解してくれてこちらに有利な判断をしてくれたこともあります。

代理人としては、どちらも同じように主張し、立証しているのですが
たまに、このように結論が変わってくる場合があります。

それを考えると、裁判にも運というものもあるな
と感じます。

しかし、やはり裁判は、そういうケースは少なくて
法律上の理屈が成り立ち、証拠がある方が勝つものなので
運や裁判官のせいにせず、
法律上の理屈や証拠によって
裁判官を説得し
なるべく依頼者の方に利益をもたらすような
裁判をしていきたいですね。

では、今年もよろしくお願いします。

なお、事務所は
1月4日から業務を開始しますが
次回のブログの更新は
1月12日となります。


( 2016/01/01 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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