弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第336回 不倫相手は離婚について責任は負わない 

不倫をしていて、それが原因で不倫の一方当事者が離婚した場合
不倫相手は、離婚について慰謝料などの法的責任を負うか
ということについて
最高裁判決が出されました。

結論は、不倫相手は不倫の一方の当事者が離婚しても
基本的には慰謝料等の責任を負わないというものでした。

普通のみなさんは、不倫をして一方当事者が離婚すれば
離婚に関する慰謝料などの責任が発生すると思っているでしょうから
びっくりされると思います。

離婚について責任を負わないだけであって
不倫をしても全く慰謝料等の支払いが必要ないということではありません。
不倫の一方当事者の夫や妻と言った配偶者に対する貞操権侵害として
慰謝料の支払い義務はあるのです。

判決の事案は、不倫について、相手方が知ってから3年以上経過してしまって
貞操権侵害の慰謝料については時効が成立してしまっていました。
しかし、その後に離婚したことから、離婚まで不倫による損害が発生し続けていたから
時効にはかかっていないとして慰謝料を請求していたというものです。

通常は、不倫を知ってから3年以内に離婚するかどうかはわかりませんが、
貞操権侵害で不倫相手に慰謝料請求だけはするというケースが多いと思われます。
だから、今回の判決があるから慰謝料の支払いが免れられる
という方は少ないと思われます。



( 2019/03/05 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第308回 生まれる前に親子のDNA鑑定が容易に 

日経新聞の記事によると
妊娠中の女性の胎児の父親が誰かを
妊娠の初期からDNAで鑑定できるサービスがあるそうです。

複数の男性と関係を持って妊娠してしまった女性が
どちらの男性の子供なのかを確認するために利用する
と考えられますが、
逆に、女性が男性から自分の子なのかと疑われたときに
男性との子であることを証明するためにも利用することが
考えられます。

現実には、以下のようなケースがあり
このようなケースの解決に役に立ちそうです。

女性が過去に関係を持った男性に対し、
妊娠したから、中絶費用と慰謝料を請求し
それを支払ってくれないのであれば
子供を産んで認知を請求し、
養育費等を請求すると要求します。

これまで男性は、関係を持った回数の少なさや
女性が他にも関係を持った男性がいると
疑いがあっても
子供が生まれてしまい、
自分の子供だとすると
大きな責任が発生してしまいますから
要求を呑まざるを得ないことになりがちでした。

しかし、妊娠初期でも、DNA鑑定により、
親子関係がはっきりするのであれば
疑いがある場合は
この鑑定を利用して、親子関係を確認してから
結論を出すことが可能となります。

ただし、鑑定を強制することは難しいので
女性が鑑定を拒否した上で
女性を疑い中絶費用や慰謝料を支払わないのであれば
子供を産むと主張された場合には、
鑑定を拒否するくらいだから
嘘だということを前提に
支払わないとするかどうかは
微妙ですね。

でも、妊娠初期に父親かどうか親子の鑑定が容易にできる
ということは、画期的だと思います。
費用は、ちょっと高く、15万円~20万円だそうです。
( 2018/07/31 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第277回 体外受精卵で生まれた子供の父親は誰? 

奈良家庭裁判所で
親子に関する珍しい判決が出されたので
ご紹介します。

夫婦で体外受精卵を作り保存しておきました。
その後夫婦は別居しましたが
妻は夫に無断で体外受精卵を使って
出産しました。
その後夫婦は離婚しました。
この場合、元夫は体外受精卵で生まれた子の父親となるのか
ということが
裁判で争われました。

もちろん、生物学的には、元夫の子供となります。
しかし、妻が別居をして、夫に無断で
体外受精卵を使用して子供を産んだことから
法律上、扶養義務などを負う父親となるのかが
争われたのです。

奈良家庭裁判所は、体外受精卵を使用して出産することについて
夫の同意が必要と判断しました。
そうなると、夫の同意なく体外受精卵を使用して出産をしたのだから
子供の父親ではなくなるとなりそうです。

しかし、夫の親子関係がないことの確認を求める訴えは
却下されてしまいました。
親子関係がないことの確認を求める訴えが却下されてしまったことから
結果的に親子関係があることになったのです。

なぜ、このようなことが起きるかというと
民法に婚姻中に生まれた子供は
夫婦の子供として推定されるという規定があるからです。
そして、この推定される子供との親子関係を否定するためには
夫が子供の出生を知ってから1年以内に
嫡出否認の訴えを起こさなければならないのです。

本件では、出生を知ってから1年以内に嫡出否認の訴えを起こさなかったことから
子供との親子関係は否定できないということになったというわけです。

妻が婚姻中に、自分の子ではない他人の子を産むということは
なかなかないかもしれませんが、
その万が一が起きたときは、
知ってから1年以内に訴訟を起こさないと自分の子供となってしまいます。
1年というのは日中仕事で忙しく働いていると
個人の揉め事の解決は後回しになってしまい
あっという間に経ってしまいます。

そういうことがあった場合は
直ぐに弁護士に相談してください。

あっという間に経過してしまいます
( 2017/12/19 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第249回 離婚をしてから10年経ってから損害賠償請求? 

芸能人の泰葉さんが、
元夫の春風亭小朝さんに対し
結婚生活で受けた虐待などを理由に
損害賠償請求訴訟を起こすと
言っていることが
報道されていました。

芸能関係のニュースには
疎いですが、
泰葉さん、小朝さん夫婦が離婚したのは
最近ではなかった気がしていましたが
何と、10年前の2007年に離婚していたようです。

ということは、
婚姻生活中の虐待は
10年以上前にされたもの
ということになります。

通常、虐待等に基づく損害賠償請求は
法律的に言うと、不法行為に基づく損害賠償請求ということになります。
不法行為に基づく損害賠償請求は、
消滅時効が、不法行為を知ってから3年とされています。

すると、10年前に、離婚していたわけなので
離婚するときに、虐待があったことは知っていたはずで
普通は、それが離婚原因となっていることから
離婚の際に慰謝料を請求するということになります。

離婚の際には請求せず、
離婚してから3年以内にも請求せず、
10年以上経過してから請求するとすれば
もうそれは時効で消滅しているということになります。

泰葉さんの相談している弁護士もそういう説明はしていると思います。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)により
請求することができなかったから時効は進行しないという
主張をすると考えられます。

しかし、PTSDで損害賠償請求ができないくらいの状態であれば
離婚もできないような気がします。
そうだとすると、泰葉さんの損害賠償請求は
虐待の有無にかかわらず、
認められない可能性が高いと思われます。

みなさんは、離婚する際に、相手に金銭を請求するのであれば
離婚のときに一緒に請求した方がよいと思います。
一度話し合いで離婚をしてしまうと、
離婚の話し合いで解決したという主張をされてしまう可能性もありますし
相手は離婚したのだから、どうでもいいと
誠実な対応をしないことも考えらえます。

また、時効の問題もあります。
慰謝料請求は、不法行為を知ったときから3年で
財産分与は、離婚のときから2年となります。

みなさん、気を付けてください。





( 2017/06/06 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第231回 父親の親権は逆転敗訴 

第190回 夫に親権が認められた
で取り上げましたとおり、
離婚したときには、父親が母親と子供の面接交渉を年100日は確保すると
裁判所に具体的な計画を持って約束したことから
父親に子供の親権が認められるという
珍しい判決が出されました。

しかし、この度高裁判決が出され、
父親は逆転敗訴となってしまいました。

その理由は、前回のブログで僕が書いた通り
年100回の面接交渉は忙しいので
逆に子供にとって負担が重いと疑問とされてしまったようです。
その他にも、
子供にとって今の生育環境を変えるのは
良くないし
子供も母親との生活を希望している
と判断されたようです。

しかし、父親でも親権が取れるという
離婚する際の父親に希望を与える判決が
ひっくり返されてしまったことは
世の離婚をしようとしている父親にとっては
残念な結果となってしまいました。
( 2017/01/31 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第217回 住宅ローンの支払いを婚姻費用から引くことができるか? 

夫婦が離婚協議をして離婚するまでの間に別居している場合には
所得が多い方が少ない方に対し、
生活費用の一部を出さなければならないことになっています。
これを「婚姻費用」と言います。

婚姻費用については、夫婦双方の所得に基づいて
子供の有無や数を考慮して
裁判所の作成した基準で、金額が決まることになっています。

さて、この婚姻費用を決めるにあたって
よく問題となるのが
夫が出て行って別居をしているけれども
夫名義のマンションに妻と子供が引き続き住んでいて、
夫は住宅ローンを支払っている場合
この住宅ローンを婚姻費用の支払額から引けないか
というものです。

本来、妻が家賃を支払わなければならないところ
夫が住宅ローンを支払っているので
妻は家賃を支払わずにマンションに住めています。
とすれば、妻が賃貸物件を借りて住んでいるときに
賃料を夫が支払っているのと同じにも考えられます。
このように考えると、婚姻費用から
住宅ローンの支払額を引くことを認めてもよいように思えます。

しかし、他方で、住宅ローンを支払っていくと
夫名義の住宅ローンという借金が減り
夫名義のマンションという資産が増えるということになるので
住宅ローンを支払う夫にもメリットがあることになります。
そこで、住宅ローン額全額を婚姻費用として
引くのはどうかという疑問が発生します。

東京家庭裁判所の審判例では
妻の所得額から妻が負担すると推定される家賃相当額を
計算して、婚姻費用から引くという方法を取りました。

したがって、住宅ローン全額は婚姻費用から引けない
ということになります。

ただ、婚姻費用算定に当たって
少しは引いてもらえるということになります。

そこで、別居をしても、住宅ローンを払い続けている場合の
婚姻費用の計算には注意が必要です。




( 2016/10/25 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第190回 夫に親権が認められた 

夫婦が離婚する際に
子供がいれば子供の親権者を
夫婦のどちらにするか決めることとなります。

離婚した場合の親権を巡って争いになることも
少なくありません。

しかし、裁判所の考え方としては
子供が自分の意思で親を選ぶことができる年齢になるまでは
母親に親権が認められるのがほとんどです。

僕も弁護士として相談された際には
夫に認められる可能性が少ないと
回答しています。

しかし、この度、
親権が争われた場合
単に母親だからと言って
親権が認められるとは限らず
夫に親権を認めた方が
子の健全育成のためには良い
という理由で
夫に親権が認められる判決が出ました。
父親と母親の双方から愛情を受けて育つ権利があり
その子供の権利を確保するために
自分が親権者となれば
妻との面会交流の機会を
年100日確保すると
主張したことが
大きな理由だったようです。

妻がこの判決に対し控訴した場合
この結論が維持されるかどうかは
わからないので
この裁判所の考え方が
一般的なものとなるかどうかは
わかりません。
また、年100日を別に住んでいる
妻に会う機会を与えることは
結構大変で実現できるかという問題もあります。

しかし、この判決がこれまでの裁判所の考え方からすると
画期的なことは
間違いありません。

今後夫が子供の健全育成のためには
自分が親権を持った方がよい
という主張が増えることは間違いがないと思います。


( 2016/04/05 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第165回 財産分与と養育費は離婚に責任があっても請求できます 

離婚の際に、請求できるお金は
大きく分けて
慰謝料、
財産分与、
養育費、
となります。

慰謝料は、離婚原因を作った方が
相手に離婚に伴う精神的苦痛を慰謝するために支払うお金となります。
夫が離婚する際に必ず妻に慰謝料を支払うわけではありません。
夫が不貞行為をしたような場合には妻に慰謝料を支払う必要はありますが
性格の不一致でお互いが合意して別れるときは
慰謝料はどちらも支払う必要はありません。
逆に妻が不貞行為をしたような場合には
妻が夫に慰謝料を支払うこととなります。

財産分与は、結婚時から離婚時までに夫婦で作った
財産や負債を合計して2分の1ずつ分けて
清算する手続きです。
したがって、どちらに離婚原因があるかどうかは
関係ありません。
妻が不貞行為をしたから離婚するという場合でも
結婚してから離婚するまでに、預金を蓄え
自宅を取得した場合は
2分の1は、妻に支払わなければなりません。

養育費は、未成年の子供を引き取った方が
子供を養育するために必要なお金を
夫婦で分担する費用です。
したがって、妻が子供を引き取って育てる場合は
仮に妻が不貞行為をして離婚することになったとしても
夫は養育費を妻に支払わなければなりません。

慰謝料は、離婚原因を作った方が支払う必要があり
離婚原因を作っていなければ支払う必要はありません。
逆に、財産分与と養育費は、離婚原因がどちらにあろうと
支払わなければならなくなるお金になります。
離婚の相談に乗っていると
誤解されている方が多いので
注意してください。



( 2015/10/13 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第148回 枕営業は、結婚生活の平和を害さない? 

昨年4月に、
クラブのママが顧客を確保するために
顧客と性交渉をした場合に
(いわゆる「枕営業」をした場合)
顧客の妻に対して不法行為が成立し
賠償責任を負うのかが争われた裁判が
ありました。

みなさんは、結論がどうなったと思いますか?
普通の方は
妻が勝ち、クラブのママは妻に賠償責任を負うと考えたのではないでしょうか。

ところが、この裁判では、
クラブのママは顧客確保のために営業活動として
性交渉をしたに過ぎないので
妻が不快に感じても
結婚生活の平和を害するものではなく
賠償責任はないという判決が出されました。
この裁判官は
同様に夫が対価を支払い性交渉をする
売春の場合も、妻に対し
賠償責任はないと考えているようです。

要するに、対価を受けて性交渉する場合は
顧客の求めに応じて仕事として性交渉をするだけなので
妻に対し賠償責任を負わない
というのがこの裁判官の考え方のようです。

この考え方からすると、
夫がお金を払って性交渉をする場合は
家庭の平和を害さないのですから
夫は、お金を払って性交渉を自由にすることが
できるとも考えられます。

しかし、
一般的に、相手が妻のいる既婚者であると
知って性交渉を持てば
妻に対し、夫と共同で賠償責任を負うというのが
判例の考え方なので、
この判例があるからと言って
お金を払って女性と性交渉をすると
痛い目にあう可能性があります。

ただし、最高裁まで争い
最高裁の裁判官もこの考え方を採用してくれれば
夫がお金を払って女性と性交渉を自由にできることとなります。

誰か勇気のある方は
ちょっと試して
最高裁まで裁判をしてみてください。

( 2015/06/02 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第5回 離婚して、お金も払ってほしい 

最近、有名芸能人の裁判が話題となっています。
震災の影響か、はたまた景気が悪いせいか、
離婚件数は、最近減っているそうです。
しかし、紛争のケースとしては、
他のトラブルよりも件数は多いようで、
離婚の相談や依頼をよく受けます。

離婚する際に相手に請求できるのは、
大きく分けると次の3つです。
慰謝料と財産分与と養育費です。

まず、慰謝料は、
相手に、浮気した、暴力を振るったなどの
離婚原因がある場合に請求することができます。
慰謝料の額は、離婚原因や婚姻期間などによりますが、
100万円から500万円の間ではないでしょうか。
500万円認められるケースは少なく、
みなさんが期待しているほど
慰謝料はもらえないのが現実です。

次に、財産分与は、
婚姻期間中に夫婦で築いた財産の清算として、
夫婦の財産の合計額の2分の1に相当する額を
請求することができます。
名義が自分の名義でも相手の名義でも関係ありません。
夫名義の財産、妻名義の財産を合計して、
2分の1ずつになるように、分けることとなります。
夫が自営で会社を経営しているような場合、
その株の価値の増加分も
財産分与の対象となる可能性があります。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦で築いた財産の清算なので、
基本的に自分に離婚原因があっても、
財産分与を請求することが可能です。
浮気したからと言って、
過去の財産形成に寄与したことは無くならないからです。

最後に、養育費です。
養育費は、未成年の子を引き取った方が
相手方に請求することができます。
この養育費も、離婚原因が自分にあるかどうかは
関係ありません。
妻が浮気をして離婚することになったとしても、
未成年の子を妻が引き取ることになったときは、
妻は夫に離婚後に養育費を請求することができます。
養育費の額は、夫、妻の収入と子供の数、年齢で、
おおよその基準が裁判所で作成されています。
夫が年収1000万円、妻が年収200万円、
子供が高校生で、妻が子供を引き取ったとすると、
養育費は月額12万円くらいです。
夫の収入が少なければ当然養育費の額も少なくなります。
妻の年収が多くなればやはり養育費の額は減ることとなります。

 
( 2012/09/25 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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