弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第210回 特許として登録されているのに無効なの? 

以前、サントリーがアサヒビールを特許侵害を理由に
商品の製造販売の差し止めを請求した訴訟で、
サントリーの特許が一審では無効と判断された
という話をしたことがあります。

そして、今回、富士フィルムがDHCに対し
特許侵害を理由に化粧品の販売を差し止めを請求した
訴訟でも、またもや同じく
特許が無効だから、販売差し止めの請求は
認められないという判決が出されました。

特許は、特許庁で登録されれば
みなさん特許として有効で
その特許を利用すると
差止を請求されたり
損害賠償請求をされたりすると
思っていることだと思います。

しかし、実は、特許庁が特許として認めて、
特許として登録されていても
裁判で争われると無効になる可能性もあるのです。

それは、
特許庁が、特許の登録については
実際にどれくらい技術的に優れているかどうか
実質的な審査をしないことが
理由です。
この実質的な審査をしない理由は
実質的な審査をしているといつまでたっても
特許が認められなくなってしまうという
デメリットがあるからです。

ただ、そうであるからこそ、特許として登録されている技術でも
あとで、裁判で、本当に特許として認めるべき技術なのかどうかを
争われると、
特許として認められないということも出てくる可能性がある
ということになっています。

前回は、サントリー、今回は富士フィルムと
有名な大会社が特許として登録していた技術でも、
後から無効とされてしまうことがあるのですから
特許侵害を主張された場合でも
素直に従うのではなく
その特許が本当に特許として有効なのかどうか
弁理士や弁護士などの専門家に
相談した方がよいかもしれませんね。




( 2016/09/06 00:00 ) Category 知的財産(特許、商標、著作権) | トラックバック(-) | コメント(-)

第205回 サントリーとアサヒのノンアルコールビール訴訟は和解で解決 

新聞報道などによると
ノンアルコールビールに関する特許を侵害されたとして
サントリーがアサヒに対し、「ドライゼロ」の製造販売の差し止めを
求めた裁判は、和解で解決したようです。

一審では、差し止めを求めて裁判を起こしたサントリーが
敗訴しました。
サントリーの主張する特許が無効だから
アサヒは、サントリーの主張する技術をを使っても
問題はないというのがその理由でした。

控訴審で和解した内容は守秘義務が課され
どういう内容で和解されたかは非公開になっているようで
第三者である僕には内容はわかりません。

一審で敗訴したサントリーは、
通常であれば控訴審でも
サントリーの特許が無効とされ、
製造販売の差し止めは認められない可能性が
あるので、
アサヒがドライゼロの製造販売をすることを認めるのは
やむを得ないところです。
他方、
アサヒとしては、このまま裁判で争って
サントリーの特許が無効という判決をもらったとしても
これまでの状況とあまり変わりはないということになります。

そこで、両者和解して終わらせるという判断になったのだと思います。

大手企業が大手企業を訴えるという
なかなか珍しい裁判でしたが
推測通りであれば、
実質的には、
喧嘩を売ったサントリーの負けということになったと思われます。


( 2016/07/26 00:00 ) Category 知的財産(特許、商標、著作権) | トラックバック(-) | コメント(-)

第189回 ジェネリック側が特許訴訟で敗訴 

特許には存続期間が決まっていて
特許出願から20年経過すると
特許としての効力が無くなってしまいます。

特許が特許でなくなれば
その特許だった発明を誰でも利用することができるようになります。

医薬品では、
特定の病気に薬として効能を発揮することについて
特許が申請されているのが普通です。
しかし、特許が期限切れとなり誰でも使えるようになれば
誰でもその薬を製造し販売することができるようになります。
もちろん、医薬品の製造販売の許可が必要となります。
この特許が切れた医薬品が「ジェネリック」と言われる
「後発医薬品」のことです。

特許が有効の間は、作ることを特許権者に承諾してもらわないといけませんし
特許料を特許権者に支払わなければなりませんから
医薬品は高くなります。
しかし、特許が切れれば特許料を支払うことなく
作れますから、医薬品の価格は安くなります。

そこで、国民の医療費の負担が増えて困っている国は、
このジェネリックの使用を推奨しているという面もあります。

このジェネリックの製造を巡って、特許訴訟が起こされ
先日、知的財産高裁で判決が出されました。

内容は、ジェネリックを製造するジェネリックメーカーが
特許権者の製法特許を侵害しているというものでした。

医薬品の特許には、
医薬品としての特許、特定の病気を治すということに関する特許と
医薬品をより効率的に製造する方法などの製造に関する特許が
あります。

ジェネリックメーカーは、最初の病気を治すという点の特許については
期限切れだったことは確認していたけれども
後の作り方の特許については期限切れかどうかを確認していなかったようです。

医薬品としての特許も、作り方の特許も、特許は特許なので当然保護されるべき
ということとなります。

ただ、医療費削減のために、ジェネリックが注目されていただけに
製法の特許までクリアしないとジェネリックを作れないということだと
なかなかジェネリックを作って普及させていくのは難しくなる
ということで、この判決が話題となっているのだと思います。
( 2016/03/29 00:00 ) Category 知的財産(特許、商標、著作権) | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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