弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第193回 家財道具を処分してしまった保証会社に賠償命令 

マスコミの報道によると
家賃を2か月分滞納したことを理由に
家財道具を勝手に処分されたとして
借主が保証会社に対し損害賠償を求めた裁判の
判決が出されました。

その内容は
保証会社が家財道具を処分したことは
窃盗罪や器物損壊罪に当たるもので
家財道具の賠償金と慰謝料の合計55万円を
支払えというものです。

そもそも建物賃貸借契約では、
3か月分の家賃滞納がないと
裁判で債務不履行を理由とする解除は
認められないのがほとんどです。

それを、家賃の保証をしている保証会社が
鍵を付け替え部屋に入れないようにして
家財道具は処分してしまった
ということです。

借主がいくら家賃を滞納していても
法的手続によらないで
強制的に明け渡し手続きを行うことは
違法行為であり
民事手続においては
損害賠償義務を負うことになり、
場合によっては
窃盗罪や器物損壊罪になり
刑事事件となる可能性もあります。

賃料の保証会社は
保証人を立てられない人にとっては
一定の金額で保証人となってくれる便利な存在ではあります。
ただし、中には、この判例のケースのような
悪質な行為を平気でやる保証会社もあります。

貸主も、借主も注意が必要です。

( 2016/04/26 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第175回 市営住宅で猫を多数飼育に立ち退き判決 

大阪市の市営住宅で、住民の男性が
猫を多数飼育しており、
市が近隣に迷惑をかけたことを理由に
契約を解除し、市営住宅からの退去を
求めたケースで
立ち退きを認める判決が出たようです。

市営住宅でも、一般の住宅でも
借りる際の契約書には、
多くは、ペットが禁止されています。
(最近は、ペット可のマンションも増えていますが)

ペットが禁止される理由は
鳴き声、においが他の住民の迷惑にもなりますし、
毛や噛む、爪をとぐなどは
建物に影響も与えることにもなるからです。
また、同じ住宅の住民にはペットを嫌う、
あるいは怖がる方もいますし、
他の住民にとって実際に危険なペットもいる
ということもあります。

過去の裁判例でも、ペット禁止の賃貸物件で
ペットを飼ったことを理由に賃貸借契約の解除が認められ
立ち退きを命じる判決が出されています。

そこで
ペットを飼いたい方は、
ペットの飼育可の物件を探すか
自宅を購入するかするしかないので
ご注意ください。
マンションの場合は、自宅として購入しても
管理組合の規約で、ペット禁止とされている可能性もあるので
注意が必要です。

逆に、貸主の方は
借主がペットを飼っていることがわかった場合は
契約を解除して立ち退いてもらうことが可能なので
そのような請求をすることをお勧めします。
ペットを飼っていることを知っているのに
放置していると認めていたとして
後からだと立ち退きが認められない可能性もあります。
( 2015/12/22 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第59回 解約予告期間を設ける 

店舗や事務所を貸していると、
借主が出て行ってしまった後に
次の借主がなかなか決まらないということがあると思います。

そうなると、
次の借主が決まるまで
賃料を受け取れなくなってしまうことから
貸主としては、損となってしまいます。

そういうことへの対策が
解約予告期間の規定となります。

具体的に言えば、
「賃貸借契約を契約期間中に解約する場合には
〇か月前に予告しなければならない。
即時に解約する場合は
〇か月分の賃料を支払わなければならない。」
という規定を賃貸借契約に入れることです。

この解約予告期間の規定を設けることにより
解約予告期間中に、賃料を受け取りながら
次の借主を探すことが可能となります。

住宅では、通常1か月前が多く、
店舗や事務所では、
3か月から6か月が多いと思います。

この予告期間は長ければ長いほど
貸主に有利になりますが、
あまり長いと
裁判で無効とされる可能性があります。
( 2013/10/08 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第47回 倍額賃料で明渡を確保 

オフィスや店舗、マンションなどの賃貸物件の貸主にとって
契約が終了したときに借主がすぐに出て行ってくれるかは
気になるところです。
すぐに出て行ってくれなければ、次の貸主に貸せないからです。

そういうケースで効果を発揮するのが、倍額賃料の条項です。
どういう条項かというと、次のようなものです。

「解除や期間満了によって 賃貸借契約が終了したときは
 すぐに明け渡す。」

これは当たり前の規定です。次が大切な規定です。

「借主が明け渡さないときは
 賃貸借契約終了の翌日から明渡済みまで
 賃料の倍額の賃料相当損害金を
 支払わなければならない。」

というものです。

賃貸借契約が終了した後も
借主がオフィスや店舗、マンションを使い続けた時には
使用の対価を支払わなければなりません。
これを「賃料相当損害金」と言います。

通常、契約に何の規定がなくても
借主は契約終了後も使用を継続すれば
賃料相当損害金を支払う必要があります。
しかし、その金額は、これまでの家賃と同額となります。

そうだとすると、借主にとっては
契約違反によって契約が解除されたとしても
今までの家賃と同額を支払えば
これまでどおり賃貸物件を使用できることになります。
(もちろん、裁判で明渡の判決が出れば
強制的に追い出されることにはなりますが、
強制的な追い出しは、
貸主にとってもそれなりに費用がかかります)

賃貸借契約に、
賃貸借契約が終了したときは
明渡まで倍額賃料を支払うという規定を入れておけば
借主は、
賃貸物件を明け渡さないと
これまでの賃料の倍額を支払わなければならなくなるので
経済的に割に合わないということで
自ら出て行こうという気になるわけです。

賃料の倍額条項は
過去の裁判例でも有効とされています。

賃貸物件の貸主の方は
自分の契約書に倍額条項が入っているか
確認してみてください。
( 2013/07/16 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第14回 明け渡しをするには法的手続きで 

ビルやマンションを貸しているときに、
家賃(賃料)を滞納されたら、
鍵を変えてしまうという
大家さん(貸主)もいるかもしれません。

しかし、一度部屋を貸したら、
借主が家賃を払わないからと言って、
大家さんが勝手に鍵を変えたり、
荷物を持ち出してしまったりすることは
法律上許されていません。
家賃を払わない借主の部屋に
借主に無断で入ること自体も、
法律上許されないのです。

具体的には、
大家さんが勝手に鍵を変えて
借主が入れないようにすることは、
不動産侵奪罪に該当する可能性があります。
荷物を持ち出してしまうことは、
窃盗罪、器物隠匿罪に該当する可能性があります。
そして、部屋に入ることは
住居侵入罪に該当する可能性があります。
したがって、大家さんは、
建物が自分の所有物で、
借主が家賃を払っていないにもかかわらず、
鍵を変えたり、荷物を持ち出したり、
部屋に入ることはできないのです。

これを「自力救済の禁止」と言います。
なぜ、自力救済が禁止されているかというと、
法的手続によらないで権利の実現が可能だとすると、
法律の知識のない人の
これくらいなら許されるだろうという判断に基づいて
権利行使の名の元に
他人の権利が必要以上に侵害されてしまうからです。
日本は、法治国家なので、
法的手続によらないで
権利を制限されたりしないということなのです。

したがって、
大家さんが、借主が家賃を支払わず、
部屋を明け渡すよう求める場合は、
裁判をして、判決をとって、
それでも借主が明け渡さない場合には、
裁判所を通じて強制的に荷物を搬出するという
手続を取らなければなりません。
 
  

 
  
( 2012/11/27 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第3回 貸した店舗を明け渡して欲しい―家賃の滞納の場合― 

自分のビルやマンションを、
事務所や店舗、住居として貸している方は多いと思います。
ビルやマンションを賃料を取って貸す契約を
「賃貸借契約」と言います。
借主は家賃を払わなければ
賃貸借契約を解除して追い出されてしまうことから、
家賃を払うのが普通です。

しかし、今の世の中、
会社や店舗の経営がうまく行かなくなることは多いですし、
給料をもらっていても会社がつぶれたり、
逆に借主がリストラされてしまったりと、
借主が家賃を滞納してしまうケースは増えています。

そういう場合、家賃を払わないのであれば契約を解除すると言って、
任意に出て行ってもらうのが一番いいです。
しかし、家賃を滞納している借主は、
来月には何とか払うからなどといって、
なかなか出て行かない場合もあります。

そのときには、まず賃貸借契約を解除する必要があります。
家賃滞納を理由に、
賃貸借契約を解除するときに気を付けなければならないのは、
裁判所は基本的に3か月分の滞納がないと
解除を有効として認めてくれないということです。

通常の賃貸借契約には
1回でも怠ったときは解除できると書かれています。
しかし、裁判所は、
3か月分の滞納したときに
貸主と借主の信頼関係が破壊されたとして、
賃貸借契約の解除を認めています。
1か月遅れただけとか2か月遅れただけでは、
賃貸借契約を解除は認められないのです。
それだけ賃借人が法律上保護されているということです。  

( 2012/09/11 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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