弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第215回 借金の整理方法は3つ 

いつの間にか、借金などの支払い(債務)が膨らんでしまい
収入の範囲で支払えるように何とかしたいと思っているのは
会社でも個人でも同じだと思います。

借金の整理方法(「債務整理」などと言います)は主に3つです。

1つは、任意整理。
借金を、元本を減らすことなく、一定の期間の分割払いで支払っていく方法です。
個人の貸金業者への支払いの場合は、通常3年間での分割払いをしていくこととなります。
ただし、この分割払いの期間は利息は免除してもらえることが多いので
支払えば確実に返済額が減っていき、最終的には無くなることとなります。

2つ目は、破産。
破産は、借金を今ある財産の範囲で返済する借金の整理方法です。
財産がなければ、全く債権者に支払わずに、借金を無くすことができます。
逆に、財産がある場合は、自宅でも生命保険でも、換金して
債権者に配当する必要があります。
個人の場合は、破産した後で、免責という裁判所の決定を得て初めて
借金の支払い義務が無くなります。

3つ目は、民事再生。
民事再生は、借金の元本を減額した上で
3年から5年の期間で、
借金を支払うことにより
借金を無くす方法です。
住宅ローンがある場合
住宅ローンのみは契約通り支払って
他の借金は減額して利息も支払わない
という住宅ローン条項付民事再生という方法もあります。

これらの借金の整理方法は、
債務者にとって楽なのは
破産、民事再生、任意整理の順番となります。

しかし、破産では、今持っている財産はほぼ残せませんから
債務者にとってそれがよいかどうかはわかりません。

特に会社が債務者の場合、破産してしまえば
会社は営業を止めることになってしまいますから
営業を継続するのであれば
任意整理か民事再生の方法を取ることとなります。

債務整理については、
会社であっても個人であっても
収入や資産、負債の額によって
選択できる債務整理の方法が変わって来ますから
弁護士に面談で相談することが必要となります。
( 2016/10/11 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第159回 借金は払わずに逃げていると無くなる? 

借金を払わずに逃げていると
借金が無くなる?
払わない方が借金が無くなるなんてそんなうまい話というか
真面目に払っていると損するような話があるのか
と思われる方も多いと思います。

しかし、実際にあるんです。
それが「時効」という制度です。

時効は、一定期間、
債務者(支払い義務を負っている人のこと)が支払わないでいて
それに対し、
債権者(請求権を持っている人のこと)が訴訟を起こさないでいると
請求権や支払い義務が消滅してしまう制度です。

ちなみに、貸し借りで言うと、
個人からの借金の時効は10年で、
会社からの借金のの時効は5年です。

時効は、最後に支払ったときから計算します。
支払をしていないときは、返済期限から計算することとなります。

債権者が返済期限が過ぎたので請求したときに
支払うので待ってほしいなどと言った場合は
時効はそこで中断し
そこから、また計算し直すこととなります。

債権者は、債務者が支払わないときは
訴訟を起こす必要があります。
訴訟で判決を取ったときには
時効はその判決が確定したときから10年となります。
これは、会社からの借金でも、個人からの借金でも
同じです。

請求書を送付しておけば時効が中断すると
考えている方が多いと思いますが
民法に書かれている請求というのは
訴訟で請求することなので
請求書を送っているだけでは
時効は中断されませんので
注意が必要です。
( 2015/08/18 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第52回 銀行と返済額の交渉方法 

金融円滑化法が有効な間は、事業の再建計画を出さなくても、
経営が苦しいと言えば、銀行を始めとする金融機関は、
利息だけ支払うことに応じてくれました。
しかし、今年(2013年)3月に金融円滑化法が終了したことから、
ただ経営が苦しいと言うだけでは、
金融機関も、返済額の減額に応じてはくれません。
その際には、
「事業再生計画書」あるいは「経営改善計画書」を提出すると、
返済額の減額に応じてもらいやすくなります。

これらの計画書を作成するには、
まず、自分の会社の概要を把握する必要があります。
そこで、資本金がいくらで、株主が誰で、役員が誰で、
借り入れがいくらで、売上がいくらかなどを書き出してみます。
(これを「企業概要書」と言います。)
また、ビジネスモデルについても、
どこから仕入れ、あるいはどこに外注し、
どこに商品を売却するのかについても書き出してみます。
(これを「ビジネスモデル図」と言います。)
その上で、現在、金融機関への返済が苦しくなった原因、
即ち、現在の経営上の問題点を書き出してみます。 
例えば、取引先の倒産、ライバル企業に取引先を取られた、
コストが高いなどから売り上げが減ったとか、
特定の会社との取引が値下げにより赤字取引となっている、
又は新しく設備を導入したが稼働率が悪いなどです。

次に、これらの経営上の問題点について、
どうしたら改善できるかを書き出してみます。
例えば、
役員報酬の減額や遊休資産の売却などのコスト削減などです。
(これらを「経営上の問題点及び改善可能性」と言います。
さらに、これらの改善点を
具体的にいつまでにどのように行うかを記載します。
(これを「アクションプラン(実施計画」と言います。)
最後に、過去の収支に基づき、
アクションプラン等経営改善を織り込んで、
今後の収支見込みを作成します。
(これらを「計数計画」と言います)
それにより、具体的に金融機関への返済額を算出します。
(これを「返済計画」と言います)

以上、全体が「事業再生計画書」
あるいは「経営改善計画書」というものとなります。

最終的に、3年以内の黒字化、
中小企業の場合は10年以内の債務超過の解消、
有利子負債のキャッシュフロー(返済原資)比率が
10倍以下となることが理想で、
この要件を満たせば
金融機関は返済額の減額には応じてくれることになります。

ただし、そうでなくても暫定的な経営改善計画として、
返済額の減額に応じてくれる可能性は高まります。
上記「事業再生計画書」あるいは
「経営改善計画書」の作成を支援するのが認定支援機関で、
しかも、これらの計画が銀行から了承を得ることを条件に、
費用の3分の2は国が補助金として出してくれるのです。
弁護士が認定支援機関の場合は、
上記計画書の作成だけでなく、
金融機関との交渉も代理することが可能となります。
( 2013/08/20 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第51回 金融機関に利息の支払しかしていない企業のみなさまへ 

現在、金融機関への借入金の返済について、
利息しか支払っていない企業の方は多いと思います。
これは、金融円滑化法(いわゆる「弁済猶予法」)で、
銀行をはじめとする金融機関は、企業の状況に合わせて
弁済額を決めなければならないとされていたことから、
支払が苦しい企業については、
契約では、元本と利息を
それなりに支払わなければならないとされていたにもかかわらず、
借主である企業が利息を支払っていれば、
元本の返済については、金融機関が棚上げしてくれていたのです。

しかし、この金融円滑化法は3月で終了しました。
金融機関との約束は1年単位なので、
3月に金融円滑化法が終了しても、
銀行との利息だけ払えばよいという約束が切れない間は、
利息だけ支払っておけばよかったのでした。
しかし、今年も半年以上過ぎましたから、
そろそろ、利息だけの支払いでよいという
金融機関との約束が切れる、
あるいは切れてしまった企業も多いと思います。

金融機関とした利払いのみの約束が切れたら、
元の契約通りの元本と利息を支払わなければならないかというと、
契約上はそうなります。

しかし、それでは収益の上がっていない中小企業のほとんどが
倒産してしまうこととなります。
そうなれば、国の経済にとって大きな問題となってしまいます。
そこで、国は、「認定支援機関」という制度を設けて、
中小企業が、認定支援機関とともに、
合理的な再建計画を立てられるように、
国が中小企業に対し、認定支援機関に支払う費用の3分の2を
補助金として支払うこととしました。
また、認定支援機関の作成した再建計画が合理的である場合には、
金融機関も返済額の減額に応じやすいよう
金融庁の検査の評価区分も変えています。

したがって、現在、
金融円滑化法により利息だけ金融機関に支払っているが、
金融機関との約束が〇月で切れた、
あるいはこれから切れるので
支払額について、金融機関と話し合うという企業は、
認定支援機関に再建計画の作成を依頼することをお勧めします。

認定支援機関は、中小企業庁のホームページに記載されています。
認定支援機関は、税理士が多いですが、
税理士は再建計画を作成できますが、
金融機関との交渉はできません。
弁護士は、金融機関との交渉まですることが可能です。

僕も、認定支援機関になっていますので、
金融機関と弁済額の変更の交渉をこれからするという企業の方は
ご相談いただければと思います。
( 2013/08/13 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第18回 弁護士はすぐに破産させると言われますが 

「弁護士に会社の借金や買掛等の債務問題について
相談に行くと破産させられてしまう」とよく言われます。
このことは、一面で真実です。
しかし、一面において経営者に誤解があります。

会社の債務問題(一般に「会社の再建」と言われています)について
解決するには、その会社が、最低限、
営業で利益を出していなければなりません。
営業で利益を出していないと、
会社は営業をすればするほど赤字が増えて行くわけですから、
そもそも止めた方が良いということになります。
また、利益が出ていないと、
これまでの借入金や買掛金などを
支払っていくことはできないのです。

そこで、まず、弁護士は、
債務問題の相談を受けると、
営業で、年間で、あるいは直近3か月で、
どれくらい利益が出ているかを聞きます。

この段階で赤字の会社もありますが、
営業段階で赤字だとしても、すぐに破産とは判断しません。
営業段階で黒字にすることはできるかということを聞きます。
一般的には、人件費や事務所の家賃などの固定経費を削って
黒字にできるかどうかを検討します。
売上を増加させて黒字にするという話だと、
なかなか弁護士は話に乗ることはできません。
なぜなら、
売上げ増加による利益の増加の努力はこれまでしてきたはずで、
弁護士に相談した後で
急に売上の増加を図るということは難しいと思われるからです。
ただ、業務提携先や
スポンサーの協力が得られるなどの理由により
売上が増加するということであれば弁護士は話に乗るでしょう。

このように、経費削減あるいは売上の増加により黒字化し、
利益が出るような体質にできるとなって初めて、
これまでの借金や買掛の支払いをどうするかの検討に入ります。

その利益で、これまでの債務を払うのに何年かかるのか、
あるいは債務を減額してもらえば払って行けるか、
新たな借り入れはできなくても資金繰りは大丈夫か、
これまでの債務の支払いを止めたときに
これまでの仕入れ先や下請けは仕事をしてくれるのか、
新しい仕入れ先や下請けは見つかるのかなどを
検討することとなります。

これらの条件をクリアする可能性があって初めて、
企業の債務問題を解決する、
即ち会社を再建する可能性が見えてきます。
これらの条件をクリアできないとすると、
会社の債務問題は解決できないし、
会社を再建することは難しいです。

弁護士のところに相談に来るときは、
そもそも営業段階で利益を出すのが困難であったり、
新たな借り入れもできず、
社長の個人資産も無くなって資金繰りに行き詰って、
仕入れや人件費など営業に必要な経費を
払えない状況になったりしてからのものが多いのです。

そこで、弁護士は、
債務問題の相談を受けたときには
会社の再建の可能性を検討するのですが、
時既に遅しで、破産しか選択の余地がないことが多いのです。
そこで、弁護士は結果的に
債務問題の際に破産を選択することが多いというわけです。
 

( 2012/12/25 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第15回 弁済猶予法が来年3月で終了します 

弁済猶予法(正しくは「中小企業者等に対する
金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」と言い
「中小企業金融円滑化法」とも言います)が、
来年3月に終了します。

この法律は、どういう法律かというと、
個人の住宅ローンや中小企業の借金の支払いについて、
銀行などの金融機関に、
支払が苦しいので返済金額を少なくして欲しいという
要望があったときには、
金融機関はこれに応じなければならないというものでした。
その結果、
契約上は元本と利息を返済しなければならないところ、
利息だけ支払って何とか経営を続けている
中小企業は多くなりました。

ところが、この弁済猶予法が
来年3月で終了してしまうのですから、
これまで弁済猶予法の適用により
毎月の返済額が少なかった中小企業も、
来年4月からは、
返済額を増やしていかなければならなくなるわけです。

中小企業の業績が上がっていれば
返済額の上乗せは可能でしょうが、
業績が上がっていない企業は、
この弁済猶予法が終了した時点で
銀行からの借入は支払えないということに
なってしまいます。

普通に考えれば、来年の4月以降は、
中小企業の倒産が増えることが予想されます。
弁済猶予法により
現在弁済額を減らしてもらっている中小企業は、
来年4月以降金融機関への返済をどうするか、
金融機関への返済だけでなく、
企業経営全体をどう再建していくかなどを
今から検討していかないと、
来年4月以降に倒産ということにもなりかねません。
場合によっては、
民事再生法の適用による再建手続きも
視野に入れて検討することが必要だと考えます。
( 2012/12/04 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第8回 優良資産だけ残すことはできない 

多額の借金が返せなくなったときに、
何とか今の優良資産だけを残して、
事業や生活を続けることはできないか、
と考えたくなるのが人情です。
そのために、
不動産などの資産を別会社の名義にしたり、
親族の名義にしたりしてしまう人も多いようです。

しかし、そのような債務者にのみ都合の良いことは
法律上許されていません。
債権者の債権回収を妨害する行為として、
詐害行為取消権(「さがいこういとりけしけん」と読みます)により、
取り消して元の会社などに戻されて、
債権者に差し押さえられることとなります。
破産した後に発覚すれば、
破産により借金が免除されることとなる
免責決定は出なくなりますし、
時には詐欺破産罪として罰せられることにもなります。

この度、最高裁で、
会社分割という制度を利用した資産の移転が
この詐害行為取消権により取り消せるかについて
判断が出ました。

会社分割というのは、会社を2つに分ける制度で、
売買や贈与などの取引行為でないことから、
詐害行為取消権により取り消せるのかという点について
法律の解釈上争いがありました。
そして、会社分割を利用すれば
借金の多い債務超過の会社でも
会社の優良資産を残せるなどと
コンサルタントなどが吹聴したために、
会社分割を利用して
資産を別会社に移転させてしまう例が
増えていたのです。

これに対し、最高裁は、
会社分割についても、
詐害行為取消権により取り消せるという
結論的には当たり前の結論を出しました。
法解釈上は難しい面もあったのですが、
最高裁は結論の妥当性を優先したのだと思います。

借金の支払いは免れて、優良資産だけを残すという
都合が良いことはできませんので、
借金に苦しんでいたとしても、
そういう甘い話には騙されないよう気を付けてください。
 
 
 
( 2012/10/16 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR