弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第14回 明け渡しをするには法的手続きで 

ビルやマンションを貸しているときに、
家賃(賃料)を滞納されたら、
鍵を変えてしまうという
大家さん(貸主)もいるかもしれません。

しかし、一度部屋を貸したら、
借主が家賃を払わないからと言って、
大家さんが勝手に鍵を変えたり、
荷物を持ち出してしまったりすることは
法律上許されていません。
家賃を払わない借主の部屋に
借主に無断で入ること自体も、
法律上許されないのです。

具体的には、
大家さんが勝手に鍵を変えて
借主が入れないようにすることは、
不動産侵奪罪に該当する可能性があります。
荷物を持ち出してしまうことは、
窃盗罪、器物隠匿罪に該当する可能性があります。
そして、部屋に入ることは
住居侵入罪に該当する可能性があります。
したがって、大家さんは、
建物が自分の所有物で、
借主が家賃を払っていないにもかかわらず、
鍵を変えたり、荷物を持ち出したり、
部屋に入ることはできないのです。

これを「自力救済の禁止」と言います。
なぜ、自力救済が禁止されているかというと、
法的手続によらないで権利の実現が可能だとすると、
法律の知識のない人の
これくらいなら許されるだろうという判断に基づいて
権利行使の名の元に
他人の権利が必要以上に侵害されてしまうからです。
日本は、法治国家なので、
法的手続によらないで
権利を制限されたりしないということなのです。

したがって、
大家さんが、借主が家賃を支払わず、
部屋を明け渡すよう求める場合は、
裁判をして、判決をとって、
それでも借主が明け渡さない場合には、
裁判所を通じて強制的に荷物を搬出するという
手続を取らなければなりません。
 
  

 
  
( 2012/11/27 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第13回 金の代金前払取引にご注意 

金の前払い取引に注意するよう
国民生活センターから発表がありました。
「金の代金前払取引」とはどういうものかと言うと、
金を買う契約のことです。
投資に興味のある方であれば
金くらい買ったことはあるかもしれません。

問題となっている「金の代金前払取引」は、
金を、代金前払いで買う契約のことです。
通常、25年もの長期分割で
代金2000万円くらいの前払いをします。
そして、肝心である商品の金を
25年後に代金を完済した後で受け取るというものです。

一般的に、金でなくても、
商品を買う場合、代金前払いとすると、
代金を支払っても商品が受け取れないという
リスクを負うこととなります。
代金の前払いは、
商品を買う側にとって不利な契約なのです。
しかも、25年もの分割払いであるとすれば、
代金を受け取った会社が倒産したり、
行方不明になってしまったりする可能性もあります。
代金完済前は、金を取得できないのですから、
もちろん金を売却することはできません。
このような不利な契約なので中途解約をしたいと思っても、
契約で定めていなければできませんし、
通常の契約では、
高額な解約手数料が定められているようです。
したがって、
この「金の代金前払取引」がトラブルになっているようです。

法律的には、訪問販売の場合、
クーリングオフの適用や
高額な解約手数料が無効などという主張が
可能なケースもあると思います。
また、70過ぎの高齢者に
総額2000万円もの高額な代金を
25年もの長期にわたり支払わせ、
契約者は代金完済予定日に
亡くなっている可能性がある契約であることを考えると、
公序良俗に反して無効となる可能性もあります。
しかし、業者側は、確信犯的に行っていると推測され、
裁判をして勝っても、お金はもうないとして
取り戻すのは難しいのではないかと思われます。

このような怪しい取引はしないことが一番です。
自分がしないことはもちろん、
自分のご両親や祖父母がしないよう気を付けてください。
( 2012/11/20 00:00 ) Category 投資 | トラックバック(-) | コメント(-)

第12回 裁判では借用証が必要か 

お金を返してもらおうとするときに、借用証は必要でしょうか。

もちろん、
相手の署名捺印のある借用証があった方がいいです。
しかし、借用証がないとしても、
相手に貸したお金の返還を請求することはできますし、
裁判で勝てる場合もあります。

その1つは、
相手がお金を借りたことを認めているときです。
相手が、こちらがお金を貸したことや
貸した金額を認めているときは、
裁判所も、その内容で判決を書いてくれますから、
裁判で勝つことができます。

しかし、相手が、こちらがお金を貸したことや
貸した金額を争っている場合には、
借用証がない場合、借用証の代わりに
お金を貸したことを証明する証拠が必要となります。

振込であれば、
振込依頼書や通帳の取引明細が有力な証拠となります。
現金手渡しだとすると、
相手からの領収書が有力な証拠となります。
目撃者がいれば目撃者の証言、
自分の預金口座から出金している通帳の記録なども
証拠となりますが、
これらは相手がお金を受け取った
客観的な証拠ではないため決め手とはなりません。

貸したお金の返還を求める際に、
相手が署名捺印した借用証があれば、
あまり労力や時間をかけずに裁判に勝つことができます。
しかし、借用証を取らずに、
現金手渡しで貸してしまったような場合には、
労力や時間をかけても、
裁判で勝てない可能性があります。
借用証がなくても
他の手段により証明ができれば
借用証は必ずしも必要ではありません。
しかし、
お金を貸したことの一番確実な方法は借用証なので、
お金を貸した時には
借用証を書いてもらうようにしましょう。

( 2012/11/13 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第11回 電子書籍は安売りが可能か 

前回、本の安売りを見かけない理由についてお話ししました。
通常の商品では、メーカーが卸業者や小売店に
定価で売るように指定できないけれども、
本などの著作物は、例外的に、
メーカー(出版社)が本屋に定価で販売するよう
指定することが認められているということがその理由でした。
このことを「再販売価格維持」と言いました。

さて、日本でも電子書籍が普及してきており、
アマゾンが日本でも電子書籍を販売すると言われています。
そこで、問題となっているのは、この電子書籍の販売価格です。

現在、本(書籍)は本屋で定価で売られています。
とすれば、電子書籍も
中身は本屋で売れられている本(書籍)と同じなのだから、
定価で販売できるように思えます。
しかし、独占禁止法の元締めである公正取引委員会は
ホームページで、
そもそも著作物の再販売価格維持を
例外的に認められている理由は、
昭和28年当時の定価販売の慣行を追認したものであること
(だから、あまり例外を認める理由に合理性がないと
言いたいのかもしれません)、
また、独占禁止法上は
再販売価格維持を例外的に認める対象は「物」であることから、
「物」でなく「情報」である電子書籍には
再販売価格維持の例外の適用がないと明言しています。

従って、出版社が電子書籍を販売しているサイト経営会社に対し、
販売価格を拘束している場合には
公正取引委員会は、独占禁止法違反で摘発する可能性があります。

一説には、アマゾンが日本の書籍の電子書籍を
販売する契約を各出版社と結んでいますが、
その際、出版社はアマゾンに電子書籍の販売を認める代わりに、
電子書籍の販売価格の決定権を
出版社に留保する契約を結んでいるとも伝えられています。
もし、これが本当であれば
公正取引委員会は出版社を独占禁止法違反で
摘発するということになります。

しかし、日本の出版社は,
アマゾンやその他の電子書籍出版サイトが
電子書籍を安売りするなら
電子書籍の販売を認めないでしょうから、
みなさんは、電子書籍で有名な作家の作品を読めない
ということにもなりかねません。

今後、電子書籍の出版はどうなることでしょうか。
注目です。

 

 
  
  
 
 
 
( 2012/11/06 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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