弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第18回 弁護士はすぐに破産させると言われますが 

「弁護士に会社の借金や買掛等の債務問題について
相談に行くと破産させられてしまう」とよく言われます。
このことは、一面で真実です。
しかし、一面において経営者に誤解があります。

会社の債務問題(一般に「会社の再建」と言われています)について
解決するには、その会社が、最低限、
営業で利益を出していなければなりません。
営業で利益を出していないと、
会社は営業をすればするほど赤字が増えて行くわけですから、
そもそも止めた方が良いということになります。
また、利益が出ていないと、
これまでの借入金や買掛金などを
支払っていくことはできないのです。

そこで、まず、弁護士は、
債務問題の相談を受けると、
営業で、年間で、あるいは直近3か月で、
どれくらい利益が出ているかを聞きます。

この段階で赤字の会社もありますが、
営業段階で赤字だとしても、すぐに破産とは判断しません。
営業段階で黒字にすることはできるかということを聞きます。
一般的には、人件費や事務所の家賃などの固定経費を削って
黒字にできるかどうかを検討します。
売上を増加させて黒字にするという話だと、
なかなか弁護士は話に乗ることはできません。
なぜなら、
売上げ増加による利益の増加の努力はこれまでしてきたはずで、
弁護士に相談した後で
急に売上の増加を図るということは難しいと思われるからです。
ただ、業務提携先や
スポンサーの協力が得られるなどの理由により
売上が増加するということであれば弁護士は話に乗るでしょう。

このように、経費削減あるいは売上の増加により黒字化し、
利益が出るような体質にできるとなって初めて、
これまでの借金や買掛の支払いをどうするかの検討に入ります。

その利益で、これまでの債務を払うのに何年かかるのか、
あるいは債務を減額してもらえば払って行けるか、
新たな借り入れはできなくても資金繰りは大丈夫か、
これまでの債務の支払いを止めたときに
これまでの仕入れ先や下請けは仕事をしてくれるのか、
新しい仕入れ先や下請けは見つかるのかなどを
検討することとなります。

これらの条件をクリアする可能性があって初めて、
企業の債務問題を解決する、
即ち会社を再建する可能性が見えてきます。
これらの条件をクリアできないとすると、
会社の債務問題は解決できないし、
会社を再建することは難しいです。

弁護士のところに相談に来るときは、
そもそも営業段階で利益を出すのが困難であったり、
新たな借り入れもできず、
社長の個人資産も無くなって資金繰りに行き詰って、
仕入れや人件費など営業に必要な経費を
払えない状況になったりしてからのものが多いのです。

そこで、弁護士は、
債務問題の相談を受けたときには
会社の再建の可能性を検討するのですが、
時既に遅しで、破産しか選択の余地がないことが多いのです。
そこで、弁護士は結果的に
債務問題の際に破産を選択することが多いというわけです。
 

( 2012/12/25 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)

第17回 遺言が無効となるケース 

遺言には、大きく分けて、
遺言を書く人が全ての文章を自筆で書く
「自筆証書遺言」と
公証役場で公証人に遺言書を作成してもらう
「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言は、遺言の内容と日付を、
遺言をする人が全て自筆で書かなければなりません。
全て自筆で書かれていなければ無効です。
遺言を書いた人の署名捺印がなくても無効です。
今は、パソコンやスマートフォン(いわゆる「スマホ」)の時代ですが、
パソコンやスマホで作成した遺言は無効です。
文章をワープロ打ちして
署名捺印だけ自筆ということも考えられますが、これも無効です。
遺言をする人が字が書けない場合、
他人が代筆してしまうと遺言書は無効となります。
自筆証書遺言は、本人がお金をかけないで
作成することが可能ですが、
法律の要件を満たしていないと形式面で、
後で無効となる可能性があるので気を付ける必要があります。

公証役場で作成する公正証書遺言は、
自筆証書遺言の場合と異なり、
形式面で無効となる可能性はほとんどありません。 
しかし、無効とならないかというとそうでもありません。
遺言をする人が認知症、脳梗塞等の病気で
物事を理解する能力がないときに作成された遺言は、
公証役場で公証人が作成したとしても無効となります。
もちろん、自筆証書遺言でも、
物事を理解する能力がないのに作成した場合は無効となります。

したがって、
遺言を書く人が脳梗塞や認知症の可能性がある場合は、
物事を理解する能力があること、
即ち遺言書を書く能力があるという診断書を
かかりつけの医師に書いてもらっておく必要があります。

逆に、遺言書は無効だと争う場合は、
遺言書を書いたときには、認知症や脳梗塞により
物事を理解する能力はなかったという診断書や診療録などを出してもらって、
遺言書が無効だと主張していくこととなります。
 
( 2012/12/18 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第16回 「終活」って知っていますか? 

テレビや新聞で、最近「終活」が取り上げられています。
「終活」というのは
人生の終わりに対する活動の略語のようです。
就職のための活動が
「就活」(しゅうかつ)と言われていたことから、
人生の終わりに対する活動も
「就活」に引っ掛けて「終活」と名付けられたようです。

人生の終わりに関する活動には、
自分のお墓や葬儀の内容を自分で決めておくなどの他に、
家族に対するメッセージを残す、
自分の人生を振り返る、
残された人生で何をしたいかなどを
「終活ノート」や「エンディングノート」に書くなどをするようです。

この「終活」は、弁護士と関係があります。
それは、自分の財産を
自分が死んだら誰にどれくらい譲るのかという遺言書を
書くことも含まれるからです。
遺言書では、お墓を誰名義として
誰が管理するのかを定めることもできますし、
葬儀や法事を誰が行うかを定めることもできます。
お墓を取得し、管理をし、葬儀や法事を行う人を
「祭祀財産承継者」と言います。

終活の一環として、
自分の財産を誰に相続させたいとか、
お墓や葬儀はどうしたいかなどを定めたいときは、
弁護士に相談してください。
遺言書は、法律で定められた形にしないと、
せっかく書いても無効となってしまう可能性があります。
それに、法律の知識のないみなさんが
自分が思っている遺言書の内容をそのまま書くと、
後で残された家族が
遺産に関して争う可能性がある遺言と
なってしまうかもしれません。

だから、遺言書を書いたときには、
法律上有効になるのか、
また今考えている遺言書だと
残された家族はどういう内容で争う可能性があるのか
弁護士に確認した方が良いと思います。
 
 

( 2012/12/11 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第15回 弁済猶予法が来年3月で終了します 

弁済猶予法(正しくは「中小企業者等に対する
金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」と言い
「中小企業金融円滑化法」とも言います)が、
来年3月に終了します。

この法律は、どういう法律かというと、
個人の住宅ローンや中小企業の借金の支払いについて、
銀行などの金融機関に、
支払が苦しいので返済金額を少なくして欲しいという
要望があったときには、
金融機関はこれに応じなければならないというものでした。
その結果、
契約上は元本と利息を返済しなければならないところ、
利息だけ支払って何とか経営を続けている
中小企業は多くなりました。

ところが、この弁済猶予法が
来年3月で終了してしまうのですから、
これまで弁済猶予法の適用により
毎月の返済額が少なかった中小企業も、
来年4月からは、
返済額を増やしていかなければならなくなるわけです。

中小企業の業績が上がっていれば
返済額の上乗せは可能でしょうが、
業績が上がっていない企業は、
この弁済猶予法が終了した時点で
銀行からの借入は支払えないということに
なってしまいます。

普通に考えれば、来年の4月以降は、
中小企業の倒産が増えることが予想されます。
弁済猶予法により
現在弁済額を減らしてもらっている中小企業は、
来年4月以降金融機関への返済をどうするか、
金融機関への返済だけでなく、
企業経営全体をどう再建していくかなどを
今から検討していかないと、
来年4月以降に倒産ということにもなりかねません。
場合によっては、
民事再生法の適用による再建手続きも
視野に入れて検討することが必要だと考えます。
( 2012/12/04 00:00 ) Category 借金 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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