弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第27回 ペニーオークションを勧めた芸能人の責任 

新聞報道などによりますと、
入札の度に手数料がかかるインターネットオークションサイト、
いわゆる「ペニーオークション」を巡る詐欺事件で、警察は、
実際にはオークションに参加して落札していないにもかかわらず、
ブログに「格安で商品を落札できた」などと
虚偽の書き込みをしていたほしのあきさんらタレントについて、
立件しないと決めたそうです。

詐欺罪が成立するためには、
初めから自分が約束を果たせないとわかっていながら、
虚偽の約束をして、お金を払わせたりして
財産を取得することが必要です。
この点、役員が詐欺罪で逮捕された
「ペニーオークション」運営会社では、
手数料を支払ってもオークションの参加者は
落札できない仕組みにしていたにもかかわらず、
激安で落札できるとして、オークション参加者を募り、
手数料を払わせていたということですから、
詐欺罪に該当することは明らかです。

さて、お金を払って頼まれて、
オークションに参加して落札もしていないのに、
激安で落札したと嘘をブログで書いて、
ペニーオークションを勧めてしまった
芸能人についてはどうでしょうか。

芸能人は、オークションの参加者から
手数料を受け取っているわけではないので、
オークションへの参加を勧めることにより、
詐欺をやりやすくしたという
詐欺の共犯(幇助(ほうじょ)罪)が
成立かということが問題となったわけです。

一般の方は、
嘘をついたら詐欺になると思っている人が多いと思います。
しかし、前記のとおり、
詐欺罪が成立するためには、芸能人が、
ペニーオークションではオークションの参加者が
格安で商品を落札することができないということを
知っていながら勧める必要があります。

一般に、ペニーオークションサイトが
最初から落札できない詐欺のサイトであるということは、
会社内部の人間でないとわからないでしょうし、
芸能人は、お金をもらって
単に宣伝してあげればよいと思ったのでしょうから、
オークションサイトのシステムまでは知る必要もないし
知らないでしょう。
以上のような事情で、
詐欺罪の共犯(幇助罪)は成立しないと
警察が判断したわけです。

以上は、刑事責任の問題ですが、
民事の賠償責任は、故意がなくても、
過失(不注意)があれば責任が成立する場合があるので、
芸能人が、ペニーオークションが詐欺だと知らなくても、
責任が成立する場合もあります。
( 2013/02/26 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第26回 「別れさせ屋」が別れさせられなかったら? 

朝日新聞によると、
自ら、いわゆる「別れさせ屋」に依頼した人が
「別れさせ屋」との契約が「公序良俗」に違反し無効だから、
「別れさせ屋」に支払ったお金や金利などの
賠償を求めて訴訟を起こしたそうです。

ここで、「公序良俗」に違反するというのは、
簡単に説明することは難しいのですが、
みなさんにわかりやすく言うとすると、
社会的に許されない、という意味です。

法律(民法90条)は、社会的に許されない契約を
「公序良俗」に違反するから無効としています。
よく例として挙げられるのは、愛人契約などです。
そこで、今回のケースでは、
まず、「別れさせ屋」との契約が、
社会的に許されないのかということが問題となります。

別れさせ屋が、
交際している女性がいながら
他の女性と交際している男性に対し、
二重に交際することは良くないことだと
説得して別れさせるのであれば
社会的に許されないとは言えないでしょう。
しかし、今回のケースでも
依頼者が自ら主張しているとおり、
「別れさせ屋」は男性を好きでもない女性を近づけるなどして
男性の恋愛感情を意図的に操作することを
仕事として行うわけです。
実際の裁判でどう判断されるかわかりませんが、
社会的に許されない、と判断される可能性があると思います。

では、「別れさせ屋」との契約が無効だとすれば、
今回のケースで依頼者は、お金を返してもらえそうですが、
そうとは限りません。
法律(民法708条)は、
社会的に許されない契約に基づいて支払ったお金は
返還請求ができないとされているからです。
これを「不法原因給付」と言います。

過去の判例では、
裏口入学の依頼のために払ったお金の返還を求めたケースで、
やはり不法原因給付に当たるので
返還請求は認められない、とされています。

依頼したけれども、実際には何も動いた様子もなく、
別れさせることができなかったことから、
何も仕事をしていないのだから、
お金を返せということなのでしょうが、
依頼者自ら、「別れさせ屋」との契約が
社会的に許されない契約だと言ってしまっているのですから、
判決になると、「不法原因給付」として
返還請求は認められないということになりそうです。
今回の請求は、返還請求ではなく、
賠償請求という形を取っていますが、
同じ理屈で、認められない可能性が高いと思われます。
( 2013/02/19 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第25回 子供のいない人は遺言を書いてください 

子供のいない夫婦の方が増えているようです。
みなさん、遺産争いと言えば、
子供同士が親の遺産について取り合いをする
というイメージを持っているかもしれません。
だから、子供のいない夫婦では相続争いなど全く問題にならない
と思われている方が多いと思います。
しかし、子供がいない夫婦の方のケースでも
相続争いの問題は発生しやすいのです。 
それは、以下説明する理由によります。

人が亡くなった場合、他方の夫婦(配偶者)は、
必ず相続人になります。
子供がいない場合、相続人が配偶者だけなら、
例えば、夫が亡くなった場合妻だけが相続人となるのであれば、
相続争いの問題は生じません。
しかし、民法は、夫婦に子供がいない場合、
配偶者の両親、
配偶者の両親がいなくなっていた場合は配偶者の兄弟、
配偶者の兄弟も亡くなっていた場合は配偶者の兄弟の子供、
即ち、配偶者の甥、姪が相続人となるのです。
そこで、相続争いが生じてしまうのです。

具体例で説明します。
妻Yの夫Aが亡くなって、
夫の両親はいないけれども夫の兄Xがいるとします。
このケースでは、妻Yと夫の兄Xが相続人となります。
相続割合は、妻Yが4分の3、兄Xが4分の1です。
遺産が家(土地建物)4000万円と預金1000万円だったとしましょう。
これを妻Yさんが全部相続できれば、
家はあるし、1000万円の預金があるので、
年金と合わせれば何とか生活して行けそうです。

しかし、法律に従うと、このケースで、
兄Xは、4分の1の1250万円遺産から受け取れることとなります。
とすると、妻のYは、
夫婦で貯めた預金1000万円を全部失った上に、
最悪の場合、家を売って、
不足分250万円を工面しなければなりません。
そうなると、急に妻Yの老後の生活は危うくなってきます。
そこで、妻Yは夫婦で築いた財産なので渡したくない、
兄Xは法律で認められた相続分があるのだから遺産を渡してほしい
ということで相続争いとなってしまうのです。
裁判所で争うと、兄Xの主張が認められる可能性が高く、
妻Yの生活は厳しくなってしまいそうです。

このように夫Aが何もしないで死んでしまうと、
長年連れ添った妻を思わぬ苦境に陥れる可能性があります。
しかし、これを避ける方法があります。
それが遺言書です。
「全部の遺産を妻Yに相続させる」という遺言を書くと、
兄Xには遺留分がないので、
妻Yが全部の遺産を相続することが可能となります。

子供のいない夫婦の方は、
残された配偶者が思わぬ相続争いに巻き込まれないためにも、
互いに遺言書を書いておくことをお勧めします。
( 2013/02/12 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第24回 アサヒ芸能から取材を受けました 

元プロ野球選手でタレントの坂東英二氏が
役員を務めている番組製作会社が
所得隠ししたというニュースは、
みなさん、ご存知かもしれません。
その件で、アサヒ芸能という雑誌から取材を受け、
コメントをしました。
今週号のアサヒ芸能に掲載される予定ですので、
興味のある方はご覧ください。

税金は、誰でも払いたくないものだとは思います。
汗水垂らして苦労して稼いだお金に対し、
国は形式的にパーセンテージをかけて、
税金として持って行くからです。
高額所得者にとっては
なおさら払いたくないという
気持ちが起きるのもわかります。

しかし、偽装工作などの不正行為により、
その支払いを免れようとするのは、脱税という犯罪となり,
10年以下の懲役刑又は1000万円以下の罰金刑が
科される可能性があります。
やってはいけないということは言うまでもありません。 

税金については、もちろん税理士の仕事ですが、
税金がかかるのか、かからないのかについて国と争ったり、
払い過ぎた税金の返還を求めたりすることは、
弁護士の仕事です。
また、脱税は刑事事件なので
これを弁護するのも弁護士の仕事ということになります。
裁判で、相手との和解などで、
土地などの資産を移動する場合には
税金がかかる場合が多いです。
この点、気にせずに話を進めてしまい、
後で予想もしない税金がかけられてしまうということも
少なくありません。
僕は、なるべくこれは税金がかかるかもしれないから
税理士に相談した方が良いとアドバイスすることにしています。

みなさんには、このように税金問題にも
弁護士がかかわってくるということを
知っていただきたいと思います。
( 2013/02/05 00:00 ) Category 税金 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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