弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第31回 弁護士が消費者金融と密約? 

朝日新聞によると、
全国展開する消費者金融業者と、
過払金の返還請求を主に扱う
大都市の弁護士や司法書士事務所などが
包括的和解などと呼ばれる協定(密約)を結んでいたそうです。

どういう内容か簡単に説明します。

過払返還請求を主に取り扱う弁護士は、
借金を分割払いにしてもらう
いわゆる「債務整理」の仕事を多数取り扱っています。
そして、その中に、借金の返済をする際に、
消費者金融に対し法定の利息を超えた利息を払い続けた結果、
過払金が戻ってくるケースがあります。

協定の内容は、
①残った借金については金利免除や分割払いを認める代わりに、
②過払金は9割から5割カットする、
即ち、1割から5割しか請求できなくなるということのようです。

一人の債務者が一つの消費者金融に対し、
借金が残る一方で過払い金も請求できるなんてありえません。
したがって、債務整理を大量に取り扱う弁護士が、
業務を効率的に行えるというメリットがあります。
他方、消費者金融側は、
過払金の返還を減額できるメリットがあります。

弁護士会では債務整理の1つの基準として、
借金の支払いは、
利息免除と3年くらいの分割払いとしていますので、
通常の弁護士はその基準で和解できるよう
消費者金融と交渉しています。
ただ、最近は
消費者金融側もなかなか利息免除に応じないので、
弁護士側も交渉に苦労するところも多いです。

過払金については、
個々の消費者金融の支払能力により、
10割全額で和解する場合もあるし、
8割で和解する場合もあるし、
5割や1割で和解する場合もあります。
しかし、貸付を行っている消費者金融は
一般的に支払能力があると思われるので、
費用労力時間をかけるのが嫌であれば、
8割くらいで和解することもあるでしょうが、
訴訟をして、10割の和解をする、
あるいは預金の差押えなどをして
全額回収することを目指すことが多いのではないでしょうか。

そう考えると、
今回消費者金融名が明らかになっていませんが、
今回の協定は事実だとすれば、
消費者金融側にかなり有利な内容となっているので、
弁護士としては依頼者の利益よりも、
事務所の事務処理を優先しており
問題があるような気がします。
 
( 2013/03/26 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第30回 アイスクリームで転倒事故でショッピングセンターに賠償責任 

報道によると、
75歳の女性がショッピングセンターで
落ちていたアイスクリームで足を滑らせて転倒し、
ケガを負ったとして、
ショッピングセンターを経営していた会社を訴えて、
860万円の損害賠償請求が認められたようです。

詳しい判決の中身は、
なかなか報道されないのでわかりませんが、
一般的に、ショッピングセンターの運営会社は、
お客が安全に買い物をできるようにしておく義務があります。
アイスが落ちていたら、
それで足を滑らせてお客が転ぶことは予想できるので、
ショッピングセンターは、それを防止する義務があったと
裁判所は判断したと推測されます。

報道によれば、裁判所は、
「転倒はアイスで足を滑らせたことによると推認できる」とし、
「店側は巡回を強化するなどして
アイスが落下した状況を生じさせないようにすべき義務を負っていた」
としたそうです。
しかし、報道では、
アイスがどのような状態で落ちていて、
女性がそのアイスによりどのようにして転倒して
ケガをしたのかという状況が不明です。
通常、目の前にアイスが落ちているとわかっていれば、
そこを避けて通ると思います。
だから、一般人から見て
アイスが落ちているとはわかりにくく
踏んでしまいやすい状況で落ちていたのであれば
ショッピングセンターに責任が認められる可能性が出てきますが、
誰からもアイスが落ちているとわかり
それを踏むのは避けるという状況であれば
ショッピングセンターに責任はない可能性があります。
また、アイスが落ちていないか
始終ショッピングセンターの全ての場所を
監視することは不可能なので、
アイスの落ちやすい場所、
あるいは人通りの多い場所なのに、
長期間アイス等が落ちて危険な状態になっていないかを
確認していなかったということであれば、
ショッピングセンターの責任が認められる可能性があります。
逆に定期的に監視していたけれども
その間を縫って本件事故が起きたということであれば
ショッピングセンターの責任は認められないということになりそうです。

これらについて、
裁判ではどのように争われたのかはわかりませんが、
結果的には、
ショッピングセンターに落ちていたアイスで
足を滑らせてケガをしたお客に対し
ショッピングセンターの賠償責任が認められるという
珍しい判決が出たので、取り上げてみました。

多数の人が出入りする施設を運営する側は
注意が必要ですね。
( 2013/03/19 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第29回 安愚楽牧場出資者が海江田民主党代表を提訴! 

多額の出資金を集めて破産した
安愚楽牧場に対する出資者が
海江田民主党代表を提訴したそうです。

安愚楽牧場は、
出資者からお金を出資してもらって和牛を購入してもらい、
それを育てる委託を受けて、
和牛が育ったらそれを売却し、
出資者は利益を得るという
いわゆる和牛商法を営んでいました。

これについて、海江田氏は、
「実質金利は9%になり
利益は申込時に確定していてリスクはゼロ」などと
雑誌の記事や著書で勧めていたそうです。
その勧めに応じて出資したところ、
安愚楽牧場は破産して損害を被ったので
損害を賠償してほしい、というのが
出資者の主張のようです。

安愚楽牧場の破産原因が何かは
正確なところはわかりません。
原発事故による風評被害による破産だとすれば、
20年間も継続したことを考えれば
責任は無いような気もします。
しかし、もともとのビジネスモデルが無理で、
20年間は継続したけれども
もともといつ破たんしてもおかしくなかったということだと
責任は出てくるかもしれません。

海江田氏は、
安愚楽牧場から報酬を受け取っていないと
主張しているようです。
この点も、ポイントの1つで、
無償で、自分が良い商品だと思うと
意見を言っていただけだとすれば、
それを信じるか信じないかは受け取り手の自由であって
責任は負わないということになると思います。
そうでなければ、言論の自由は無くなってしまいます。
しかし、海江田氏が何らかの便宜を受けて
安愚楽牧場の宣伝をしていたとすれば、
海江田氏が有名な経済評論家でしたから、
その影響力から会社のビジネスモデルを調査した上で
勧める義務があったとして
何らかの責任を認められる可能性が出てきます。

裁判でどうなるかは、具体的な事情によるので
裁判が進んでみないことにはわかりません。
どうなることでしょうか。

しかし、実質年利9%で20年間経営が継続していれば
180%の配当や利益を得たこととなるので、
元本がゼロになったとしても
損をした人はいないはずなのですが。
海江田氏が勧めた時期からかなり年月が経過して
出資したということなのでしょうか。
それとも年利9%で回らなかったということでしょうか。
この辺も争点になってきます。
( 2013/03/12 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第28回 モンスターペアレント裁判は教師が敗訴 

みなさん、
教師に対し、常識を外れたクレームをつける生徒の保護者が
モンスターペアレントと呼ばれているのはご存じのことだと思います。

教師が、モンスターペアレントの常識を超えたクレームにより
不眠症になったとして、
生徒の保護者を訴えた裁判をご存知でしょうか。
この度、その裁判で判決が出ました。

判決の内容の詳細がわからないので、
新聞などの報道を前提にお話します。

裁判の結果は、教師側の敗訴です。
報道の内容では、
教師は、生徒の保護者が連絡帳に
「悪魔のような先生」などと
教師へ批判する内容の記載をしたことが
連絡帳は他の教師なども見ることから、
名誉棄損に当たるなどと主張していたようです。

これに対し、裁判所は、学校関係者が見たとしても
それは守秘義務を負う学校関係者なので
第三者に広まっていく可能性が低いことから
名誉棄損の前提である不特定または多数人の前で行うという
要件を満たしていないと判断して
教師の請求を認めなかったようです。

また、保護者の行為に
配慮に欠ける点や不注意な点があったとしても
損害賠償を認めるほどのことではないと
判断されたようです。

詳しい事実関係や裁判の双方の主張や証拠がわからないので
何とも言えない部分も多いのですが、
教師が生徒の保護者を訴えた
前代未聞のモンスターペアレント裁判と騒がれた割には、
保護者のどこが常識を外れたクレームだったのか
報道を見てもよくわからず、
かえって、報道によれば、
連絡帳の記載が不特定または多数の前で行ったと言えるかという、
モンスターペアレント裁判の本質とは
外れた点が争点となって敗訴しているようで、
教師の主張の立て方がどうだったのかと思わせるような内容でした。
(あくまでも、報道からの推測です。)

また、裁判所は、教育現場の問題で
学校や教育委員会と保護者が話し合って解決することが
望ましいと言っているようなので、
学校や教師の対応が不十分だったのかもしれません。
そうだとすれば、
自分の対応の不十分さを棚に上げて
教師が保護者に対し前代未聞の裁判を
起こしたということになります。

前代未聞の裁判で、このような結果になっては
教師は立つ瀬がないと思うので、
普通なら教師は控訴するとは思いますが、
どうなりますでしょうか。

今後は、このような案件では、
将来裁判になることも踏まえて、
トラブルの発生時点から
教師や学校は保護者のクレームに対し、
きちんと対応し説明していることから
普通なら教師の行った行為が正当だと理解できるはずなのに、
保護者は時間や回数、頻度、方法において
常軌を逸したクレームをしてきたと
主張立証できるようにしておく必要があると思います。

そうでないと、たとえ事実があったとしても
後から証明することはなかなか難しいです。

( 2013/03/05 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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