弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第36回 弁護士への遺言は無効 

先日、
弁護士への遺言は、認知症によるもので無効だという
判決が出ました。

事案は次のとおりです。
呉服店を経営していた女性(当時86歳)が、
店の経営移譲や遺産相続などを弁護士に相談していて、
最終的には、
「私の遺産は後のことをすべてお任せしている弁護士に遺贈します」
という遺言書を書いていたようです。
その遺産の額が何と合計5億円だったそうです。

通常、遺言は
親族に遺産をあげるために書くものですが、
子供などの身寄りがない場合は、相続人がいないこととなり、
遺産を国に取られることになってしまいますから、
誰か知り合いにあげるという遺言を
書いておいた方がいいわけです。

遺産は国にあげてもいいという方は
身寄りがなくても遺言を書く必要はありません。

前述の判決のケースでは、
女性には姪っ子がいたようです。
それにもかかわらず、
赤の他人である弁護士に
全遺産を贈与することはおかしいと、
裁判官は判断したようでした。
弁護士に全遺産(約5億円)を贈与すると言われるとは
何ともうらやましい話ではあります。

しかし、
店の経営移譲や遺産相続の相談に乗っていて、
相談に乗っている弁護士が贈与を受けてしまうのは、
弁護士法で禁止されている係争物の譲り受け、
あるいは、利益相反行為に該当する可能性もあり、
弁護士としては、なかなかもらいにくいです。

裁判のケースでは
その遺言は女性が自発的に書いたのか
弁護士が認知症に乗じて書かせたのかわかりません。
しかし、結果的には
判決は、認知症に基づく遺言だから無効だとしています。
なかなかそんなにうまい話はないということです。

みなさんには
認知症に基づく遺言は無効だということを
知っておいてほしいです。
( 2013/04/30 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第35回 法律相談もコンピューターがやるようになるか? 

みなさん、ご存じかどうかわかりませんが、
コンピューターソフトが
将棋のプロ棋士に団体戦で勝ちました。
しかも、将棋のプロ棋士で最高ランクのA級の棋士も、
コンピューターソフトに負けてしまいました。
将棋は、多数の駒を、こちらがこうしたら、
相手がこうすると先を考えながら進めて、
相手の王を詰むという複雑なゲームです。

これまでは、コンピューターソフトは
全然プロ棋士の相手ではありませんでしたが、
最近のコンピューターの性能とソフトの進歩により、
プロ棋士の中でもA級棋士に勝つところまで来ました。

よく考えてみれば、
今でも複雑な金融取引や
天文学や物理学の計算や予測については、
人ではなくコンピューターがやっているので、
当然と言えば当然なのかもしれません。

そこで、自分のしている弁護士という仕事が
コンピューターにできるか考えてみました。

弁護士の仕事は
法律判例に基づき論理的に導かれる結論を出す、
あるいは、
証拠や証言に基づき事実認定をするということなので
コンピューターが得意とする分野のような気がします。

事実関係が明確であれば、
法律と過去の判例から
請求が認められるかどうかの判断は、
コンピューターにもできそうです。
特に、遺産分割など特定の分野に限定すれば
できそうな気がします。

しかし、依頼者は、法律を知りませんし、
勘違いもするし、矛盾する話もします。
これらの依頼者の話の中から、
法律判断に必要な事実や証拠を聞きだし、
矛盾を訂正したりして、
事実関係を把握するということは、
コンピューターには難しいのかなと思います。

また、法律相談には、
依頼者の悩みを聞くという側面もありますから、
請求が認められるとか認められないという
結論だけを出せばよいというものではない場合もあります。
それもコンピューターには難しいと思います。

弁護士の仕事をコンピューターでできるか
という研究をしている人がいるかどうかわかりませんが、
今のところなかなか難しそうです。

しかし、30年前は、将棋のプロ棋士も、
コンピューターが将棋を指すなんてとても無理
と言っていたのですから、
30年後に、コンピューターによる法律相談が
行われてもおかしくないかもしれませんね。

個人的に興味がありますので、
コンピューターで法律相談等弁護士の仕事ができるか
研究している方で
コンピューターは今の段階ではこれくらいとか、
もっと進んでいるとかご意見があれば
下記アドレスまでメールをいただければ幸いです。

takashima@takashimalaw.com
( 2013/04/23 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第34回 中小企業の借金問題解決に国が支援! 

今年(平成25年3月)で、
いわゆる弁済猶予法が終了しました。
弁済猶予法は、別名「中小企業金融円滑化法」といって
中小企業が借金の返済が苦しい場合は、
金融機関はその返済に協力するよう努力する義務を
定めた法律です。
この法律によりリーマンショック後の不況において、
経営が苦しい中小企業は利息の支払いのみで
お金を借り続けることができました。

しかし、それでは、
単に経営の苦しい中小企業の倒産を引き延ばしているだけで
状況はいつまでも変わらないという批判が出たことから、
弁済猶予法は終了することとなったのです。

ただ、弁済猶予法を終了させるだけでは、
経営の苦しい中小企業の倒産が続発し、
日本経済に打撃を与えることとなってしまいます。
そこで、政府は、中小企業の経営を改善するために、
多額のお金を用意しました。

例えば、借金問題で苦しんでいる中小企業には、
中小企業が専門家に依頼して
企業再生のための経営改善計画を作成する費用の3分の2を
国が補助してくれる制度があります。

通常は、企業再生のための弁護士費用は、
自ら準備しなければなりません。
しかし、国から認定された
認定支援機関となっている弁護士に依頼するのであれば、
その費用の3分の2は国が補助してくれるというのですから、
これを利用しないのはもったいないです。
ちなみに、僕は、この認定支援機関の認定を受けています。

その他にも、
新たな事業活動や新技術の開発、
事業の海外展開する場合に必要な資金や
中小企業が連携して事業活動を行うための資金などについて
補助金を出すなどして支援することとなっています。

詳しくは、中小企業庁のホームページ
(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/index.html)
をご覧いただくか、
国の認定支援機関にご相談ください。
僕も認定支援機関となっていますので、
僕に相談していただいても結構です。

( 2013/04/16 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第33回 タレントの詐欺・恐喝未遂事件有罪確定PartⅡ 

上告が棄却され、
第一審では無罪になったタレントの詐欺・恐喝未遂事件の
有罪判決が確定したことは前回お話したとおりです。
弁護士としていろいろ気になることがある事件なので
今回も取り上げることとしました。

さて、この事件は、
恐喝未遂現場に弁護士が立ち会っていたにもかかわらず、
恐喝未遂という犯罪が行われてしまいました。
弁護士の前ではそのようなことは普通しないし、
同行者がそのようなことをすれば、
弁護士はそのような行為を止めるはずです。

しかし、判決では、
ホテルのラウンジで、いくつかのテーブルがあって、
弁護士がいたテーブルと少し離れたテーブルで、
脅しが行われたと認定されました。
脅したのは、
当事者であるタレントではない同行者でした。

判決の中では、
脅した者の供述の中に
被害者が納得しなくても、無理やりサインさせても
弁護士が来るから何とでも言い逃れができる
というものがあったようなので
最初から
弁護士がいれば脅迫や恐喝にはならないだろうと
計算されていたようです。
弁護士を利用しようと考えていたようです。

当事者同士が顔を合わせて交渉することは
トラブルになりやすいことから
弁護士はなるべく避けるようにします。

今回のケースはどういうわけか
当事者であるタレントは立ち会わず、
タレントの関係者が弁護士に同行し
恐喝未遂を行っています。

弁護士としては、
トラブルを大きくしないよう
直接交渉する場に当事者や関係者を同行するときは
気を付けなければいけないなと思いました。
( 2013/04/09 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第32回 タレントの詐欺・恐喝未遂確定 

報道によりますと、
タレントの詐欺罪及び恐喝未遂罪についての刑事裁判は、
タレントの上告が棄却され、
詐欺罪、恐喝未遂罪の有罪判決が確定しました。

この事件は、
タレントが安い金額で購入した株を高い金額で購入したと装って
株式代金などの名目で
3億7000万円を騙し取ったという詐欺事件と、
タレントがこの3億7000万円と貸付金の返済で
合計4億円の返済を請求されていたところ、
元ボクシング世界チャンピオンなどと共謀して
被害者を脅して3億9000万円を免除させて
1000万円を支払うことで解決しようとしたところ
未遂に終わったという恐喝未遂事件です。

この事件は、
恐喝未遂の現場にタレントの弁護士がいたにもかかわらず、
その場で恐喝未遂がなされたこと、
恐喝未遂の現場にはタレントはいなかったにもかかわらず、
タレントに恐喝未遂が認められたこと、
「被害者は最初から株の金額が安い金額だと知っていた」という
証人が現れ、
一度はタレントも元世界チャンピオンも無罪になったけれども、
その証人が偽証罪に問われ、有罪となったことなどから、
注目すべき点がたくさんある事件でした。

今回最高裁が
タレントと元世界チャンピオンの上告を棄却したことから
彼らの有罪判決が確定しました。

彼らの無罪判決のよりどころであった
証人の証言が信用できないとされただけでなく、
証人は偽証罪で有罪とされてしまいました。

みなさん、
裁判で相手や証人が少しでも事実と違うことを証言すると
すぐに偽証罪にならないかと聞いてきます。
しかし、裁判では
自分の記憶に従って証言すれば偽証罪にはなりません。
また、偽証罪は証人のみで、
裁判の当事者である本人は偽証罪の対象とはなっていません。
だから、偽証罪で有罪になるということは、
実際上はあまりないのです。

ところが、タレントに有利な証言をした証人は、
タレントと顔見知り程度と証言したにもかかわらず、
タレントと親密な関係にあり、
タレントに、タレントのことを応援するメールを送っていたこと、
裁判で重要な株の金額について
証人が東京銀座で聞いたと証言している時期には
証人は沖縄で仕事をしていたので、東京には頻繁に来られず、
そのようなことを聞いたり話したりすることはないことなどから、
タレントを有利にするために
自分の記憶と異なる嘘の証言をしたとして
偽証罪が認められたのです。

家族ぐるみの付き合いがあるほどだったにもかかわらず、
自分の証言の信用性を高めるために
顔見知り程度と言ってしまったのは
かなり心証は悪かったと思います。

もともとタレントを有利にするために
覚悟の上で嘘の証言をするつもりだったのであれば、
自分の証言を信用してもらうために
顔見知り程度と嘘の証言することは仕方がありませんが。

今回のケースは、
証人の証言が無罪の決め手となってしまったこと、
証人を調べたら明らかに証言が嘘だとわかったことなどから、
証人が偽証罪に問われたのだと思います。
偽証罪はなかなか罪に問われることはないのですが、
今後は、偽証罪に問われることも増えてくるかもしれないので
証人となろうとする人は注意が必要です。
もちろん、嘘の証言をしないのであれば
注意する必要はありません。
( 2013/04/02 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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