弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第44回 従業員のアルバイトを理由に解雇できるか 

大阪の女性教師が風俗店でアルバイトをしていたこと、
大分市の女性職員が
顧客の隣でお酒を注ぐラウンジで働いていたことが
続けて報道され、
公務員のアルバイトが話題になっています。

公務員のアルバイトは、
国家公務員法、地方公務員法で、禁止されています。
しかし、一般の会社の従業員のアルバイトは、
法律では禁止されていません。
この点、誤解している経営者の方が多いようで、
従業員がアルバイトをしていたら、
その従業員をクビにできると思っているようです。
しかし、
従業員のアルバイトを禁じる法律はありませんから、
雇用契約、あるいは就業規則で
従業員のアルバイトを禁止していなければ、
そもそも、従業員に対し
アルバイトをするなと言えないこととなります。

では、就業規則や雇用契約でアルバイトを禁止していれば、
アルバイトをした従業員を直ちに解雇できるかというと、
そういうわけでもありません。

雇用主である企業が
従業員のアルバイトを禁止できる理由は、
従業員がアルバイトをすると
①肉体的、精神的に、本業に集中できなくなり
 本業に支障が出るおそれがあること、
②アルバイト先が本業と協業関係にあると、
 企業秘密などがアルバイトに利用され
 あるいは流出する可能性があること、
 または、アルバイト先が儲かり
 本業の勤務先が儲からないという相反関係にあること
③従業員のアルバイトの職種によっては
 雇用主である企業のイメージや社会的信頼が損なわれること
にあります。

逆に言うと、
これらのおそれがなければ、
従業員がアルバイトをしても、
企業は雇用契約や就業規則に違反していても、
解雇することはできません。

特に、従業員が本業の給料だけでは生活が苦しいという場合、
アルバイトを理由に解雇するのはなかなか難しいと思います。
 
  
( 2013/06/25 09:15 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第43回 利息の上限は決まっています 

お金を貸したときに、
利息を決めておけば利息を取ることができます。
お金を100万円貸して、
1年後に返済するときまでの利息は10万円とすれば、
年利10%ということになります。

しかし、利息には、利息制限法と言って、
利息の上限を定めている法律があります。

利息制限法によれば、
元本が10万円未満の場合で年利20%
元本が10万円以上100万円未満の場合が年利18%
元本が100万円以上の場合が年利15%
となっており、これを超える利息は無効となります。

先ほどの例では、年利10%だったので、
利息制限法の範囲内ということになります。
しかし、例えば、
100万円を1か月後に返済するという約束で貸した場合に、
利息は10万円払うとすると、
年利にすると年利120%ということになってしまいます。
元本が100万円以上の場合は、
年利は15%までとされているので、
返済期日を1か月後だとすると
約1万2500円しか利息は取れないこととなります。

個人でお金を貸すときは、
短期でお金を貸すことが多いと思いますが、
短期で貸す場合は、年利に直すと、
利息制限法に違反してしまうケースが多いので注意が必要です。

ちなみに、
100万円を貸して1か月後に10万円の利息を払うという
先ほどの年利120%のケースは、
出資法という法律にも違反することとなってしまいます。
出資法で定める利息に違反すると
刑罰を科せられることとなります。
また、出資法で定める利息に違反するお金の貸し借りは、
暴利行為として、公序良俗に違反し、無効とされ、
お金を借りた方に
元本さえも返済義務がないとされる可能性もあります。

たかが利息ですが注意が必要です。
( 2013/06/18 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第42回 会社の株を会社に買い取ってもらえるか 

会社の役員や従業員を辞めるから、あるいは、
株を持っていても仕方がないから、などという理由で、
会社に株を買い取ってもらいたいという相談を受けることは
少なくありません。

しかし、法律上、
会社に株を買い取るよう請求できる場合は限られていて、
会社の役員や従業員を辞めるから、という理由では
会社に株の買い取りを要求する権利はありません。
ましてや、
会社の株を持っていても仕方がないという理由では、
会社に株の買い取りを請求する権利もありません。

会社に株を買い取ってもらえる場合は、
主に次のようなケースです。
①株式に譲渡制限がなかったのに
 定款変更により譲渡制限が設けられた場合
②会社が事業の譲渡をする場合
③会社が合併する場合
④種類株については、買い取り請求がある場合もありますが、
 普通の会社では種類株は発行されていませんし、
 ちょっと複雑で簡単に説明しにくいので説明を省きます。

ただ、前記事情が発生したからといって、
全員に株式買取請求権が発生するわけではありません。
上記例のように、
譲渡制限の設定や事業譲渡、合併の際に、
株主が株式買取請求権を取得するのは、
事前に反対を会社に通知し、かつ、
株主総会で反対した場合だけです。

事前に反対する旨の通知を
会社に送らなかった株主は
株主総会で反対をしても
株式買取請求権を行使できませんし、
事前に反対する旨の通知を送っていたのに
株主総会で反対の決議をしなかった株主も、
株式買取請求権は行使できないこととなります。
注意しましょう。

また、譲渡制限の設定、営業譲渡、合併などの
効力が生じる20日前から前日までの間に
株式買取請求権を行使しなければなりません。
この点も注意が必要です。
( 2013/06/11 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第41回 遺言に書かれた相続人が死亡していたら? 

相続が発生したときに揉めないようにするには
遺言書を書くことだと弁護士はよく言います。
では、遺言書を書いてあったけれども、
遺言書に書かれた相続人が
遺言者よりも先に死亡していた場合はどうなるでしょうか。
相続人に子供がいた場合は、
その子供が相続するのでしょうか。

具体例で説明すると、Xには、子供ABCがいて、
妻Yは先に亡くなってしまいました。
Xは、Aに遺産を全部相続させるという遺言を書いていましたが、
Xが死亡する直前に
長男Aが交通事故で亡くなってしまいました。
Aには息子Pがいます。
このときに、Xの遺言書は無効になってしまい、
Aの息子PとBCが相続人となり、
遺産分割協議を行うのか、
それとも、遺言により
Aの代わりにPが全遺産を相続するのか、という問題です。

通常の相続の場合は、
代襲相続と言って、
Xが死亡した時点でAが先に死亡していた場合には
Aの息子Pが相続人となります。

そこで、上記ケースでの判例は分かれていました。

しかし、最高裁は、
上記のケースでは、原則として遺言は無効となり、
Aの息子Pが全遺産を相続するのではなく、
Aの息子PとBCが法定相続分により相続し、
遺産分割協議を行うこととなるという結論を取りました。
理由は、遺言者は、
遺言に長男に相続させるとしか書いていないことから、
長男の子供に相続させる意思だったとは
考えられないということです。

したがって、遺言を書くときに、
例えば、長男に遺産全部を相続させて、
もしも、長男が先に亡くなっている場合は
長男の子供(孫)に相続させたいという希望があるときは、
そこまで遺言書に書く必要があります。
長男が先に亡くなっていた場合は
次男に全部相続させたいという場合も、
遺言書にその旨を書いておく必要があります。
( 2013/06/04 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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