弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第57回 死亡退職金は相続財産ではありません 

亡くなった方が、会社の役員をしていたり
従業員をしていたりした場合
亡くなって会社を辞めることになると
死亡退職金が出ることがあります。
この死亡退職金は、相続財産として
遺産分割の対象となると思いますか?

具体例で考えてみます。

Aさんが亡くなり、
後妻Xと前妻の子Yが相続することとなりました。

相続財産は、土地建物が5000万円
預金3000万円、株式など2000万円で、
合計1億円でした。

Aさんは、死亡時に会社の役員をしており
妻であるXが死亡退職金として
2000万円を受け取りました。

このとき、
死亡退職金が相続財産ならば
相続財産は合計で1億2000万円ですから、
XとYは、
6000万円ずつ相続するということとなります。

しかし、
死亡退職金が相続財産でないとすれば
相続財産は、合計1億円ですから
XとYは5000万円ずつ相続し、
Xはその他に死亡退職金を受け取ることができ
合計7000万円を
受け取ることができるということとなります。

判例上、
死亡退職金は、会社等の規程により支給されるもので、
必ずしも相続人に支給されるとは限らないことから
相続財産ではないとされています。

したがって、死亡退職金は、
相続人間で遺産分割の対象にはなりませんし、
相続人の1人だけ死亡退職金を受け取ったとしても
その分を他の相続人と調整したりする必要はないのです。

死亡退職金は、相続財産ではないことから、
戸籍上の妻がいたとしても、
会社等の規程によっては
実際上生活を共にしている
内縁の妻に支給される場合もあります。

また、死亡退職金を受け取ったとしても
相続財産ではないことから
相続を承認したことにはならず、
相続放棄は可能となります。
( 2013/09/24 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第56回 芸能人が暴力団のパーティーで歌 

みなさん、
以前、有名な芸能人が暴力団との交際が発覚し
芸能界を引退する事件が話題となったのを
覚えているでしょうか?

その事件に関連して話題になったのが
いわゆる「暴力団排除条例」です。

暴力団排除条例が施行される前は、
一般市民が知らないうちに暴力団に利益を与えてしまい、
罰せられたり、
銀行と取引ができなくなってしまったりするのではないかと
いろいろな話が錯綜していました。

実際に施行されてみると
警察もそんなに細かく摘発しているわけではなく
日常生活に支障は出ないばかりか、
最近は、話題とされることもあまりなくなっていました。

しかし、条例は無くなってはおらず、
やはり暴力団排除ということは
社会にとって必要なことですから
忘れてはいけないわけです。

今回、芸能人が暴力団パーティーで歌を歌ったことが
暴力団の活動を助長する
「利益供与行為」に該当する行為だとして
東京都公安委員会が
そのような行為を中止するよう
勧告をしたとの報道がありました。

パーティーに会費を支払って参加した
飲食店の経営者も利益供与にあたるとされ、
勧告がなされました。

最初に言ったとおり、
最近は、ほとんど話題になりませんが
暴力団との取引、あるいは暴力団の活動に参加することは
暴力団排除条例に違反する違法行為ですので、
注意してください。
( 2013/09/17 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第55回 婚外子も相続では平等になりました 

みなさん。
ある人が亡くなって、本妻の子と愛人の子がいた場合、
相続はどうなると思いますか?

Aさんが死亡して、
亡本妻(B)の子Xと愛人(C)の子Yがいて、
遺産が3億円あるというケースで、
遺産はどのように分けられるか考えます。

愛人の子は、
相続権がないと考えられた方もいるかもしれません。
しかし、これまでの民法でも
愛人の子にも相続権が認められていました。
では、本妻の子と愛人の子とは、
同じ子供だから相続分は平等かというと、
民法では、愛人の子は、
本妻の子の2分の1しか相続できないと規定されています。
そこで、この民法の規定によれば、
上記ケースでは、本妻の子Xは2億円、
愛人の子は1億円を相続するということになります。

しかし、同じ子供なのに、
親が結婚しているかどうかで相続分が異なるのは、
差別されており、
憲法の定める法の下の平等に反するのではないかと
裁判で争われました。

この規定は、
平成7年にも最高裁で争われたのですが、
そのときは、婚姻制度を尊重するためには、
子供の相続分に差があったとしても
法の下の平等には反しないということで合憲とされました。

それから、18年経過して、再度、最高裁で、
婚外子の相続分が婚姻した妻の子よりも少ないことが
法の下の平等に反し違憲かどうかが争われました。
今回の最高裁は、
婚外子が婚姻した妻の子よりも相続分が少ないことは
法の下の平等に反し違憲だと判断しました。
したがって、上記本妻の子Xと愛人の子Yの相続のケースでは、
XもYも1.5億円ずつ相続するということとなります。

今回の最高裁判決により、これから相続が起きた場合は、
愛人の子、あるいは、内縁関係の母親の子などの婚外子
(「非嫡出子」と言います)も、
本妻、即ち両親が戸籍上婚姻している母親の子
(「嫡出子」と言います)と
同じだけの相続分を主張することが可能です。

ただ、
もう遺産分割協議を成立させてしまっていた相続については
今回の最高裁判決の適用はないと最高裁が判断していることから、
非嫡出子の方が
遺産分割協議のやり直しを求めることは難しいとは思います。
しかし、現在遺産分割協議をしているけれども、
まだ遺産分割協議を成立させていない非嫡出子の方は、
最高裁判決に基づき、
これから平等の相続分を主張したら良いと思います。
( 2013/09/10 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第54回 患者紹介ビジネス 

朝日新聞に、
医師に患者を紹介するビジネスが流行しているという
記事が掲載されていました。
一般的には、
紹介業者が高齢者施設の患者をまとめて医師に紹介し、
医師は、その高齢者施設の患者に訪問診療をして、
医師に診療報酬が入ったら、診療報酬の一定割合
(新聞の例では2割、あるいは1人当たり1万5750円)を
医師が紹介業者に支払うというもののようです。

通常のビジネスでは、顧客を見つける、
あるいは獲得するということは重要なことで、
顧客を紹介してもらい紹介料を支払うということは
よくされていることでもあり、
法的にも規制はされていません。

これまで、
医師や病院を規制する法律(医師法、医療法等)にも、
患者の紹介に対し、対価(紹介料)を支払うことを
禁止している条項は無かったようです。
したがって、患者紹介ビジネスは、現在、合法です。

しかし、厚生労働省は、
患者を金で買う行為は不適切として
検討に乗り出したということのようなので、
いつまで、このビジネスが合法かは、わかりません。

これまで、このような患者の紹介が問題とならなかったのは、
医師が経済的に恵まれ、
紹介料を支払ってまで患者の紹介を受ける必要が
なかったからだと思います。 
しかし、今は、
医療費の削減が国家的な課題となっていますから、
全般的に診療報酬等が下げられており、
比較的診療報酬の高い訪問診療を、
医師が紹介料を支払ってでも
獲得したいような状況になったということだと推測されます。

比較的経済的に恵まれている医師に
患者を紹介するビジネスが成り立つなら、
数が増えて経済的に困っている弁護士に
依頼者を紹介するビジネスは
もっとチャンスがあると思った方は、鋭いです。

しかし、弁護士は、
弁護士以外の者に従属することなく職務を行う
職務の独立性が要求され、
また、事件を積極的に求めたり、
お金で依頼者を買ったりすることは不適切とされています。
そこで、弁護士法72条で、
弁護士に事件を紹介して対価をもらうことは禁止されています。
他方、弁護士も、
弁護士会のルール(「弁護士職務基本規程」と言います)で、
紹介料を受け取ることは禁止されています。
したがって、残念ながら、
弁護士に依頼者を紹介するビジネスは違法なので成り立ちません。
( 2013/09/03 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR