弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第66回 少数株主ができること 

前回株式会社の経営については
過半数の株式を握った方が
取締役の選任などができるので
勝ちだという話をしました。

今回は、逆に、
過半数の株を持っていない少数株主は
何もできないのか、
というお話です。

株主総会が多数決で議決されるので
基本的に少数株主は、
会社の経営に自分の意向を反映させることはできません。

ただし、取締役等の経営陣が
株主総会を開かないときには
開けと請求することができます。
(株式の100分の3以上持っている必要があります)

また、経営陣が自分に株主総会招集通知を出してこなければ
その総会は無効であることを争うこともできます。
出席して、経営に関する事項について質問もすることができます。

中小企業では株主総会等の手続を
省略している会社も多いですが
経営陣に反対する少数株主がいると
一つ一つ法的手続きに則って
手続を進めなければならないことから
面倒なことになります。

さらに、
取締役が法令や定款に違反した重大な事実がある場合は
株主総会で解任されなくても
少数株主が取締役の解任を求める裁判をすることが
できます。
(これも100分の3以上の株が必要となります)


少数株主は、
経営陣が違法な支出をするなどして
会社に損害を与えたときには
株主代表訴訟と言って
取締役を相手に
会社に損害賠償をするよう求めることができます。


取締役が違法な行為をしようとしているときは
株主が差止請求をすることもできます。

少数株主は、少数なので
即効性のある手段はないし、
経営の内情もわかりにくいので、
どれだけ実効性があるかはわかりませんが、
上記のような手段を用いて
多数株主や経営陣に
対抗していくことは可能です。





( 2013/11/26 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第65回 株式会社では株の過半数を押さえた方が勝ちです 

みなさんが知っている会社は、
ほとんどが株式を取引所で取引できる
上場企業であり、大企業でしょう。

しかし、日本の会社の99.7%、
要するに、ほとんどの会社は
中小企業なのです。

中小企業では、
社長が株を全部持っていることが多いです。
事業を始める際に創業者である社長が
自分で全部資金を出すのが普通だからです。
この方が会社の経営は安定します。

なぜなら、
会社の役員の選任には
株の過半数の賛成が必要ですし
会社のルールである定款の変更は
株の3分の2を上回る賛成が必要だから
株を社長が全部持っているということは
社長が会社の役員も、定款などのルールも
全部自由に決められるからです。

もし、社長が株の過半数を持っていなかったら
どうなるでしょう。

社長は、株主に逆らえば
株主総会で役員に選任されない可能性もあるし
場合によっては任期途中で解任されてしまうおそれもあります。

それでは、いくら社長が会社のために
良いと思うことをしようとしても
社長は自由にできないこととなります。

逆に、株の過半数を押さえれば
会社の役員を自由に決められることから
会社を支配することは可能となります。
即ち、株式会社では、
株の過半数を押さえた方が勝ちなのです。

最初に説明したように、
中小企業では、社長が株を全部持っていることが
多いです。

しかし、友人・知人と共同で事業を始めた会社や、
創業者社長が亡くなって相続が発生した会社は
株主が複数いることとなります。

株主全員が仲が良い、あるいは
会社経営に関する考え方が一致するのであれば
よいのですが、
会社が儲かっている場合
人は自分が会社を好きなようにしたいという
欲が出てくるようです。

そこで、会社の経営権を巡って
争いが起きることとなります。

株の過半数を持った方が役員を決められることから
会社経営を巡る争いは、
株の過半数を巡る争いとなります。




( 2013/11/19 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第64回 認知症の列車事故 家族に賠償責任 

認知症の男性が線路内に入り
列車にはねられて
亡くなりました。
それ自体悲しいことですが、
鉄道会社が
男性の家族に対し、
事故を防止する責任があったとして
振り替え輸送の費用など
720万円を請求しました。

遺族は、男性が過去に徘徊したのは
2回だけだったことから
予想できなかったとして
責任はないと争いました。

裁判所は、
同居していた妻と
介護をしていた長男を
男性の監督義務者と認定しました。

そして、
徘徊歴や見守りの状況から
事故は予見できたとして
出入口のセンサーのスイッチを切ったままにしていたことや
ヘルパーの手配などの対策を取らなかったことを
理由に賠償責任を認めました。

法律上、認知症の男性は、
脳(または精神)に
障害があることから
列車事故に関する責任は
負いません。
この場合の男性のことを
法律上「責任無能力者」と
言います。

そして、
責任無能力者の起こした
事故の責任は
責任無能力者を監督する人が
負うこととなっています(民法714条)。

そこで、裁判所も監督者が誰かを認定し
監督義務が果たされていたかどうかを
判断しています。

具体的事情はわかりませんが
本件では、裁判所は
前記の通りの監督義務違反を認めて
家族に賠償責任を認めたのです。

この判決については
認知症の起こした事故の責任を負うことになるのであれば
介護をする家族は認知症の人を
自宅や施設に閉じ込めなければならないのか
という批判があります。

本件ではセンサーが付いていたけれども
スイッチを入れてなかったということですが
一般家庭がセンサーを付けるにもお金がかかりますし
ヘルパーを頼むにもお金はかかるわけで
簡単に事故防止するには
認知症の人を閉じ込めるか
拘束するかということになってしまいます。

家族は控訴したらしいですが、
控訴審では
一審判決のように考えると
認知症の人を閉じ込めるか
拘束するかということになり
認知症の人の人間らしい生活を
奪うことになるけれども
それでもよいのか
という点を争っていくのだと思います。

ただ、本件の家族の資力が
どの程度かわかりませんが
センサーが既に付いていたのだから
スイッチを入れておくことは
簡単だし、
ヘルパーも頼む資力はあったでしょう
と反論される可能性もあります。

この辺は個別の事案の家族の事情によっても
変わってくると思います。
なかなか難しい事件ですが
どうなるでしょうか。







( 2013/11/12 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第63回 自殺者が出たことは説明義務があります 

不況が長引いたせいか自殺者数は増加した後
高止まりをしているようです。

今日は自殺者が自殺した賃貸物件は
どうなるかという話をします。

みなさん、
自分が購入しようとしたマンション、
借りようとしたマンションで
自殺があったと聞いたらどうでしょうか。

気にしない人もいるでしょうが、
通常は、買ったり、借りたりするのを止めると思います。

では、貸主や売主は、
借りようとする人や買おうとする人に
自分の物件で自殺があったことを
説明する義務があるでしょうか。

判例では、一般の人が
自殺があった物件には住みたくないという感情を持つことを
心理的瑕疵(しんりてきかし)と言って
物件の欠陥と同様に
貸主や売主に説明義務が認められています。

先日、マンションの部屋について
自殺者が出たことを知らせずに貸したのは
説明義務違反だとして
借主が損害賠償請求を求めた事案で判決が出ました。

裁判所は
貸主に自殺者に関する説明義務違反を認めて
借主が支払った賃料や慰謝料など約104万円の
損害賠償義務を認めました。

自殺者が出ると通常しばらくは借りる人もいないし
貸すとしても
通常よりも賃料を下げないと借りる人はいないでしょう。

だから、前記判例の貸主も
借主に自殺のことは黙って貸したのだと思います。

自殺は、自殺者が思っているよりも
他人に迷惑をかけるものです。
自殺する人にそこまで気を遣うことを求めるのは
難しいかもしれませんが
そのことで自殺を止める人が1人でもいれば幸いです。
( 2013/11/05 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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