弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第91回 認知症家族の賠償責任 高裁判決 

去年、
認知症の男性が線路内に入り
列車にはねられて
亡くなった事件で
鉄道会社が
男性の遺族に振り替え輸送の費用など
720万円を請求し認められた事件で
遺族側が控訴しました。

最近、控訴審判決が出たので
これについて、
お話します。

第一審判決は、
介護をしていた男性の妻と
男性と別居していたけれども
介護をしていた長男の
両方に全額の賠償義務を認めました。

これに対し、
高裁判決は、
別居していた長男には
介護について責任を負う立場になかったとして
賠償義務を否定しました。

妻については
高齢であっても男性の監督義務はあり
センサーを切っていたので
監督義務に違反していた
と判断されました。

ただし、
賠償金額は、
鉄道会社が
認知症の男性が線路内に入らないように
注意する義務に違反した面も
あったことを考慮して
半額に減額しました。

やはり家族が
センサーを付けておきながら
切っていたことから、
注意を尽くしても
事故は防げなかったとは
言えなかったようです。

しかも、
被害者である鉄道会社側の落ち度を認めて
賠償額も半額に減額されています。

さらに、実質的に支払能力があると思われる
長男に対しての賠償義務は免れましたので
形式的には、
家族が敗訴し、鉄道会社が勝訴していますが
高齢の妻には財産も、収入もない可能性があり
鉄道会社は賠償金額を
支払ってもらえない可能性があります。

そうだとすると、
鉄道会社の実質的な敗訴かもしれませんね。


( 2014/04/29 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第90回 マイケルジャクソンの母親が8000万円もの裁判費用を負担することに 

ネットのニュースなどによると
マイケルジャクソンのお母さんが
約8000万円もの裁判費用を
負担することになったそうです。

裁判費用と言っても
自分の裁判費用ではありません。
裁判の相手方が負担した
裁判費用です。

おおよその事案は
次のようなもののようです。

マイケルジャクソンのお母さんは
マイケルジャクソンの不審死について
その原因は担当医にあり、
その医師を雇った
コンサートプロモーターに
責任があると考え、
損害賠償請求訴訟を
起こしたのです。

裁判に負けたことから
コンサートプロモーターの負担した
裁判費用を
負担しなければならなくなった
ということです。

負けた方が相手の弁護士費用まで負担しなければならなくなる
アメリカでは、こういうことが起きることとなります。
しかも、アメリカの弁護士費用は
普通の人では裁判ができないくらい
高額です。

負けた方が自分の弁護士費用も損をし、
相手の弁護士費用も負担しなければならいということで
二重に損をするわけです。
自分の請求が認められない
ということを考えると
三重に損をするということになります。

幸か不幸か、日本では
負けた方が裁判費用を負担しますが
相手の弁護士費用までは
負担しないので、
このマイケルジャクソンのお母さんの
ケースのような事態は
起きなくて済みます。

自分で起こした裁判で負けても、
自分の請求が認められないことと
自分の依頼した弁護士費用分が
損となるだけです。

それだけでも、
痛いと感じる人は多いでしょうが
アメリカでは
相手の高額な弁護士費用まで負担することとなるので
訴訟を起こすのも大変です。


みなさんの中に気付いた方も
多いと思いますが
毎週火曜日の定期的な更新の他に
不定期に、
シェアしたくなる法律相談所での
記事掲載をお知らせしています。
その他お知らせがある場合には
定期的な更新の他に掲載しますので
両方ご覧ください。

不定期なお知らせだけを読んで
今週のブログは
手を抜いてこれだけか
と誤解しないようにお願いします(笑)
( 2014/04/22 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第89回 暴力団員であることを隠してゴルフをすると詐欺なの? 

シェアしたくなる法律相談所で、
暴力団員が身分を隠してゴルフをすると
詐欺になることについて
解説しています。
よろしければ、そちらもご覧ください。

http://lmedia.jp/2014/04/16/2148/
( 2014/04/20 14:53 ) Category メディア | トラックバック(-) | コメント(-)

第88回 小保方さんの会見を見てどう思われましたか? 

みなさんは、stap細胞に関する論文のねつ造疑惑に関する
小保方さんの会見をご覧になったでしょうか。

みなさんの感想はいかがでしたか?

かわいらしく、シックな装いの女性が
多数のマスコミの様々な追及に
ときには涙を浮かべながら誠実に答えているのだから、
嘘は言っていないのではないかと
思われたのではないでしょうか。

僕も会見を見た限りでは
そう思います。

しかし、
小保方さんの会見では
客観的な証拠が何も示されませんでした。
記者会見は裁判ではないので
やむを得ない面はありますが。

ただ、
200回もの成功例があるのに
stap細胞に関する論文には
よりによって
別な研究論文で使用された写真が
使用されたり、
切り貼りなど加工されて
使用されたり
しています。

しかも、200回もの成功例について
その写真や実験ノートが
理研の調査でも提出されなかったし、
記者会見でも示されることは
ありませんでした。

通常は、このようなことは
ありえないと思われますので
裁判では、いくらうまく証言をしたとしても
信じてもらえないということになってしまうところです。

記者会見は裁判ではありませんし、
小保方さんは、理研の論文ねつ造という判断に対し
異議申し立てを行っているのですから
その中で、客観的証拠が提出されてくる可能性はあります。

事実は、そのときになって
証拠が出されるか出されないかによって
明らかにされるということになります。

人の話が本当かどうかは
神様ではない人が判断するのは
なかなか難しいものです。

だから、裁判では
客観的な証拠があるかどうかで
証言や主張が信用できるかどうかが
決まります。

もちろん、証拠がないだけで
証言が真実な場合もあります。

しかし、神様ではない
人が人の話だけを聞いて
真実かどうかを判断することは
できないことから
それは仕方がないことだと思います。

stap細胞については
今後の人類のために
真実に存在して欲しいとは
思っていますが、
どうなることでしょうか?


( 2014/04/15 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第87回 改正派遣法で派遣労働者の働き方はどうなる? 

シェアしたくなる法律相談所で
改正派遣法で派遣労働者の働き方はどうなるか
について解説しています。

ご興味のある方は
下記ページをご覧ください。

http://lmedia.jp/2014/04/08/1782/
( 2014/04/09 11:31 ) Category メディア | トラックバック(-) | コメント(-)

第86回 弁護士の所得は大幅に減少 

先日テレビを見ていたら、
弁護士の仕事の内容や
弁護士になるにはどうすればよいか
など、
弁護士が講義形式で
弁護士について話をする番組がありました。
(おそらく再放送だと思います。)

その中で、弁護士の平均年収について
触れられていました。
これは、みなさんも興味があるところだと思います。

2005年(平成17年)の
弁護士の平均年収(平均所得だと思います)は
何と、2097万円だったそうです。

平均ですからね。
若いなりたての弁護士も含めての
平均だとすると
かなりの高所得ですね。

これは、試験のハードルが高くても
なる甲斐がありますし、
仕事が大変でもやろうという気になりますね。

しかし、
2012年(平成24年)の平均収入は
何と、642万円だそうです。
これだと、普通のサラリーマンと
あまり変わらないですか。

これなら、自分の収入の方が多い
と思った方も多いのではないでしょうか。

司法試験の年間合格者数は
以前と比べると
3倍から4倍と増え、
司法試験に合格しやすくなってはいます。
しかし、
簡単に合格できるというほど易しくはありません。

しかも、以前は大学を卒業すれば誰でも受験できましたが
今は法科大学院に2年から3年通わないといけないことから
試験を受けるために
お金がかかります。

今の平均所得で
お金をかけて、
一般企業への就職を捨ててまで
難しい試験に挑戦する価値がある
と考える人は
少ないのではないでしょうか。

所得だけが職業選択の理由ではないでしょうが
所得は、職業選択の際の重要な要素ではあると思うのです。
特に、なるまでにお金がかかるとすれば
なおさらだと思います。

みなさんは、
最近の弁護士の平均所得額を聞いて
どう思いましたか?
お金をかけて、
難しい試験に挑戦して
弁護士になろうと思いましたか?

( 2014/04/08 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第85回 弁護士の仕事でもコピペ 

stap細胞の件で、
コピペが話題となっています。

みなさん、ご存じのとおり
コピペとは
コピー&ペーストの略で
コピーして貼り付けるという意味ですね。

弁護士の主な仕事は
裁判所に提出する書類を作成することですが
個々の案件ごとで、事情は異なるし
相手の主張すること、
こちらの主張することは
違うので、
他人の書類をコピペすることは
通常はあり得ません。

もちろん、過去の判例でこう言っている
誰もが知っている文献でこのように言われている
ということは、
もちろん、引用元を記載して書きます。
大体、裁判所は、弁護士の個人的な見解を書いても
採用してくれませんから。

このように、通常は、
弁護士の仕事にコピペはあり得ないのですが
実は、僕は、一度他の弁護士に、
裁判所に提出した書面をコピペされたことがあります。

この事件は消費者被害の事件だったため、
法律上の争点が、各消費者で共通だったのです。
そして、僕は多くの被害者で構成された被害者の会から依頼されて
その訴訟を行っていました。

僕がその訴訟で提出した書面が
被害者の会に入っていなかった消費者の代理人を
している他の弁護士にコピペされて
裁判所に提出されていたのです。

裁判所に提出された書面は、
参考にしたというような生易しいものではなく
全部写してありました。

弁護士は、その書面を作るために
事情を聞き、文献や判例を調べ、
法律構成を考えて
書面を作成します。
そのケースは、法律的にかなり難しい
事案だったので、
書面を作成するのに、時間も労力も
かなりかけていたのです。

それを丸写しにして
裁判所に提出するとは
弁護士としての職業倫理を
疑います。

もちろん、書面には著作権がありますから
著作権法違反であり、
刑事罰もかけられますし、
民事の損害賠償請求も可能です。
弁護士会へ懲戒の申立も可能です。

僕は、その事件を複数の弁護士で共同して
受任していたのですが、
みんなかなり怒っていたことから
話し合って
相手の弁護士に、
著作権法違反で、
刑事罰の対象にもなるし、損害賠償も可能で
弁護士会への懲戒の対象にもなる旨通告しました。

すると、相手の弁護士は
全て認め、あまりに素晴らしい書面だったので
そのまま使わせてもらいましたというようなことを
言って、泣いて謝りました。

結局、僕たちは、依頼者のために書類を作成しているだけで
その弁護士が書面を写したからと言って、
その弁護士からお金を取ったり、罰を与えたり
ということまでしてしまうことは
あまり弁護士の仕事とは関係もなく
後味も悪いので、
謝罪してもらっただけで
許してしまいました。

ということで、
通常はあり得ない
他の弁護士にコピペされた事件でした。

10年以上前の話ですが、
そのとき既に弁護士が他の弁護士の書面を
コピペして裁判所に提出するということがあったんです。
だから、コピペが簡単になった今では
あちこちにコピペはあるんでしょうね。




( 2014/04/01 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR