弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第95回 中小企業経営者のネットバンキング利用は注意 

インターネットバンキングの便利さから
利用する方は増えているようです。

しかし、ネットバンキングに必要な
IDやパスワードを盗み出し、
預金口座から勝手に預金を引き出してしまう
というネットバンキング詐欺も
増えているので注意が必要です。

以前は、
偽メールを送りつけ
偽の金融機関のサイトに誘導し
IDやパスワードを入力させる
フィッシング詐欺が主流でした。

しかし、今は
パソコンにウイルスを
感染させ、
利用者が
インターネットバンキングの
IDとパスワードを入れた途端に
パソコンが勝手に
そのIDとパスワードを利用して
送金手続きを行ってしまう
手口が増えているようです。

その対策には、
ウイルス対策ソフトを導入し
常に新しいものに更新していく必要があります。

インターネットエクスプローラーや
グーグルクロームといった
ブラウザの更新も必要となります。

中小企業がインターネットバンキングを利用する場合は
特に注意が必要です。

個人のインターネットバンキングの利用の場合
利用者に落ち度がなければ
ウイルスに感染して預金を不正に引き出されても
銀行が補償するというルールを銀行協会で
決めています。

中小企業などの事業者のインターネットバンキングの利用については
利用者に落ち度がなくて
IDやパスワードを盗まれて預金を不正に引き出された場合でも
銀行が補償するかどうかは各銀行の判断にゆだねられており
補償されるとは限らないからです。

むしろ、銀行との約款には銀行は免責されると
書かれていることから、
事業者にとっては預金が不正に引き出されてしまうと
全額損になってしまう可能性が高いのです。

したがって、インターネットバンキングは
便利だけれどもリスクが高いことから
利用するのであればリスクを十分に認識して
前述のセキュリティ対策をしっかりとするとともに
1日の限度額を少なめに設定しておくことも
必要かもしれません。



( 2014/05/27 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第94回 はずれ馬券は競馬の経費か? 

みなさん、ご存知だと思いますが、
現在、はずれ馬券は、競馬の払戻金の経費として認められるか
という点が裁判で争われています。

なぜかと言えば、
3年間で約30億円もの払い戻しを受けた方がいて
はずれ馬券が経費にならないとして
税金をかけられると
5億7000万円もの税金を支払う必要が
出てきます。
しかし、30億円を得るために
購入した馬券が約28億7000万円らしいので
これらを経費として認められれば
利益は約1億3000万円となり
支払うべき税金は
約5200万円となるようです。

実際に儲かった額が1億3000万円なのに
5億7000万円の税金を払えと言われても
払えるはずもありません。
したがって、
はずれ馬券が経費として認められるかどうかは
死活問題となります。

通常、競馬の払戻金は
継続的に発生するものではなく
偶然的な当選で得られた所得なので
「一時所得」となります。
経費として認められるのは、
その馬券のみということになります。

しかし、今回問題となったケースでは
独自の競馬予想ソフトに基づき
継続的に馬券を買い続け
利益を得たものだから、
裁判所は
「一時所得」ではない
「雑所得」と認めたのです。

では、通常の人が、
競馬で当選した場合に
はずれ馬券を購入した証拠があれば
経費として認められるかというと
そうとは限りません。

裁判所は、
はずれ馬券を経費として認める
「雑所得」と判断するかどうかは
回数や頻度、規模を考慮するべきだ
としているようですから、
はずれ馬券を経費として認められるには、
事業として成り立つくらい、
あるいは払戻金で生活ができるくらいの
頻度や回数、金額で、定期的に行う必要が
あると思います。

ある程度の金額を
地道にかけ続け、
しかも当選し続けるということでないと、
なかなか「雑所得」としては
認められないということだと思います。

だから、
はずれ馬券が経費として
認められたと言っても
普通のギャンブラーには
あまりメリットはないかもしれません。

ちなみに、今回の判決は
高裁なので、
国(検察)が最高裁に上告するか
上告したとしたら
最高裁がどういう判断をするか
興味はあります。
( 2014/05/20 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第93回 法律上の善意や悪意とは? 

小保方さんのstap細胞論文の不正疑惑について
理研は、小保方さんの不服申し立てについて
再調査は不要という結論を出しました。

その中で、「悪意」という言葉の意味が
問題となったようです。
理研の規定では
「悪意」のない間違いは不正ではない
とされているからです。

そこで、今日は、法律上の「善意」や「悪意」について
お話をします。

みなさんが、「善意」と言えば
「善意でやったことなのに、
このような結果となって」
というように、
「相手に対し良い結果をもたらそうとする気持」
という意味ですね。
これに対し、
「悪意」とは、
逆に、「相手に悪い結果をもたらそうとする気持ち」
となります。

しかし、法律上の「善意」悪意」は
相手に良い結果をもたらそうとか
悪い結果をもたらそうとかは
関係ありません。

法律上の「善意」とは
単に、知らないという意味なのです。
そして、法律上の「悪意」とは
単に、知っているという意味なのです。

みなさんの中には、
善意の第三者は、
法律上保護されるなどということを
聞いたことがあるかもしれません。

例えば、
盗まれた商品を買ってしまった場合
盗品であることを知らずに
買ったことが
善意ということとなり、
知らずに買った人は
善意の第三者ということになります。

買った人が
誰かのために
良い結果をもたらそうとして
買ったかどうかは
法律上は関係ないということになります。

さて、小保方さんのstap細胞論文の不正疑惑については
「悪意」のない間違いというのは
偽装などの加害目的のような意図は必要はなく
単に、知っていればよいという
法律上の「悪意」と同じ意味で
解釈されているようです。

ただ、理研の規定の悪意は故意と同じだとしており
また、故意と悪意は同じなのか
何についての悪意なのか故意なのか
理研の不服申し立てに対する審査結果報告書は
ちょっとわかりにくい表現となっています。

みなさんには、
法律上の「悪意」や「善意」は
単に、知っているか、知らないかという
意味だということを
知ってもらえればよいと思います。

( 2014/05/13 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第92回 乗り換えるには賠償金が必要 

ビジネスジャーナルの記事によると
コンビニエンスストアチェーンの
サンクスの業績があまり振るわず、
加盟店が、サンクスから
他のコンビニエンスストアに乗り換えている
そうです。

この記事で、僕が注目したのは
コンビニエンスストアは
フランチャイズ契約で、
通常、契約終了後少なくとも2年間は
同業種の営業をしてはいけない
という義務が課されています。

いわゆる「競業禁止義務」です。

フランチャイズ契約では
この競業禁止義務が定められていることから
契約した後に失敗したから
他のフランチャイズ本部に乗り換えたいと思っても
乗り換えることは難しいのです。

そこで、
上記サンクスの加盟店が
他のコンビニエンスストアに乗り換えている
という記事を見て、
この競業禁止義務との関係はどうなっているのだろうと
思ったのでした。

記事を読んでみると、
他の本部に乗り換えようとした
加盟店は
本部から、
乗り換えが契約違反だとして
差し止め請求や損害賠償請求を
受けたようです。

そして、記事には
元加盟店が
和解金や既存店舗30店をサンクスに渡すなどして
和解をしていると書かれていました。

フランチャイズ契約の競業禁止条項があるので
本部を乗り換えるのは
契約違反だから
お金を払わないと乗り換えることはできない
ということなのです。

これは、フランチャイズ契約全般について言えることなので
フランチャイズ契約を締結するときには
注意しましょう。

しかし、サンクスの業績や将来性について
僕はよくわかりませんが、
複数の加盟店が
競業禁止義務に違反しているとわかって
お金を払っても
他の本部に乗り換えたいと思っている
ということのようですから、
先行きの見通しは暗いのかもしれません。




( 2014/05/06 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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