弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第99回 そんなにお金は取れない日本の裁判 

民事裁判は、そのほとんどがお金を請求するものです。
その典型的なものが損害賠償請求です。

例えば、
がんに効くと言われたから健康食品を買ったのに
全く効かないことがわかったから損害賠償請求したい。
相手にケガをさせられ、傷が残ったから
損害賠償請求したい。
夫が浮気をしたから離婚するので慰謝料を請求したい。
などです。

上記健康食品のケースで、購入代金が1万円だったとすると
基本的には代金1万円分は損害となります。
その他に、慰謝料が取れるかといえば取れる可能性はありますが
被害金額が1万円なので、1万円で購入させられた精神的苦痛に対する慰謝料も
1万円程度なのではないかと思います。

次に、ケガをさせられた場合の損害賠償請求ですが、
その内容としては
治療費、治療期間の慰謝料、休業損害、後遺症慰謝料、逸失利益(いっしつりえき)など
が考えられます。
治療費や治療期間の慰謝料は、病院に行って治療を受けなければ
発生しません。
休業損害はケガのせいで会社を休んだ場合の損害なので
実際に会社を休まないと請求できません。
傷が後遺症となった場合は、後遺症慰謝料とそれによる給料の減額分などを
損害賠償請求できますが、
後遺症といえるためには、傷跡が残ったというだけでなく
顔面の場合には長さ3センチメートル以上の傷、
首の場合は鶏卵の大きさ以上の傷で、
後遺症12級となり、それで慰謝料は290万円です。
こんなにすごい傷なのに、この程度の金額と思われたのではないでしょうか。
場所が顔や首以外でこれより小さな傷は後遺症にもならない
即ち、損害賠償請求はできない可能性があります。

夫が浮気をして離婚する場合の慰謝料は、
結婚していた期間や子供がいるかどうか
相手との交際の年数頻度、相手との間に子供がいるか
などの諸要素によっても異なりますが
おおよそ100万円から300万円くらいで
離婚して暮らしていけるだけの金額は
請求できません。

ドラマや映画、海外のニュースなどでは
何千万円や何億円という損害賠償請求が
なされますが、
日本の裁判では、なかなかそんなに請求できる
ケースはありません。
そういう意味では、日本の法律は
ちょっと、加害者に甘く、被害者に厳しいのかもしれません。



( 2014/06/24 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第98回 公務員は個人責任を問われない? 

報道によると、
剣道部員であった高校生が部活動の最中に
熱中症で死亡した事故について
当時の顧問や副顧問が注意義務を怠ったからだとして
亡くなった高校生の両親が
県や顧問に対し、
損害賠償を求めて、訴訟を起こしたところ、
裁判所は、県の責任は認めたものの、
元顧問個人の賠償責任は認めませんでした。

同様なことが民間のスポーツクラブで起こった場合は
どうなるかというと
スポーツクラブの指導員個人と
雇い主の両方が損害賠償責任を負うこととなります。

公務員だと個人責任を負わなくて
民間人は個人で責任を負うというのは
不平等な感じがします。

そこで、先ほどの高校生の両親は
公務員個人の賠償責任も裁判所に認めさせようとして
裁判をしているわけです。

裁判所が、どうしてこのような民間人と公務員を区別しているかというと
それは、加害者個人の責任という観点からでなく、
被害者に対する賠償という観点から、法律が作られているから
というのが理由なのです。

どういうことかと言いますと、
国や県は、民間人と異なり、
判決で、責任が認められれば
必ず支払うだけの資力があります。
したがって、国や県に賠償責任が認められれば
被害者は必ず損害賠償を受けることができるので
それ以上に、公務員個人に賠償責任を認める必要はない
ということなのです。

それに対し、民間の場合は、民間人個人とその雇い主は
誰が賠償するだけのお金を持っているかわからないので
理論上請求できる可能性のあるところに対しては
賠償責任を認めるということなのです。

これは、損害の賠償という民事の話です。

民事の損害賠償責任について
公務員個人が責任を負わないとしても
刑事責任については、
公務員個人も、民間人と同じように
刑罰を受けることとなります。

先ほどの高校生の例で言えば
元顧問は、
業務上過失致死罪により処罰される可能性があります。






( 2014/06/17 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第97回 遺産整理業者にご注意 

少し前の日経新聞によると
遺産整理業者とのトラブルが増えているようです。

遺産整理業者とは
亡くなった方の
遺産を買い取ったり、
廃棄したりして、
文字通り遺産の整理をする業者のことです。

子供などの親族の方が離れて暮らしている場合
遺産の整理に行くのが大変なことから
遺産整理業者に依頼するようです。

トラブルの内容は2つで
1つは遺産の廃棄する費用が高いということです。
もう1つは、買い取り価格が安いということです。

最初に複数の業者から見積もりを出してもらったり
契約条件を確認したりすることが
大切だと思います。

ただ、業者は見積もりを取っただけで
キャンセル料を請求してくる
悪徳業者もいるようなので気を付けることに
越したことはありません。

記事には載っていませんでしたが
配偶者や子供などの相続人がいない場合
自分の死後に遺産を片付けてもらう契約をするケースも
増えていると聞きます。
こういうケースは
依頼した人自身が亡くなってしまうので
契約通りきちんと遺産の整理をなされたか
確認する人がいないこととなります。
場合によっては
遺産の整理について確認してもらう人を
選定しておくなどしたほうがよいかもしれません。


( 2014/06/10 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第96回 ふなっしーの偽物が事情聴取 

報道によると
人気のゆるキャラふなっしーの偽物がイベントに現れ
警察に任意で事情を聞かれたということのようです。

著作権について誤解も多いようですので
ちょっと説明したいと思います。
ゆるキャラは著作権はないか、
あったとしても誰でも自由に使用できるのではないか、
と思っている方もいらっしゃるようです。

しかし、ゆるキャラも創作的表現なので著作権は存在します。

また、地方自治体が公認しているゆるキャラも多く
地域の活性化やゆるキャラの知名度のアップを目的として
その使用を無償としている場合も多いようです。
しかし、大抵は、ゆるキャラについては
無償で使用することを認めるとしても
申請を出してもらって許可を出しているところが
多いと思います。
したがって、無断で使用できるゆるキャラはまれだと思います。

ふなっしーは非公認なので著作権はないのではないか
と思っている方もいらっしゃるようです。

しかし、著作権は、地方自治体が公認しているかしていないか
とは関係なく存在します。
著作権は創作した時点で発生します。
したがって、みなさんが思いついたキャラクターについても
著作権は発生するのです。

先ほどお話したとおり、地方自治体が公認している方が
使用を無償にしたり、誰でも申請すれば利用できるようにしたりしてあるので
使用が簡単になっているケースが多いと思います。
しかし、非公認の場合は、使用を容易にするルールが決められていないため
著作権者が承諾をしない限り使用できません。
したがって、無断で使用すれば著作権侵害となります。

では、いわゆるコスプレは著作権侵害となるのでしょうか。
コスプレを自分だけで楽しむのであれば
著作権の私的利用となり著作権侵害にはなりません。
しかし、イベントに参加するなど多数の人の前で
コスプレをすることは
もはや私的利用とは言えなくなることから
著作権の侵害となる可能性が高いです。

となると、
多くのコスプレは著作権侵害となる可能性が高いですが、
事実上、著作権者が黙認しているから
コスプレについて著作権侵害とされていない
ということだと思います。

( 2014/06/03 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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