弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第109回 アガリクスはがんに効く?-薬事法違反刑事告訴事件 2 

虚偽のデータに基づく
アガリクスはがんに効くという書籍の広告を止めさせるには、
どうしたらよいかいろいろ考えた末に、
薬事法違反で刑事告発をすることにしたという話の続きです。

薬事法違反で刑事告発するにあたって、
障害となっていたのは、
前回もお話ししたとおり
憲法で保障された表現の自由です。
新聞に掲載されているのは
書籍の広告であって、
アガリクスの広告ではないからです。

アガリクスの広告であれば
薬として許認可を得ていない
アガリクスはがんに効くと書けば
薬事法違反となります。
しかし、
本件では、
アガリクスはがんに効くというのは
書籍の内容であって
それは、執筆者である医学博士の意見あるいは考え
ということになります。
単なる意見や考えの表明ということになると
仮に誤っていたとしても
表現の自由で保護されるということになってしまうのです。

そこで、僕は、
この書籍の広告あるいは書籍がアガリクスの広告だと言えないか
と考えました。

依頼者からもらった50冊以上のアガリクスの書籍を見ると
巻末に、連絡先が記載されており、
そこに電話してみると、
アガリクスが購入できるという仕組みになっていました。

これで、書籍自体がアガリクスの広告になっていると言えるという
理屈は成り立つことになりました。

そこで、警察に刑事告発状を持って刑事告発しようとしたところ、
警察は薬事法については詳しくないので
管轄である厚生労働省が
薬事法違反だという意見であれば
告発状を受け付けるという
よくある対応でした。

しかし、
これは本件が
書籍を広告であるとして薬事法違反とする
前例のないことなので
警察が簡単に受理しないことは最初から予想しており、
その刑事告発状や証拠をもって
厚生労働省に相談に行きました。
警察から厚生労働省に問い合わせをするよりも
僕が直接自分で厚生労働省に説明した方が早いと
思っていました。

厚生労働省に行くと
実は厚生労働省もこの書籍を使った
バイブル商法については
取り締まりをしたいと考えていたようで
僕の用意した証拠と理屈で
薬事法違反になるという意見を
出してくれました。

厚生労働省の意見を持って
警察に再び行くと
警察は刑事告発状を
受理してくれました。
その後、
警察は熱心に捜査してくれ
出版社とアガリクスの販売会社の社長が
逮捕され、薬事法違反で有罪となりました。

長くなったので、
まとめは次回にお話しします。








( 2014/08/26 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第108回 アガリクスはがんに効く?-薬事法違反刑事告訴事件 

以前、小保方さんのSTAP細胞データねつ造事件に絡めて
アガリクスというキノコについて
がんに効く根拠とされていたデータがねつ造だったことを
国立がんセンターに公表させたことがあることを
お話ししました。

第82回 アガリクスはガンに効く??実験データねつ造公表事件1
第83回 アガリクスはガンに効く??データねつ造公表事件2

今日はその続きの話です。
長い交渉の末、アガリクスががんに効くという根拠のデータがないことを
国立がんセンターに公表させることができました。

このことは、共同通信社から記事を配信された
地方紙が取り上げてくれました。

しかし、大手のテレビ局や大手の新聞は
取り上げてくれなかったようです。

五大新聞は、広告料が欲しかったのか
それとも
書籍という表現の自由を重視したのかわかりませんが
アガリクスの書籍の広告が掲載され続けました。

その結果、
その書籍の広告を毎週見ている人、
あるいは
書籍を実際に買って読んだ人は
アガリクスががんに効くというデータはねつ造されたものなのに
アガリクスはがんに効くと思い込んで
アガリクスを買ってしまうという
ということが続いたのです。

そこで、
どうしたら書籍の広告を止めさせることができるのか
ということを再び考えることとなり、
最初に相談を受けたときに
かなり難しいことから諦めた
アガリクスはがんに効くという
書籍の販売、
あるいは、書籍の広告を
薬事法違反で刑事告訴することにしたのです。

なぜ、最初に諦めたかというと
憲法上、表現の自由が人権として保障されており、
表現に嘘があっても
名誉棄損など他人の権利を侵害しない以上は、
表現の自由は法律や行政によって規制されるべきではなく
反論などによって是正されるべきというルールがあるからです。

刑事告訴をするということは
この表現の自由の保障を
乗り越える理屈が立てられるか
ということだったので
憲法の表現の自由がいかに重要かを
学生や司法試験受験生のときに学んだ
僕としては
なかなか難しいのではないか
ということだったのです。

続きは、また次回です。
( 2014/08/19 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第107回 相続・遺産分割でトラブルが多いのは?Part2 

前回、相続・遺産分割でトラブルが多いのは、
亡くなった方の預金を特定の身内の者が
生前に下ろしてしまっていたというケースだという
話をしました。

今回は、相続・遺産分割でトラブルの多いケースの
Part2です。

僕が多くの相続・遺産分割事件で
多いと感じるのは、
不動産の分け方です。

弁護士のところに来る相続では
遺産の中に、土地建物があるケースが
とても多いです。

土地建物は、自宅だけだったり
アパートやマンションだったりします。

しかし、土地建物は、現金とは違って
相続人に平等に分けるのが難しいです。

持ち分を平等に分けるという方法もありますが
そうすると、誰が使うのか、賃料を払うのか
賃料はいくらか、第三者に貸すのか
土地建物の管理は誰がするのか
それは無償なのか等々
全て共同相続人間で
話し合って決めなければならなくなるので
遺産分割後にトラブルになりがちです。

そうすると、誰かに土地建物を取得させ、
他の相続人は、その代りに現金をもらう
ということになります。

しかし、相続人の両方が土地建物を欲しがると
どちらが土地建物を取得するか決められません。

また、どちらかが土地建物を取得するか決まったとしても
今度は、土地建物の評価が問題となります。
土地建物でもらう方は、
土地建物は安いはずだと言い、
お金でもらう方は、
もっと高いはずだと言います。

ちなみに、遺産分割で、土地建物といった不動産を評価する場合は
時価を使います。
相続税を払うための路線価でも、固定資産税を払うための固定資産税評価でも
ありません。
一般的に、路線価や固定資産税評価は、時価よりも安いので
これらを使って評価すると
土地でもらう人の方が得する場合が多いです。

不動産を分けるのに、一番平等なのは
売って売却代金を相続分に従って
分けるということなのですが、
土地建物と言った不動産は、
資産として残しておきたいと思う方が多いようで、
売却して分けるというケースは少ないです。

売却すると譲渡所得税という税金がかかるということも
原因かもしれません。

相続・遺産分割では、
土地建物と言った不動産の分け方が原因でトラブルになることが多いので
この点ををうまくするということが
ポイントかもしれませんね。
( 2014/08/12 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第106回 相続・遺産分割でトラブルが多いのは 

僕は、相続の本(「相続遺産分割をする前に読む本」)を書いているせいか、
相続に関連する事件の依頼は多いです。

その相続・遺産分割に関する事件で
最近、よくトラブルになるのは、
亡くなった方の生前に多額の預金が下ろされていることです。

亡くなる前は、病院に入院していたから
自分では預金を下ろせないはずなのに
多額の預金が下ろされているのは
おかしいと、
相続人の一方が、
親と住んでいた、あるいは、
親の預金を管理していた相続人に対し
下ろした預金の返還、あるいは、
損害賠償請求をするということになります。

亡くなった方(被相続人)が父親で
相続人が、兄と妹の2人で、
父親が入院中は、兄が通帳などを管理していた
というケースで、
父親が入院中に、
1000万円の預金が下ろされていたとします。

お父さんは入院中で、自分では預金を下ろせないし
自分では預金を使うこともできないとすれば
通帳を管理していた
兄が預金を下ろし使ったこととなります。

お父さんのために使ったお金以外は
お父さんにとって損害、あるいは、
取られたお金となります。

そうすると
本来、お父さんが
兄の方に対し
損害賠償請求権
あるいは
不当利得返還請求権
により、取り戻す権利があったこととなります。

しかし、お父さんは亡くなってしまったので
その相続人であるお父さんの子である兄妹が
相続することとなります。

兄妹の相続分は2分の1ずつですから
結局、妹は、
勝手に下ろされた
1000万円から、父親のために使われたお金を引いた額の
2分の1を兄に請求できることとなります。

上記例では、お父さんが入院中で預金を下ろせもしないし
使うこともできないという状況だったので
比較的損害賠償請求や返還請求が簡単なケースでした。
しかし、お父さんが入院していないので
自分で下ろせるし、自分でお金を使える状況だったという
ケースでは、
預金は誰が下ろしたのか、そのお金はどこに行ったのか
などなかなか証明が難しいケースも多いです。

そういうケースでは、銀行の払戻請求書やATMの犯罪防止録画映像などを
証拠としますが、銀行のATMの録画画像は、3か月とか半年で消されてしまうようなので
相続が発生したときは、消されているケースも多いです。

このような問題が生じないようにするには
ご両親の生前から、
兄弟がご両親の預金を勝手に下ろさないよう
注意しておくことが必要かもしれません。
( 2014/08/05 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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