弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第118回 緑のオーナー制度で国に賠償責任 

以前、「ハイハイQさんQさんです」に、
このコラムを連載していたころに
緑のオーナー制度がトラブルになっている
という話題を取り上げました。

昭和59年から平成10年にかけて、
国が国有林育成のために、国民から出資を受け、
伐採による収益を配当する
「緑のオーナー」を募集していたけれども、
満期に、出資の9割が元本割れしてしまい
問題となっているというものです。

第282回
国有林投資で元本割れ


第518回「噂の東京マガジン」でコメントしました

最初に取り上げたのは平成19年でしたが
7年経って判決が出たようです。

結果は、パンフレットに元本を保証しないと書かれていない
オーナーに対しては国の賠償責任を認めるものでした。

ただし、
契約から提訴まで20年以上経過しているオーナーについては、
除斥期間が過ぎているので、
国の賠償責任は消滅している
と判断されたようです。

元本保証でないのに元本保証だと思わせて
勧誘したこと自体が不法行為だとすると
確かに、除斥期間の起算点は
勧誘時となりますが、
実際は購入した山林の木材が売却されて
損害が確定したときが
起算点とする考え方もできると思いますので
除斥期間を理由に敗訴したオーナーの方たちは
この点について争って行くと思われます。

また、国も責任があるかどうかについて争っていくことが考えられます。
したがって、今後もまだまだ争いは続いて行きそうです。

ちなみに、事故などの不法行為に基づく損害賠償請求権は
知ってから3年で消滅時効にかかりますが、
損害賠償の原因となる不法行為があった時から20年経過すると
知っているか知らなかったにかかわらず、
損害賠償請求権が消滅してしまいます。
これが「除斥期間」です。

20年も経過してから責任があると言われても
証拠などもなくなってしまうという理由から
20年経過してしまえば法的責任はないことにする
というのが除斥期間が設けられている理由です。

前記のとおり、今回はこの除斥期間にかかっているかどうかで
被害者として救済されるかどうかが別れたようでした。


( 2014/10/28 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第117回 ドラマ「女はそれを許さない」 

これまで僕が目にした弁護士のドラマや小説について
このブログでいくつか取り上げて来ました。

今回、取り上げるのは、
今日10月21日から始まる
ドラマ「女はそれを許さない」です。

なぜ、始まってもいないドラマを取り上げるかというと
このドラマの制作にかかわっているからです。

弁護士のドラマなので、
実際の弁護士は、
事務所に置いてあるものはどうで、
何を使ってどういう仕事をしているのか
から始まって、
もちろん、話の設定やセリフなどが
現実の法律や裁判手続からして
おかしくないか
などの相談に乗ったりしています。

もちろん、現実通りにすると
ドラマにならないことから
実際とは異なることもあります。
だから、いつも言う通り
自分が問題を抱えたら
ドラマなどを鵜呑みにせずに
弁護士に相談してみてください。

残念ながら、
打ち合わせするのは、
ドラマの制作の方で
俳優さんにはお会いしていません。

主演の深田恭子さんを始めとして
みなさんがご存知の俳優さんたちが
出演しています。

興味があったらご覧いただければと思います。

自分が関与したドラマがどんな風に出来上がったのか
僕も興味があるので
僕も見ます。








( 2014/10/21 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第116回 グーグル検索結果に削除を命じる決定 

新聞報道によると、
東京地方裁判所が
検索サイトを運営しているグーグル日本法人に対し、
名前を入力すると
犯罪を思わせる検索結果が出てくることは
プライバシーの侵害だとして、
検索結果を削除する仮処分決定をしました。

裁判(仮処分手続)の中で
グーグル側は、プライバシー侵害の内容を掲載しているのは
個々のホームページであることから
削除する義務があるのは
検索結果ではなく
個々のホームページの管理者だと反論しました。

確かに、グーグルの主張するとおり
プライバシー侵害の内容を記載しているのは
個々のホームページで、
そのような内容のホームページがあることが問題で
検索結果はそのある状態を示しているに過ぎないとも
言えるので、
削除義務はないとするグーグルの主張にも
もっともな面があります。

他方、現在では、ホームページは検索サイトにより探すのが通常で
グーグルの影響力は大きいことから
そこでプライバシー侵害のホームページが検索されてしまうことは
プライバシーを侵害されている側からすれば
重大な問題です。

これらのことから、なかなか裁判所としては
判断が難しい問題で、結論がわかれるところだとは思います。

しかし、今年4月に、欧州連合司法裁判所が
グーグルに検索結果の削除を認める判決を出した
ということで
日本でも、そのような国際的な動きに
合わせたのかもしれません。

個人のプライバシーを侵害する検索結果の削除を
認める決定を裁判所が出したことは
画期的だと思います。

ただ、まだ仮処分の段階で
しかも、東京地裁なので
グーグル側が争えば
まだひっくり返る可能性はあるということです。

グーグルはどうするのでしょうか。
ヨーロッパでも削除をするよう判決が出ていることから
日本でも受け入れるのでしょうか。
( 2014/10/14 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第115回 ワタミ過労死裁判での被告からの驚くべき主張とは 

居酒屋大手の和民に対し、
死亡した元従業員の両親が、
同社と創業者・渡辺美樹氏に対してその責任を
追求している訴訟の中で
被告であるワタミと渡辺氏が
驚くべき反論をして
批判を浴びているという
ニュースをネットで見たので
今回はこれについてお話しします。

その被告らがした反論の内容とは、
そもそも、元従業員とワタミとの間には
雇用関係がないというものだったようです。

実際に元従業員との雇用契約を結んでいたのは
ワタミの子会社であるワタミフードサービスという会社だった
ことから被告らがこのような反論をしたと思われます。

この反論が、一般の方には、驚くべき反論で、
そんな反論はおかしいと批判されているようです。

しかし、法律上は、
個人について言えば
親と子も、夫婦も存在は別ですし
法律上の責任は別となります。

会社についても、
親会社と子会社、
会社と代表者は、
存在自体別となりますし、
法律上の責任も別となります。

ただし、例外的に、
親会社と子会社が実質的には同じと認められる場合や
親会社が子会社の業務について具体的に
命令していたような場合には
親会社が子会社のしたことについて
責任を負うことになります。

最近は、上場企業はグループを束ねる持ち株会社と
事業を実際に行う事業会社とが別れていることも多いので
訴訟を起こすときには、事前によく注意する必要がありますね。

ワタミの訴訟について言えば、
元従業員との間に契約がないというのであれば
それだけで訴訟が勝てる可能性があり、
他の主張をする必要はないので
第1回か第2回という裁判の最初に出てくる主張だと思うのですが
第5回目の裁判期日で出されたのは
なぜなのか気になりますね。
それまでは
元従業員との雇用契約は
否定していなかったということなのでしょうか。

( 2014/10/07 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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