弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第122回 日テレ内定取り消し訴訟は日テレの深謀遠慮? 

日本テレビが女子アナウンサーとして内定を出した後に
過去のホステスのアルバイトを理由に
内定を取り消した件については
前々回のブログでも取り上げました。

ネットも含めてニュースや報道を見ると
日テレの主張は通らないような記事や意見が多いような気がしました。

個人的には、今の日本の現状からすれば、
そんなに日テレの主張は全く理由がないとも言い難いことから
結構難しいとは思っています。

さて、このような訴訟を起こされてしまった日テレの判断は
間違っていたのでしょうか。

日テレがホステスのアルバイト歴を問題にせずに採用していたら
おそらく、女子アナウンサーとして活躍した際に
女子アナウンサーにホステスの過去ということが
取り上げられて、騒ぎになったり、
それまで築いたイメージが崩れたり、
中には心無い視聴者から
元ホステスが・・・と
批判を受けたりということになったのではないでしょうか。

しかし、日テレが仮にこの訴訟で負けて、
女子アナウンサーとして採用することになったとすれば
もう既にホステスとしてのアルバイトの過去は公になっていますし
何よりも採用については裁判所がお墨付きを与えるということになります。
したがって、日テレは当該女子アナウンサーを
アナウンサーとして採用し、
アナウンサーとしての仕事をさせることについて
周りからとやかく言われることは無くなるわけです。

仮に訴訟に勝てば、女子アナウンサーを採用しなくて済むのですから
問題はなくなるわけです。

そう考えると、日テレにとっては
勝っても、負けても、
そんなに損はしないような訴訟のような気がします。
日テレには、そのような深謀遠慮があると考えるのは
僕だけでしょうか?







( 2014/11/25 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第121回 妊娠を理由に降格は違法判決 

少し前になりますが、
いわゆるマタハラ訴訟で、最高裁判決が出されました。

事案は、妊娠を理由に身体的に負担の少ない業務を希望したところ
雇い主は、身体的負担の軽い科に異動させるとともに
副主任の役職から外して、降格をしました。
その後出産し、職場復帰した後は
元の職場には、副主任がいたことから
副主任に戻ることができず、
役職なしのまま働くこととなったというものです。

みなさん、ご存じのとおり
最高裁は、この雇い主の降格措置を
違法無効と判断しました。

その理由は、
異動したことにより
降格を承諾してもよいくらい
業務の負担が軽減されたかどうか
わからないことが一つ。
もう一つは、降格をやむなく承諾したけれども、
その際に、復帰後も降格したままになることを説明せずに
従業員に降格について承諾をさせたことは
真の承諾を得たことにならないということです。

ここから、
最高裁は、以下の2つの要件を満たした場合には
妊娠を理由に降格してもよいと考えていると思います。
1 妊娠を理由に降格が許されるには、
  降格して、給料が低くなることに見合うくらい
  業務や責任が軽くなったと言えなければならないこと
2 仮に復帰後は、管理職に戻すことが前提で
  戻せない合理的な事情がある場合には、
  それを説明した上で、従業員が了承していること

この要件を満たすには、
管理職とそうでない者の仕事の区別をつけておくことが必要になります。
管理職でなくなるとこんなに仕事が軽くなるということを
明確にしておかないと仕事を軽くするために管理職から外したと説明できないからです。

また、妊娠中の従業員が出産のために管理職を外れたからと言っても
妊娠中の従業員が復帰後はその管理職に戻るということを
想定しておく必要があります。
そこで、妊娠中の管理職が出産まで暫定的に管理職を外れたとしても
その後任は、暫定的な管理職、あるいは、管理職代行という地位に
しておく必要があります。
そうでないと、妊娠中は仕事の軽減が必要になりますが
出産後仕事の軽減が必要なくなったとしても戻るべき地位が無くなってしまう
ということになり、
結局それは妊娠出産について不利益に取り扱うということになるからです。

こういう女性を保護する判決が出ると
女性は面倒だから、
管理職にしないという雇い主も
出てくるかもしれません。
しかし、
これからは労働人口が減ってきて
女性を活用しないと
人手不足により経営がうまく行かない
という時代になってきます。
それを考えると
女性は面倒だから管理職にしないという
わけにもいかなくなってくるような気がします。
( 2014/11/18 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第120回 ホステスのアルバイト経験で内定取り消し 

週刊現代によると、
来年4月にアナウンサーとして日本テレビに入社する予定だった
女子大生がホステスのアルバイトをしていたことを理由に
内定を取り消されたそうです。
これに対し、女子大生は
内定に基づく労働契約上の地位があることの確認を
求めて訴訟を起こしたそうです。

雇用契約を結んだ後にアルバイトが禁じられていることは
みなさんご存じのとおりです。
ただ、雇用契約中のアルバイトでも、
会社の業務に支障が出たり
会社の業務と競業したり
会社の信用を害したりしなければ
許されています。

今回は、まだ雇用されていない学生時代のアルバイトを
理由としていることから、
会社は、そこまで口を出せるのかという問題と
内定を出す前であればいざ知らず
内定を出しておいて、学生時代のアルバイトを
理由に内定を取り消せるのかという問題が
含まれています。

個人的には、雇用契約前の学生時代のアルバイトくらい
いいじゃないのと言いたいところです。
もし、そんなに気になるのであれば
内定を出す前に
そのようなアルバイト歴を全て明らかにするように
求めるべきでしょう。

しかし、現実社会には
公共性が求められる職業というのがあって、
その人の過去の行いにより
その職業の信頼が失われてしまうというものも
あると思います。

例えば、学校の先生などはそういう職業になるのではないでしょうか。
女子大生は、アナウンサーとしての採用ということだったようなので
公共性や社会的信頼を求められる職業に該当する可能性があります。
これが、同じテレビ局でも経理や総務であれば
あまり公共性や社会的信頼を求められなかったと思います。

そして、一般的には、
いわゆる水商売や風俗関係については
社会で受け入れられているとは言えないと思います。

そのような社会の現状からすると
内定を取り消されても仕方がないと判断される可能性があります。

なかなか難しい問題ですが
裁判所は、どう判断するのでしょうか。


( 2014/11/11 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第119回 役員報酬が高すぎると税務署からクレーム 

朝日新聞によると、
ある酒造メーカーが
4年間で、役員4人に支払った報酬等19億4000万円のうち
6億円が不相当に高額であると
税務署から指摘を受け、
追徴課税されたことについて
裁判で争っているそうです。

金額が大きく見えますが
4年間の4人の役員に支払った合計なので、
単純に16で割ると役員1人あたり約1億2000万円なので
上場企業の役員であればあまり問題にはならない金額のような
気がします。

法人税法は
役員報酬を経費として会社の利益から控除することにより
法人税の支払を少なくすることができることから
役員報酬が実働に比べてあまりに高い場合には、
経費として認めないルールとなっています。

そして、税務署は同地域の同業種の役員報酬と比較したところ
平均額の4~9倍で、売り上げが落ちており、従業員の給料が
増えていないのに、役員報酬だけ上昇していることなどが
高いと判断した理由だそうです。

しかし、同業種が同社と同様の売上や利益を上げていなければ
比較しても意味はないですし、
売上が落ちてきたときに役員報酬だけ上昇していると言っても
過去売り上げが多くても、会社の財務の安定性のために
今までは役員報酬を上げてこなかったという事情があるかもしれません。

確かに、税務署の言う通り、役員報酬を自由に定められると
利益が出たときは全て役員報酬にすることにより
法人税を納めなくすることが可能になってしまうという
問題はあります。

しかし、会社が役員報酬として支払えば、
法人税よりも税率の高い個人の所得税で
役員から税金を取ることができます。
実際に、役員は税率の高い所得税を
支払っているので租税回避には当たらないと
主張しているようです。

僕個人としては、日本経済活性化のためには
起業を促す必要があるし
中小企業経営者は、リスクを冒して
事業を行っているのだから
儲かったときくらい自由に役員報酬をもらってもよい
とした方がよいと思います。
しかも、法人税を支払わなくても
どうせその分を個人として所得税を納めることになるので
税収のプラスマイナスで
国はそんなに損はしていないのではないかと思います。

ただ、それは現行法の理解として
正しいのか、
そういう法律にすべきだという立法論なのかは
裁判所の判断となります。

個人事業主だと
売上から経費を除いた部分が全部所得となりますが
会社にしている場合は、
前記のケースのように税務署との関係で
売上から経費を引いた部分を役員報酬として
受け取ることができないので
注意が必要です。
役員報酬の定め方については
税理士とよく相談して決めてください。









( 2014/11/04 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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