弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第140回 大塚家具の親子間の経営争いは他でも起こるか? 

大塚家具の株主総会では
現社長である娘が勝利し決着しました。

親子で上場企業の経営権を争う
ということは、滅多にないので
話題を呼びました。

実は、この経営権争いは
中小企業でなく、上場企業であったことから
起きた可能性が高いのです。

その理由を説明します。

株式会社の経営権は
代表取締役にあります。
代表取締役は
取締役会の過半数の決議で
選任されることになります。
その取締役は、
株主総会の過半数の決議により
選任されます。

ということは、
会社の株式の過半数を所有していれば
自分が好きな取締役を選ぶことができ
引いては、自分の好きな代表取締役を
選ぶことができるわけです。

わかりやすく言うと
会社の過半数の株を持っている方が
会社の経営権を握っている
ということになるのです。

ところが、大塚家具ばかりでなく上場企業では、
特定の個人が株式の過半数を持っていることはありません。

そこで、今回のような
社長と会長が自分を取締役に選任するよう
一般株主に賛成や委任を求めて
争うということが起きるのです。

これに対し、一般の中小企業では
代表者が株式の過半数を持っているケースが多いです。
そうなると、
他の者が社長の経営方針に不満だからと言って
自分を取締役に選任してほしいと言ったところで
相手にされないわけです。

今回の大塚家具のケースも
中小企業で
父親が過半数を持っていれば
父親が取締役に選ばれ、娘は取締役に選ばれなかったでしょう。

逆に、娘が株の過半数を持っていれば
娘が取締役に選ばれ、父親が取締役に選ばれることはない
ということになります。

どちらの経営方針が正しいかということは関係がなく
株式の過半数を持っているかどうかだけで決まります。

ただし、中小企業でも
株式を半数ずつ持つような場合もあります。
あるいは
株式を分散して持っているようなケースもあります。
その場合は、経営を巡って、
親子あるいは兄弟で争うこととなります。

株式会社では株式の所有割合が
経営に関与できるかどうかを左右しますので
事業承継する際、させる際には
その点についての注意が必要となります。



( 2015/03/31 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第139回 あのルミネがセクハラCM!? 

ルミネと言えば、女性のファッション関係のテナントが多く
しかも女性から支持されており、業績が堅調というイメージでした。

そのルミネが、中心的顧客層である女性を敵に回すことになる
と思われるCMをネットで配信し、セクハラだパワハラだと非難され
ルミネ側が不適切な表現があったとして謝罪した上で
配信を停止するということがありました。

CMは、ルミネが働く女性を応援するスペシャルムービーとして
配信されました。

出勤途中の主人公の女性に対し、
男性上司が「よく寝てそれか」と顔のことを非難する発言をします。
その後、職場の花である女性従業員に対し、かわいいと言った上で
女性主人公に対し、需要が違うから気にするなと言います。
そして、女性主人公はサボっていたからと反省し、
変わらなきゃというテロップが流れるのです。

2話で若いイケメン男子に美人と言われる展開となるので
その伏線として第1話でけなされるというものなのですが。。

男性上司が、
会社の出勤途中でいきなり顔のことを非難するだけでも
セクハラですが
さらに、若い女性従業員に対し、かわいいとして、
その女性従業員を職場の華として期待している点も
セクハラで、
逆に、主人公の女性には、職場の華としては期待していないということを
明言することもセクハラとなります。

CMなので、
そのようなセクハラ上司を登場させる演出もありだとは思います。
(現実の会社でCMの行為をしたらセクハラになります。)
しかし、このCMの最大の問題点は
主人公の女性が、そのセクハラ男性上司に言われたことを受けて
変わらなきゃと言ってしまうことにあります。

働く女性を応援すると言ってしまっているため、
ルミネの考える働く女性を応援するとは
セクハラ上司の職場の華としての期待に答えることを応援することなのか
となってしまい、
非難を受けているわけです。

実際、働く女性は、
CMのようなセクハラ上司に困らせられているということは
十分想像できます。
働く女性がセクハラ上司に困っていて
それをやっつけるようなCMであれば
今回のように企業イメージが悪くなることはなかったと思います。
ただ、セクハラ上司をやっつけることを応援することと
ルミネで商品を買ってもらうことが
結び付けられなかったのだと思います。
それなら、あえてそのようなCMを流さなければよかったと思います。

ルミネはこれまで女性に支持されてきたと思うので
今回のCMによる信用失墜は大きかったと思います。
企業のイメージ作りにも、
現代では
法律やセクハラ、環境などに関する知識が必要になります。
気を付けてください。





( 2015/03/24 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第138回 セクハラ社員にいきなり出勤停止処分ができるか 

みなさんの中には、一般の企業で働いている方が多いと思います。
一般の企業では、企業のルールを守らなかったり
法律を守らなかったりすれば、
解雇などの重い処分を受けてもやむを得ない
と思っている方が多いことだと思います。

しかし、法律の世界では、従業員は、結構守られていて
企業のルールや法律を守らなかったりしても
雇い主である企業が、違反した従業員に注意や指導をしていないと
解雇はおろか、出勤停止などの重い処分はできないとされている場合が多いです。

そこで、争われたセクハラの裁判がありました。
事案は、女性の部下にセクハラ発言を繰り返した男性従業員2人に対し
企業が、セクハラを認定し、いきなり出勤停止と降格処分にしたというものです。
男性社員2人は、女性がセクハラについて明確に拒否をしなかったことや
企業がセクハラについて事前に警告をしなかったことから、
いきなり出勤停止と降格処分は重過ぎるとして企業の処分を争っていました。

二審は、他の雇用問題と同様に
企業が事前に注意警告をしなかったことを重視して
企業の処分を無効としました。

しかし、最高裁は、セクハラは女性が人間関係の悪化などをおそれて
明確に拒絶することをためらう実態があることや
セクハラが隠れて行われることから事前に注意や警告が難しいという特殊性があることから
いきなり出勤停止や降格処分をすることも可能としました。

セクハラだけの問題なのか、他の雇用問題でも同様に、
いきなり出勤停止や降格処分が許されるのか
わかりませんが、
今回の最高裁判決は、これまでのように事前に注意しないと
従業員に重い処分をしてはいけないというルールから
場合によっては、いきなり従業員に重い処分をしてもよいというルールも認めたことで
少し画期的かもしれません。

( 2015/03/17 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第137回 弁護士が自分の論評を他人のものとして主張し懲戒処分 

3人の弁護士が裁判で敗訴し、その判決を批判する論評を書いて
雑誌に掲載してもらったようです。
それは、表現の自由として認められていますので
何の問題もありません。

しかし、この弁護士たちは、
それだけでなく、一審敗訴の控訴審で
その雑誌の掲載を引用して
公刊物でも指摘されているとおり
一審判決はおかしい。
というように
自分たちの主張が正しいことを裏付ける根拠として
使用したようなのです。

自分たちが書いた論評なので
控訴審での一審判決に対する自分たちの意見と同じになるのは
当然です。

それを自分が書いたことを隠して
公刊物に同じ意見が掲載されていると主張すれば
裁判所は、世間一般では、弁護士たちの意見が正しいと
考えているのかと信じてしまう可能性があるということが
問題なわけです。

弁護士たちが所属する第一東京弁護士会は
問題はあるかもしれないけれども
弁護士会として懲戒処分をする必要まではないと判断しましたが
その上部団体である日本弁護士連合会は
戒告という懲戒処分にしました。

弁護士会の懲戒処分になるかどうかは
わかりませんが、
みなさんに知っておいて欲しいことは
弁護士は、依頼者のみなさんのためであれば
何でもしてよいというわけではないことが
ルールとして定められており
それに違反すると弁護士会から懲戒処分を
受けてしまうということなのです。

だから、弁護士は依頼者のみなさんのお願いであっても
できないことがあるのです。
弁護士は特に不正や裁判の公正を疑わせるような主張や立証はできません
ので、みなさん、その点のご理解のほどよろしくお願いします。
( 2015/03/10 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第136回 隠れ家バー、食べログに敗訴 

「秘密の隠れ家」を売りにバーを営業しているのに、
「食べログ」に掲載されたことから、
隠れ家としての演出が台無しになったとして、
大阪市の飲食店運営会社が、
サイトを運営する「カカクコム」に情報の削除と
330万円の損害賠償を求める
裁判を起こしたということについては
第80回 「隠れ家」演出、食べログ掲載で台無し
で取り上げました。

その判決が大阪地裁で出されたようです。
予想通り、バーの方の敗訴で
食べログの勝訴でした。

判決全文はわかりませんが
新聞報道によると
食べログは、電話帳やホームページなどでも
情報を一切公表していない店の
情報は削除要請に応じていることを
踏まえた上で、
当該バーが
バーの店舗情報を
バーのホームページに公開していることから
承諾なく掲載しても違法ではない
と判断し、
バーの食べログに対する情報の削除と損害賠償請求を
認めなかったようです。

本当に「秘密の隠れ家」として営業したいのであれば
会員制のバーとして運営し
会員には、食べログには投稿しないとの会員規約に承諾してもらい、
バーの情報もホームページ等で公開しないことが
必要ということになると思います。
( 2015/03/03 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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