弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第156回 遊び心の写真アップが裁判になることも 

今は、スマホ、携帯電話が普及し、
誰もがいつでも写真を撮ることができ、
しかも
その写真を瞬時に全世界に公開することが
できます。

その問題点について
産経新聞が記事にしていました。

最近は、面白がって
若い女性が、中高年男性の写真を撮って
キモイなどというコメントと共に
ツイッターにアップする
ということがなされているようです。

法律上
他人の写真を他人が特定できる状態で
写真を撮影し公開することは
肖像権の侵害となります。
他人の写真を公開することは
その本人の同意を得ないと
アップできません。

特に、キモイなど悪口も一緒に載せれば
名誉棄損などにも当たります。

写真を載せられた方は被害者となり
慰謝料請求権が発生します。

その額は、数万円から数十万円の場合もあると思います。

ツイッターは、仲間内に見せるものと思っている方が
多いかもしれませんが、
世間一般の誰でも見ようと思えば見られる状態になるので
権利侵害の程度が大きいし、
また、投稿した人が他人の肖像権などの権利侵害をしていることも
わかってしまうこととなります。

わかりやすく言うと
他人の写真を無断でツイッターに投稿している人は
私は写真に写っている人の肖像権を侵害していますと
世間に公表しているようなものなのです。

安易な遊び心からなのでしょうが
それで傷ついたり、不安に思ったりする人がいるのです。
気を付けましょう。



( 2015/07/28 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第155回 母が亡くなったら3000万円の預金が500万円に 

日経新聞に、
兄と同居している母が亡くなったら
母の生前は3000万円あった預金が
500万円しかなかった。
遺産分割の際にどうしたらよいか
という相談が載っていました。

まず、こういうケースでは
預金の引き出しがお兄さんによってなされたのか
を確認する必要があります。
銀行で取引明細と、払戻請求書を出してもらったらよいと思います。

お兄さんがお母さんからもらったという場合には
生前贈与として特別受益となります。
しかし、その場合もらった証拠があるかを確認する必要があります。
預金を下ろしたのがお兄さんで口頭での贈与だとすると
書置きなどがないと贈与は認められないと思います。

お母さんに頼まれて下ろしたけど渡した
あるいはお母さんの生活のために使ったなどという場合は
お兄さんにその使途の証拠を出してもらうということとなります。

相談者は
お兄さんがこれらの証拠を出せなければ
お兄さんが預金を取得したとして
不当利得返還請求が可能です。
ただし、相談者の法定相続分は2分の1なので
下ろされた預金の2分の1をお兄さんに請求できることとなります。

この預金を生前に下ろしたという問題は
相続でよく発生する問題ではありますが
遺産分割ではなく、
不当利得返還請求訴訟により解決することとなるので
家庭裁判所の調停ではなく
地方裁判所の訴訟となります。
( 2015/07/21 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第154回 「会いたい」訴訟 訴えの取り下げで終了 

歌手の沢田知可子さんが、
作詞家の沢ちひろさんから
「会いたい」の歌詞を改変されて
精神的苦痛を被ったとして
慰謝料200万円を求められていた訴訟が
訴えの取り下げで終了したそうです。

裁判(訴訟)が終了するには、
一般的に、
裁判所が判断を示す判決か
お互いが譲り合って解決内容に合意する和解の
どちらかが多いです。

今回、訴えの取り下げということが報道されましたので
この訴えの取り下げについて
お話しします。
訴えの取り下げは、訴えを起こした原告だけがすることが
できます。
依頼者の中には、相手(原告)の訴えが不当だから
取り下げさせることができないかと聞いてくる方もいますが
不当な訴えでも
相手(原告)が正しいと思っている限り
訴えられた被告側が取り下げさせようと思っても
取り下げを強制的に行うことはできません。

では、訴えを起こした原告であれば
自由に訴えの取り下げができるかというと
そうではありません。
裁判を起こし訴状が相手(被告)に届いて
被告が答弁書を提出した後は
訴えの取り下げには、被告の同意が必要となります。
なぜなら、訴えの取り下げをすると、
最初から訴えがなかったことになるため
しばらくしてから再度原告が同じ内容の裁判を起こすことが
できることになるからです。
そこで、自由に訴えを取り下げることができるとすると
訴えて、裁判が進んで負けそうになったら
取り下げるということが横行し、
訴えられた方がその対応に振り回されることになってしまいます。

したがって、被告がせっかく反論を準備し勝てそうだから
判決で相手の請求が認められないことを確定したいと考えれば
訴えの取り下げに同意しないということが認められています。

気を付けなければならないのは
訴えの取り下げについて同意しなければよいと思って
2週間放置しておくと
訴えの取り下げに同意したことになってしまうということです。

そこで、訴えられた以上、原告の訴えの取り下げを認めず、
判決で白黒をつけたいという場合には
相手が訴えの取り下げをしてきた場合、
2週間以内に異議を述べる書面を裁判所と相手方(原告)に
送付するということになります。

沢田さんの裁判では、訴えの取り下げにより
裁判(訴訟)が終了したということですから
作詞家の沢さんが訴えの取り下げをしたことについて
沢田さんが同意したか、2週間以内に異議を述べなかった
ということになります。
( 2015/07/14 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第153回 賃料減額と賃料増額どちらが勝つか? 

流通ニュースというネットの記事に
ホテルの賃料を巡って不動産投資信託のリート投資法人と
ホテルを借りてホテルを運営している藤田観光が
訴訟をしているということが掲載されていました。
そして、藤田観光は賃料が高すぎるとして減額の訴訟を起こし
逆にリート法人は、賃料が低すぎるとして
賃料増額の訴訟を起こしたようです。

まず、みなさんに知っていただきたいことは
賃借人は、賃料が高すぎると思った場合は
賃料の減額を請求することができ、
貸主も賃料が安すぎると思った場合は
賃料の増額請求をすることができることが
法律上認められていて、
お互い合意ができなければ
裁判所がいくらの賃料が妥当か判決で決めてくれる
ということです。

おそらくみなさんは、賃料が高いと思っても
貸主が応じてくれなければ下げることはできない、
あるいは
賃料が安いと思っても賃借人が応じなければ
上げることはできない
と思っている方が多いのではないでしょうか。

しかし、実際は最初に申しあげたとおり
周辺相場が値下がりしたり
値上がりしたりすれば
それに応じて賃料減額したり
増額したりできるのです。

具体的には、
まず、賃料の減額又は増額請求をします。
賃料の減額、増額は請求したときが基準となるので
内容証明郵便でするのがよいと思います。
次に、それに基づき、調停の申し立てをします。
賃料の減額、増額は、
調停前置主義と言って
調停を裁判の前にしなければならない事件とされていますので
調停が必要です。
この調停の場で話し合いが決裂すると
訴訟となります。

訴訟では、裁判所の選任する不動産鑑定士が
妥当な賃料を鑑定し、
裁判所は、その賃料額に従って
判決を下すのが一般的です。

鑑定費用は、数十万円から100万円以上と、結構な金額がかかります。
しかも、賃料は自分が思っているくらいまで増減するとは限りません。
したがって、
賃料の減額や増額を請求するとしても
賃料が少ししか変わらないような物件では
賃料減額または賃料増額について
訴訟までするかどうかは
検討が必要となります。

ニュースにあった
ホテル一棟やビル一棟などでは
坪単価が変動すると
全体での賃料が大きく変動する可能性がありますから
訴訟をして減額や増額する価値があると思います。

( 2015/07/07 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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