弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第163回 アイドルの交際禁止契約は有効? 

AKB48に男性との交際禁止のルールがあり
メンバーがそれに違反したことにペナルティを課すことが
良いことなのかどうか
以前ニュースになりました。

この度、別なアイドルグループについて
東京地方裁判所で
芸能事務所が
アイドルが交際禁止条項に違反したことにより
アイドルグループが解散せざるを得なくなり
損害を被ったなどとして
アイドルとその親に損害賠償請求をした事案について
判決がありました。

報道によれば、
少女側は、異性との交際禁止はアイドルに不可欠な要素ではないと
主張したようです。

しかし、裁判所は
アイドルである以上男性ファンからの支持獲得のためには
交際を禁止することは必要だとして
それに違反したことにより
グループは解散せざるをえず
将来の売上回収が困難になったとして
約65万円の賠償責任を認めました。

いつも言っているように
報道では判決文全文が掲載されず
当事者の主張と裁判所の判断が全部見られないので
わかりませんが
争点は、アイドルに交際禁止は不可欠な要素かどうか
だったようです。

元アイドル側は
不可欠なら、違反したら損害賠償責任を負い、
不可欠でないなら、違反しても解散する必要はないし、
賠償責任を負うものではない
という争い方をしたようです。

しかし、この点については
アイドルが男性と交際していない方が
ファンは多くなるし
より熱心に支援してくれることは
事実だと思うので
アイドルに不可欠かどうかという問題でなく
アイドルグループとして売上を多く稼ぐために
そのような制約を契約で課すということは
十分考えられることで合理的だと思います。

したがって、そこだけを争点とすると
なかなか勝つのは難しいのではないかと思います。

問題は、
アイドルとして活動中は
何年間も無制限に
男性との交際を禁止すること自体が
法的に許されるのか
ということにあると思います。

個人の恋愛感情を契約で拘束することができるのか
という問題でなかなか難しいと思います。

異性との交際を禁止することは公序良俗に違反し無効
とも十分考えられるところです。
無制限はダメだけど
期間を限定すればよいということも考えられますし、
男性との交際は生きていく上で必ずしも必要不可欠ではないので
自分が納得して契約したのだから、
有効とも考えられます。

敗訴したアイドル側には
最高裁まで争って決着をして欲しいと思います。




( 2015/09/29 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

今週は連休なのでお休みです 

また来週からよろしくお願いします。
( 2015/09/22 00:00 ) Category 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

第162回 養子縁組が節税となる? 

朝日新聞に相続税の節税がブームだという記事が
掲載されていました。

今年起きた相続から、相続税のかからない基礎控除額が少なくなったことから
今まで税金がかからなかった程度の相続にも税金がかかるようになりましたし
税金も多く払わなければならなくなりましたからね。

みなさん、節税にあれこれ知恵を絞っているようです。

その1つに孫を養子にするという方法が挙げられていました。
養子を1人増やすと
1人分の基礎控除額が600万円増えることとなります。
ただし、既に実子がいる場合は何人と養子縁組をしても
基礎控除額は1人分しか増えません。
実子がいない場合は2人まで基礎控除が増えることとなります。

孫に相続させることは
もう1つの節税が考えられるのです。
本来、親から子供に相続されるときに相続税を払い
子供から孫に相続されるときにまた相続税を払う
というように2度相続税を支払うことになります。
ところが、孫を養子にして、いきなり孫に相続させれば
相続税は1度支払えばすむことになります。
相続税を1回分節税したこととなります。

ただし、孫と養子縁組をして相続させることは
良いことばかりではありません。
子供が複数いた場合
特定の子供の孫のみを養子縁組をすると
他の子供から養子縁組について争われたり
相続について争われたりする可能性があります。

養子縁組は、実質的に親子として生活する意思がないと
法律上無効であると考えられていますので
相続税の節税目的だけの養子縁組は無効となります。
これを他の子供から主張される可能性があります。

また、特定の相続人のみに相続させると
他の相続人から遺留分(いりゅうぶん)の請求を受けることとなります。

これではせっかくの節税により、家族に争いを招くこととなってしまいます。

税理士は、家族間の紛争まで考えずに節税策を考えることが多いので
節税策を取った場合トラブルとならないか弁護士に相談することも
必要となります。


( 2015/09/15 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第161回 ブラック地主にご用心? 

みなさんの中に土地を借りている人は
少ないと思います。
日本人は持ち家志向が強いですからね。

しかし、土地を借りる権利は法律上強い権利が保障されていて
借地権は土地の更地価格の6割から7割を占めると言われています。
(地域によっては5割のところもありますし都心の商業地では8割のところもあります)
しかも、地代は固定資産税の2倍から3倍程度と安いことが多いことから
借地権を持っている人はかなりの財産を持っていることとなります。

地主にとってはこの強い権利である借地権は
解消できるものなら解消したいわけです。
それに絡んだ記事が
タイトルの「ブラック地主」にご用心として
朝日新聞に掲載されていました。

記事に挙げられた例では
出て行くか土地ごと買い上げろと言われて
断ると昼夜を問わず何度もインターホンを鳴らされるなどの
嫌がらせをされたようです。

25年前のバブル期や
リーマンショック前のミニバブルの時期には
このような行為は地上げ行為と言われていました。
土地の値段が上がると
更地にして売却し儲けようとする人が出てくることから
このような
嫌がらせによる追い出しがなされるわけです。
朝日新聞では地上げと呼ばずに
今風にブラック地主と呼んだようです。

借地権者は法律上守られており
地代さえきちんと支払っていれば
そうそう裁判によって追い出されることはありません。
嫌がらせも弁護士が入れば
面談禁止や架電禁止の仮処分などをすることにより
嫌がらせを止めることは可能です。
弁護士が入れば警察も介入しやすくなります。

借地について嫌がらせ行為があったら
直ぐに弁護士に相談依頼するのがよいと思います。
借家についても同様のことが考えられます。
それについても弁護士にご相談ください。



( 2015/09/08 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第160回 京都の紅茶王の遺産相続争い9年 

朝のワイドショーで、京都の紅茶王の遺産相続争いで
9年もかかっているという事件が取り上げられていました。

僕はその場面を見ていなかったのですが
その番組の中で
遺産相続争いで、10年近く争われることは珍しくないと
弁護士が発言をしていたようです。

弁護士が遺産相続争いで10年近く争われることは
珍しくないというようなことを発言すると
テレビを見ている人は
遺産相続は大変だと思われてしまうと思い
このブログで取り上げることとしました。

やはり10年も争う遺産分割は珍しいです。
ほとんどの遺産分割は
1年あれば終わります。
通常の裁判と同じです。

テレビで取り上げられていたケースは
どこが争点となってこんなに時間がかかっているのか
についてはあまり取り上げられていなかったので
わかりませんが、
過去、僕のところに相談に来た時点で3年以上かかっている事件のほとんどが、
本来どんどん手続きを進めなければならない側の弁護士が
準備不足だったり、相手の引き伸ばしに付き合ってしまったり
してしまったケースです。

遺産分割は原則遺産分割協議で解決することとなりますが、
使い込みの取戻しや養子縁組の有効性、遺言の有効性などは
訴訟で解決しなければなりません。
これらに問題があり、話し合いでは解決付きそうにない場合は
直ぐに遺産分割協議、調停を打ち切り、
訴訟をする必要があるのです。
これをせず、長期にわたって、遺産分割協議や調停を続けて
結局は訴訟をしないと解決しないとなった場合は
何年も話し合った結果振り出しに戻るということになってしまいます。

通常、調停では、話し合いなので書面を提出しない場合が
多いのですが、
主張が書面でなされないと
お互いの主張が明確にならないので
どこが争点か絞るのに時間がかかってしまいます。
遺産分割事件でも
通常の訴訟と同じように、お互いに書面で主張し
証拠を提出していくことが必要となります。
そうすれば、遺産分割調停が決裂したとしても
それまでお互いがどういう主張を出し、どういう証拠を提出したかも
明らかとなり、
裁判所が遺産分割について審判(判決のようなもの)をする際には
直ぐに判断できる状態となります。

遺産分割を早期に解決するためには
遺産分割について経験の多い弁護士に依頼して
直ぐに訴訟などの法的手続きを取ることが重要となります。
( 2015/09/01 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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