弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第167回 8億円の注文でも口頭で 

シャープを相手取り、機械製造会社の片岡製作所が8億410万円の支払いを求める
訴訟を起こしたそうです。
これに対し、第1回口頭弁論が開かれ、シャープは請求の棄却を求めました。
報道によると、
片岡製作所の主張では、
シャープから口頭で太陽電池の生産設備の発注を受けて
設備を完成したのですが、
シャープはシャープの経営悪化が表面化した後に
発注していないとして支払いを拒んだようです。
両者間で発注書は、納品直前に交わす慣習だったそうですが
今回は交わされなかったようです。

法律上
口頭での契約も有効とされています。
しかし、
口頭で契約した場合
相手から契約をしていないと言われてしまうと
いわゆる「言った。言わない。」の問題となり、
裁判での証明が難しいことが多いです。
したがって、
口頭での契約は法律上有効とされていますが
裁判では認められないことが多いです。

ただ、本件では、8億円もする機械なので
機械の仕様に関する要望や機械製作の進捗状況の確認などが
なされている可能性があり
その辺の事情から契約の成立を立証できる可能性はあります。
担当者同士のメールの内容も有力な証拠となります。

金額が小さければ
後で否定されて、認められなくても
損害も小さいので
仕方がないという判断もありますが
金額が大きいと
後から否定されて認められないと
損害は大きくなり
仕方がないでは済まないことになってしまいます。

そこで、一定金額以上のケースでは
契約書を交わしたり、発注書を書面でもらうことに
した方がよいと思います。
金額の多寡にかかわらず、
相手から否定されたときの損害は受けたくないという方は
全件で、契約書を交わしたり
注文書をもらったりした方がよいと思います。


( 2015/10/27 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第166回 いざというときはやはり大手の方が 

横浜のマンションが傾いたということで
販売会社や施工会社の責任が問われています。
当然のことですが
ここで重要なのは
販売会社が三井不動産レジデンシャル(以下「三井不動産」と言います)
という
大手不動産会社であったということです。

マンションが傾いた原因は
マンションの基礎の杭が地盤に届いていなかった
ことにあるようですが、
これを直すには、
建て直しが必要のようです。

当然、買主には
売主に建て直し(法律上は瑕疵修補請求)や
損害賠償(売買代金相当額等)を求める権利があります。

マンションを建築して売却してから
数年経過してしまった場合
受け取った代金は、
建築費用や従業員の給料として
既に使ってしまっているでしょうから、
再度マンション1棟(報道では3棟全部)を無償で建て直したり
購入者全員に、
代金と同じくらいかそれ以上の金額を払ったりするには
相当の資力が必要となります。

相手に資力がなければ
法律上請求権があって
判決を取っても絵に描いた餅にすぎません。
会社が破産してしまえば
何も取れないし、修繕もしてもらえない
こととなってしまいます。

それを考えると
保険の意味で、
多少高くても、
大手と呼ばれ
利益を上げている会社から
購入することは意味があります。

もちろん、手抜き工事やデータの改ざんなどは
無くて当たり前の話なのですが、
現実には、大手優良会社と言われる三井不動産の件でも
起きてしまったのですから
どの会社でも
そのようなことが起こることが考えられます。
そのことを考慮に入れて
いざとなったときの資力を考えて
契約相手を決めることは
契約を結ぶにあたって
意外と重要となります。









( 2015/10/20 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第165回 財産分与と養育費は離婚に責任があっても請求できます 

離婚の際に、請求できるお金は
大きく分けて
慰謝料、
財産分与、
養育費、
となります。

慰謝料は、離婚原因を作った方が
相手に離婚に伴う精神的苦痛を慰謝するために支払うお金となります。
夫が離婚する際に必ず妻に慰謝料を支払うわけではありません。
夫が不貞行為をしたような場合には妻に慰謝料を支払う必要はありますが
性格の不一致でお互いが合意して別れるときは
慰謝料はどちらも支払う必要はありません。
逆に妻が不貞行為をしたような場合には
妻が夫に慰謝料を支払うこととなります。

財産分与は、結婚時から離婚時までに夫婦で作った
財産や負債を合計して2分の1ずつ分けて
清算する手続きです。
したがって、どちらに離婚原因があるかどうかは
関係ありません。
妻が不貞行為をしたから離婚するという場合でも
結婚してから離婚するまでに、預金を蓄え
自宅を取得した場合は
2分の1は、妻に支払わなければなりません。

養育費は、未成年の子供を引き取った方が
子供を養育するために必要なお金を
夫婦で分担する費用です。
したがって、妻が子供を引き取って育てる場合は
仮に妻が不貞行為をして離婚することになったとしても
夫は養育費を妻に支払わなければなりません。

慰謝料は、離婚原因を作った方が支払う必要があり
離婚原因を作っていなければ支払う必要はありません。
逆に、財産分与と養育費は、離婚原因がどちらにあろうと
支払わなければならなくなるお金になります。
離婚の相談に乗っていると
誤解されている方が多いので
注意してください。



( 2015/10/13 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第164回 AV出演契約の違約金は支払い義務はない? 

前回、アイドルの交際禁止契約に関する判決を
取り上げましたが、
今回は、アダルトビデオ(いわゆる「AV」)出演契約の
違約金に関する判決のお話です。

まず、違約金について説明すると
違約金とは、契約で契約に違反した場合に
違反者が契約相手に支払わなければならない
お金のことです。

日本の契約で違約金が定められることは少ないですが
不動産の売買契約書では
契約違反をした場合は代金額の2割を違約金として支払うなどと定められています。
また、賃貸借契約では、契約が終了した後に明け渡さないと
倍額の賃料相当額を支払うことが定められている場合があります。

契約書で違約金を定めると
基本的に有効となります。

今回のケースは、アダルトビデオ出演契約を結んだにも関わらず、
出演をしなかった女性が、プロダクションから
契約違反だとして違約金を請求されたというケースです。

契約の原則から言えば、女性に違約金の支払い義務が
認められることになりそうです。

しかし、裁判所は、アダルトビデオ出演は
本人の意思に反して出演させることはできない性質のもので
契約はやむを得ない理由があれば直ちに契約を解除することができ
アダルトビデオ出演の拒否はやむを得ない理由に当たる
として、契約解除を認め、違約金の支払義務を認めませんでした。

今回の判決では
契約に違約金の支払義務が定めてあるにもかかわらず
違約金の支払義務を認めませんでした。
通常は最初にお話ししたとおり
違約金の支払義務が認められてしまいます。

契約は、署名捺印してからでは争うことは難しいので
契約書に署名捺印する前に
弁護士に相談していただいた方がよいと思います。

( 2015/10/06 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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