弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第171回 遺言書に斜線が引いてあったら有効?無効? 

遺言書には、大きく分けて
自分で全文を書き署名捺印をして作成する自筆証書遺言と
公証役場で作成する公正証書遺言があります。

自分で作成する場合は、費用も掛からず気軽にできるのですが
何せ法律知識のない方が作成するので
その遺言の内容についての解釈が争いになったり
法律の要件を満たしているのかが争いになったりします。

そんな自筆証書遺言を巡る裁判で、
最高裁判決が出たので
取り上げます。

亡くなった方が残した遺言書には
息子に大半の資産を相続させると書かれていました。
ところが、
遺言書には、赤いボールペンで遺言書全体に斜線が引かれていたのです。
そこで、もう一人の相続人である娘が、
遺言は、斜線が引かれたことにより無効だとして
遺言無効確認訴訟を起こしたのです。

法律上は、遺言書を変更する場合には
遺言者が変更した場所を特定して
変更した旨を記載して署名して
変更箇所に印鑑を押すこととなっています。
単なる斜線が変更だとすると
変更の要件を満たさないので
遺言は斜線によって変更されておらず、有効となります。

他方で、法律は、遺言者が破棄した場合は
遺言が撤回された(取り消された)ことになるとしています。
そこで、斜線を引いた行為が破棄に該当するとすれば
遺言は取り消されたこととなり無効となります。

一審二審は、
斜線が引いてあったとしても、
全文の内容が読めることや
線を引いただけでは破棄に当たらないこと
などから、
遺言は有効と判断しました。

しかし、最高裁は、文面全体に斜線を引いたのは
一般的に、遺言全体を無効にする意思の表れとなることを理由に
遺言書は無効であるという判決を下しました。
破棄に該当すると判断したと思われます。

このケースは
法律上の変更の要件を満たしていなくても
斜線を引くことにより遺言を無効にすることができるか
という難しい問題で、
どちらの結論でもおかしくなかったケースだと思います。

ただ、一般的には
赤いボールペンで斜線を引いたということは
最高裁の言うように取り消すという意味だったかもしれません。
しかし、それなら、破って捨ててしまうこともできたのに
亡くなった方はそうせず
わざわざ開封して遺言書に斜線を引いた上で、再度糊付けをして、
保管しておいたのです。

息子に対し、余程腹を立てたことがあり
息子に大半の財産をやろうとしたけど
やっぱりやめたということを
息子にわからせようとしたということなのでしょうか。
それとも、
破棄しようと思ったけどやっぱり息子にあげようとしたのでしょうか。

遺言書を書いた方は亡くなってしまったので聞くわけにはいきませんが
どちらだったのか興味があるところです。

みなさんが遺言書を作成するのは
子供たちが揉めないようするためだと思いますので
遺言が元で、後でトラブルとならないように、
専門家である弁護士に相談し、公正証書遺言を作成することをお勧めします。


( 2015/11/24 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第170回 債権回収会社のことを知っていますか? 

貸金や売掛金、損害賠償請求の取り立てをすることを
債権回収と言います。

この債権回収の仕事は、
暴力団関係者や事件屋と言われる人たちが行うことが多く、
弁護士法で、弁護士以外が債権回収を行うことは禁止されています。

しかし、バブル経済崩壊後の不良債権処理で、
金融機関が多数の不良債権を譲渡して処理するには
弁護士以外で
債権の譲渡を受けたり、
取り立てについて委託を受けて債権回収を行ったりする制度が
必要になったことから
債権回収会社が認められました。

この債権回収会社については
債権回収を弁護士以外に認めることとなることから
暴力団や事件屋が回収してくる可能性があり
取締役として
弁護士が就任する必要があります。

この度、僕も債権回収会社の取締役を
することになりました。
これからは、債権回収会社の取締役と
弁護士業務との両方をしていくこととなります。

なお、ちまたには、債権回収会社を名乗り
違法な取り立てをしている会社も多いです。
正式な債権回収会社は、名前に債権回収会社という名称がついていますし
個人の貸金や売掛金の譲渡を受けたり、
取り立ての依頼は受けたりはできませんので、
債権回収会社という名称でない会社や
個人の貸金や売掛金の取り立てをしている会社は
違法な取り立てを行っている可能性が高いですから
直ぐに弁護士に相談された方がよいと思います。






( 2015/11/17 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第169回 鳥貴族、鳥二郎の訴訟その後 

今年の2月に
同じ焼き鳥店で、
店名の鳥がニワトリをイメージする図柄にして
看板の配色が赤と黄色で、
木材を多用した内装、
従業員の服装は黒いTシャツにバンダナ
全品均一の価格表示
同じビルに入居するなどして
著名な表示と類似する表示を使用して
営業権を侵害したなどとして
鳥貴族が鳥二郎に対し、
ロゴマークなどの使用禁止と
損害賠償請求約6000万円を求め訴訟を提起しました。

報道を見る限り
かなり似ている営業形態だったので
判決がどうなるかと興味を持っていましたが
結果は和解で終了したようです。

しかも、和解で守秘義務が定められたためか
和解内容は公表されていません。

和解内容が公表されていないので
鳥二郎が損害賠償を支払ったのか
支払っていないのか
支払ったとしていくらなのか
今後同じ営業を続けていくのか
等はわかりません。

裁判で争って、判決が出れば
どちらが勝ったかが明確になります。
しかし、
和解の場合、守秘条項を付けることによって
どちらが勝ったか世間にはわからないようにする
ことが可能となります。

もちろん裁判で内容的に優位に進めている方にも、
和解で解決すれば控訴されずに済み
早期に勝訴と同様の内容を確定的に得ることができる
というメリットがあります。

このように、
和解は当事者の思うところを
柔軟に反映させて
解決することができます。
ただし、和解は、判決と違って
当事者が合意しないと成立しないので
そこがなかなか難しいところですね。

それにしても
この訴訟の和解内容は
どんな内容となったのでしょうか。
気になりますね。
今後鳥二郎が今後営業を同じ看板等で
行うかどうかでその点についてだけは
どう和解で決めたかがわかりますけどね。









( 2015/11/10 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第168回 特許訴訟でサントリー、アサヒに敗れる 

ノンアルコールビールで国内シェア1位のサントリーが
2位のアサヒビールに対し、特許権を侵害されたとして
製品の製造や販売の差し止めを求めた裁判で
一審判決が東京地方裁判所で判決が出されました。
結果は、裁判を起こしたサントリーが敗訴しました。

サントリーの特許権は特許権として
登録されていたのに、
なぜ、敗訴してしまったのでしょうか。

東京地方裁判所は、
サントリーの特許として認められている
発明内容が同業者であれば容易に考えつくもので
特許としては無効だと判断しました。

みなさんは、
特許として認められているのに
無効ということがあるのか
と疑問に思われることでしょう。

しかし、
特許として登録が認められたとしても
特許庁は、特許の申請書を
形式的に判断して特許として
登録するかどうかを
判断するため
裁判所で、特許の有効性を争われると
無効とされてしまう特許は、
結構あります。

特に、特許に必要な発明の「進歩性」は
発明内容が通常人や同業者が容易に考えつくものであると
認められませんが
この点について
特許庁は、申請書の記載から形式的に判断して
特許としての登録を認めてしまうので
いざ裁判で争われると
無効とされてしまうケースは多いのです。

そう考えると
あまり特別なものではない技術について
特許侵害だと主張されても
必ずしも恐れる必要はない
ということにはなります。




( 2015/11/03 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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