弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第180回 アイドルの交際禁止契約は「行き過ぎ」 

以前
第163回 アイドルの交際禁止契約は有効?
で、
アイドルに交際禁止義務を課す契約が有効だと判断し
契約に違反して異性と交際したアイドルに
損害賠償義務を認めた判決を取り上げました。

しかし、今回反対の結論を出した判決が出されました。
その判決では、
「アイドルのファンはアイドルに清廉性を求めるため
交際禁止はマネジメントの側の立場では一定の合理性がある」
と判断しています。

しかし、異性との交際は、憲法で保障された幸福追求権の1つだから
アイドルの特殊性を考慮しても
交際禁止は行き過ぎで、
損害賠償請求が認められるのは、
故意にアイドルが異性との交際を公表したような場合に
限定されるとし、
裁判になったケースはそのような事情がないという理由で
マネジメント会社の請求を認めませんでした。

前回のブログで、
僕は、アイドルに交際禁止を求めること自体は
合理性があるので
アイドル側は、争うなら、そこだけでなく
合理性があったとしても
交際を禁止することが法的に許されるか
その範囲を限定するなどを検討する必要が
あるのではないか
と言いました。

今回の判決は、
合理性があっても、
無制限に損害賠償請求によって
強制できないと判断したもので
前回の僕の考え方と似ています。

ただし、交際禁止条項の限定の仕方が
故意に交際を公表したような場合にのみ有効
としています。
この点がこれでよいのかということが
裁判で争われていくでしょうし
アイドルのマネジメント会社は
この判決を受けて、
契約内容等を変更していく必要があると思います。

前回も言いましたが
マネジメント会社にもアイドルにも最高裁まで
争って、この問題について法律上決着をつけてほしいですね。
( 2016/01/26 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第179回 銀行員の責任を銀行に追求できるか 

朝日新聞によると
三菱東京UFJ銀行の銀行員らに勧められた投資会社との取引で
3億8000万円もの損失を受けたとして
80代の女性が銀行と銀行員に対し、
損害賠償請求していたケースで、
東京地方裁判所は、
女性の請求を棄却する(認められない)
とする判決を出したようです。

従業員が損害賠償責任を負う違法行為(「不法行為」と言います)を
したときに、雇い主である会社等はいつでも責任を負うわけではありません。
雇い主である会社と、従業員は、法律上基本的には別な存在だからです。

しかし、従業員が不法行為をしたときに
雇い主である会社等に損害賠償請求ができる場合があります。
それは、その不法行為が会社等の業務を執行する際に行われた場合です。

従業員が会社の仕事として業務を行っている際に
取引相手や第三者に損害を与えたような場合には
取引相手や第三者は
従業員の行為は会社の行為だと信頼しているし
また会社は従業員のその行為により
利益を得ているのだから、
会社にも責任を負わせた方が公平だから
というのがその理由です。

銀行に損害賠償請求をした前記事案では
銀行員が銀行の業務として女性に投資会社との取引を勧誘したのか
という点が争われ、
裁判では、銀行の業務とは関係ないところでなされ、
女性もそれを認識していたと判断されたようです。

銀行員や証券会社の従業員が
その信用を利用して、
個人的な貸し借りやお金儲けの話を持ち込んでくることが
あります。
もちろん、銀行や証券会社の規定では、
禁止されていることですし、
先ほどの判決のように
銀行との取引でなければ銀行に責任を追求することもできません。
したがって、銀行員や証券会社の従業員が個人的にお金の貸し借りや
投資話を持ち掛けてきたとしても
その話に乗らないようにすることが大切です。

( 2016/01/19 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第178回 夫婦同姓制度は合憲 

昨年末に、夫婦を巡っての最高裁判決が2つ出されました。
1つは、離婚後一定期間結婚できないとする待婚期間が合憲かというもの
もう1つは、夫婦は同姓を名乗ることが義務付けられていることから
どちらか一方は姓の変更を強制されるという夫婦同姓制度が合憲か
というものでした。

今回は、夫婦同姓制度の方を取り上げます。

最高裁は、夫婦同姓制度は、
姓を変える方は、姓が個人を表す呼称の一部であることから
その変更は個人のアイデンティティーの喪失をもたらしたり
それまで築いてきた信用を失わせたりするので不利益があることを認めました。
しかし、
姓が、同じ家族・親子を構成することを示す機能があること、
また、当事者が協議した上で決めることとなっていること、
通称の利用が広がっていることなどから
夫婦同姓制度には合理的な理由があり
合憲としました。

この同姓制度を違憲としてしまうと、
今の同じ戸籍内の家族は同じ姓を名乗るという戸籍制度を
全面的に変えなければならなくなるので
なかなか違憲判断は難しいと思っていました。
戸籍制度どう変えるかは
裁判所の仕事ではなく
国会の仕事ですから。

また、夫婦を別姓とした場合
子供の姓をどうするかでまた問題が発生します。
夫の姓か、妻の姓か、
1番目の子供と2番目の子供で
姓は変えてよいかどうか
などです。
夫婦平等になるよう、両方の姓を子供のうちは名乗るように
するとしたら、
夫の姓を先にするか
妻の姓を先にするか
という問題がまた起きてしまいます。

いっそのこと、
夫婦は別姓にして
子供には第三の姓を付けることとすれば
問題は解決すると思いますが
一般的には
姓は、自分の先祖や家族を表すものと
認識されていて
だからこそ、姓に自分のアイデンティティーを
感じているということもあるので
そこがなかなか難しい所かもしれません。

ただ、離婚が増えていて、
両親が離婚後別の姓という子供も増えてきているので
そのうち、家族でも姓が異なることに違和感を感じなくなる人が
多くなるかもしれません。

以前のように、妻が専業主婦ではなく
夫婦共に仕事をするケースが多くなってきているので
いくら通称が許されているからと言っても
会社の役員登記や不動産取引で提出する印鑑証明書も
通称ではできませんから
結婚で姓を変更するとなると
夫でも妻でも不便であることは間違いないです。

だから、違憲とまで言えるかどうかは難しいですが
国会は、この点について法律で解決する必要があると思います。




( 2016/01/12 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第177回 裁判にも運がある? 

みなさん、明けましておめでとうございます。

今年も、このブログをよろしくお願いします。

さて、みなさん、裁判は法律で形式的に決まるものだし、
裁判は全ての当事者を平等に扱うものだから
裁判官が誰であっても結論は同じになるはず
と思っていますでしょうか。

もちろん、どの裁判官が判断しても
結論は変わらない種類の裁判もあります。

本来、誰が裁判官でも結論が変わらない方がよいのですが
裁判も法律上の理屈や証拠を人が判断することなので
複雑なケースや結論がどちらとなるか微妙なケースでは
裁判官によって結論が変わって来ます。

また、判決にせずに、和解で解決するケースでも
例えば支払金額をどの程度で和解を進めるのか
和解の進め方はどうするのかは
裁判官によって異なります。

そこで、代理人である弁護士の力量にもよるのですが
同じ代理人でも
裁判の進め方が異なり、有利になったり
不利になったりすることがあります。

僕は、同じ訴訟で、途中で、裁判官が交代し
有利な判断だったものが
不利になったこともありますし
前の裁判官は、全然取り上げてくれなかった主張を
新しい裁判官は理解してくれてこちらに有利な判断をしてくれたこともあります。

代理人としては、どちらも同じように主張し、立証しているのですが
たまに、このように結論が変わってくる場合があります。

それを考えると、裁判にも運というものもあるな
と感じます。

しかし、やはり裁判は、そういうケースは少なくて
法律上の理屈が成り立ち、証拠がある方が勝つものなので
運や裁判官のせいにせず、
法律上の理屈や証拠によって
裁判官を説得し
なるべく依頼者の方に利益をもたらすような
裁判をしていきたいですね。

では、今年もよろしくお願いします。

なお、事務所は
1月4日から業務を開始しますが
次回のブログの更新は
1月12日となります。


( 2016/01/01 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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