弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第184回 裁判所はメールで連絡をしたりしません 

最高裁の書記官を名乗る人物から
不特定の方に
裁判所へ出頭するよう求めるメールが送られているそうです。
そのメールには添付ファイルが付いていて
その添付ファイルを読むことを促すようなことが
書かれています。
しかし、その添付ファイルには
ウイルスが仕組まれているので
添付ファイルを開いてしまうと
ウイルスに感染してしまうということです。

裁判所からの通知は、
特別送達という特別な書留郵便で来るのが普通で
裁判所からいきなりメールが送られてくることは
ありません。

このニュースを見て、
最高裁判所のホームページを見てみると
裁判所を名乗るメールや
電話は結構あるようです。

その内容は、裁判費用や賠償金などを払えとか
詐欺の被害金が戻ってくるのでその手続にかかる費用を払え
というもので、その全てがお金をだまし取ろうとする詐欺です。

今回は、ウイルスに感染させようとしている点が
これまでの裁判所になりすましたメールとは
違っています。

しかし、詐欺メールにせよ、ウイルス感染メールにせよ
裁判所からメールで連絡が来ることはありませんので
裁判所を名乗るメールは、怪しいメールですので
開かずに削除してください。

( 2016/02/23 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第183回 企業秘密を持ち出しての転職に有罪判決 

殺人等の刑事事件は、
みなさんの日常にはあまり関係がないので
このブログでは取り上げていませんが
今日は刑事事件のお話です。

朝日新聞によると
競合会社に従業員が転職する際に
設計図のファイルデータを持ち出した
元従業員と
受け取った会社の部長及び
受け取った会社に罰金刑が科される判決が
出されたそうです。

最近、「下町ロケット」というドラマで
企業秘密である設計図が
従業員によって転職先に持ち出されてしまうという
設定がありましたが、
この判決のケースは
ドラマでなく現実に起こったということです。

企業秘密を持ち出すことは
会社から損害賠償請求をされる
という民事だけの問題でなく
刑罰を科される刑事の問題とも
なります。
もちろん逮捕される可能性もあります。

そして、
企業秘密は持ち出した従業員ばかりではなく
受け取った会社と担当者にも刑罰が科せられる
ことになるのです。

今回、企業秘密を受け取った企業に科された
罰金は1400万円です。

今はパソコンなどで会社の情報を簡単にコピーして持ち出すことが
可能となっています。
しかし、企業秘密を持ち出したり、受け取ったりすることは
犯罪ですので、ご注意ください。

会社としては、企業秘密を持ち出されないよう
秘密として、きちんと管理しておくことが必要になります。
( 2016/02/16 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第182回 家政婦に対する遺言が有効に 

最近、遺言に関する裁判が話題になることが多く、
今回も遺言に関する判決を取り上げます。
それだけ、みなさん、遺言書や相続について
関心を持たれているということかもしれません。

今回の判決は、
遺言で家政婦に全遺産を相続させる
という遺言が有効かどうか
争われたケースについてのものです。

遺言書は身内の誰かに財産を残したい、
あるいは
相続人間の相続争いを予防したい
と思って作成されることが多いので
宛名は身内の方が多いです。

身内がいるのに、家政婦に全遺産を相続させる
という遺言が出てきた場合は
家政婦に騙されたんじゃないかと
身内の方が思うのはもっともです。

過去の判例でも、同居している身内について
遺言書に書かれていないのは不合理として
遺言を無効としたものもあるくらいです。

僕も、裁判所はよく遺言を有効と認めたな
と記事の見出しを見たときに
思いました。

しかし、記事を読んでみると
娘は多額の援助を過去に母親(女性)から受け、
これが最後と念書を書いて援助を受けたけれども
その後娘は母親と同居し、
母親が娘に資産を奪われるのが怖くて外出できないと
第三者に話すほどだったことなどから
長年自分を支えてくれた家政婦に
全財産を譲ろうとする心境になるのは
自然だとして
裁判所は、遺言を有効と判断した
ということがわかりました。

なかなかこのようなケースは少ないとは思いますが
たまに子供に相続させたくないという相談を受けることもあります。
親の財産を当てにしている方は
親にやさしくしてあげた方がよいかもしれません。


 
( 2016/02/09 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第181回 予想通りか、反してか、土屋アンナが劇作家に勝訴 

第50回 舞台中止の責任はで話題にした
女優の土屋アンナさんが
主役を務める舞台の稽古に出席しないことから
舞台を中止せざるを得なかったとして
中止によって発生した損害賠償請求を求められていた
裁判について、
判決が出ました。

内容は、舞台の主催者である劇作家の請求を棄却する
判決で、土屋さんの全面的勝訴判決となりました。

劇作家側の請求が認められなかった理由は、
報道によれば、
舞台の準備が間に合っていなかったので
損害が出たとしても、それは土屋さんのせいではなく
主催者側の準備不足だということでした。

裁判の当事者ではないので
裁判の詳細はわからず、
報道から、裁判の争点は、土屋さんが稽古を休んだことについて
正当な理由があるのかないのかだと思っていました。
報道では、原作者や原作者の代理人弁護士は
舞台にすることに積極的で、
特に異議を述べていなかったということだったので
裁判では土屋さん側が不利なのかと思っていました。

しかし、判決は、その点について判断せずに
舞台の準備が整っていなかったから
舞台の中止は、土屋さんの責任ではないという
本来の争点ではないところで
結論が出されたようです。

世間では、劇作家のヒールぶりから
土屋さんが勝って当然だという意見が多いようですが
裁判としてはなかなか難しかったのではないかと思います。
原告側の弁護士がメインの争点で勝てそうだと思い、
舞台の準備ができていたということについての主張立証をおろそかにしていたのか?
もともと準備不足で舞台ができそうになかった点を突いた被告側の弁護士の作戦が
うまく行ったのか?
劇作家が裁判官の心証を害したために本来の争点ではないところで負かされたのか?
部外者の僕にはわかりませんが、
劇作家は控訴するらしいので、
控訴審ではどうなるのか楽しみですね。

実際の裁判では、
請求する原告側は、全ての争点に対し、主張立証しなければなりませんが
請求される被告側は争点の1つでも崩せば相手の請求を退けることができるので
複雑な訴訟では、原告側の方が気を遣うこととなります。





( 2016/02/02 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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