弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第189回 ジェネリック側が特許訴訟で敗訴 

特許には存続期間が決まっていて
特許出願から20年経過すると
特許としての効力が無くなってしまいます。

特許が特許でなくなれば
その特許だった発明を誰でも利用することができるようになります。

医薬品では、
特定の病気に薬として効能を発揮することについて
特許が申請されているのが普通です。
しかし、特許が期限切れとなり誰でも使えるようになれば
誰でもその薬を製造し販売することができるようになります。
もちろん、医薬品の製造販売の許可が必要となります。
この特許が切れた医薬品が「ジェネリック」と言われる
「後発医薬品」のことです。

特許が有効の間は、作ることを特許権者に承諾してもらわないといけませんし
特許料を特許権者に支払わなければなりませんから
医薬品は高くなります。
しかし、特許が切れれば特許料を支払うことなく
作れますから、医薬品の価格は安くなります。

そこで、国民の医療費の負担が増えて困っている国は、
このジェネリックの使用を推奨しているという面もあります。

このジェネリックの製造を巡って、特許訴訟が起こされ
先日、知的財産高裁で判決が出されました。

内容は、ジェネリックを製造するジェネリックメーカーが
特許権者の製法特許を侵害しているというものでした。

医薬品の特許には、
医薬品としての特許、特定の病気を治すということに関する特許と
医薬品をより効率的に製造する方法などの製造に関する特許が
あります。

ジェネリックメーカーは、最初の病気を治すという点の特許については
期限切れだったことは確認していたけれども
後の作り方の特許については期限切れかどうかを確認していなかったようです。

医薬品としての特許も、作り方の特許も、特許は特許なので当然保護されるべき
ということとなります。

ただ、医療費削減のために、ジェネリックが注目されていただけに
製法の特許までクリアしないとジェネリックを作れないということだと
なかなかジェネリックを作って普及させていくのは難しくなる
ということで、この判決が話題となっているのだと思います。
( 2016/03/29 00:00 ) Category 知的財産(特許、商標、著作権) | トラックバック(-) | コメント(-)

第188回 東芝が国に全面敗訴で、違約金12億3000万円の支払義務 

不正会計問題で話題の東芝ですが、
弱り目にたたり目ということなのか
わかりませんが、
東芝が国との裁判で全面的な敗訴をしたという
ことです。

裁判の内容は
何と
東芝側から国に対し、
契約解除は契約で合意していない性能を要求した国の責任だから
解除をしなければ得られた
F15戦闘機の代金約123億円の支払いを求めたところ、
逆に、国から、契約解除は、東芝のせいだから
違約金12億3000万円を支払えという請求を
受けて認められてしまったというものです。

裁判では、契約で合意していない性能を国が要求したのか
元々合意されていたのに東芝がその要求を満たせなかったのか
という点が争点となったようです。

しかし、裁判所は東芝の主張を認めず
東芝の製品は契約で合意された技術的条件を満たしておらず
納入義務を果たせなかった責任は東芝にあると
判断しました。

契約では、どのようなことを契約内容としていたのか
特に技術水準等は契約書に定められないケースも
多いですし、
裁判になるとなかなかお互いの立証が難しいところです。

訴訟記録を見ないと、
東芝の主張がどれくらい通る見込みがあるのか
控訴をしたら逆転する見込みがあるのか
がわかりませんが
123億円の支払いを受けられるはずが
逆に12億3000万円を支払う羽目になってしまうとは
東芝にとってなかなか厳しい結果となってしまいました。
勝てば123億円ですからね。
負けて12億3000万円を支払うことになっても
勝つ可能性があるのであれば
123億円を求めて訴訟をしますよね。

日本人は、なかなか契約書で違約金を定めませんが
国は、代金の1割を違約金と定めておくとは
なかなかやりますね。
みなさんも、契約で違約金を定められるときは
入れておくことをお勧めします。
まあ、違約金を定めると
逆に違約金を支払うことになる可能性もありますので
その点は注意が必要です。





( 2016/03/22 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第187回 認知症家族の賠償責任 最高裁判決 

認知症の男性が線路内に入り
列車にはねられて
亡くなった事件で
鉄道会社が
男性の遺族に振り替え輸送の費用など
720万円を請求していた事件の判決については
第91回 認知症家族の賠償責任 高裁判決
で、取り上げました。

一審では、長男と妻に監督責任を認め、賠償責任を認めました。
控訴審では、別居していた長男の責任は否定して、同居していた妻のみの責任を
認めました。

この度最高裁判決が出されましたので、
取り上げます。
最高裁の結論は、
別居していた長男も、同居していた妻にも
監督責任は認められませんでした。

認知症の親族を介護する人は増えていて
その介護だけでも負担が重いのに、
さらに法的な責任まで負担するとすれば
介護なんてやってられないということにもなりかねない
ということを考えて、
介護者の責任を軽減したものと推測されます。

世間では、認知症の親族の介護をする人が多いことから
安心して介護できる良い判決という評判のようです。

ただし、本件では、事故の被害を受けたのがJRという大企業でしたから
監督責任がないということでよかったかもしれませんが、
認知症の方から被害を受けた人が個人であった場合でも
監督責任を認められないということとなれば
その個人の被害者の方は誰からも賠償をしてもらえない
ということになってしまいます。

法律や判決で、責任や基準を緩めれば
それで利益を受ける人もいますが
逆に、それによって不利益を受ける人もいます。
両方がよくなるということは
なかなかないので、
法律を作ったり
判決を出したりする際には
そのバランスを取るのが難しい
ということとなります。



( 2016/03/15 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第186回 暴力団員が大幅に減少 

新聞報道などによると
暴力団員が5万3500人となり
1992年の暴力団対策法施行後
最小になったそうです。

みなさんは、暴力団員が5万3500人もいるのか
と思われるかもしれません。
しかし、僕が「企業のための民暴撃退マニュアル」を
書くために平成8年の暴力団員数を調べたときには
約8万人でしたから
約20年間で3万人も減少したこととなります。

暴力団排除条例や暴力団の犯罪の摘発の強化が
功を奏しているようです。

暴力団の世界も少子高齢化の波は避けられず、
暴力団員の平均年齢は46.9歳と高齢化が進んでいるようです。
少子化の影響も暴力団員減少に影響を与えているようです。

また、警察は組を脱退した元組員の就労支援も強化している
ということです。
組を辞めても食べていけなければ組に戻るということは
十分考えられるので、警察がこの点を支援していることは
重要なことだと思います。

犯罪行為や違法行為を行う暴力団員が減少しているのは
良いことです。

ただ、暴力や脅迫など相手に害を加えることを背景に
お金を取ろうとする民事介入暴力を行うのは
暴力団員に限りませんし、
暴力団員も減少したとはいえ
まだまだ5万人はいるのですから、
暴力団対策や民事介入暴力対策はまだまだ必要だとは思います。
みなさんも、民事介入暴力に巻き込まれたら
すぐに弁護士に相談してください。





( 2016/03/08 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第185回 クロレラ側が逆転勝訴と報じられましたが・・・ 

日経新聞によると
健康食品の「クロレラ」に医薬品のような効果があるとする広告が
景品表示法に違反するとして消費者団体が広告差止を求めた
訴訟の控訴審判決で、
大阪高裁は
広告差止を認めた京都地裁の判決を取り消し
差し止め請求を棄却しました。

健康食品は医薬品ではないので
効能効果をうたうことは
基本的にできません。
いわゆる特保(特定保健用食品)として
厚生労働省に認められた商品だけが
一定の健康に対する用途を示して
販売することができます。

クロレラについては、
一審では、「医薬品との誤認を引き起こすおそれがあり
広告として許される誇張の限度を大きく超えた」と認定されました。

では、控訴審では、クロレラの広告が医薬品との誤認を引き起こす恐れがない
として勝訴したのかと言うとそうではないようです。
大阪高裁は、
一審判決後にチラシの配布を止めていることから
差止の必要性はないと判断して
広告の差し止めを認める判決を取り消したのです。

逆転勝訴というと
クロレラの広告に違法性が無かったと認められたのかと
思ってしまいがちですが
広告はもうしていないのだから
差止は認められないというだけの話だったわけです。

確かに、消費者団体の請求が一審で認められたのに
控訴審では否定された結果を見れば逆転勝訴です。

しかし、広告が止められているのであれば
消費者団体の広告を止めさせるという目的は
達成されたわけです。
そうなると、実質的には、消費者団体が勝訴したと思えます。

けれども、新聞の見出しは「逆転勝訴」となっていたので
これは本当に「逆転勝訴」なのか?と思い
ブログで取り上げてみました。

みなさんは、どう思いますか?
( 2016/03/01 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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