弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第193回 家財道具を処分してしまった保証会社に賠償命令 

マスコミの報道によると
家賃を2か月分滞納したことを理由に
家財道具を勝手に処分されたとして
借主が保証会社に対し損害賠償を求めた裁判の
判決が出されました。

その内容は
保証会社が家財道具を処分したことは
窃盗罪や器物損壊罪に当たるもので
家財道具の賠償金と慰謝料の合計55万円を
支払えというものです。

そもそも建物賃貸借契約では、
3か月分の家賃滞納がないと
裁判で債務不履行を理由とする解除は
認められないのがほとんどです。

それを、家賃の保証をしている保証会社が
鍵を付け替え部屋に入れないようにして
家財道具は処分してしまった
ということです。

借主がいくら家賃を滞納していても
法的手続によらないで
強制的に明け渡し手続きを行うことは
違法行為であり
民事手続においては
損害賠償義務を負うことになり、
場合によっては
窃盗罪や器物損壊罪になり
刑事事件となる可能性もあります。

賃料の保証会社は
保証人を立てられない人にとっては
一定の金額で保証人となってくれる便利な存在ではあります。
ただし、中には、この判例のケースのような
悪質な行為を平気でやる保証会社もあります。

貸主も、借主も注意が必要です。

( 2016/04/26 00:00 ) Category 賃貸借 | トラックバック(-) | コメント(-)

第192回 支払われない賠償金 

日経新聞に、
犯罪被害者や犯罪遺族に対し
犯罪の加害者から損害賠償金が支払われない
ということが取り上げられていたので
僕のコラムでも
取り上げてみたいと思います。

犯罪を犯し、有罪となった加害者は
刑事裁判でも懲役何年などの有罪判決を受け
刑罰を科されることとなります。

その一方で、
加害者は被害者を殺害したり
ケガをさせたりして
被害者に対し損害を与えていますから
被害者や遺族に対し、
損害賠償金を支払う義務も発生します。
こちらは、民事の問題となります。

この犯罪被害に関する損害賠償請求は
刑事裁判の手続の中でもできるようになりましたが
民事裁判を起こしてその中で請求するのが一般的です。

ただ、この損害賠償金について
判決で確定されてもなかなか支払われていない
というのです。

その原因は、
まず、一般的に、経済的に恵まれている犯罪者は少ないです。
そして、逮捕後、懲役刑を受けている間は
収入はほとんどありません。

このコラムで、何度か言っていると思いますが
日本の法制度は、判決があっても
相手に財産がなければ
取れない仕組みになっていますから
犯罪の加害者に対し、
判決に基づき差押をして
回収をするというのは
なかなか難しいわけです。

海外では、加害者が被害者に賠償金を支払えば
刑の執行を停止し、払わなければ重くなる制度を
取っている国もあるようです。

それくらいしないと、
犯罪者からお金を取るのは難しいと思います。

ただ、日経新聞は取り上げていなかったのですが
犯罪被害者給付金という制度があるので
犯罪により死亡した被害者の遺族
犯罪により重傷を負ったり、
後遺症が残ったりした被害者の方は
国に対し、犯罪被害者給付金を請求することができます。

加害者本人に対し支払わせたい
という気持ちはあると思いますが
犯罪により被害を受けた場合
遺族の方や被害者の方は
それにより経済的に困るということも
多いと思います。

そこで、国が加害者に代わり
一部を支払ってくれる制度がありますので
覚えておかれたらよいと思います。



( 2016/04/19 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第191回 ハルクホーガン氏への賠償128億円 

アメリカの話ですが
プロレスラーのハルクホーガン氏が
自分の性行為の様子が映ったビデオを無断で公開され、
プライバシーを侵害されたとして
インターネットのニュースサイトの経営会社に
損害賠償を求めたケースで判決が出されました。

裁判所は
ニュースサイトの運営会社に
プライバシーの侵害を認め
1億1500万ドル(約128億円)の
賠償金を支払うよう命じました。

みなさんは、訴訟で損害賠償をするときに
多額の損害賠償請求ができる
あるいは
訴訟を起こせば多額の損害賠償が認められる
と思っている方が多いかもしれません。

それは、アメリカの裁判のニュースの影響が
多いと思います。

このハルクホーガン氏の裁判の判決のように
アメリカでは10億円、100億円を超える損害賠償が認められる
ケースがあります。

これに対し、日本では10億円、100億円を超える
賠償額が認められるケースは
ほとんどありません。

これは、アメリカと日本での損害賠償の考え方の違いによります。
日本では、実際に発生した損害について
賠償するという損害賠償の考え方を取っています。
これに対し、アメリカでは
実際に発生した損害の他に
悪いことをしたことに対する制裁、
あるいは
同様のことを二度とさせないための懲罰
という意味で
制裁的慰謝料、懲罰的慰謝料という損害賠償が
認められます。

資力のある会社が他人の権利を侵害した場合には
この制裁的慰謝料が多額となるので
損害賠償額は10億円や100億円を超えるほど多額となります。

なかなかこのような考え方は
日本では受け入れられないと思うので
今後も、このような巨額の賠償金が
日本で認められることはないと思います。






( 2016/04/12 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第190回 夫に親権が認められた 

夫婦が離婚する際に
子供がいれば子供の親権者を
夫婦のどちらにするか決めることとなります。

離婚した場合の親権を巡って争いになることも
少なくありません。

しかし、裁判所の考え方としては
子供が自分の意思で親を選ぶことができる年齢になるまでは
母親に親権が認められるのがほとんどです。

僕も弁護士として相談された際には
夫に認められる可能性が少ないと
回答しています。

しかし、この度、
親権が争われた場合
単に母親だからと言って
親権が認められるとは限らず
夫に親権を認めた方が
子の健全育成のためには良い
という理由で
夫に親権が認められる判決が出ました。
父親と母親の双方から愛情を受けて育つ権利があり
その子供の権利を確保するために
自分が親権者となれば
妻との面会交流の機会を
年100日確保すると
主張したことが
大きな理由だったようです。

妻がこの判決に対し控訴した場合
この結論が維持されるかどうかは
わからないので
この裁判所の考え方が
一般的なものとなるかどうかは
わかりません。
また、年100日を別に住んでいる
妻に会う機会を与えることは
結構大変で実現できるかという問題もあります。

しかし、この判決がこれまでの裁判所の考え方からすると
画期的なことは
間違いありません。

今後夫が子供の健全育成のためには
自分が親権を持った方がよい
という主張が増えることは間違いがないと思います。


( 2016/04/05 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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