弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第209回 賃貸収入7000万円の消防士が兼業禁止で処分 

新聞報道によると
消防士が年間7000万円の賃貸収入を
得ていることが
公務員の兼業禁止に違反しているとして
改善命令が出され、
それに従わなかったことで
さらに処分をされるということのようです。

改善命令の内容は
賃貸物件を5棟10室、駐車場台数10台未満
賃貸収入500万円以下に減らすようにする
と言うもののようです。

公務員が兼業を禁止されているのは
職務の専念義務
公務員としての守秘義務
公務員の職務の中立性と公正の確保
等からだと言われています。

職務の専念義務というのは、
他の職業をすることにより、疲れたりして本来の公務員としての職務に支障が出てしまうことを
兼業を禁止することにより防ぐというものです。

守秘義務は、公務で知った秘密を他の職業で使用することを兼業を禁止することにより防ぐという
ものです。

最後の職務の中立性と公正性の確保については
公務員が兼職していると、その業界に有利に公務を行うのではないかと中立性を疑われるし
世間から公務員がそんな職業についてと思われることにより公務員の仕事が疑われてしまう
こともあることから、兼職を禁止することにより防ぐというものです。

今回の消防士については、
公務で知った秘密を不動産の賃貸で利用するという可能性はないですし
消防士が賃貸収入を得ていたとしても消防士としての信頼や公正性を損なうことはありません。
賃貸収入と物件が多いと、
全部自分で管理をしているのであれば
公務員としての職務に支障が出るほど管理が大変となる可能性はありますが
全部管理会社に任せているのであれば、休日に、趣味でスポーツをやるよりも
負担が軽い可能性があります。
したがって、一概に物件の数や収入が多いからと言って
公務員の職務専念義務には違反しないと思います。
そこで、この消防士さんには
なかなか難しいでしょうが勤務先である自治体と
その処分については取り消されるべきであると争って欲しいですね。




( 2016/08/30 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

今週は夏休みをいただいています。 

来週からまたよろしくお願いします。

私は休みですが
事務所は業務をしていますので
何かありましたら、
事務所に連絡をいただき、
理崎弁護士にご相談ください。
( 2016/08/23 00:00 ) Category 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

第208回 家賃保証でトラブル多発 

家賃保証でトラブル多発という新聞記事の見出しを見て
何のことかわかった人は、
かなり不動産に詳しい方だと思います。
何のことかわからないのが普通です。

この家賃保証とは、
サブリース契約というもので
業者がアパートやマンションを借り上げて
他に転貸する契約のことを指していました。

業者は部屋に空きがあっても、契約期間中は貸主に賃料を支払う
という方式なので、家賃を保証していることと同じということなのです。

では、本当に家賃保証なのかというと、
実は、サブリース契約でも普通の賃貸借契約だと、
賃料の減額ができることとなっていることから
賃料の減額がされてしまう可能性があります。
次に、賃貸借契約の内容によっては
中途解約ができるようになっていることから
解約されてしまうと家賃は入らなくなってしまう可能性があります。

しかし、
実際は
サブリース業者が、アパートやマンションのオーナーと契約する際は
業者がオーナーに対し
「家賃は保証するので
空き部屋ができたり、賃料が減額されるおそれがありません。」
などと説明して契約することが多いようです。

しかし、業者が、予想に反して入居率が悪くて
賃料の減額をしたり
中途解約をしたりすることも多く
オーナーから話が違うと言われ
トラブルになっているようなのです。

このサブリース契約については
アパートやマンションのオーナーは賃貸業を営む
事業者であることから、賃貸や契約のリスクは自己責任ということで
オーナー保護の制度を設けて来ませんでした。
しかし、あまりにもこのような問題が多く起きている
ということから
国土交通省は、将来の賃料の減額の可能性がある場合などは
業者にオーナーに説明義務を課すことにしました。

これで、賃料が減額されるとは聞いていなかった
というトラブルは減るとされています。

しかし、業者が契約時にオーナーに対し
口頭で実際は減額することはありませんからなどと
説明して、
オーナーがそれを信頼して契約をしてしまうということは
容易に予想ができてしまいます。

したがって、今回の説明義務によりどれだけ
トラブルが減るかはわかりません。

ただ、サブリース契約を業者と結ぶときは
もはやオーナーは、事業者となることから
後で契約内容がわからなかったなどという
言い訳が通らないということをよく理解していただきたいと思います。

そこで、
業者を一方的に信頼せずに、
業者がうまいことを言っているのであればなおさら、
業者の言っていることがきちんと契約書に書かれているのかなどについて
弁護士に確認してもらった方がよいと思います。

( 2016/08/16 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第207回 相撲部屋を承継するには対価が必要か 

みなさん、相撲はご存知だと思います。
相撲は、公益財団法人日本相撲協会が運営しています。

力士は、日本相撲協会に所属して給料をもらっている
いわば、日本相撲協会の従業員ということになります。

しかし、力士は、各親方の運営する部屋に所属し
その部屋の親方になるには、年寄名跡を取得しなければなりません。

この年寄名跡について、この度判決が出されたようです。
このケースは春日山親方が、元親方の岩永氏に対し
年寄名跡証書の引渡しを求める裁判を起こしたところ
元親方の岩永氏が証書は部屋を承継する代金の担保として預かっていると
反論しました。
要するに、部屋の承継する代金を支払わなければ
年寄名跡の証書は渡せないと反論したのです。

裁判所は、この岩永氏の反論を認め
部屋の価値を約1億8000万円と認定し
1億8000万円を支払うのと引き換えに証書を引き渡すよう
判決で命じました。

この年寄名跡は、公益財団法人の役職とも考えられることから
日本相撲協会自体は売買の対象とはならないとしています。
しかし、力士や親方の間では、慣習上売買がなされ
これまでも、売買の合意があったか
贈与の合意があったかが裁判で争われてきました。

裁判所は、
日本相撲協会の
年寄名跡は売買の対象とはならない
という原則を否定し、
売買や贈与の対象となると判断してきました。

今回の判決もこれまでの判決を踏襲したものと
思われます。

プロ野球やJリーグは
各チームをそれぞれの株式会社が運営しており
その株はもちろん売買の対象となっています。
相撲の場合も各部屋を株式会社などにして
明確に売買ができるようにするか
日本相撲協会の役職として全く売買できないようにするか
すればよいと思うのですが
全く売買をできないようにしたいけれども
これまで売買されてきたことを考えると
代金を支払って買い取った親方は売却できず
回収ができなくなってしまうということで
なかなか改革ができないということなのだと思います。

ただ、このままだと裁判所は過去の慣習から売買を認めてしまうので
相撲協会の思いとは反対の結論となってしまいます。
部屋の価値は1億8000万円もすることを考えると
なかなか廃止するのは難しいのかもしれません。






( 2016/08/09 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第206回 正社員と契約社員の手当の格差は一部で違法 

以前、雇い主が退職後再雇用する際に
以前と同じ業務を行わせるのであれば
以前と同じ給料を支払わないと違法になる
という判決を取り上げました。

今回は、退職後の話ではなく
正社員と契約社員の給料や手当の格差の問題に関する
判決が出されましたので
これを取り上げます。

このケースは正社員と契約社員とで
同じ業務を行っているのに
給料や手当が異なるのは
労働契約法20条に定める
不合理な労働条件だとして
契約社員が雇い主である企業を
訴えたものです。

一審裁判所は、
通勤手当は、正社員と契約社員とで同じに扱うべきとしました。
これに対し、高等裁判所は、
通勤手当の他に無事故手当など4種類は
契約社員にも支払われるべきと判断しました。
しかし、給料は、
契約社員には、正社員のような転勤や出向がないから
その差を是正する必要はないと判断しました。

ただ、多くの企業で
契約社員やパートは手当は不要。
正社員は手当が必要。
という取り扱いをしていると思いますが
今回の判決では、契約社員やパートでも
その仕事の内容と手当の内容によっては
同じにして支払わなければならないとするもので
雇い主にとっては
注意しなければならない判決だと思います。
( 2016/08/02 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR