弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第213回 私立小学校の先生は中学受験の進学指導をする義務があるか? 

私立の小学校で、
系列の中学校に進学できない生徒に対し
小学校の先生は、
特定(系列)の中学校については
合格の可能性が少ないので
他の中学を受けるよう進学指導する
義務があるかどうか
争われた事件について
判決が出されたようです。

事案の概要は
系列の中学、高校、大学がある私立の小学校の
生徒が系列の中学に
内部選考単願受験で進学を希望したところ
不合格となりました。
その後、一般入試で系列の中学を再度受験したけれども
不合格となりました。
生徒の両親は、
この一般入試で、系列の中学を受験する際に
合格は難しいので他校を受験した方がよいと
指導する義務があったにもかかわらず
指導しなかったことから他の中学を受験する機会が
失われたとして学校に対し損害賠償請求をしたものです。

裁判所は、中学までは義務教育なので
進路指導するという特別な合意がない限り
中学への進学指導についての義務はないと
判断し、
生徒の損害賠償請求を認めませんでした。
その他に、
実際上、成績が芳しくないことは両親に伝えていて
最も有利な単願受験で不合格となった際にも
他の中学校の予定も含めた受験スケジュールを渡したことから
系列の中学に合格することは難しいと説明していたと思われるとも
認定されています。

僕は、高校まで公立なので私立の学校の事情はよくわかりませんし
義務教育での中学進学について小学校の先生が義務を負うのかどうかは
難しい問題だとは思います。

ただ、最も有利な単願受験で受からなければ
一般入試で合格するのは難しいというのは
一般的に知られていることなのではないでしょうか。

私立の学校に通わせているご両親であれば
そのことは学校の先生から説明を受けなくても
わかっているような気もしますので
なかなかこの請求の立て方が無理だったような気がします。
弁護士としてはどうしてこのような請求の立て方で
裁判を起こしたのかは気になりますね。

ちょっと変わった事件だったので、
みなさんに紹介してみました。




( 2016/09/27 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第212回 ワンセグテレビは、受信料を支払う義務があるか? 

先日、携帯電話等で見られるワンセグテレビについて
NHKの受信料を支払う義務があるかどうかが
争われた事件で
判決が出されました。

その結果は、支払う義務がないというものです。

受信料の支払義務を定めているのは
放送法という法律で、
受信設備を設置したものは受信契約を
しなければならないと定められています。

そこで、裁判では
携帯電話のワンセグテレビが
受信設備の設置に当たるのかどうか
が争われました。

設置の意味を受信設備により
NHKの放送を受信できる状態にすること
という意味であれば
携帯電話のワンセグテレビを持っていることは
設置に当たることとなります。

しかし、判決は、
放送法は、別な条文で設置と携帯については区別をしていることから
受信設備の設置には、携帯電話の所有は含まれないと
判断し、携帯電話でワンセグテレビを見られる場合は
受信設備の設置には当たらないとして
受信契約の締結義務を否定し、受信料の支払義務はないとしました。

なかなか微妙な問題ですが、
同じ法律の中で、設置の意味を携帯と区別して使用しているのであれば
設置に携帯も含まれると考えるのは無理があり、
ワンセグテレビに受信料を支払わせたいのであれば
法律を変える必要があるように思えます。

ただし、今回の判決は1審で、
NHKは、高裁、最高裁と争うつもりのようなので
今後この解釈が維持されるかどうかは
わかりません。

今後の裁判の行方に注目です。



( 2016/09/20 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第211回 知らない間に判決が取られていたらどうする? 

裁判を起こされた場合には
普通は家に裁判所から訴状が届き、
その後も判決などが届けられるので
裁判を起こされたことがわかります。

しかし、知らないうちに訴えを起こされて
判決を取られていたということが
たまにあります。

今回、最高裁判決が出されたケースは
そのような事案だったようです。

都内の80代の女性が、
東京都内の夫婦や代表者、出資先である会社に対し
出資金をだまし取られたとして
損害賠償請求訴訟を起こしました。

この夫婦も含めて弁護士を付けて争ったようですが
訴訟は敗訴したようです。

とろこが、この夫婦は、
会社の役員登記も、弁護士への委任状も偽造だとして
裁判で争う機会を与えられなかったとして
争いました。

その結果、最高裁で、
弁護士への委任状は夫婦の意思で作成されたものではないことが
認められて、
審理のやり直しが認められ、
1審から裁判をやり直すことになったのです。

弁護士は依頼を受けなければ他人の訴訟を勝手にしたりはしないのですが
会社の代表者が夫婦の名前を使って弁護士に依頼したということが
考えられます。
そして、夫婦は詳しい事情を知らないとして
会社の代表者との打ち合わせだけで
弁護士は訴訟手続を進めてしまった
ということかもしれません。

過去の住所で他人や家族が訴訟書類を受け取って
裁判が知らない間に行われ
判決が取られたということは
滅多にないけど、たまにあることです。
そのときには、仮に判決を出されて2週間以上経過して
控訴期間が経過していたとしても
諦めないでください。

すぐに控訴したり
裁判所へ何らかの申立をすれば
争える可能性があります(「控訴の追完」と言います)。
僕も過去にそのようなケースを1件取り扱ったことがあります。

そのような場合にはすぐに弁護士に相談し依頼することを
お勧めします。

( 2016/09/13 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第210回 特許として登録されているのに無効なの? 

以前、サントリーがアサヒビールを特許侵害を理由に
商品の製造販売の差し止めを請求した訴訟で、
サントリーの特許が一審では無効と判断された
という話をしたことがあります。

そして、今回、富士フィルムがDHCに対し
特許侵害を理由に化粧品の販売を差し止めを請求した
訴訟でも、またもや同じく
特許が無効だから、販売差し止めの請求は
認められないという判決が出されました。

特許は、特許庁で登録されれば
みなさん特許として有効で
その特許を利用すると
差止を請求されたり
損害賠償請求をされたりすると
思っていることだと思います。

しかし、実は、特許庁が特許として認めて、
特許として登録されていても
裁判で争われると無効になる可能性もあるのです。

それは、
特許庁が、特許の登録については
実際にどれくらい技術的に優れているかどうか
実質的な審査をしないことが
理由です。
この実質的な審査をしない理由は
実質的な審査をしているといつまでたっても
特許が認められなくなってしまうという
デメリットがあるからです。

ただ、そうであるからこそ、特許として登録されている技術でも
あとで、裁判で、本当に特許として認めるべき技術なのかどうかを
争われると、
特許として認められないということも出てくる可能性がある
ということになっています。

前回は、サントリー、今回は富士フィルムと
有名な大会社が特許として登録していた技術でも、
後から無効とされてしまうことがあるのですから
特許侵害を主張された場合でも
素直に従うのではなく
その特許が本当に特許として有効なのかどうか
弁理士や弁護士などの専門家に
相談した方がよいかもしれませんね。




( 2016/09/06 00:00 ) Category 知的財産(特許、商標、著作権) | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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