弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第239回 チラシや広告も勧誘に該当します 

みなさんは、
今回の「チラシや広告は勧誘に該当します」というタイトルを
読んで
そんなの当たり前と思った方も多いと思います。
それが一般的な認識だと思います。

しかし、ここで言う「勧誘」は消費者契約法の「勧誘」であって
そこに、重要事項に事実でない説明があった場合や
不確実な事項について断定的な判断の提供があった場合には
契約を取り消すことができるということになっています。

そこで、消費者契約法上の「勧誘」は
特定個人に向けられた電話や訪問による勧誘で
不特定多数に向けられた広告やチラシは
勧誘に当たらないとされてきました。

しかし、この度の最高裁判決で
チラシや広告であっても、
消費者の意思決定に影響を与えるものもあるから
勧誘に当たる場合があると
判断しました。

この訴訟はクロレラという健康食品についての
裁判で争われたものですが
この裁判では広告の差し止め自体は
認められませんでしたし
勧誘行為に該当するかどうかも判断されませんでした。

しかし、世の中、健康食品の中には
「がんに効く」などという広告を出して
売られているものも多いです。

そのようなことを信じて購入してしまった場合には
この最高裁に基づいて
取り消しが認められる可能性があります。

企業側は、そのような誤認を与えないような
広告作りが求められることとなります。




( 2017/03/28 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第238回 東日本大震災による原発事故は予見可能 

東日本大震災による原子力発電所の事故について
前橋地裁で判決が出されました。

その内容は、
国と東京電力は、
東日本大震災による津波を
予想できたので、
その対策を取らなかった東京電力と
その対策を取らせなかった国には
原発事故により
避難を余儀なくされている人たち被害者に対し
賠償責任を負うというものです。

通常、天災地変による事故や被害については
人が予想できない不可抗力として
法律上の責任が発生しないとされています。

今回の原発事故の訴訟でも
東日本大震災のような大震災が発生すること
それにより高い津波が来て事故が起きることが
予想できたのかどうかが
争点の一つとなりました。

今回の判決は、
国が2002年7月に発表した長期評価で
福島第一原発沖を含む日本海溝での地震の発生確率が30年以内に20%程度と
されていたことや
東京電力が2008年5月に福島第一原発に
高さ15.7メートルの津波が来るとの試算を得ていたことなど
から、
大地震とそれによる津波が予想できたと判断しました。

これに対し、国と東京電力は
地震の予想については、確立した知見ではなかった
と争っていましたが、認められませんでした。

地震の予想については
30年以内に20%程度という予想が
果たして予想と言えるかどうかは
なかなか難しいと思います。

今回の裁判官は、
原子力発電が一度事故が起きると
甚大な被害を生じさせるという原子力発電の危険性と
国が自ら出した予想で、
東京電力も地震が起きた場合に高い津波が起きることは
自ら試算していた
ということから
予想可能だったとしたと思われます。

国や東京電力のような企業でなければ
なかなか東日本大震災クラスの地震が起きて
被害が起きることは予想できたとは
判断されないとは思います。

今後、本件は、高裁、最高裁と争われていくと思いますし
他の地裁でも同様の裁判は行われています。
裁判所がどう判断していくのか
最終的にどちらと判断するのか
注目ですね。


( 2017/03/21 00:00 ) Category 損害賠償請求 | トラックバック(-) | コメント(-)

第237回  詐欺メールにご用心 

みなさんは、
「利用料金が滞納となっているのでお支払いください。
お支払いがないときは、法的措置を取らせていただきます。」
などという心当たりがないけど
もしかしてどこかのサイトにアクセスしたときのものかとちょっと不安になるような
メールを受け取ったことはないでしょうか?

このようなメールはほとんどが詐欺です。

詐欺であることの根拠は
まず、宛名がないことです。
料金が未納で、相手に支払いをさせようとしているのに
詐欺メールにはその相手(みなさん)の名前が記載されていません。
それは、相手(みなさん)の名前がわからないからにほかなりません。

次に、差出人の連絡先として電話番号が書かれているのに
差出人の会社名、住所、担当者の氏名が書かれていません。
これも、自分たちに連絡をもらおうとしているのに
自分たちの名前も住所も担当者名も書かれていないということは
通常ありえません。

そして、内容をよく見ると
その利用料金は、いつ、どのようなサービスについて
発生したのかも明確に記載されていません。

さらに、法的措置を取るという重大な知らせなのに
郵便ではなく、
メールで送ってきています。
このようなこともあまりありません。

差出人が大会社かその関連会社のような名称がついている場合もありますが
大会社は、メールでそのような連絡はしませんし
宛名はきちんと書いてくるはずです。
大会社ほど支店や営業所が多いはずですから
営業所等の住所を記載しますし
従業員も多いので担当者の氏名を書いてきます。

したがって、上記の要件を満たしている
メールによる督促は
詐欺メールということになります。
無視をしておいたらよいと思います。

どうしても不安な方は弁護士に相談されたらよいと思います。










( 2017/03/14 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第236回 残業代を歩合給から引くのは違法か合法か? 

最近、労働に関する判例と相続に関する判例を多く
取り上げているような気がします。
それだけ、労働と相続に関する事件が増えている
ということかもしれません。

今回は、労働に関する事件について最高裁判決が出されたので
取り上げてみます。

事件は、タクシー会社の話で、
運転手が残業をして歩合給を得た場合には
残業代は、歩合給から支給するというルールになっていました。

これについて運転手側が、残業をしても、歩合給が減ってしまうだけなので
労働基準法で定める残業代の支払いを免れる規定で
公序良俗に違反し無効だと主張し、
残業代の支払いを求める裁判を起こしました。

一審の地方裁判所と二審の高等裁判所は
運転手側の言い分を認めて
タクシー会社の残業代は歩合給から引いて支払う
というルールは無効として
タクシー会社に残業代を支払うよう命じました。

そして、今回の最高裁判決は
「残業代を歩合給から差し引くルールは必ずしも
無効とは言えない」としました。
そうだとすると
タクシー会社に有利な判決とも思えます。
しかし、他方で
「歩合給から残業代を引くことが労働基準法に定める残業代の支払いと
認められるか問題になりうる」とも言っています。

そう考えると、タクシー会社に必ずしも有利とはいえない
可能性があります。

宅配便の会社では、残業代の未払いが数百億円という話です。
このタクシー会社の残業代に関する問題はどう解決されるのでしょうか。

高等裁判所に差し戻されたので
高等裁判所で適法な残業代の支払いがなされたと言えるかについて
判断がなされることになります。




( 2017/03/07 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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