弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第248回 借用証がなくても貸したお金は返してもらえる? 

法律相談に乗っていると
たまに借用証がないと貸したお金を請求できないんじゃないか
と相談を受けることがあります。

逆に借用証がないから返さなくてもいいと思っている人も
いるようです。

結論から、言うと、そんなことはありません。

借用証がなくても、相手に貸金の返還請求をすることは
可能ですし、
借用証がないからと言って、借りたお金を返さなくてもよいということにはなりません。

ただし、借りた方が借りたことを認めていない場合は
お金を貸した方は、お金を貸したことを証明しなければなりません。

その証明方法として、相手の署名捺印がある借用証があった方がよい
ということになります。

ただ、借用証がなくても
相手の銀行預金口座に振り込んだ振込依頼書や通帳、
お金を貸してほしい、あるいは
お金の返済はいつまで待ってほしい等の
メールのやり取りがあれば
お金を貸した証拠となります。

メールのやり取りでなく
今はラインでやり取りをすることも
少なくありません。

このラインのやり取りも内容によっては
お金の貸し借りの証拠となります。

以上のとおり、借用証がなくても
貸したお金の返還請求ができます。
ただし、相手が借りたことを認めていない場合は
借用証がなくてもいいですが、
お金を貸した証拠が必要となります。

ただ、お金を貸し借りする場合は
借用証を作成するのが一番いいので
なるべく借用証を作成するようにしてください。


( 2017/05/30 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第247回 無料で貸したものはいつ返してもらえるか? 

みなさん、無料(ただ)で貸したものは
いつ返してもらえると思いすか?

無料で貸したのだから
いつでも返してもらえると思っていると思います。

正解です。
民法は、無料で貸す契約を
使用貸借契約としていて
返還の時期や使用の目的を定めなかったときは
いつでも、返還請求できるとしています。

しかし、返還の時期を定めたり
目的を定めたりした場合は
いつでも返還請求をすることはできませんから
注意が必要です。

そして、
建物を建てるために土地を貸したという場合は、
契約書を交わしてなくても
建物の所有目的で土地を貸したということになりますから
目的を定めたことになります。

そうなると、建物所有目的を終了するまで土地を貸さなければならないこととなって
一般的には、30年から40年は、土地を貸し続けなければならない
とされています。

よく問題となるのは
親が娘の夫に土地を無料で貸して
夫名義の家を建てた場合
娘と夫が離婚したケースです。

この場合親は娘の元夫に土地を返してくれと
言えるかということが問題となります。

土地を貸した目的は
建物所有目的であることを考えると
これまでの判例からは30年から40年は
使用貸借契約は終わらないので
返還請求はできないということになります。

しかし、親は娘夫婦の円満な生活維持という目的のために
土地を無料で貸しているのだから
夫婦が離婚してしまった以上
目的は終了してしまったと言え、
土地を返してもらうことができるとも言えそうです。

この点、昭和35年の最高裁判例は
内縁関係維持目的で土地上に住居と物置を置くことを
認めていた場合
内縁関係が終了した以上は
特段の事情のない限り
使用権限は無くなると判断しています。

このことからすると
娘夫婦が離婚した以上は
親は娘の元夫に土地の返還請求ができる
ということになりそうです。

( 2017/05/23 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第246回 1年後の社長公募は話題作りだった? 

育毛サービス大手のリーブ21が
後継者の社長を公募で選ぶと
発表したことを
みなさんは、覚えていらっしゃいますか?

その公募社長を巡り訴訟になっていたとは
この度判決が出たという記事を見て
初めて知りました。

訴訟を起こした原告は
公募社長に応募して
社長候補として採用された方です。

請求の理由や内容は
報道された記事にははっきり書かれていませんでしたが
1年後には、社長を譲るという説明があったから
他の職業を辞めてまで応募したのに
リーブ21と現社長は、最初から社長を譲る気はなく
社長にもなれなかったことから
辞めずに前の職についていれば
得られた収入や慰謝料を支払えという
ものだと推測します。

これに対し、
裁判所は、「最初から社長を譲るには3年くらいかかると想定していたにもかかわらず
1年後に社長を選ぶと説明したことは、職業選択に関する自己決定権を侵害する
違法な行為だった」として、慰謝料100万円の支払いを会社に命じました。

雇われる方からすれば
1年後には社長にすると言われたから
今やっていることを辞めて応募したのに
自分が選ばれなくて他者が選ばれたのなら
諦めも付きますが、
誰も選ばれないのでは、
話題作りに利用されただけで
前職を辞めて損をしただけと思うことでしょう。
社長になれなくても前職以上の待遇で
リーブ21の関連会社に残れるというのであれば
いいですが。

しかし、他方、会社や現社長からすれば
社長として会社を任せてよいかどうかは
実際に一緒に働いてみないとわからない
ということはありますし、一緒に働いてみたら
社長として任せるには
ふさわしくないということもあるので
雇う際に、必ず、公募した中から社長にすると
約束することは難しいと思います。

それにも関わらず、1年後には社長を選ぶ
と説明して公募したわけですから
1年後に選ばれると思って応募した人に対し
責任を負わなければならないような気はします。

ただ、その責任の内容が慰謝料100万円では、
応募した方は、全然報われませんね。

しかし、転職って、そういうものなので
辞めてしまって失ってしまった収入までは
賠償する必要はないという考えも成り立つと思います。

なかなか難しい問題で、
どちらが勝ってもおかしくない事件だと思います。




( 2017/05/16 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第245回 中小企業の廃業を簡単に 

日本は高齢化社会になっていますが、
会社の経営者も例外ではありません。

経営者が高齢化して
しかも、事業を承継する後継ぎがいない
こういう場合に、廃業をせざるを得ないこととなります。

会社の資産よりも借金や買掛金などの負債の方が少ない
ということであれば
会社の清算は簡単にできます。

しかし、会社の負債の方が多い場合は
債権者の同意を得るか
破産手続を取らないと
廃業もできないということになります。

せっかく何十年も続けてきた事業を
破産という形で終わらせるのは
経営者としては
無念でしょう。

そこで、債権者との話し合いで
何とか廃業を可能にしようということで
弁護士会などが進めているのが
特定調停という制度です。

この特定調停制度は
もともとは
裁判所を通じて債権者と債務者が
話し合いを行い生活や事業を再建する
ための手続きでした。

それを、資産よりも債務の方が多い
中小企業の廃業でも
同様に債権者と債務者が話し合いをする制度として
利用していこうとするものです。

廃業を考えたいたけれども
債務の方が多いので
簡単に廃業はできないと思っていた方には
ご利用をお勧めします。
( 2017/05/09 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第244回 銀行が建築業者から紹介料を受け取ってはいけないか 

日経新聞に
地方銀行が賃貸アパート建設の資金を
融資する際に
建設業者から紹介料を取っていたことが
判明し
金融庁が是正するという記事が掲載されていました。

是正するという書き方だと
何か法律違反に当たるのかと思いきや
記事を読んでみると
顧客紹介で手数料を受け取る自体は
違法ではないが
銀行が過度の手数料獲得に動けば
できるだけ安く建てたい顧客が不利益を被る
可能性があり
利益相反が生じる可能性が生じるので
是正するという話のようです。

日本の行政は、
基本的に、法律で明確に規制し
それに違反するかどうかで
判断することにしたと思うのですが
あまり変わっていないようです。

銀行は、紹介料を受け取ることが
銀行法で認められる銀行業務に付随する業務なのか微妙だとは思いますが
法律に違反していないのであれば
余計なお世話のような気がします。

ただ、銀行は紹介料をもらうことにより
建設業者との関係が構築されますから
建設業者が倒産したり、
事前の予想より儲からなかったなどのトラブルが発生した際には
銀行が顧客に対し責任を負うリスクが高くなることになります。
しかし、それは銀行の自己責任なので
銀行が自己の判断で行う分には良いと思います。
( 2017/05/02 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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