弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第252回 無料で貸した土地はいつ返してもらえるか 

1か月前に、
無料(ただ)で貸したものはいつ返してもらえるか?
というお話をしました。

最近の判例集を見ていたら、一年前くらいに
ちょうど、その点が争いになった判例が載っていたので
紹介します。

姉が弟に対し、土地を無料で貸してから43年も経過したことから
使用貸借は終了したとして
建物を取り壊して、土地を明け渡すよう求めたものです。

もともと、祖父が姉に国から払い下げを受けるよう勧めて
姉が土地を取得しました。
その後、弟は、父や長男と共有で、建物を建てました。
姉は、無料で、土地を貸していました。
その後、父は亡くなり、長男も弟に持ち分を贈与したりして
弟は複数の建物を全て、単独所有することになりました。

父親の相続の際、父親の遺産は、
弟がほとんどを相続しました。

そこで、姉は、自分は土地の所有者なのに全く収益を得ておらず
弟ばかり、土地を使用して収益を上げていて
おかしいということで
使用料の支払いを求める調停を起こしました。

しかし、調停は不成立となり、逆に弟側に立つ母親が姉相手に
土地の所有権を否定する訴訟を起こしてきました。

判決は
このようなことがあって、
当事者間の信頼関係に変更が認められて
43年間もの間、姉が自分の土地から何も収益を得ておらず
弟は相応の収益を得て来たことを考慮すると
土地が弟の自宅兼仕事場になっていて
姉はこの土地以外に住むところがあって
直ぐに明け渡しを求める必要はない事情があったとしても
本件土地を使用収益をするのに必要な期間は経過した
として、
姉の明け渡し請求を認めました。

この判決は、
土地を建物所有目的で無償で貸したとしても
40年以上経過すれば
土地の返還を求めることができるというものです。

逆に言うと、
当事者の人間関係にもよりますが
土地を一度無償で貸してしまうと
建物の寿命である30年から40年は
貸し続けなければならないということでもあります。









( 2017/06/27 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第251回  エアコンによる火災で2億円もの賠償責任 

エアコンメーカーであるダイキンが
倉庫火災について2億円の和解金を支払って
解決したという報道がなされました。

報道によりますと
倉庫で火災が起きたのは
代金の製造したエアコンンの室外機の
欠陥が原因だとして
火災によって商品が焼けて
損害を被ったとして
化粧品会社と保険会社が
約6億7000万円の賠償を求めていた
ということです。

化粧品会社等原告は
火災の原因は
室外機の内部のショートが
火災の原因で
エアコンが通常有すべき安全性を
備えていなかった
と主張していたようです。

この商品(本件で言えばエアコン及び室外機)が
通常有すべき安全性を欠いていて、
これにより、生命や財産に損害を与えた場合は
商品の製造者や販売者は
被害者に賠償責任を負います。

これを「製造物責任」と言います。

この製造物責任を規定している法律は
「製造物責任法」(「PL法」とも呼ばれます)と言って
メーカーや販売者の主張立証責任を重くしています。

倉庫用のエアコンなので、
家庭用とは異なるとは思いますが
エアコン1台の不具合で何億もの賠償責任が
発生することとなるということです。
メーカーや販売者は
商品の安全性には、
気を付けているとは思いますが
改めて、注意する必要がありますね。






( 2017/06/20 00:00 ) Category 損害賠償請求 | トラックバック(-) | コメント(-)

第250回 年収1700万円の医師の年俸に残業代は含まれている? 

年収1700万円の医師が残業代を求めて
勤務先だった病院に対し訴訟を起こしています。

もちろん、医師であろうと残業代の請求権は
ありそうですが、
本件は、通常の残業代とは異なります。

その病院では、
午後9時以降の残業代と
休日に必要不可欠な業務については
残業代は支払われていたのです。

ということは、
医師は、午後9時までの残業代の支払いを求めた
ことになります。
そして、この9時までの残業代が
年俸1700万円に含まれていたのか
ということが裁判の争点になりました。

一審は、
「医師の仕事は時間に応じた賃金には当てはまらない」
とした上で
高額な年俸を考慮して「時間外手当は年俸に含まれていた」
としました。
二審の高等裁判所も同じ結論でした。

しかし、この度、最高裁判所は、弁論を開きました。
最高裁が弁論を開くのは
二審の結論を変えるときだけなので
最高裁判所は、
時間外手当は年俸に含まれていたとした
二審の結論を変える見通しが高いのです。

最高裁の判決は
7月7日に出される予定だそうです。

まだ最終的な判断は出ていませんが
年俸制の場合は
時間外手当が計算できるように
何時間分の時間外手当が含まれていると
明示しなければならないというのが
判例の立場です。
今回の最高裁判決もこれと同じ結論を
取るということなのかもしれません。

年俸1700万円の医師でも
残業代何時間分と明示しないと
残業代込の年俸とは言えない
とすると
通常のサラリーマンでは
まず難しいということになります。
雇い主には厳しい判決になりそうです。

7月7日の判決が出たら
またご報告します。






( 2017/06/13 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第249回 離婚をしてから10年経ってから損害賠償請求? 

芸能人の泰葉さんが、
元夫の春風亭小朝さんに対し
結婚生活で受けた虐待などを理由に
損害賠償請求訴訟を起こすと
言っていることが
報道されていました。

芸能関係のニュースには
疎いですが、
泰葉さん、小朝さん夫婦が離婚したのは
最近ではなかった気がしていましたが
何と、10年前の2007年に離婚していたようです。

ということは、
婚姻生活中の虐待は
10年以上前にされたもの
ということになります。

通常、虐待等に基づく損害賠償請求は
法律的に言うと、不法行為に基づく損害賠償請求ということになります。
不法行為に基づく損害賠償請求は、
消滅時効が、不法行為を知ってから3年とされています。

すると、10年前に、離婚していたわけなので
離婚するときに、虐待があったことは知っていたはずで
普通は、それが離婚原因となっていることから
離婚の際に慰謝料を請求するということになります。

離婚の際には請求せず、
離婚してから3年以内にも請求せず、
10年以上経過してから請求するとすれば
もうそれは時効で消滅しているということになります。

泰葉さんの相談している弁護士もそういう説明はしていると思います。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)により
請求することができなかったから時効は進行しないという
主張をすると考えられます。

しかし、PTSDで損害賠償請求ができないくらいの状態であれば
離婚もできないような気がします。
そうだとすると、泰葉さんの損害賠償請求は
虐待の有無にかかわらず、
認められない可能性が高いと思われます。

みなさんは、離婚する際に、相手に金銭を請求するのであれば
離婚のときに一緒に請求した方がよいと思います。
一度話し合いで離婚をしてしまうと、
離婚の話し合いで解決したという主張をされてしまう可能性もありますし
相手は離婚したのだから、どうでもいいと
誠実な対応をしないことも考えらえます。

また、時効の問題もあります。
慰謝料請求は、不法行為を知ったときから3年で
財産分与は、離婚のときから2年となります。

みなさん、気を付けてください。





( 2017/06/06 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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