弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第260回 負動産時代とは? 

先日、朝日新聞で「負動産時代」という記事を見ました。
みなさんも、読んだことがあるかもしれません。

別荘地や山林を
マイナスの資産として
所有者が手放したがっている
という話です。

マイナスの資産だから
「負動産」と名付けたようです。
ただ、「負動産」と名付けたのが朝日新聞かどうかはわかりません。

この問題は、ずいぶん前から弁護士のところに相談が
あった話なのです。

別荘地や山林を一度買ってしまった場合
固定資産税や管理費がかかります。
貸したりできなければ収益は生みません。
別荘地や山林ですから、
そこに住んで生活することもできません。
したがって、マイナスの資産ということになります。
別荘地の場合、共同で道路などの管理費を負担している場合もあって
その管理費を免れられないというケースもあります。

そのマイナスの資産を手放そうとしても
不動産の場合捨てることができないので
売るか、あげるか、相続の際に相続放棄をするしか
手放す方法がありません。

しかし、売るも、あげるも、
相手が買ってくれる、もらってくれることを承諾しなければなりません。

マイナスの不動産を、買う人はもちろん、ただでもらってくれる人もいません。
そこで、不動産を手放すには
相続の際に相続放棄をするしかありません。
しかし、別荘や山林を持っている人は
どちらかと言えばお金持ちで
他にも自宅や預貯金等資産があるケースが圧倒的に多いです。
そうなると、相続放棄をすると
その自宅や預貯金も相続できないということになってしまいます。
したがって、相続放棄はできないのです。

このように、今はマイナスの資産となる不動産もあるのです。
国や地方公共団体が全て無償で取得して管理するという
法律を作るくらいしか解決方法はないですが
今の国や地方公共団体に
役に立たない土地の管理をする財政的な余裕があるか
という問題があり、
そのような法律は今はないので
なかなかうまい解決方法はありません。


( 2017/08/29 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

今週はお休みです。 

いつもコラムを読んでいただいてありがとうございます。

今週は夏休みをいただいていて
休みとなります。

また、来週からお願いします。
( 2017/08/22 00:00 ) Category 未分類 | トラックバック(-) | コメント(-)

第259回 印鑑を押した後では遅すぎる 

相続・遺産分割の相談で意外に多いのは
何かの書類に印鑑を押してしまったけれども
何とかならないかというものです。

書類は、遺産分割協議書だったり、
白紙の委任状だったり、
銀行に提出する書類だったりします。

遺産分割協議書に署名捺印をしてしまった場合は
ほとんど争う余地はありません。

強迫(脅迫)や詐欺による取り消しはできないかと
相談されるケースが多いのですが
法律上脅迫というためには
ナイフや包丁を突き付けて署名捺印を迫ったり
署名捺印をするまでは帰さないと鍵をかけて部屋に監禁したりした
というくらいである必要があります。

詐欺についても
例えば、署名捺印してくれれば
1000万円払うと言われて
署名捺印をしたら
1000万円は支払われなかったというケースだったとしても
もし本当にそういう約束があれば、遺産分割協議書に普通はそのように書くはずなので
署名捺印をすれば1000万円を支払うと言ったことを
証明するのはなかなか難しいです。

白紙の委任状や遺産分割協議書に署名捺印をしてしまった
という相談もありますが
白紙の委任状や遺産分割協議書に署名捺印をした
ということが証明できれば
何とかなる可能性もありますが
署名捺印をした書類のコピーを取っておかないと
なかなかそれも証明することは難しいです。
白紙であることを証明できたとしても
内容は相手に任せる趣旨だったと
判断されてしまう可能性もあります。

預金の払い戻しの書類に署名捺印をする場合は
署名捺印をしたのがその書類だけであれば
払戻の代表者を決めただけ
ということで、
分割内容については
何も決めていないという主張が通る可能性があります。
また、預金を全部相手に渡す合意だったとしても
他に遺産がある場合は
他の遺産で調整するという合意だったと主張する余地もあります。
ただ、預金は全て相手に与える趣旨だったと
不利に判断される可能性もあります。

印鑑を押す前であれば
弁護士はいくらでもやりようがありますが
印鑑を押してしまうと
不利な内容でもそれを承諾したこととなり、
後から弁護士が争えなくなってしまうのが
ほとんどです。

書類に署名捺印をするときは
署名捺印をしてしまって
不利にならないか
弁護士に書類を見せて相談してから
署名捺印をした方がよいと思います。




( 2017/08/15 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第258回 業務上横領罪で逆転無罪 

経理業務の委託を受けていたコンサルタント会社が
依頼者である企業から現金を着服したとして
業務上横領罪で、起訴されていました。

一審は有罪。
しかし、控訴審では、無罪となりました。

具体的には、以下のようなケースだったようです。
広告会社がコンサルタント会社に経理業務を委託していました。
コンサルタント会社は、コンサルタント会社の社長が経営している
別会社に依頼者である広告会社から3億8000万円を送金しました。
この送金が、広告会社に無断でなされたのか
承諾があったのかが争われました。
承諾があれば、もちろん、横領にはなりませんし
無断でやったのであれば、横領になるということになります。

一審は、過去のメールからは承諾がなかったと判断しましたが
二審である高裁は、過去のメールから、承諾があったと認定しました。

報道では、この3億8000万円が何のお金で
コンサルタント会社社長が経営する別会社が
どういう理由で受け取る権利があったのかなど
詳しい事情がわかりません。

ただ、承諾がなかったとされれば
業務上横領罪で有罪な上に、3億8000万円を返還しなければならないところを
承諾があったとされたので
無罪である上に、おそらく3億8000万円の返還は不要とされるのではないかと思います。

今回刑事事件であるにも関わらず
このコラムで取り上げたのは
お金を任せている場合は
横領される危険があるので
注意する必要があることを
みなさんに伝えたかったからです。

また、承諾があったことを証明できるかどうかで
刑事責任や民事責任を負うか負わないか
全く逆の結論になることがあるということも
みなさんに知っておいてほしかったからです。

他人にお金を任せる場合、
他人からお金を任される場合は
お互いこのようなトラブルに巻き込まれないよう注意が必要となります。
( 2017/08/08 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第257回 訴訟は長期化している? 

訴訟が時間がかかるというみなさんの批判を受けて
訴訟の迅速化を図るために
最高裁が2年に1度、
訴訟で紛争が解決するために
どれくらい時間がかかっているかを報告しています。

これによると、
貸金業者に対する払い過ぎた利息の返還を求める
過払金返還請求訴訟を除いた事件で見ると
平均で8.8回、訴訟は1か月に1度ですから
8カ月から9カ月で解決するということになります。

実際に裁判をしている弁護士の感覚でも
簡単な事件は半年以内、
通常の事件で10か月から1年くらいで
判決か和解かで一定の結論が出るという感じなので
裁判所の報告とほぼ合っていると思います。

今回の報告では、
裁判が長期化する難事件の割合が増えていて
比較的簡単に解決する貸金等の事件が減少している
ということでした。

貸金等の事件が減少しているのは
貸金業者が貸金業法改正による総量規制で
年収の3分の1までしかお金を貸さないことにしたことが
大きいのではないかと思っています。
また、貸金について、判決を取ってもなかなか回収が
難しいということがその原因かもしれません。

逆に、裁判が長期化する難事件が増えているということについては
難事件の中に労働事件が含まれており、
この労働事件が増えていることが原因なのではないかと
思っています。

労働事件は、過労死や名ばかり店長などマスコミで話題になることも多く
以前と比べると、相談件数も、裁判の依頼を受ける
ということも増えています。

裁判で解決するのが10か月と聞くと
長い時間がかかるなと思われるかもしれません。
しかし、実際に裁判をしてみると
昔の資料を探して事実関係を整理したり
証拠として提出したり、
相手の主張に反論を考えたり、
その証拠を見つけたりして
証人尋問の準備をして、尋問をするなどしていると
結構10か月はあっという間に過ぎてしまいます。

また、トラブルが発生しても
ずるずると伸びて、弁護士に依頼するまでに1年以上経過している
ということも多いです。

それらを考えると
トラブルが起きたらすぐに訴訟にすると
10か月以内には解決するとすれば
意外に早い解決という気がします。

もちろん、訴訟前の交渉や
訴訟になってからの和解等で解決すれば
もっと短い期間で解決します。



( 2017/08/01 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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