弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第270回 浅草寺の仲見世商店街の家賃が16倍に引き上げ  

浅草寺が浅草寺の仲見世商店街に対し
賃料をこれまでの月額3万円から16倍の50万円に引き上げると
賃料の値上げを請求したことから、話題を呼んでいます。

浅草寺の仲見世商店街は
これまで東京都が貸主でしたが
東京都から浅草寺が建物を買い取って
貸主となり、今回の値上げの請求を
したようです。

賃料増額請求権は、借地借家法という法律で
固定資産税が上がったり、土地の値段が上がったりして
近隣相場と比べて不相当になった場合
貸主は増額請求ができるということが認められています。
逆に下がったときは、借主から賃料減額請求ができます。

話し合いで、まとまらなかったときは
調停をして、
それでもまとまらなかったときは
裁判をすることとなっています。

裁判では、裁判所の選んだ不動産鑑定士の鑑定により
賃料の額が決まります。
その際に、仮に、周辺相場から月額50万円が妥当であるとしたとしても
継続契約の場合は
新規契約とは異なり、
今までの賃料と適正な賃料の間の額となることが多いです。
これは、急激に増額すると
賃借人に対する影響が多いことから
そのような計算方法がとられます。
これを「差額配分法」と呼びます。
賃料の値上げ分を貸主と借主とに配分する
という意味です。
しかも、その配分割合は50%とされるのが
通常です。

仮に50万円が適正な金額だとすると
3万円と50万円の差額は47万円となります。
47万円の50%は23万5000円となります。
そうすると、新賃料は26万5000円となります。

したがって、通常の裁判所での賃料の決め方からすれば
26万5000円となることから
仲見世商店街の人たちは
賃料値上げに応じない方が得ということになります。

ただ、裁判所の鑑定の場合
そもそも月額50万円は周辺相場よりも安いという話もあって
また、月額3万円という賃料がかなり破格の賃料という事情もあるので
裁判になったときに
通常の賃料増額の裁判と同様の鑑定結果となるかどうかは
微妙な点はあります。
しかし、いきなり適正な水準までは上げられない可能性は高いと思います。

( 2017/10/31 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第269回 オタ芸は迷惑行為か 

僕は、アイドルのコンサートには行ったことはありませんが、
ファンがアイドルに対し声援を送る際に
一部の観客が曲に合わせて
特別な掛け声や動きをするオタ芸というものがあるそうです。
僕もテレビでは見たことがあります。

このオタ芸のせいで
アイドルのコンサートに行った男性が
曲が3割も聞こえなかったとして
主催者に対し、
損害賠償請求などを求めました。

これに対し、一審判決は
オタ芸にはコンサートの雰囲気を高揚させる側面もあり、
悪意を持って妨害する行為とは言えない。
また観客にどこまで許すかは主催者の裁量に委ねられている。
と判断しました。
高裁判決も同様でした。

男性は、よほどオタ芸が許せなかったのでしょう。
最高裁まで上告しました。
しかし、最高裁判所も上告を棄却しました。


コンサートを、
どのような雰囲気で行うかなどは
主催者が企画し決めることなので
どのような行為を禁止し、
どのような行為を認めるかも
コンサートの企画の一部なので
主催者に広く裁量が認められています。

それでファンが減ったら
それは主催者の自己責任ということになります。
主催者はその辺を見極めて
禁止したり、認めたりすることになります。




( 2017/10/24 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第268回 負動産は解決できる場合もあります 

朝日新聞の負動産の特集記事の中に
相続により不動産が負動産化してしまった
という投書がありました。

その内容は
父が亡くなり
父は兄弟3人で不動産を共有する遺言を
残したそうです。
ところが、父の死亡後2年後に亡くなった
母の法事で
兄弟は大きなけんかをして
それ以降兄弟は不動産を放置して
今は空き家になったままだそうです。

このケースは、任意に売却しようとすると
全員の承諾が必要で
兄弟は仲が悪いことから
1人の兄弟が他の兄弟から
承諾を取ることは難しいと思います。

そういう場合に、
共有物分割請求訴訟と言って
共有者の1人が不動産を売却して
代金を共有持ち分に従い分けることを
請求する訴訟を起こすことができます。

遺産分割や遺言で共有にすると
永久に共有のままにしておかなければならないと
思っている方は多いのですが
法律は、共有状態で不動産の管理をすることは
難しいということは
よく理解しているようで、
いつでも共有者は共有物を分割することを
請求できるとしています。

共有の不動産で困っている方は
共有物分割請求を検討してみてください。
( 2017/10/17 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第267回 残業代の請求事件が増えています 

景気がよくなり、少子化の影響もあってか
労働力の不足が言われています。

電通の過労死事件をきっかけに
残業や過労について報道で取り上げられることも
多くなってきています。

その影響を受けてか
残業代の請求について相談を受けることが多くなりました。

主に、会社側から相談を受けることが多いですが
会社側から相談を受けることが多いということは
従業員あるいは元従業員から
未払残業代の請求を受けているケースが増えている
逆に言えば、
従業員が未払残業代を請求するために
弁護士に依頼して、
会社に対し、内容証明郵便を送ったり
訴訟を起こしたりしているということになります。

未払残業代については
雇い主側に、残業(労働時間)を管理する責任があるので
訴訟になってしまうと
その時点から対策を練ることはなかなか難しいです。

日頃から、雇い主側が
残業をさせない、
あるいは
残業代を含んだ雇用契約にするなど
契約や就業規則から
労働時間の管理方法まで
きちんと整備しておく必要があります。

ただ、残業代を含むと書いただけではダメで
基本給と残業代の区別や
割増賃金等のルールを守る必要があるので
その点を意識したルールを作成する必要があります。






( 2017/10/10 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第265回 弁護士がAVプロダクションの代理人をしても懲戒はされませんでした 

第230回 弁護士会がAVプロダクションの代理人弁護士を懲戒?
で、以前書いたとおり、
いわゆるAV(アダルトビデオ)出演契約に違反して出演しなかった女性に対し
AVプロダクションの代理人として訴訟を提起した弁護士が
弁護士会から懲戒を受けるかということが問題となっていました。

女性に契約に基づいて違約金を請求することがAV出演を強制する威圧的効果が
あるからというものです。

そのときに、現在の日本の法律では、
AV産業は適法な産業として認められており
AVの出演契約自体も違法とは言えないこと、
弁護士は、犯罪者等社会一般的にどうかと思われる方の
代理人になること自体は、弁護士の職業上認められると思うこと
などから、弁護士会が懲戒することはおかしいのではないか
というようなことを書きました。

弁護士会は、再度懲戒にするかどうか検討されたようですが
訴訟提起時に、女性に弁護士が付いていたから
懲戒しないという結論を取ったようです。

女性には既に弁護士が付いていたから
訴訟を起こしても、
自分の弁護士にアドバイスを求めることにより
AV出演を強制されることにはならなかった
ということのようです。

しかし、通常は、予め弁護士に相談して契約に違反する
という人は少ないのであって
女性に弁護士が付いていなかったら
その弁護士は懲戒されていたというのは
ちょっと、おかしいと思います。
仮に弁護士が付いていなかったとしても
弁護士に相談をすることにより、アドバイスを得られることは同じですし、
契約が妥当なのかどうか、有効なのか無効なのかは
裁判で争って初めて決まるわけです。

法律上違法とはされていない産業について
弁護士が依頼を受けて訴訟を起こしただけで
懲戒ということだと、
誰でも自分の主張が正しいと思うことを
裁判で争って正しいかどうか確認することができるという
裁判を受ける権利が害されてしまいますし
弁護士としての業務も縮小してしまうと思います。

前回も言いましたが
僕はそのAV出演契約の違約金を有効だと考えていたり
AVプロダクションがしたことが正しいと言っているわけではありません。
だいたい、どういう契約内容で、どういう経緯で契約が締結されたかなどは
よくわかりません。
弁護士が代理人となってAVプロダクションに裁判で争う機会を与えただけで
弁護士が懲戒されるのはおかしいのではないかと言っています。




( 2017/10/03 00:00 ) Category 弁護士 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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