弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第278回 やはり管理組合の理事長は解任可能に 

第275回 最高裁は結論を変えるときだけ開かれる
でお話ししたマンションの管理組合の理事長を理事会は解任できるか
という点について
最高裁は、予想通り、原審の解任できないという結論を覆して
解任できると判断しました。

最高裁は、結論を変えるときだけ開かれる原則からすれば
予想は簡単でしたね。

今日は、中身の話をします。
みなさん、マンションに住んでいる方も多いと思いますが
マンションは、各戸の所有者が共同して一棟のマンションを所有しており
各所有者は、管理組合のメンバーとして
管理や修繕などを管理組合で決めることとなります。
日常的な細かいことまで、いちいち管理組合の総会で決めることは
集まるだけでも大変なので
普段は、管理組合の組合員の代表である理事が集まって話し合って
決めていくこととなります。
管理組合が契約などを締結する場合に
代表者として署名捺印をするのが、
マンションの管理組合の代表者である理事長となります。

では、この理事長を理事会で解任できるかが
なぜ問題となるのかというと、
管理組合の規約に
理事会が理事長を選任できるとは書いてあるけれども
解任できるとは書いていないので
解任できるかどうかが争いになっていたのです。

同じ議論が以前の商法でもあって
管理監督のために選任権があるのだから
解任権も、当然あるという解釈がなされていました。

そこで、僕は、マンション管理組合でも当然
解任権があると思っていました。

しかし、本件では、一審も二審も
選任権はあっても解任権はないと
判断したようです。
なぜなのかは、一審二審の判決を見ていないので
わかりません。

トラブルになる場合は
一方は当たり前だと思っていても
相手はその反対が当たり前と思っていることも多く
裁判で決着しないと解決できないということも
多いです。

みなさんがそのようなトラブルの当事者にならないことを
願っています。

今年はこれで終わりです。
今年もありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
では、また来年もよろしくお願いします。
( 2017/12/26 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第277回 体外受精卵で生まれた子供の父親は誰? 

奈良家庭裁判所で
親子に関する珍しい判決が出されたので
ご紹介します。

夫婦で体外受精卵を作り保存しておきました。
その後夫婦は別居しましたが
妻は夫に無断で体外受精卵を使って
出産しました。
その後夫婦は離婚しました。
この場合、元夫は体外受精卵で生まれた子の父親となるのか
ということが
裁判で争われました。

もちろん、生物学的には、元夫の子供となります。
しかし、妻が別居をして、夫に無断で
体外受精卵を使用して子供を産んだことから
法律上、扶養義務などを負う父親となるのかが
争われたのです。

奈良家庭裁判所は、体外受精卵を使用して出産することについて
夫の同意が必要と判断しました。
そうなると、夫の同意なく体外受精卵を使用して出産をしたのだから
子供の父親ではなくなるとなりそうです。

しかし、夫の親子関係がないことの確認を求める訴えは
却下されてしまいました。
親子関係がないことの確認を求める訴えが却下されてしまったことから
結果的に親子関係があることになったのです。

なぜ、このようなことが起きるかというと
民法に婚姻中に生まれた子供は
夫婦の子供として推定されるという規定があるからです。
そして、この推定される子供との親子関係を否定するためには
夫が子供の出生を知ってから1年以内に
嫡出否認の訴えを起こさなければならないのです。

本件では、出生を知ってから1年以内に嫡出否認の訴えを起こさなかったことから
子供との親子関係は否定できないということになったというわけです。

妻が婚姻中に、自分の子ではない他人の子を産むということは
なかなかないかもしれませんが、
その万が一が起きたときは、
知ってから1年以内に訴訟を起こさないと自分の子供となってしまいます。
1年というのは日中仕事で忙しく働いていると
個人の揉め事の解決は後回しになってしまい
あっという間に経ってしまいます。

そういうことがあった場合は
直ぐに弁護士に相談してください。

あっという間に経過してしまいます
( 2017/12/19 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)

第276回 NHK受信料最高裁判決 

テレビを購入したら
NHKの受信料を支払わなければならないのかという点について
最高裁が結論を出しました。

最高裁の結論は
テレビを購入したら、
NHKの受信料を支払わなければならない
ということになります。

正確には、以下のとおりです。

テレビを購入したら
NHKとの契約締結義務があります。

テレビを購入しても
契約を締結しなかったらどうなるかというと
NHKが契約の承諾を求めて
裁判を起こすことになります。

そして、テレビを購入した人が
契約をするのが嫌だと言ったとしても
裁判所が購入した人に対し
契約締結の承諾を命ずる判決を出します。

この判決が確定することにより
NHKとテレビを購入した人の間で
受信契約が成立します。

そして、受信契約が成立すると
テレビを購入した時点に遡って
受信料が発生します。

では、過去に遡って発生する受信料は
いつまで遡るのかというと
最高裁は、テレビの購入時まで遡るとしています。
10年前であれば10年分、30年前であれば30年分となります。

30年前もの受信料は時効にはかからないのかと思う方もいるかもしれません。
一般的に、NHKの受信料は5年で時効にかかるとされています。

しかし、
時効にかかるのはNHKと受信契約を結んだ人の場合で
今回の最高裁判決は、受信契約を結んでいない人は
NHKが契約締結の承諾を求める判決が確定して
初めて契約が成立するので
時効にはかからないと判断しています。

そこで、理論上は、テレビを購入したのが5年前であれば5年分、
10年前であれば10年分、30年前であれば30年分の受信料を請求できる
ということになります。
ただ、NHKは、30年分請求するとすれば
30年前にテレビを購入して持っていたということを
立証する必要があります。

この判決により
NHKは契約を結ばなければ裁判を起こしますよ
ということにより
受信契約を結んでもらい、受信料を受け取りやすくなったと思います。
今後NHKはどの程度訴訟を起こしていくのでしょうか?





( 2017/12/12 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)

第275回 最高裁は結論を変えるときだけ開かれる 

マンション管理組合の理事長を理事会で解任できるか
ということが争われている訴訟で
最高裁で法廷での裁判(弁論)が行われることと
なりました。

最高裁での裁判は、
基本的には、書面審理で
法廷での裁判は滅多に行われていません。

僕も弁護士歴20年以上になりますが
一度も最高裁の法廷で裁判をしたことはありません。

最高裁での裁判を求めることを上告と言いますが
上告は、憲法違反や最高裁判例違反などがないと
認められないので、
上告をすること自体少ないこともあります。

それに加えて、最高裁では
原審の判決の結論を変えるときだけ
法廷での裁判が行われるということがあります。

要するに、最高裁では逆転するか
逆転されるかの場合のみ
最高裁の法廷で裁判をするということになる
わけです。

だから、最高裁の法廷で裁判をしたことがある弁護士は
上告した側であれば、最高裁で逆転判決を取ったということになるので
名誉なことなのですが
上告された側だとすると、最高裁で逆転されてしまった
不名誉なこととなってしまいます。

しかも、最高裁から法廷で裁判を行いますという連絡が来ると
結論が変わるということが事前にわかってしまうので
負ける方(原審では勝った方)が
その後に実際の最高裁の法廷で、いくら良い主張をしても
意味が無いのです。

せっかくの最高裁での裁判ですが
負けが予定されている方にとっては
かなりむなしい裁判ということになります。

これに対し、勝ちが決まっている方が
滅多に開かれない最高裁の法廷で
自分たちの主張が認められるとわかって主張をするのですから
これほど気持ちがよいものはないと思います。

ちなみに、
最初にあげた理事長の解任については
原審が認めないという結論だったので
最高裁では解任を認めるという判決になることが
予想されます。

この内容については
最高裁判決が出たら取り上げます。










( 2017/12/05 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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