弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第294回 土地取引を巡って三菱商事と明治大学が訴訟 

報道によりますと
明治大学と三菱商事が土地取引を巡って
訴訟をしており
この度一審判決が出たということです。

訴訟の内容は、
遊園地である多摩テック跡地について
明治大学が三菱商事に買い取ると約束していたにもかかわらず
買い取ることを止めたという理由で
三菱商事が明治大学に対し
土地の購入代金等の損害賠償約60億円を請求した
というものです。

訴訟の争点は、
明治大学が三菱商事に買い取ると約束していたのか
即ち売買契約が成立していたのか
という点だったようです。
この点は、売買に関する覚書はあったけれども
売買契約の成立とまでは言えなかった
と裁判所は判断しました。

そして、売買契約の成立は認められなかったため土地の購入費用は
損害とは認められませんでしたが
約8億4000万円の損害賠償は認められました。
土地購入代金以外にかかった費用などが考えられます。
ただし、その内訳は報道されませんでしたのでわかりませんでした。

各報道では、明治大学が土地の購入断念後
誠実に協議交渉すべき義務があったと
裁判所が指摘したと書かれていることから
交渉をしなかったことによる損害が
認められたということなのかもしれません。

しかし、通常は、誠実に交渉すれば発生しない損害などは
あまりないですし、誠実な交渉義務を認めるという判決も
なかなかありません。

こういう点は、新聞報道などではわからないので
法律の専門家としてはもどかしいですね。
判決文を見る機会があったら
また取り上げたいと思います。








( 2018/04/24 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第293回 古い消火器が破裂した場合の責任 

古い消火器が破裂して
当時小学生だった被害者がケガをして
後遺症を負いました。

被害者男性は
1970代以降同様な事故がたびたび起こっていて
1988年には同様の事故が多発していたのだから
国やメーカーは、破裂に対する危険について注意喚起を怠っていたなどとして
国やメーカーに損害賠償請求をしました。

これに対し、大阪地裁は
消火器本体に耐用年数や腐食の危険性が表示されたラベルを貼るなど
国からの要請に応じた対応が行われていたなどとして
損害賠償請求を認めませんでした。

一定の対応は取っていたということだと
国やメーカーの責任を問うことは難しいケースだったような気はします。
ただ、古い消火器を設置していた駐車場の管理人とは
和解が成立しているようなので、
古い消火器が破裂して誰にも責任がない
というわけではありません。

消火器は火事がなければ使いませんから
古い消火器がそのままになっているケースは
十分考えられます。
今の消火器が1970年代、1980年代の消火器のように
破裂する可能性があるのかはわかりませんが
消火器を設置されている方は
ちょっと消火器を見直してみる必要があるかもしれません。




( 2018/04/17 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第292回 人が亡くなったら、まず(相続1) 

最初に、勤務弁護士として雇われた事務所を独立してから、
「分けた後では遅すぎる!相続・遺産分割する前に読む本」を
平成14年に書いたこともあり、
その後、たくさんの相続に関係する相談や
事件を受けてきました。

そこで、このブログでも
話題となる事件や判決がないようなときに
相続について書いて行こうと思います。

人が亡くなったら、
亡くなった人が、親や配偶者や兄弟や子供などで
悲しい気持ちでいっぱいで何も考えられない
ということもあるかもしれません。

しかし、そういう悲しい気持ちのときでも
しなければならないことがあります。

まず、通夜や葬儀の準備をし、
亡くなった方の兄弟や親類や友人・知人、
仕事をしていれば仕事の関係の方に
連絡をする必要があります。

また、法律上は、死亡届を市区町村に提出する必要があります。
期限は、死亡の事実を知ったときから
7日以内となっています。
死亡届を出すには、死亡診断書が必要になっています。

この死亡届は、死亡した市区町村に提出してもよいのですが
死亡した住所と本籍地が異なるときに
死亡した住所に死亡届を提出すると
後で相続手続で必要となる
除籍謄本ができるのが遅くなります。
通常、人が亡くなってすぐに相続手続をする人はいないので
それでも十分です。

ただし、亡くなって直ぐに相続手続をする必要がある場合などには、
死亡した住所と本籍地が異なるときに
死亡した住所に死亡届を出してしまうと
除籍謄本ができるのが遅くなってしまうことから
本籍地に届け出た方がよいこととなります。

一般的に、相続手続では
本人の死亡を証明するものとして
除籍謄本(本人の死亡が記載されている戸籍のこと)が
あればよいとされますが、
生命保険等の手続では
死亡診断書が必要とされるので
注意が必要です。

除籍謄本は役所で取得することができますが
死亡診断書は、死亡を診断した病院で発行してもらうこととなります。






( 2018/04/09 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第291回 定年後の再雇用で給料75%減額は違法 

またもや労働事件での判決が出ました。
今回は、定年後の再雇用の際に
給料を下げられるかという問題についての判決です。

報道によりますと
食品会社が定年を迎える従業員に
再雇用の条件として
約75%減額した給料とすることを提案しました。

これに対し、従業員は
再雇用の際の給料引き下げが違法であり
不法行為に該当するとして
従業員としての地位の確認や働いていれば得られた給料分の賠償や
慰謝料を請求して、訴訟を起こしました。

これに対し、一審の福岡地裁小倉支部は
原告の請求は、全く認めませんでした。
しかし、福岡高裁は、
65歳までの雇用の確保を企業に義務付けた高年齢者雇用安定法の趣旨を考えると
定年前と再雇用後の労働条件に不合理な相違が生じることは許されない
と指摘して、今回の会社の提案は
生活への影響が軽視できないほどで、高年齢者雇用安定法の趣旨に反し
違法だと判断しました。
そして、慰謝料100万円の支払いを認めました。
ただ、定年後の雇用については合意に至らなかったため
従業員としての地位や働いていれば得られた給料分の請求などについては
認めませんでした。

一見、この判決は、会社に不利な判決のようにも読めます。
しかし、判決の結論に従えば
慰謝料として100万円を支払う必要はあるけれども
低額の給料に合意しなければ再雇用しなくてもよい
とも読むことができます。

そうだとすれば、高年齢の従業員を再雇用したくないときは
低額な給料を提案して、慰謝料の支払いで解決するという
方法も考えられなくもありません。

これらについては、会社側はよく検討する必要がありそうです。

( 2018/04/03 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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