弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第327回 ソーシャルレンディングで分配金の遅れ急増 

朝日新聞によると
ソーシャルレンディングで集めた投資資金の
分配金の支払いの遅滞が急増しているそうです。

ここでソーシャルレンディングというのは
ネット等で、企業に貸し付ける資金を募って
集まった資金をまとめて貸し付ける仕組みです。

銀行等で借り入れができる企業は、
ソーシャルレンディングでお金を借りる必要がありません。

そこで、一般的には、銀行等でお金が借りられない企業に
通常より高い利率で貸す場合に
ソーシャルレンディングは利用されます。

したがって、ネット等で投資を募る場合は、高配当、高利回りが謳われます。
高配当や高利回りは、回収リスクが高いことの対価となります。

投資する際に、借り手についてどれくらいの情報が投資家である個人に
開示されるかわかりませんが、
銀行が貸さないような企業に、
個人がお金を貸し付けるということになるのですから
朝日新聞の記事にあったような
返済の遅滞による分配金の遅滞は
発生してもおかしくないような気がしますが、
昨年までは、遅滞額は4500万円だったのが
今年は223億円と桁違いの数字となっています。

昨年までの貸付額が1300億円で、今年の貸付額は1700億円と増えていますが、
最初は、慎重に貸付を行っていたけれども
次第に回収見込みの審査が甘くなって、
多額の貸し付けを行うようになったということなのでしょうか。

企業に対しては、貸付なので、一見安心のようですが
その企業に支払い能力がない場合は
貸付であっても、回収ができないというリスクがあります。

ソーシャルレンディングを利用して投資をしようと考えている方は
十分にそのリスクを認識して投資を行ってください。

今年はこれで最後になります。
みなさん、良いお年をお迎えください。


( 2018/12/25 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第326回 指定暴力団トップの不動産に仮差押え 

暴力団による犯罪、抗争の被害者に対し
上部団体の組長の損害賠償責任が
認められるケースが増えています。

指定暴力団の工藤会が市民らを襲撃したとされる事件で
負傷した被害者、銃撃された元警部、殺害された方の遺族が
工藤会トップである総裁等に対し
総額1億9000万円くらいの損害賠償請求を求めているようです。

今回、その損害賠償請求の支払いを確保するために
判決が出る前に、総裁が個人で所有する駐車場などの
不動産の仮差押えを申し立て、
認められました。

暴力団の犯罪について、実行行為者である末端の組員は
お金を持っていないのが通常ですから
被害者は泣き寝入りが多かったと思います。

しかし、暴力団組員の犯罪が組のための場合は、
組のトップにも責任があると認められたことから
組のトップの財産から、回収することが可能となりました。

この暴力団の犯罪について組長が責任を負うという理屈が
確定したことから、
判決が出る前の仮差押えという手続も認められる
ことになったようです。
仮差押えは、勝つ見込みが高いケースでしか認められないので
組長所有の財産に仮差押えが出るということは
訴訟でも組長の責任が認められる可能性が高いということのなのです。

暴力団が一般市民に被害を与えると
組が賠償責任を負うことになって損となるから
暴力団は一般市民を被害者とするようなことはしない
となればよいと思います。





( 2018/12/18 00:00 ) Category 民事介入暴力 | トラックバック(-) | コメント(-)

第325回 「やめられないとまらない」のキャッチフレーズについて訴訟が起こされていた 

「やめられない、とまらない、カルビーのかっぱえびせん」
というキャッチフレーズは、
みなさんご存知だと思います。

このキャッチフレーズを巡って、
訴訟が起こされ、
判決が出ていたことが
ヤフーニュースで取り上げられていました。

どのような訴訟かと思い、
公開されていた判決を見たところ、
広告代理店の従業員だった方が
このキャッチフレーズを自分が考えた本人であるという事実の確認と
その旨の記事の掲載、損害賠償請求7500万円を求めたという
事案でした。
さらに
高裁では、名誉棄損に基づく謝罪広告の掲載と
慰謝料を請求していました。

まず、重要なことは、裁判では、事実の確認を求めることができません。
裁判では、基本的に、相手に対しお金を支払え、建物を明け渡せなど
請求を求めることになります。
例外的に確認を求める裁判もあるのですが
それは法律的な権利が誰にあるかという権利の確認を求めることになります。

したがって、仮に、キャッチフレーズを思いついたのが本人だとしても、
思いついたのが本人であるという確認を求めることはできないのです。

もしも本件で訴訟をするとすれば、著作権が自分に帰属することの確認を求める
ということになります。

ただし、会社の業務において作成された著作物は
基本的には会社に帰属するので、仮に思いついたのが本人であっても
著作権は本人には帰属しません。
また、本人も自分に著作権があると主張しているわけではなく
そのキャッチフレーズを思いついたのが自分だということを言いたいのだと思います。

そこで、カルビーがテレビ番組や新聞でキャッチフレーズができた経緯について
本人が思いついたのではなく、カルビーの会議の場で作られたという報道がなされたことは
本人の名誉を傷つけるものだとして、謝罪広告や慰謝料の請求を求めました。

この点は、判決は、仮に名誉棄損になる場合でも、名誉棄損をしたのは
テレビ局や新聞であるから、カルビーには
責任はないとしました。

第一審では、弁護士を付けずに自分で裁判をしていたことから
事実の確認を求める訴訟を起こし、
名誉棄損をした相手をカルビーのみとしてしまったのだと思います。
最初から弁護士を立て、カルビー、新聞社、テレビ局を相手に名誉棄損の訴訟を起こせば
勝てたかどうかはわかりませんが、今回の判決のような門前払いのような
判決にはならなかったと思います。

なかなか訴訟は自分でやるには難しい点も多いことから
弁護士に相談し、依頼してやられた方がよい場合が多いと思います。



( 2018/12/11 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第324回 国土交通省がサブリース業者の実態調査 

シェアハウスかぼちゃの馬車を運営するスマートデイズが、
多数のサラリーマンなどに家賃保証をして
高額なシェアハウスを売却したけれども
保証した家賃が支払えず、
倒産したことが問題となっています。

家賃を保証したスマートデイズは倒産してしまったので
責任を追及しようがなく
今問題となっているのは、
ローンでシェアハウスを購入したけれども
ローンを支払えるだけの家賃収入を得られず
ローンが支払えないということで、
そもそも、ローンが組めない人にもローンを組ませて
高額のシェアハウスを購入させたスルガ銀行に責任があるのではないか
ということです。

しかし、そもそもこの問題はスマートデイズが
自分たちが借り上げて、転貸するので、
一定の家賃収入が保証されると説明して
高額物件を売っていたことにあります。

この物件を購入したオーナーから借り上げて転貸する業者を
「サブリース業者」と言います。

サブリース契約は、法律上、賃貸借契約で、借地借家法の適用があります。
そこで、賃借人であるサブリース業者は、賃料の減額をすることが可能となります。
したがって、法律上は、サブリースにすれば、ローンの完済まで賃料収入が保証されるとは限らないのです。
また、いくら家賃保証してくれて、賃料減額をしないとしても、スマートデイズのように倒産してしまえば、
オーナーは責任追及ができなくなってしまいます。

国土交通省は、スマートデイズの件を含め、サブリース契約に関するトラブルが増えていることから
サブリース業者の登録の義務化も含めて検討するために、
サブリース業者の実態調査に乗り出したようです。

登録が義務化されるとしてもまだまだ先の話でしょうから
今の段階でサブリース契約を締結する場合には
契約内容及びサブリース業者の資力をご自分で調査する必要があります。
( 2018/12/04 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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