弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第335回 アルバイト社員にもボーナスが必要? 

大変な判決が出されました。

これまで、契約社員等非正規社員と正社員との間で
どの手当を平等にしなければならないかなどについて
指摘した判決を取りあげてきました。

今回の判決は、
正社員と非正規社員の最も異なる点である
ボーナス(賞与)について
非正規社員にも支給しなければならないと
しました。

しかも、一審判決ではなく、高裁判決なので
かなり意味は重いです。

判決では、賞与額が年齢や成績ではなく
基本給に連動していることから
就労自体への対価の趣旨を含む点を踏まえ
「有期契約社員へ正社員の約8割の賞与があるが
アルバイト職員に全くないのは不合理だ」
と指摘して、
正社員の約6割分が支給されるべきだと
判断しました。

アルバイト社員と正社員とで、
一日の出勤時間や一週間の出勤日数などが
同じだったのか、違っていたのか等詳しい事情は
新聞報道などではわからないのですが
アルバイトにボーナスを支払うことを予定して
採用している会社はないと思いますので
この判決が一般的になると
かなり世の中に影響を与えることになると思います。

その割には、あまりニュース等で取り上げられないのは
なぜなのでしょうか。

雇い主側は、当然最高裁に上告するでしょうから
最高裁判決がどのような判断を下すのか
注目です。




( 2019/02/26 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第334回 全額ローンで物件を購入できるからくり 

前回、第333回 家賃保証前提の不動産投資には要注意
サブリース(家賃保証)の注意点をお話ししました。
その際に、業者は、頭金なしの全額ローンでの購入という提案を
してくるということを話しました。
今回はそのことについて、ご説明します。

通常銀行は、不動産の購入資金を全額は貸しません。
購入する不動産の価格は、
将来、借入金の返済の不払が起きたときに下がっているかもしれないし、
借主が不払事故を起こせば、延滞金や利息が付くので
担保価値に余力を見ないとその分までは回収できないということもあります。

また、一定の自己資金を持っていることは、
借主の信用(自己資金を貯めることができた)にもなります。

以上のようなことから、自己資金が物件購入価格の2割から3割ないと
不動産を購入できないのが普通です。

それにもかかわらず、不動産業者が全額ローンで購入できるというのは
どうしてでしょうか。

1つは、売買契約書を2つ作り、物件価格を実際の金額よりも高いと銀行に思わせる
という方法があります。
もう1つは、頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法があります。

頭金を銀行以外の貸金業者に借りさせるという方法は
法律上は問題ありませんが、
売買契約書を二つ作り、売買の価格を実際の価格より高いと思わせることは
銀行に対する詐欺となる可能性があります。
また、借り入れの際に、自己資金や収入がもっとあるように偽る場合もあります。
これも詐欺となる可能性があります。

借主が知らない場合は、借主が詐欺に問われることはないかもしれませんが
借主と不動産業者がグルでやっていたと判断されれば借主は詐欺に問われる可能性があります。

また、このように、自分の収入に見合わない過大なローンを組んでしまうと
賃料が最初の想定よりも下回ってしまえば、
直ちに返済に行き詰ってしまうということにもなります。

したがって、全額ローンで購入できるといううたい文句の不動産投資は
気を付けた方がよいと思います。

スルガ銀行その他地方銀行などで、
同様の不動産投資のためのローンが組まれ
社会問題化したので
今は不動産投資に対するローンの審査は
厳しくなりました。
ローンの貸付限度額も少なくなっています。
そこで、今後は、全額ローンで購入できるということは
無いと思いますが、
そのような話を持ってくる業者には要注意です。



( 2019/02/19 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第333回 家賃保証前提の不動産投資には要注意 

「将来の収入確保のためにアパートやマンションを買いませんか。
購入資金は全額ローンで賄えます。
賃料収入は当社が家賃保証するので、
ローンの返済は、保証された家賃で支払えます。」
このようなセールストークで
数千万円から1億円もするマンションやアパートが
売買されていました。

購入資金が全額ローンで賄えて
その返済は全額業者が保証してくれる家賃で支払えるのであれば
購入者はノーリスクで、アパートやマンションを手に入れることができます。

しかし、世の中そううまくは行きません。
まず、業者が家賃保証すると言っているのは
業者が物件の購入者から一棟丸ごと借り上げて
転貸するということです。
この方式を「サブリース」と言います。

サブリースで、業者がいくら家賃を保証しても
実際に、入居者が入って来なければ
業者の手元には、家賃が入って来ません。
家賃が入って来なければ
購入者に対し、保証した家賃を支払うことはできません。

だんだん未払いが多くなり、最終的には、入居者から受け取っているはずの家賃も
支払われなくなります。

そうなると、購入者は、ローンの返済資金を自分で用意して
返済しなければならなくなります。

もちろん、法律上は、サブリース業者に対し、保証した家賃を支払うよう請求する権利はあり
裁判をすれば勝訴する見込みは高いです。
しかし、裁判で勝ったとしても、相手に支払うお金がない場合は
弁護士に依頼しても取りようがありません。
ひどい場合には、業者は破産してしまい、取りようがなくなってしまいます。

なお、サブリース契約は、賃貸借契約なので、借地借家法の適用により
家賃の減額が認められる可能性もあり、保証した家賃を請求する権利自体が
認められない可能性もあります。

したがって、業者が家賃保証をすると言っても
その業者が有名な不動産会社である三菱地所や三井不動産くらい資力があれば
信用してもよいとは思いますが
聞いたことがない不動産会社程度では、
支払能力はなく、家賃保証の実効性はないリスクがあると
考えた方がよいと思います。

家賃保証を約束してもらうだけで安心するのではなく
約束の実行能力まで考える必要があります。








( 2019/02/12 00:00 ) Category 不動産 | トラックバック(-) | コメント(-)

第332回 遺言の内容を知ったら、1年以内に遺留分減殺請求(相続5) 

今回は、相続シリーズの5回目です。
前回は、自筆の遺言を発見したらすぐに検認の申立を
する必要があるというお話をしました。
第306回 自筆の遺言書がある場合はすぐに検認の申立の義務があります(相続4)

そうすると、検認により、他の相続人に遺言の内容が知られることとなります。
みなさんが、運よく、亡くなった方から
「私の遺産は全て○○に相続させる」と
みなさんに遺産を全て相続させるという遺言を書いてもらえたとしても
全ての遺産をみなさんが取得できるわけではありません。

法律は、遺留分と言って、
法定相続人のうち、子、孫、両親、祖父母、配偶者には
法定相続分の2分の1を最低限の取り分として
定めているからです。
ただし、両親、祖父母のみが相続人となるような場合は
両親、祖父母の遺留分は3分の1となります。

例えば、Aさんには妻Bと子供Cがいます。
Aさんが妻Bに全ての遺産を相続させるという遺言を書いた場合は
子供Cは、法定相続分である2分の1の2分の1=4分の1の遺留分があることとなります。

法定相続人のうち、兄弟には遺留分が認められていませんから
兄弟が相続人の場合に
遺言書で全て遺産を相続させると書いてもらえれば
遺産は全てみなさんが取得できることとなります。

例えば、Aさんには、両親、祖父母、子供もなく、妻Bと妹Cがいます。
遺言を書かない場合は、法定相続分は妻Bが4分の3、妹Cは4分の1となります。
ところが、妻Bに全ての遺産を相続させるという遺言を書いた場合は
妹Cには、遺留分がないので、全ての遺産を妻Bが取得することとなるのです。

検認をすると、法定相続人に裁判所から呼出状が来ます。
そして検認の日に、遺言書の内容がわかることとなります。
遺留分は、遺言の内容から、自分の遺留分が侵害されていると知ったときから
1年に内に行使しないと時効で消滅してしまいます。

これが過ぎてしまうと、どんなに優秀な弁護士も遺留分を取り戻すことは
難しくなります。

自分に不利な遺言がかかれていた場合は
まず、弁護士に相談された方がよいと思います。

( 2019/02/05 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

QRコード
QR