弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第339回 障害者の少年の逸失利益が障害のない少年と同等に認められた 

重度の知的障害を持つ少年が
鍵のかかっていなかった施設から
行方不明となり
その後死亡して発見されたケースで、
少年の両親が施設に過失があったとして
損害賠償請求を求めていました。

これに対し、施設側は過失を認めたものの
被害者の少年が重度の知的障害を持つことから
将来大人になって収入を得られる見込みはなかったとして
将来の収入に対する損害賠償(逸失利益)については
賠償する義務はないと争っていました。

これについて、東京地方裁判所は
「障害者雇用の施策は大きな転換点を迎えていて
障害者が一般企業で働くことができる可能性は否定するべきではない」と指摘し
また、「当該被害者は、特定の分野に限ってみれば高い集中力があり障害者でない人よりも
優れた能力を発揮する可能性があった」
として、19歳までの男女の平均賃金を元にして障害のない少年と同じ水準の
損害(逸失利益)を認め、
施設側に賠償義務を認めました。

事故で死亡した場合将来の収入がどれくらい得られる見込みだったかが
争われます。
障害者については、働けない方も多く、働いている方でも収入は一般の方よりも低い
という現状があることから、
将来得られた収入も少ないと判断されるケースも多いと思いますが
本件判決では、一般の方と同等と判断されたものです。

どちらの判断が正しいのかは、なかなか難しいところですが
万が一事故を起こした場合は、被害者が障害者であっても
そうでない健常者であっても同じ額を賠償しなければならない可能性がある
ということになります。




( 2019/03/26 00:00 ) Category 損害賠償請求 | トラックバック(-) | コメント(-)

第338回 キラキラネーム「王子様」の変更が認められた 

「王子様」という名前の方の
名前の変更が家庭裁判所で認められた
ことが話題となっています。

いわゆるキラキラネームというものです。

このキラキラネームは、
最近は増えているようです。
以前から、キラキラネームの問題は取り上げられてきましたが
キラキラネームを付けられた子供が
まだ小さかったことから、
自分で変更の申立をすることができなかったので
これまでは申立例があまりなかったということかと思います。

しかし、これからは、キラキラネームを付けられた子供が大人になり
就職活動をしたりする時期となってくるので
名前の変更の申立をすることが増えてくるかもしれません。

名前の変更には、正当な理由が必要です。
正当な理由は、今の名前を使っていると生活に支障が出て困っている
という事情となります。
キラキラネームで、周りから笑われる、いじめられる、バカにされる
などは、名前の変更の正当な理由になります。

名前の変更は家庭裁判所の許可が必要なので
キラキラネームによって、このような理由で生活に支障が出ている
ということを書いて、
家庭裁判所に名前の変更の許可を求める申立をします。

許可が出たら許可の審判書を持って役所に届け出て
戸籍を変更してもらうことになります。

名前の変更の許可の手続は
非公開なので、
今回のように、本人がツイッター等で公開しなければ
一般の人にはなかなか知られないことになっています。

( 2019/03/19 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)

第337回 「仮差押えで取引中止」損害賠償認められず 

相手に対し、お金を払えと請求する権利があるときに、
相手の預金や売掛金、不動産などの財産を
仮差押えや差し押さえによって、
押さえることができます。

仮差押えは、判決が出るまで差し押さえを待っていては
相手が財産を隠してしまうおそれがある場合に行う
仮の手続きです。

差押えは、判決に従って、相手の財産を押さえて換金するために
押さえる手続きですが、
一審判決が出た段階で
仮執行宣言という条項に基づいて、
控訴されて判決が確定していなくても
相手の財産を押さえることができます。

仮差押えも、仮執行宣言に基づく差押さえも、
いずれも、仮が付いており、あとでひっくり返る可能性があります。

ひっくり返った場合には、仮差押えや仮執行宣言に基づく差し押さえをした
相手方に対し、損害賠償請求をすることができます。

この度、最高裁判決が出されたのは、
この仮差押えが後日ひっくり返り根拠がないとされた場合
この仮差押えがなされたことにより
取引先の信用が無くなって、取引を打ち切られてしまったことの
損害まで賠償請求することができるか
という点についてです。

最高裁は、契約の解除は、仮差押えを理由になされておらず、
新しい取引については、継続するかどうかは取引先の判断で
決められることから、仮差押えと取引中止との間で
因果関係はないと判断しました。

通常、仮差押えがなされた後に、取引が打ち切られれば
仮差押えがなされたことが原因と考えられますが
最高裁は、明確に仮差押えを理由に取引中止をしたのでなければ
取引中止までの損害賠償を認めないとしたのです。

これは、仮差押えは、債権者が予め権利を確保する手段で、
裁判所が証拠を判断して行っているものであることから
仮に証拠が不十分でなされた場合でも、損害賠償の範囲を広く認めると
債権者が委縮して仮差押えを利用しにくくなるということを
考慮したのかもしれません。

ただ、証拠が不十分なまま仮差押えをされた方としては
取引を打ち切られて、損害が出てしまったわけなので
賠償請求が認められないと納得できない気はします。

仮差押えをされた後で取引を打ち切られた場合は、
仮差押えが原因であることを明確にしてもらっておく
必要がありそうです。









( 2019/03/12 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)

第336回 不倫相手は離婚について責任は負わない 

不倫をしていて、それが原因で不倫の一方当事者が離婚した場合
不倫相手は、離婚について慰謝料などの法的責任を負うか
ということについて
最高裁判決が出されました。

結論は、不倫相手は不倫の一方の当事者が離婚しても
基本的には慰謝料等の責任を負わないというものでした。

普通のみなさんは、不倫をして一方当事者が離婚すれば
離婚に関する慰謝料などの責任が発生すると思っているでしょうから
びっくりされると思います。

離婚について責任を負わないだけであって
不倫をしても全く慰謝料等の支払いが必要ないということではありません。
不倫の一方当事者の夫や妻と言った配偶者に対する貞操権侵害として
慰謝料の支払い義務はあるのです。

判決の事案は、不倫について、相手方が知ってから3年以上経過してしまって
貞操権侵害の慰謝料については時効が成立してしまっていました。
しかし、その後に離婚したことから、離婚まで不倫による損害が発生し続けていたから
時効にはかかっていないとして慰謝料を請求していたというものです。

通常は、不倫を知ってから3年以内に離婚するかどうかはわかりませんが、
貞操権侵害で不倫相手に慰謝料請求だけはするというケースが多いと思われます。
だから、今回の判決があるから慰謝料の支払いが免れられる
という方は少ないと思われます。



( 2019/03/05 00:00 ) Category 離婚 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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