弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第347回 特殊詐欺で暴力団組長に使用者責任 

「オレオレ詐欺」を始めとする特殊詐欺の一部は
暴力団が取り仕切って行われていると言われています。

そもそも、特殊詐欺の実行犯を捕まえて
これらの者に損害賠償請求をすることも難しいのですが
警察の活躍により実行犯グループが逮捕されることもあります。

詐欺の実行犯だけでなく、その上の暴力団組長に
使用者責任に基づき損害賠償請求をするという訴訟が起こされ
判決が出ました。

判決の内容は、特殊詐欺について、暴力団組長に使用者責任を認める
という画期的なものです。
これまで、暴力団抗争で一般市民が巻き込まれて亡くなった場合に
暴力団組長に使用者責任を認める判決がありましたが、
特殊詐欺でも暴力団組長の責任を認めることになったのです。

特殊詐欺の被害は、年間約400億円とも言われています。
そのどれだけが暴力団の資金源となっているかはわかりません。
しかし、今回の判決により
特殊詐欺に暴力団がかかわっていることが証明できれば
組長に損害賠償請求できるということとなると
暴力団組長は資産を持っているでしょうから、
被害の回復にも役立つでしょうし、
暴力団が特殊詐欺をすることへの牽制にもなると思います。
( 2019/05/28 00:00 ) Category 損害賠償請求 | トラックバック(-) | コメント(-)

第346回 改正相続法施行は今年の7月1日から(改正相続法1) 

先週は、民事執行法に関する改正について
お知らせしましたが、
今回は、相続法(民法)の改正についてです。
相続法が改正された話は、
以前ちょっとしましたが、
改正された相続法が今年の7月1日から
施行されます。

7月1日以降に発生した相続からは
新しい法律が適用されることとなります。

今回から何回かに分けて改正相続法について
説明します。
民法は、相続法の分野だけでなく
債権法も改正されましたが
施行されるのは相続法の方が早いということになります。
改正債権法についても
施行される直前にお話ししようかと思います。

まず、今回は、遺留分について説明します。
遺留分というのは、簡単に言うと、兄弟以外の相続人に認められる
最低限保障される相続分のことです。
兄弟姉妹には遺留分はありません。

相続人が親あるいは祖父母など直系尊属のみのときだけ法定相続分の3分の1で
他の配偶者、子供は法定相続分の2分の1となります。

この遺留分の制度が大きく変わりました。
今までは、遺留分は、原則として持ち分でもらう権利でした。
Aさんの相続人が長女X、長男Yだとして
Aさんが長男Yに遺産を全部相続させる旨の遺言を書いていたとします。

遺産が2000万円の土地の場合、
長女Xの遺留分は4分の1ですから
遺留分を請求するときには
これまでは
長女Xは土地の4分の1の持ち分の名義を変更するよう請求する
こととなっていました。

ところが、今回の改正で、
遺留分は、原則としてお金に換算して請求することとなりました。
上記の例で言うと、
長女Xは、4分の1である500万円を遺留分として請求できる
ということになります。

今回の改正で、土地や株なんかよりお金が欲しいという方には
便利な制度になりました。
今まではお金が欲しいと思っても、遺留分を請求される側がお金で払うか
物の持ち分で渡すかを決められたので、お金を請求することができませんでした。
そこで、これまでは、遺留分の行使によって共有持ち分を取得して
その後に共有物分割請求をして、お金に変えるという2回の請求をしていました。
それが今回の改正で1回の裁判でお金を取得することができるようになったので
お金が欲しい方には便利になったということです。

しかし、逆に、お金でなく、土地の持ち分や株式の持ち分で欲しいと思っていた方には
残念な結果となってしまいました。
今回の改正では、遺留分はお金でしか請求ができなくなってしまったからです。
ただ、これまでも、遺留分は相手からお金で払うと言われた場合は
お金しか請求はできませんでした。
それを考えると、遺留分には
もともと土地の持ち分や株の持ち分でもらう権利はなかったとも言えますので
変わりはないとも言えます。

遺留分をお金で支払う側からすると
遺産に預金がないと
なかなか遺留分を支払う現金が用意できないということもあります。
そこで、今回の改正では、お金の支払いを猶予する制度もできました。
どういう場合にどれくらいの期間猶予されるのかは今後の運用ということになると思いますが、
支払う側の資金繰りを考慮するということになります。

今回の改正では、この遺留分が大きく変わりました。注意してください。

( 2019/05/21 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)

第345回 民事執行法が改正されました 

このブログなどで何度も言っているかもしれませんが
貸したお金や商品を売ったお金を強制的に払ってもらうことは
難しいです。

その不満に応えるべく
この度民事執行法が改正されました。

改正民事執行法のニュース等を見ると
子供の引渡し手続が明確になったということが
取り上げられています。

しかし、子供の引き渡しの事件は
重要な問題かもしれませんが
子供の引渡しを強制的にしようとしている方は
かなり少ないと思います。

そこで、子供の引渡しに関する改正は、
みなさんにはあまり関係がありません。

重要なのは、判決を取ると、強制執行の準備として
相手方の銀行預金の残高や勤務先を調べることができるようになる
ということになります。

今までは、相手方の勤務先を調べるには
自分で相手の後を付けるか
探偵を付ける等しか方法がありませんでしたが
今回の改正で、市町村に勤務先を照会することができるようになりました。

預金の有無についても、銀行に照会することができるようになりました。
法改正に先行して、大手三行とゆうちょ銀行だけ照会に応じていましたが
今後はどの金融機関も裁判所からの預金の有無について照会に応じなければならない
こととなります。

この改正民事執行法の施行は、1年以内ということで
いつになるかはわかりませんが、
この改正民事執行法が施行されれば
以前よりは少し強制執行できる可能性が出てきたと思います。



( 2019/05/14 00:00 ) Category 債権回収(貸金、売掛金、損害賠償) | トラックバック(-) | コメント(-)

第344回 最高裁判所で裁判をしてみたい 

最高裁判所の裁判について
みなさんは、テレビのニュースで見たことがあると思います。
正確には、裁判が始まる前の法廷の様子のみで
裁判をしているところは撮影は許されていません。

弁護士はいま日本に約3万人いますが
この最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士は
少ないんです。

かくいう私も最高裁判所で裁判をしたことはありません。

なぜかというと、そもそも最高裁判所は憲法の裁判所なので
上告するには憲法違反、あるいはこれまでの最高裁判所判決に違反する
というような特別な事件しか扱わないので、
上告をしたり、されたりすることは、
普通の弁護士は少ないからです。

それから、これが最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士が少ない大きな理由ですが
最高裁判所は、上告を認めるときしか裁判を開きません。

地裁や高裁の裁判は、勝つにしても、負けるにしても
裁判が開かれます。
しかし、最高裁での裁判は、上告が認められるときしか開かれないのです。
ただでさえ、上告したり、されたりということは少ないのに
さらに、上告が認められるときしか裁判が開かれないのです。

だから、最高裁判所で裁判をしたことがある弁護士は、
本当に少ないと思います。

最高裁判所で裁判が開かれるときは
上告が認められるときですから
高裁で敗訴した方が最高裁では勝訴することになります。
逆に高裁で勝訴した方が最高裁で敗訴することになります。

即ち、最高裁で裁判を開くという連絡が来たときには
裁判の勝敗もわかってしまうのです。

せっかく弁護士になったのですから
1度は最高裁判所で裁判をしてみたいものです。

しかし、弁護士人生のうち、たった1度かもしれない最高裁判所での裁判で
高裁判決をひっくり返して勝訴した弁護士もいれば
反対に、高裁判決をひっくり返されて敗訴した弁護士もいるんですよね。

せっかくの最高裁判所での裁判が
高裁での判決をひっくり返される方だったら
ショックですね。
それなら、最高裁判所で裁判はやらなくていいですね。
( 2019/05/07 00:00 ) Category 訴訟・裁判 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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