弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第111回 小説「禁断のスカルペル」 

みなさんが読んでいるかどうかはわかりませんが、
日経新聞の朝刊に「禁断のスカルペル」という
小説が連載されています。

その中で、女性医師である主人公が不貞行為をし
弁護士に依頼して、夫と交渉する場面がありましたので
それについてお話しします。

まず、主人公は、テレビ局関連の仕事をしている友人から
大手ローファームの弁護士に離婚事件を依頼します。

ローファームとは弁護士が数百人いる
大手法律事務所のことを言っていると思います。
通常、大手法律事務所は主に企業の依頼を受けているのであって
個人の離婚事件は取り扱いません。
というか、個人の離婚事件を依頼するには
大手法律事務所の弁護士費用は高すぎて
依頼できないと思います。
離婚事件などであれば
大手法律事務所でなく
普通の事務所の弁護士に依頼した方が
経験も多く、費用も安く済むと思います。

次に、交渉は
相手方が夫と夫の両親、夫の弁護士で、
こちらが本人と弁護士とで
行われます。

しかし、
離婚事件のように当事者の感情的な対立が予想できる事件で
本人同士が直接面談する形で交渉することは
通常はしません。
ましてや、
夫の両親という離婚の当事者でない者が参加するような形では
話が関係ないところで、揉めてしまう可能性があるので
これも通常はしません。

交渉に当たり、当事者が主導で行われていましたが
弁護士が代理人としてついている場合
事実関係の説明、
争点に対する考え方を
本人に話させると
本人は法的知識がないことから
不利なことを言ってしまう可能性がありますし、
そもそも、本人ではうまく交渉できないので
交渉の専門家である弁護士が依頼を受けているのですから
弁護士が話すのが通常です。

そこで、僕は、というか他の弁護士もそうだと思いますが
当事者双方に弁護士がついている場合には
弁護士だけで話し合いをするのが
普通です。

ただ、弁護士のみで交渉してしまうと
おもしろい小説にならないので、
そういう設定にしているということです。
そのこと自体は僕も否定しません。

しかし、
みなさんは、ドラマや小説を見たり読んだりすると
そういうものだと思ってしまう可能性があります。
そこで、
ドラマや小説は、面白くするために
実際と異なることも多いということを
知ってもらうために、
取り上げさせてもらいました。

本当は、小説上の離婚についての合意内容について
書きたかったので、それについては
また次回に書くことにします。










( 2014/09/09 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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