弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

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第216回 将棋で、プロ棋士がスマホで不正? 

将棋界で、最高峰のタイトル「竜王戦」の直前で
挑戦者であった三浦九段が出場停止処分となり
挑戦者が変更されるという異例の事態が生じました。

その理由は、将棋連盟は明確にはしていませんが
三浦九段がスマホに搭載した将棋ソフトを利用して
対局をした不正が疑われていたということです。

事実関係がネットや報道でいろいろ言われていますが
誰がどこから聞いた話なのかわかりませんので
僕には、不正があったのかなかったのかについて
判断することはできません。

今回、このコラムで取り上げることにしたのは
将棋連盟がビッグタイトルの挑戦も含めて出場停止処分という
重い処分をしたにもかかわらず、
その理由を明らかにしていないことは問題だと思ったためです。

通常、処分をするには、
処分をするためのルールがあって、
ルールに違反したという事実があって、
その違反が処分に見合うということが
必要とされています。

将棋連盟は公益社団法人なので
棋士の任意の団体なのだから
その処分は団体の好きにしてよい
ということにはならないと思います。

ところが、最初に説明したとおり
将棋連盟は
ホームページ上、出場停止処分にしたことだけを
掲載したのみで、その理由を明らかにしていません。
新聞報道からは、
記者会見では、三浦九段について
スマホを使用した不正について調査していた中で
三浦九段がそのような疑いをかけられたままでは対局することはできない
から休場すると言ったけれども、
休場届が出ないことから
出場停止処分をしたと発表したようです。

この発表を文字通りに解釈すれば
休場すると言っておいて
休場届を出さないから
出場停止処分としたということになります。
しかし、休場すると言っていても
休場届を出さないということは
普通は休場する意思はないということであり
休場届を出さないからと言って出場停止処分にできる
ということにはなりません。

将棋連盟は
スマホの使用による不正を認定したから
出場停止処分にしたということなのかもしれません。

しかし、スマホの使用による不正を認定したのであれば
12月までの出場停止処分は軽すぎるような気がします。

不正をしたと疑われるようなことをしたから
処分したということであれば、
あくまでも疑いなので
それを処分する根拠が必要だと思います。
将棋連盟のルールで疑われる行為をしてはならない
ということが定められていれば
このような処分は可能だとは思いますが
そのような報道はなされていません。

三浦九段は、弁護士に相談すると言っていたそうですが
弁護士であれば、将棋連盟に処分の根拠となる
ルールと事実認定を明らかにするよう求めることが
考えられます。

ただし、三浦九段が不正をしていた場合
将棋連盟は、
理由をうやむやにして
処分も短期間で済まし、
復帰の道も与える
という温情的な処分をした
とも考えられます。

これに対し、三浦九段は、
潔白を証明するために将棋連盟と闘うのか
それとも
世間は三浦九段を黒と思っているけれども
このあいまいな処分を受け入れ
将棋連盟と折り合っていくのか
どちらになるのか注目ですね。

ちなみに、僕は将棋が好きで
このようなことが起きてしまったことは、将棋ファンとして大変残念に思っています。
これはコンピューターソフトが棋士と同等又は強いことが判明してから
何年も経過しているのにのに、不正防止のためのルールをすぐに作らなかった
連盟の責任は大きいと思っています。
(もちろん不正があった場合に不正をした人が悪くないという意味ではありません。
このような不正騒動が起きるということが将棋界にマイナスとなるということについての
責任です)



( 2016/10/18 00:00 ) Category 話題の裁判・事件 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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