弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第246回 1年後の社長公募は話題作りだった? 

育毛サービス大手のリーブ21が
後継者の社長を公募で選ぶと
発表したことを
みなさんは、覚えていらっしゃいますか?

その公募社長を巡り訴訟になっていたとは
この度判決が出たという記事を見て
初めて知りました。

訴訟を起こした原告は
公募社長に応募して
社長候補として採用された方です。

請求の理由や内容は
報道された記事にははっきり書かれていませんでしたが
1年後には、社長を譲るという説明があったから
他の職業を辞めてまで応募したのに
リーブ21と現社長は、最初から社長を譲る気はなく
社長にもなれなかったことから
辞めずに前の職についていれば
得られた収入や慰謝料を支払えという
ものだと推測します。

これに対し、
裁判所は、「最初から社長を譲るには3年くらいかかると想定していたにもかかわらず
1年後に社長を選ぶと説明したことは、職業選択に関する自己決定権を侵害する
違法な行為だった」として、慰謝料100万円の支払いを会社に命じました。

雇われる方からすれば
1年後には社長にすると言われたから
今やっていることを辞めて応募したのに
自分が選ばれなくて他者が選ばれたのなら
諦めも付きますが、
誰も選ばれないのでは、
話題作りに利用されただけで
前職を辞めて損をしただけと思うことでしょう。
社長になれなくても前職以上の待遇で
リーブ21の関連会社に残れるというのであれば
いいですが。

しかし、他方、会社や現社長からすれば
社長として会社を任せてよいかどうかは
実際に一緒に働いてみないとわからない
ということはありますし、一緒に働いてみたら
社長として任せるには
ふさわしくないということもあるので
雇う際に、必ず、公募した中から社長にすると
約束することは難しいと思います。

それにも関わらず、1年後には社長を選ぶ
と説明して公募したわけですから
1年後に選ばれると思って応募した人に対し
責任を負わなければならないような気はします。

ただ、その責任の内容が慰謝料100万円では、
応募した方は、全然報われませんね。

しかし、転職って、そういうものなので
辞めてしまって失ってしまった収入までは
賠償する必要はないという考えも成り立つと思います。

なかなか難しい問題で、
どちらが勝ってもおかしくない事件だと思います。




( 2017/05/16 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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