弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第254回 出光創業者が出光の新株発行の差し止め請求 

株式会社の経営争いは、
持っている株式の比率で決まります。

石油の精製、販売を行っている出光興産で
この株式比率を巡っての争いがされています。

出光興産は上場していることから
株式の過半数を持っている株主はいません。
しかし、出光興産の創業者及び関係者(マスコミでは創業家と言われています)は
3分の1を超えて株式を持っています。
そこで、出光興産の創業家が反対すると
株主総会で3分の2の賛成が必要な合併や事業譲渡が
できなくなります。

出光興産の経営陣は昭和シェルとの合併を計画していましたが
創業家が反対しており、
合併の計画を進められないという状況にあります。

このような状況の中、
出光興産が新株を発行して、
資金調達を図ろうとしています。

株式会社は株式を発行して
それを投資家(株主)に引き受けてもらうことにより
資金を調達することができます。

しかし、新株を発行して株式数が増えれば
必然的にこれまでの株主がこれまでの割合と同じだけ
株式の引き受けをしなければ
持ち株比率が低下してしまいます。

会社法上、上場企業では、
新株発行は予め定められた枠内であれば
取締役会で決めれば自由に発行することができます。
株主総会決議は必要ありません。

ただし、会社が著しく不公正な方法により
新株を発行し、それにより株主が不利益を被るときには
株主は、新株発行を差し止めることができるとされています。

出光興産の創業家は
この規定に基づいて
新株発行の差し止めを請求しているということになります。

どういう点が著しく不公正かというと
経営陣が合併を進めようとしているのに
創業家が反対していることから
その反対を押さえるために
創業家の持ち株比率を3分の1を下回るようにすることを目的として
新株発行をしようとしていることになります。

ただ、これは創業家がそう主張しているだけで
経営陣は新株発行の理由は
資金調達をして事業基盤の強化、成長事業の育成、財務体質の強化が
必要だということを挙げています。

裁判では、当事者双方がどのような主張をしているのかわかりませんが
一般的には、合併を計画して反対されてできない状態になって
新株発行を計画していることからすれば
合併反対を回避するためという創業家の主張が正しいように思えます。

しかし、経営陣側とすれば、
合併を反対されたことにより、
事業規模は小さいままなので、経営基盤の強化が必要になり
自分だけで石油業界で生きていくためには
資金が必要になる。
合併を反対されたからこそ、新株発行による資金調達が必要になったのだ。
と主張していると考えられます。

どちらと判断するかは裁判所次第ということになりますが
果たしてどちらの主張が通るでしょうか。

これぐらい、株式会社の経営争いには
持ち株比率が影響してきます。
会社の経営者の方は自分の持ち株比率がどうなっているのか
確認しておいた方がよいと思います。

( 2017/07/11 00:00 ) Category 企業法務 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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