弁護士高島秀行の資産を守り残す法律

資産を守り残すために事前に備える賢い法律利用方法

第259回 印鑑を押した後では遅すぎる 

相続・遺産分割の相談で意外に多いのは
何かの書類に印鑑を押してしまったけれども
何とかならないかというものです。

書類は、遺産分割協議書だったり、
白紙の委任状だったり、
銀行に提出する書類だったりします。

遺産分割協議書に署名捺印をしてしまった場合は
ほとんど争う余地はありません。

強迫(脅迫)や詐欺による取り消しはできないかと
相談されるケースが多いのですが
法律上脅迫というためには
ナイフや包丁を突き付けて署名捺印を迫ったり
署名捺印をするまでは帰さないと鍵をかけて部屋に監禁したりした
というくらいである必要があります。

詐欺についても
例えば、署名捺印してくれれば
1000万円払うと言われて
署名捺印をしたら
1000万円は支払われなかったというケースだったとしても
もし本当にそういう約束があれば、遺産分割協議書に普通はそのように書くはずなので
署名捺印をすれば1000万円を支払うと言ったことを
証明するのはなかなか難しいです。

白紙の委任状や遺産分割協議書に署名捺印をしてしまった
という相談もありますが
白紙の委任状や遺産分割協議書に署名捺印をした
ということが証明できれば
何とかなる可能性もありますが
署名捺印をした書類のコピーを取っておかないと
なかなかそれも証明することは難しいです。
白紙であることを証明できたとしても
内容は相手に任せる趣旨だったと
判断されてしまう可能性もあります。

預金の払い戻しの書類に署名捺印をする場合は
署名捺印をしたのがその書類だけであれば
払戻の代表者を決めただけ
ということで、
分割内容については
何も決めていないという主張が通る可能性があります。
また、預金を全部相手に渡す合意だったとしても
他に遺産がある場合は
他の遺産で調整するという合意だったと主張する余地もあります。
ただ、預金は全て相手に与える趣旨だったと
不利に判断される可能性もあります。

印鑑を押す前であれば
弁護士はいくらでもやりようがありますが
印鑑を押してしまうと
不利な内容でもそれを承諾したこととなり、
後から弁護士が争えなくなってしまうのが
ほとんどです。

書類に署名捺印をするときは
署名捺印をしてしまって
不利にならないか
弁護士に書類を見せて相談してから
署名捺印をした方がよいと思います。




( 2017/08/15 00:00 ) Category 相続・遺産分割 | トラックバック(-) | コメント(-)
プロフィール

弁護士 高島秀行

Author:弁護士 高島秀行
第一東京弁護士会所属
東京都港区虎ノ門で
高島総合法律事務所経営
昭和40年生まれ
昭和63年慶応義塾大学法学部
法律学科卒業
平成6年弁護士登録

著書
『訴えられたらどうする!!』
『相続・遺産分割する前に読む本』
『企業のための民暴撃退マニュアル』
『Q&A改正派遣法早わかり』

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